CoVLP
臨床データ | |
---|---|
販売名 | Covifenz |
法的規制 |
|
データベースID | |
DrugBank | DB15852 |
CoVLP(商品名:Covifenz)は、メディカゴ[注釈 1]とグラクソ・スミスクライン(GSK)が開発していたCOVID-19ワクチンである。
概要
[編集]タバコ属の植物の葉にコロナウイルスの遺伝子情報を含む液体を染み込ませ、葉を育てる過程でワクチンの元となるウイルス様粒子を培養するもので、従来のRNAワクチンとは異なる[2][3]。短期間で大量生産することが可能、摂氏2度から8度の冷蔵で流通が可能、植物由来であることから安全性にも優れているといった利点がある[4][5]。また、変異株であるデルタ株やガンマ株への有効性も確認されている[3][5]。
2023年2月、田辺三菱製薬はワクチンの商用化を断念しメディカゴの事業撤退を発表した[6][7]。
評価
[編集]WHO
[編集]世界保健機関(WHO)は、メディカゴ社がアメリカのタバコメーカーであるフィリップ・モリスから出資を受けていることから、緊急承認の手続きを停止している[10][11]。なお、フィリップ・モリスはメディカゴの株式のうち21パーセントを保有、残る79パーセントは日本の田辺三菱製薬が保有している[11]。
日本禁煙学会理事長の作田学は「タバコ産業の製薬企業の出資は収益多角化に加え、公衆衛生への貢献による企業イメージ向上を目指す目的が多く、たとえパンデミック対応の医薬品であってもWHOはタバコ産業の関与を拒絶する必要がある」とし、賛意を送った[11]。一方、大阪大学の山口義晃特任准教授は「WHOの承認は途上国や国際機関にお墨付きを与える役割があり、影響力は大きい」と分析しつつも「たばこ企業などの資本が審査に影響するのであれば、より明確な基準を示すべきである」と指摘している[11][12]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “新型コロナウイルス感染症ワクチン候補MT-2766の日本における臨床試験の開始について”. 田辺三菱製薬 (2021年9月30日). 2022年7月28日閲覧。
- ^ “早期承認が期待される「植物由来ワクチン」とは?”. 中日新聞地域医療ソーシャルニュースサイト. 2022年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月28日閲覧。
- ^ a b “田辺三菱製薬の植物由来コロナワクチン、カナダで承認申請”. SankeiBiz. 産経新聞グループ (2021年12月17日). 2022年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月28日閲覧。
- ^ 橋本款 (2022年5月31日). “植物由来のCOVID-19ワクチン”. 東京都医学総合研究所. 2022年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月28日閲覧。
- ^ a b 太田敦子 (2022年5月16日). “植物由来コロナワクチン、変異株にも有効”. 時事メディカル. 時事通信. 2022年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月28日閲覧。
- ^ “田辺三菱、コロナワクチンから撤退 カナダ子会社清算へ”. 日本経済新聞. (2023年2月3日). オリジナルの2023年2月23日時点におけるアーカイブ。 2023年2月23日閲覧。
- ^ “コロナワクチン商用化断念、田辺三菱薬がカナダ子会社清算”. 産経新聞. (2023年2月3日) 2024年1月4日閲覧。
- ^ “田辺三菱製薬、コロナワクチン、カナダで初承認”. 化学工業日報. (2022年2月25日). オリジナルの2022年7月28日時点におけるアーカイブ。 2022年7月28日閲覧。
- ^ ““世界初”植物由来ワクチンがカナダで承認 9月までに日本国内での承認申請を目指す”. ヤフーニュース. 日本テレビ. (2022年2月25日) 2024年1月4日閲覧。
- ^ 上田裕資 (2022年3月17日). “WHO、タバコ会社が出資する製薬会社のワクチンを却下へ”. フォーブス. 2022年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月28日閲覧。
- ^ a b c d 竹野内崇宏; 田中奏子 (2022年5月18日). “【時時刻刻】たばこ会社出資ワクチンに「NO」”. 朝日新聞 2022年7月28日閲覧。
- ^ 安田奈緒美; 井上浩平 (2022年3月24日). “田辺三菱の植物由来ワクチン、WHO承認拒否へ タバコ大手出資で”. 産経新聞. オリジナルの2022年7月28日時点におけるアーカイブ。 2022年7月28日閲覧。