BT-4
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BT-4はIHIエアロスペース(旧石川島播磨重工業航空宇宙事業部)が開発し、製造している推力500N級の2液式ロケットエンジンである。
概要
[編集]LUNAR-Aの月周回軌道投入用スラスタとして開発されたプロトタイプをベースとして2000年に開発された。主に商用静止衛星の静止軌道投入用アポジキックエンジンとしてオービタル・サイエンシズ社(OSC)やロッキード・マーティン(LM)に供給されており、2002年にOSCに納入された量産型は、2005年11月16日にアリアン5で打ち上げられたインドネシアの静止通信衛星TELKOM-2で初めて使用された。
技術的特徴
[編集]ヘリウムガスによって加圧される圧送式サイクルの2液式ロケットエンジンであり、燃料としてヒドラジン(N2H4)、酸化剤として一酸化窒素を3%添加した四酸化二窒素(MON-3)を採用している。この種の2液式ロケットエンジンとしては世界最高の比推力を有する[1]。
宇宙ステーション補給機(HTV)で採用されたHBT-5では燃料がモノメチルヒドラジン(MMH)に変更されている[2]。
主要諸元
[編集]プロトタイプ
[編集]- 燃焼サイクル : 圧送式サイクル
- 推進剤 : MON-3/N2H4
- 推力 : 547+54/-58 N
- 比推力 : 319.8±5.1 s
BT-4
[編集]- 全長 : 650 mm
- 質量 : 4 kg
- 燃焼サイクル : 圧送式サイクル
- 推進剤 : MON-3/N2H4
- 推力 : 450 N
- 比推力 : 329 s
- 混合比 : 0.92 ± 0.015
- 燃料圧力 : 1.69 MPa
- 酸化剤圧力 : 1.62 MPa
HBT-5
[編集]- 燃焼サイクル : 圧送式サイクル
- 推進剤 : MON-3/MMH
- 推力 : 500 N
- 比推力 : 322 s
採用宇宙機
[編集]プロトタイプ
[編集]BT-4
[編集]採用衛星バス
[編集]採用ロケット
[編集]- アンタレス - オプションとなる第3段 Bi-Propellant Third Stage (BTS)で3基のエン ジンを使用。
HBT-5
[編集]- 宇宙ステーション補給機(HTV)(実証機および2号機、4号機を除く[2])
出典・脚注
[編集]- ^ “ロッキード・マーチン社向け衛星用エンジンがフライトに成功〜独自開発の世界最高性能のエンジンで2回連続のフライトに成功〜 (IHI)”. 2010年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月12日閲覧。
- ^ a b “HTV3プレスキット” (PDF). JAXA (2012年6月1日). 2012年6月3日閲覧。
- ^ Mamoru Takahashi, Masayuki Tamura, Mizuho Ikeda, Kouseki Akai, Takeshi Sasaki, Kenichi Kajiwara, Ideo Masuda, Daisuke Goto (2008年6月4日). “On-orbit operation results of “KAGUYA” Lunar Explorer propulsion subsystem” (PDF). The 26th International Symposium on Space Technology and Science. 2012年6月7日閲覧。
- ^ 44th AIAA/ASME/SAE/ASEE Joint Propulsion Conference & Exhibit. Hydrazine/MON-3 High Pressure Pump Prototype (PDF, 79KB) - Hideshi Kagawa, Akira Okayasu, Toyohiko Ota. AIAA 2008-4944.