LEONARD KAMHOUT事件
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最高裁判所判例 | |
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事件名 | LEONARD KAMHOUT事件 |
事件番号 | 平成15年(行ヒ)第265号 |
2004年(平成16年)6月8日 | |
判例集 | 集民 第214号373頁 |
裁判要旨 | |
他人の肖像又は他人の氏名,名称,その著名な略称等を含む商標について商標登録を受けるために必要な当該他人の承諾の有無を判断する基準時は,商標登録査定又は拒絶査定の時(拒絶査定に対する審判が請求された場合には,これに対する審決の時)である。 | |
第三小法廷 | |
裁判長 | 上田豊三 |
陪席裁判官 | 金谷利廣 濱田邦夫 藤田宙靖 |
意見 | |
多数意見 | 全員一致 |
意見 | なし |
反対意見 | なし |
参照法条 | |
商標法4条1項8号、4条3項 |
LEONARD KAMHOUT事件(レナード・カムホートじけん)とは、商標権に関する日本の裁判である。
経緯
[編集]出典:[1]
- 平成10年10月22日 - Xが「LEONARD KAMHOUT」という商標を出願する。
- 平成11年1月26日 - 商標に含まれる氏名の人物であるレナード・カムホートの同意書を添付した補正書を特許庁に提出する。
- 平成12年5月25日 - レナード・カムホートが同意書撤回の通知書を特許庁に提出する。
- その後、特許庁により出願した商標が4条1項8号すると判断され、拒絶査定や拒絶査定不服審判請求に対して請求不成立の審決がされた。
- これに対し、Xが審決の取り消しを求めて訴訟をした。
結論
[編集]商標法4条1項8号は、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」は商標登録を受けることができないと規定し、4条3項は「第一項第八号、第十号、第十五号、第十七号又は第十九号に該当する商標であつても、商標登録出願の時に当該各号に該当しないものについては、これらの規定は、適用しない。」と規定している。
これに対して、4条3項にいう「出願時に8号に該当しない商標」とは、出願時に8号の括弧書きを除いた本文に該当しない商標を指し、「出願時において8号本文に該当するが、括弧書きにより8号に該当しないとされる商標」については3項の適用はなく、査定時においても承諾が必要と判断された[2]。
ここで査定時も承諾を得ている必要があるのは、8号の趣旨が「人格的利益の保護」であると考えられるためである[1]。
氏名を含む商標
[編集]他人の氏名を含む商標については、規定が厳格に解釈されており、同名の他人が存在すれば一律に拒絶されており、ファッションブランドなど人名のブランドは新たに商標登録すること難しくなっている(例えばTAKEO KIKUCHI、ヨウジヤマモト、ジュンアシダ、山岸一雄など)[3]。
これについては、令和5年の改正により、一定の条件においては他人の承諾なしに登録が可能であると改正された[4]。
出典
[編集]- ^ a b 大野聖二「他人の氏名・名称等を含む商標(3)」『別冊ジュリスト〔商標・意匠・不正競争判例百選 第2版〕』第248号、有斐閣、2020年7月、24頁、ISBN 9784641115484。
- ^ 茶園成樹『商標法(第2版)』有斐閣、2018年9月、69-70頁。ISBN 9784641243118。
- ^ 他人の氏名を含む商標の登録要件緩和 産業構造審議会知的財産分科会 第9回商標制度小委員会 令和4年9月29日
- ^ 不正競争防止法等(※)の一部を改正する法律【知財一括法】の概要