FLIRT (ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道)
この項目では、ハンガリーに本社を置く鉄道事業者のジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道(以下、略称の「GySEV」と記す。)が所有する車両のうち、スイスのシュタッドラー・レールが展開するFLIRTについて解説する。2013年の営業運転開始以降、GySEVには2013年以降、FLIRTの導入が継続して行われている[1][2]。
415形
[編集]ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道415形電車 | |
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415形(415 501)(2019年撮影) | |
基本情報 | |
運用者 | ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道 |
製造所 | シュタッドラー・レール |
製造年 | 2013年 |
製造数 | 10編成(4車体連接車10本) |
運用開始 | 2013年 - 2015年 |
主要諸元 | |
編成 | 4車体連接車 |
軸配置 | Bo' + 2' + 2' + 2' + Bo' |
軌間 | 1,435 mm |
電気方式 |
交流25,000 V 50Hz (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 160 km/h |
設計最高速度 | 160 km/h |
起動加速度 | 1.2 m/s2 |
車両定員 |
着席200人 折り畳み座席11人分 立席164人(乗客密度3人/m2時) |
編成重量 | 123 t |
編成長 | 74,278 mm |
全幅 | 2,880 mm |
全高 | 4,150 mm |
床面高さ |
600 mm(低床部分) 1,120 mm(高床部分) (低床率90 %) |
車輪径 |
870 mm(動力台車) 750 mm(付随台車) |
固定軸距 | 2,700 mm |
編成出力 | 2,600 kW(最大) |
定格出力 | 2,000 kW |
引張力 | 200 kN |
制御方式 | VVVFインバータ制御方式(IGBT素子) |
制動装置 | 回生ブレーキ |
備考 | 主要数値は[3][4][1][2]を参照。 |
2012年、GySEVはシュタッドラー・レールとの間に、ショプロン - ソンバトヘイ - セントゴトハールド間(ショプロン - ソンバトヘイ線、ソンバトヘイ - セントゴトハールド線)の近代化及び輸送力増強の一環として、4編成の「FLIRT」の導入契約を交わした。設計最高速度160 km/hの4車体連接車で、車内は大半が床上高さを抑えた低床構造になっており、高さが低いプラットホームから段差無しでの乗降が可能となっている他、車内にはバリアフリーに適したトイレが設けられている。また、車内には最新の情報案内システムや冷暖房双方に適応した空調、自転車の設置に対応したフリースペースが備わっている。乗降扉の数については、乗降の迅速さや容易さを重視した事から先頭車体に左右1箇所、中間車体に左右2箇所、合計左右6箇所づつとなっている[3][1][2][5][6]
「415形」の形式名が与えられた最初の編成は2013年にGySEVに搬入され、試運転を経て同年12月に実施されたダイヤ改正から営業運転を開始し、2014年までに1次発注分の納入が完了した。一方、それに先立つ2013年3月には、ハンガリー国鉄との共同案件として6編成の追加発注が実施され、こちらは2014年から2015年にかけて導入が実施された。これにより、2024年時点で415形は10編成(415 500 - 415 509)が在籍する[3][2][7][8]。
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車内
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列車便所
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最大3編成まで総括制御による連結運転も可能である
435形
[編集]ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道435形電車 | |
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435形(435 002)(2018年撮影) | |
基本情報 | |
運用者 | ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道 |
製造所 | シュタッドラー・レール |
製造年 | 2018年 - 2019年 |
製造数 | 10編成(4車体連接車10本) |
運用開始 | 2018年 |
主要諸元 | |
編成 | 4車体連接車 |
軸配置 | Bo' + 2' + 2' + 2' + Bo' |
軌間 | 1,435 mm |
電気方式 |
交流25,000 V 50Hz (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 160 km/h |
設計最高速度 | 160 km/h |
起動加速度 | 1.2 m/s2 |
車両定員 |
着席194人 折り畳み座席11人分 立席208人(乗客密度3人/m2時) |
編成重量 | 123 t |
編成長 | 77,100 mm |
車体長 |
20,795 mm(先頭車体) 16,990 mm(中間車体) |
全幅 | 2,820 mm |
全高 | 4,360 mm |
車体高 | 4,120 mm |
床面高さ |
600 mm(低床部分) 1,200 mm(高床部分) (低床率90 %) |
車輪径 |
920 mm(動力台車) 760 mm(付随台車) |
固定軸距 |
2,500 mm(動力台車) 2,700 mm(付随台車) |
編成出力 | 2,600 kW(最大) |
定格出力 | 2,000 kW |
引張力 | 200 kN |
制御方式 | VVVFインバータ制御方式(IGBT素子) |
