GMクルーズ
市場情報 | Private |
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本社所在地 |
アメリカ合衆国 94103 201 11th St, San Francisco, CA |
設立 | 2013年10月 |
業種 | 製造業 |
代表者 | カイル・ボークト(創業者、元CEO) |
主要株主 |
ゼネラルモーターズ約85% ソフトバンク・ビジョン・ファンド(最終的に19.6%予定) 本田技研工業5.7% |
外部リンク | https://getcruise.com/ |
GMクルーズ(英: GM Cruise Holdings LLC)は、アメリカカリフォルニア州サンフランシスコに本社を置くゼネラルモーターズの自動運転車開発部門。クルーズオートメーション(英: Cruise Automation)(以下クルーズ)を母体とする。
現在は非上場だが、GMはクルーズの上場やスピンオフの可能性を検討している[1]。
概要
[編集]Justin.tvとTwitchの共同創業者カイル・ボークトにより創業(現在Twitchは2014年Amazonへ9億7,000万ドルで売却されている[2])。
当初はオートパイロットの機能(自動ブレーキ、車線維持)を自動車に後付けするキットを開発していたが[3]、2015年にレベル2半自動運転キット「Cruise RP-1」を1万ドルで50セット限定で発売した[4]。これはアウディ・A4やアウディ・S4の屋根にミリ波レーダー、ステレオカメラ、GPS、慣性センサー等を後付けし[5]、高速道路上の半自動運転を試みている。
公道走行試験
[編集]2016年3月に5億8,100万ドルでGMに買収されると、同年5月にはサンフランシスコで、8月にはアリゾナ州スコッツデールやフェニックスでシボレー・ボルトEVの試験車両を使用した走行試験を開始[6]。2017年4月にはGMから1,400万ドルを投入され、1163名を新規雇用するなど自動運転技術の開発が加速すると[7]、2017年6月には130台の量産に成功し、9月には世界初の量産可能な自動運転車として、シボレー・ボルトEVベースの車両が披露された。このレベル3技術が用いられた車両はサンフランシスコ、フェニックス、デトロイトで自動運転の公道で試験走行が行われている。同年10月にはカリフォルニア州の試験車両を従来の3倍となる100台体制となった[8][9]。
公道実験は運転席と助手席の2名体制で行われ、時速25km~30km程度で走行している。クルーズの自動運転車は2017年内に21件の事故に関わっているが、そのうち13件は自動運転車の急ブレーキにより追突された事故であったり[10]、人間側に原因のある事故であった[11]。
2018年にはニューヨークで自動運転車の実験を開始した[12]。
クルーズAV
[編集]2018年1月、GMは2019年までにレベル4自動運転車「クルーズAV」を生産する準備が整ったと発表した。この技術が用いられた車両はミシガン州オリオン工場で生産される予定[13]。この「クルーズAV」はステアリングホイールやペダルといった運転操作に必要な部品を搭載しないが、自動運転のためにセンサーとしてLIDAR5個、ミリ波レーダー21個、カメラ16個を搭載している。LIDARで車両周囲の固定物と移動体の形や大きさ、車両との距離を検知し、レーザー光の反射率が低い場合にミリ波レーダーの電波の反射で検知補い、カメラは物体の分類と追跡に用いる[14]。フェール・オペレーショナルに対応しており、制御回路の1系統が破損しても安定走行を可能としている。自動運転が可能な範囲は高精度地図データがあり、実車による走行試験と解析を繰り返した「既知の地域」に限定されるため、当初の販売形態は配車サービス向け業務用車両として提供されると予想されている[15]。
ライドシェアアプリとの提携
[編集]2016年5月よりGMが出資している配車アプリLyftと自動運転EVを用いたライドシェアサービスの実験を行っている[16]。また、2017年8月には従業員向けに独自の配車サービスアプリ「Cruise Anywhere」を配信しテスト運用を開始している[17]。2017年12月には配車アプリを用いてアメリカ国内の複数の都市で無人タクシーサービスを始める計画を発表した。車両はミシガン州のオリオン工場で生産するシボレー・ボルトEV[18]。
2018年5月31日、GMがソフトバンクグループとの提携を発表。ソフトバンク・ビジョン・ファンドからクルーズへ22億5,000万ドルの出資を受け入れ、持ち分19.6%を付与し最低7年間は出資を維持することで合意した。この提携によりソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資するUber(現在はボルボと提携[19])や滴滴出行(フォルクスワーゲンと提携[20])などライドシェア大手への車両供給も見込まれる[21]。
沿革
[編集]- 2013年10月 - カイル・ボークトにより設立。
- 2015年
- 2016年
- 2017年
- 2018年
- 2019年5月8日 - GMとソフトバンクビジョンファンド、Tロウ・プライス・アソシエーツ、ホンダより11億5000万ドル億ドルを調達し、評価額190億ドルに達す[34]。
- 2023年10月19日 - クルーズ、GMおよびホンダの3社で、日本での自動運転タクシーサービスを2026年初頭に開始するため、サービス提供を担う合弁会社の設立に向けた基本合意書を締結。2024年前半の設立を目指す[35]。
不祥事
[編集]2023年10月、クルーズの自動運転無人タクシーがサンフランシスコでひき逃げして隣の車線に投げ出された歩行者を避けずに再度ひいてしまうという事故が起きた[36]。カリフォルニア州の規制当局はクルーズの自動運転車が一般市民には危険であるとして営業許可を停止した[36]。オースティンやヒューストン、フェニックスでも無人タクシーを運行していたが、カリフォルニア州での許可停止を受けて[37]、GMクルーズは全米での無人タクシー事業を中止し、950台の自動運転車に対しリコールすると発表した[36]。
2023年11月19日、クルーズの営業停止処分を受け、2022年から最高経営責任者を務めてきたカイル・ボークトがCEOを辞任したことを発表した[36][38]。
出典
[編集]- ^ “GM、自動運転部門クルーズで上場など戦略的選択肢を検討-関係者”. bloomberg (2018年6月16日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GMが自動運転車の開発加速、ベンチャーの米クルーズ買収を発表”. newswitch (2016年3月12日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GM、自動運転関連ベンチャーのクルーズオートメーションを推定10億ドルで買収”. wirelesswire (2016年3月14日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “普通の車が自動運転に変わる!米国で盛り上がる「レトロフィット」技術”. ダイヤモンドオンライン (2016年9月12日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GM、自動操縦技術の新興企業Cruiseを買収”. EE Times (2016年3月28日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “シボレー、自動運転EV「ボルト」の試験走行を米アリゾナ州でも開始”. engadget (2016年8月24日). 2016年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月1日閲覧。
