PDP-14
PDP-14 は、1969年[1]に登場したディジタル・イクイップメント・コーポレーション(DEC)による特定用途のコンピューターであった。 DECの汎用コンピューターと違って、単純にコンピューターと呼ばれている。 このコンピューターユニットは、データ用メモリあるいはデータ用レジスタを搭載しておらず(プログラムを置くメモリは必要)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)のような産業用制御装置を目的としていた。
PDP-14の命令は、ブール代数の入力信号を判定することができ、ブール代数の出力信号をセットあるいはクリアし、条件分岐あるいは無条件分岐を行い、もしくはサブルーチンを呼ぶことができる。
I/Oは、電源電圧で動作した。
後のバージョン(例えば、PDP-14/30。その命令セットは、PDP-14とのバイナリ互換性がなかった)[2]は、PDP-8の製造技術を流用して作られている。 PDP-14/35[3] というものも存在した。さらに低コストかつI/Oの機能を縮小した PDP-14/L もあった。
ハードウェア
[編集]12ビットのPDP-14は、最大4Kワードの命令を内蔵できた。 そのシステムは、1つの制御ユニットと複数の外部ボックスから構成された[2]
- I-ボックス (BX14) は、制御されたシステムから入力を行った。256個までの入力源にアドレスを付けることができた。
- O-ボックス (BY14) は、制御システム内の255個までの駆動装置を制御できた。
- A-ボックスは、時間駆動イベントを制御するためのタイマーモジュール、あるいは、電力を喪失しても記憶が消えないストレージモジュールを内蔵していた。A-ボックスは、O-ボックスとともに出力アドレス空間を使用していた。
- S-ボックスは、本質的にO-ボックスと同じであった。しかし、実際の出力デバイスを搭載していなかった。S-ボックスは、中間結果の保存を可能とした。S-ボックスは、他のボックスと出力アドレス空間を共有して使うこともできた。
それゆえに、O-ボックス、A-ボックス、S-ボックスの合計使用可能出力アドレス空間は、255以下であった。
レジスタ
[編集]PDP-14は、7つの12ビットレジスタを搭載していた。
- IR レジスタ
- PC1 レジスタ(プログラムカウンタ)
- PC2 レジスタ(スタックの代わりとして、PC1の内容を保存する)
- MB レジスタ
- SPARE レジスタ
- INPUT レジスタ
- OUTPUT レジスタ
命令
[編集]PDP-14の命令として以下のものがあった[2]。
- TRR – TRansfer Register – レジスタ間(全てのレジスタではない)でデータを移動する。
- PC1レジスタとSPAREレジスタは、インクリメントとデクリメント機能があるので、TRR命令はそれらのレジスタにロードされる値を変更することが可能であった。
- JMS – JuMp to Subroutine – JMS命令に続く12ビットワードで指定されたアドレスのサブルーチンに移動する。
- JMR – JuMp to RETURN – サブルーチンから最後に実行されたJMS命令のアドレス+1へ戻る。
実際のところ、JMRはPC2レジスタの内容をPC1レジスタに転送する特殊なTRR命令である。
- SKP – SKiP – PC1レジスタに1を加えるTRR命令の一種である。
TEST命令(あるものがONあるいはOFFなのかを検証する)とSET命令(SYN – Set "Y" oN, SYF – Set "Y" ofF)も存在した。
ソフトウェア
[編集]最初のPDP-14は、DEC社によってプログラミングされる必要があった[4] 。 その後、PDP-14のためのソフトウェア開発は、他のシステムであるPDP-8上で行われた[4]。SIM-14と命名されたPDP-8のプログラムは、PDP-14をエミュレートすることができた。
写真
[編集]関連項目
[編集]出典
[編集]- ^ "PDP-14 USER'S MANUAL"に"1st Printing November 1969"という記述が見られる
- ^ a b c d "DEC PDP-14 Industrial Controller". 2021年2月11日閲覧。
- ^ Nineteen Fifty-Seven To The Present. Digital Equipment Corporation. (1975)
- ^ a b Randall Brodzik (27 August 2014). "Inside the competition for the first PLC". 2021年2月11日閲覧。