制動装置 | 回生ブレーキ |
備考 | 主要数値は[4][9][1][2][10]を参照。 |
欧州連合からの支援を受け、2016年9月にシュタッドラー・レールとGySEVとの間に締結された契約に基づき製造された形式。415形を含む従来の「FLIRT」から設計変更が行われた「FLIRT 3」と呼ばれる車種で、欧州連合において新たに制定された鉄道車両の安全基準「EN 15227」を満たした構造となっているのが特徴である。編成は415形と同様の4車体連接車だが、全長は約2,800 mm延びた77,100 mmに変更されている。また、編成は地域間の短距離輸送に配慮した設計となっており、発車から39秒で営業最高速度である120 km/hに到達する性能を有している。車内には冷暖房双方に対応した空調が完備されている他、充電用のソケットが各座席に設置されている[4][9][1][2][11]。
2018年から営業運転を開始しており、2024年時点で10編成(435 501 - 510)が在籍する。営業運転時は415形との連結運用も可能である[2]。
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車内
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折り畳み座席
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バリアフリーに適した多目的トイレ
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運転台
今後の予定
[編集][[2024年]3月、シュタッドラー・レールとGySEVはショプロン - ブダペスト、ソンバトヘイ - ブダペスト間の長距離系統用に、新たにFLIRTの発注を実施した。5車体連接式の交流15,000 Vと25,000 V双方に対応した複電圧式車両で、オーストリアの路線への乗り入れも視野に入れた構造となっている。車内は夏季と冬季、それぞれの需要に応じて座席配置を変更する事が出来、一部の座席を撤去して自転車を搭載する事もできる。また、長距離利用の乗客向けに食品や飲料の自動販売機やイートインスペースも設置される[2][12]。
当初は9編成が注文され、9月にもオプション権を行使して2編成の追加発注が行われた。これら11編成は2027年からの営業運転開始を予定している[2]。
関連項目
[編集]- デジロML - シーメンスが展開する電車。GySEVはオーストリアの区間向けに3両編成の車両を所有しており、4744形と4746形の2形式が在籍する[2]。
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デジロML(4744形)(2016年撮影)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e “Stadler Delivers 10 Additional FLIRT Trains to GySEV”. Railway-News (2019年4月25日). 2024年12月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “IC FLIRTs for GYSEV”. Railvolution (2024年11月29日). 2024年12月20日閲覧。
- ^ a b c “FLIRT – Low-floor electric motor-coach train for Győr – Sopron – Ebenfurti Vasút Zrt. (GYSEV)”. Stadler Rail. 2015年7月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月20日閲覧。
- ^ a b c “ELECTRIC LOW-FLOOR MULTIPLE-UNIT FLIRT GYSEV Zrt, Hungary”. Stadler Rail. 2024年12月20日閲覧。
- ^ “GySEV orders Flirts for upgraded line”. Railway Gazette (2012年8月18日). 2013年11月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月20日閲覧。
- ^ “GYSEV and Stadler sign EMU delivery contract”. Nemzeti Fejlesztési Ügynökség (2012年8月12日). 2024年12月20日閲覧。
- ^ “GYSEV FLIRT On Test”. Railvolution (2013年11月21日). 2024年12月20日閲覧。
- ^ “Szolgálatban az első GYSEV FLIRT motorvonatok”. GySEV (2013年12月18日). 2014年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月20日閲覧。
- ^ a b Jámbor Gyula (2016年8月23日). “Tíz FLIRT 3-ast vehet uniós forrásból a GYSEV”. Magyar Idők. 2024年12月20日閲覧。
- ^ Dunai Zoltán (23 February 2017). A STADLER SZEREPE A HAZAI VASÚTI JÁRMŰGYÁRTÁSBAN (PDF) (Report). Stadler. 2024年12月20日閲覧。
- ^ “Hungarian GYSEV ordered 10 new generation FLIRT trains from Stadler”. Stadler Rail (2016年9月1日). 2024年12月20日閲覧。
- ^ “Gysev orders new Flirt trains”. Railway Pro (2024年4月1日). 2024年12月20日閲覧。
外部リンク
[編集]- ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道(GySEV)の公式ページ”. 2024年12月20日閲覧。 “