- ^ “米GM、自動運転で約1千名を新規雇用 グーグルら競合を追撃”. forbes (2017年4月5日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GMが描く「自動運転」の本格導入、都市部の課題と可能性”. forbes (2017年10月5日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “米GM、加州で自動運転試験車100台に 3カ月間で倍以上に拡大”. reuters (2017年10月5日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GMの自律走行車は、あまりにも「用心深すぎる」かもしれない:試乗体験レポート”. wired (2018年1月17日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “安全な自動運転社会の実現を妨げるもの、それは「人間」かもしれない”. wired (2018年7月7日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “米GM、ニューヨーク市で自動運転車の実験 来年初めにも”. CNN (2017年10月19日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “【電子版】ハンドルもペダルもない自動運転車、GMが19年に実用化へ”. 日刊工業新聞 (2018年1月13日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GM無人運転 主要機能欠けても走り続ける「冗長性」 巨人の巻き返しなるか、19年量産「クルーズAV」(下)”. 日本経済新聞 (2018年5月9日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “打倒グーグル最右翼 GM無人運転車の実力 巨人の巻き返しなるか、19年量産「クルーズAV」(上)”. 日本経済新聞 (2018年5月8日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GMとリフト、自動運転機能付きEVを利用したライドシェア・サービスの実験へ”. wirelesswire (2016年5月6日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GMの自動運転車部門、独自の配車サービスアプリ立ち上げ”. WallStreetJournal (2017年8月9日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GM、19年にも無人タクシー 米の複数都市で”. 日本経済新聞 (2017年12月1日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “ボルボがウーバーに自動タクシー、2万4000台供給へ”. 日本経済新聞 (2017年10月21日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “VWと滴滴出行が合弁設立、来週にも発表”. WallStreetJournal (2018年5月1日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “自動運転、陣営作り加速 GM、ソフトバンクと提携”. 日本経済新聞 (2018年6月1日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “新興企業Cruiseの半自動運転システム、2015年に発売へ”. ITmedia NEWS (2015年6月24日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GM、自動運転システムのCruiseを買収”. ITmedia NEWS (2016年3月14日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GMとリフト、自動運転機能付きEVを利用したライドシェア・サービスの実験へ”. wirelesswire (2016年5月6日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GM、米研究開発施設に投資---自動運転車の開発を加速”. response (2017年4月14日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GM、シリコンバレー拠点を増員 自動運転の開発強化”. 日本経済新聞 (2017年4月14日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GM Raises Output of Self-Driving Bolts, Boosts Test Fleet”. USnews (2017年6月13日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GMとCruiseが初の「量産型」自動運転車を発表”. techcrunch (2017年9月12日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GM、LiDER企業を買収---自動運転向け次世代システム開発へ”. response (2017年10月11日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GMが自動運転車の「劇的低コスト化」実現へ、新興企業を買収”. forbes (2017年10月13日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “GM、19年にも無人タクシー 米の複数都市で”. 日本経済新聞 (2017年12月1日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “ソフトバンクのビジョンF、GM自動運転車部門に2450億円出資”. bloomberg (2018年5月31日). 2018年8月1日閲覧。
- ^ “ホンダ、米GMクルーズに27.5億ドル出資 自動運転分野で提携”. reuters (2018年10月4日). 2019年5月8日閲覧。
- ^ “GM自動運転部門、ビジョン・ファンドなどから11.5億ドル追加調達”. bloomberg (2019年5月8日). 2019年5月8日閲覧。
- ^ “日本での自動運転タクシーサービスを2026年初頭に開始予定”. 本田技研工業株式会社. 2023年10月21日閲覧。
- ^ a b c d “米GM傘下のクルーズ、歩行者事故受け自動運転車950台リコール”. ロイター (2023年11月9日). 2023年11月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月22日閲覧。
- ^ “GM傘下クルーズ、CEO辞任-加州の無人タクシー許可停止受け”. Bloomberg (2023年11月20日). 2023年11月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月22日閲覧。
- ^ “米GM傘下のCEO辞任 無人タクシー事故相次ぎ引責”. 時事ドットコム. 時事通信社 (2023年11月20日). 2023年11月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月22日閲覧。