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国鉄C11形蒸気機関車227号機

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C11 227から転送)
国鉄C11形蒸気機関車 > 国鉄C11形蒸気機関車227号機
C11 227

C11 227は、大井川鐵道動態保存する蒸気機関車 (SL) で、日本国有鉄道(国鉄)の前身である鉄道省が製造したC11形蒸気機関車の1両である。

1975年昭和50年)の廃車後、翌1976年(昭和51年)に大井川鉄道(現・大井川鐵道)で動態保存が開始された。日本における鉄道省→国鉄製造車による初の定期的な営業用動態保存運行を行ったSL[注 1]であり、2021年令和3年)現在も現役で運行されている。

経歴

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1942年(昭和17年)9月9日[1][注 2]日本車輌製造本店工場で落成(製造番号 1108)。

同年10月10日に苗穂機関区(現・苗穂運転所)に新製配置され、札沼線等で運用された。1969年(昭和44年)4月2日追分機関区苫小牧支区に転属してからは、日高本線で運用された。さらに1974年(昭和49年)3月11日[注 3]に釧路機関区(現・釧路運輸車両所)に転属してからは、標津線で運用された。1975年(昭和50年)4月24日の同線無煙化により、同年6月25日付で廃車となった。

しかし、1970年(昭和45年)から千頭駅にてSL動態保存を進めていた大井川鉄道で、観光客や愛好家のために日本で唯一の本線用SLを復活させる計画があった。本機がその担当のSLに選定され、1975年(昭和50年)11月16日から22日にかけて、同社へ輸送された[注 4]。動態復元工事を受け、1976年(昭和51年)4月19日付で車両設計が認可[4]され、同年5月18日試運転を開始[1]。同7月9日に「かわね路号」として営業運転を開始した[5]。これは日本における復活SLの第1号であった。

現在、本機はボイラーと汽笛を、同社が2007年平成19年)9月8日さよなら運転をもって運用を終了したC11 312のものと交換しており、汽笛の音色は同機のものになっている。

2021年(令和3年)現在、単機での牽引は客車4両まで(以前は5両まで)が可能である。

主要諸元

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  • 全長 - 12.650 m
  • 全高 - 3.940 m
  • 全幅 - 2.936 m
  • 重量 - 65.85 t
  • 空重量 - 51.69 t

イベント時の改装

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SLマン
1998年(平成10年)、1999年(平成11年)の夏休み限定イベントにおいて、塗装や前面が大幅に変更され、『それいけ!アンパンマン』のキャラクター「SLマン」を模した姿に改装された[6]。このときは、車体にアンパンマンの登場キャラクターのフィギュアが装備されており[6]、イベント終了後はフィギュアが新金谷駅のプラザロコに展示保存されている。なお、この改装イベントについては、後述の「SLくん」改装時の車内観光案内にて紹介された。
SLくん
2005年(平成17年)の大井川鐵道創立80周年時に同社職員のアイデアによって生まれ[7]2012年(平成24年)、2013年(平成25年)の夏休み限定イベントとして、大井川鐵道のマスコットキャラクター「SLくん」を模した姿に改装された。車体全面が明るい青色に塗装され、目玉とリボンはヘッドマーク扱いの脱着可能なタイプとした。
きかんしゃトーマス号
2014年(平成26年)の夏休み限定イベントとして開催。ウィルバート・オードリー原作のイギリスの幼児向けテレビ番組『きかんしゃトーマス』とのタイアップ企画で、日本語吹き替え版の総合制作であるソニー・クリエイティブプロダクツとの全面的なパートナーシップの下、登場キャラクターである「トーマス」を模した姿に改装され、「きかんしゃトーマス号」として同年7月12日より運行された。また、大井川鐵道所有のスハ43系客車7両(スハフ42 184・286・304、オハ47 81・380・398・512)がトーマスの牽引する客車「アニー」と「クララベル」を模したオレンジ色に塗装され、専用客車としてリニューアルされたほか、千頭駅構内に静態保存されている9600形蒸気機関車 (49616) が登場キャラクター「ヒロ」(声 - 玄田哲章)を模した姿に改装され、「きかんしゃトーマス号」とのツーショットが行われた。
2014年(平成26年)度の運行は10月12日の貸切運転で終了。その後、元の姿に戻されて同月19日に運用を再開した。
2015年(平成27年)度は6月7日から10月17日まで運行された。また、登場キャラクター「ジェームス」を模した姿に改装されたC56 44との重連運転およびプッシュプルも行われた。
2016年(平成28年)度から2019年(令和元年)度までのきかんしゃトーマス号の運行記録は以下のとおりである。
2016年(平成28年)度 - 6月11日から10月10日まで。
2017年(平成29年)度 - 6月17日から10月9日まで。
2018年(平成30年)度 - 6月9日から10月14日まで。
2019年(令和元年)度 - 6月22日から12月1日まで。
2020年(令和2年)度は『きかんしゃトーマス』の原作出版75周年を記念し、5月から6月にかけて「緑色のトーマス号」が運行される予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、中止となった。
同年度の「きかんしゃトーマス号」については、6月26日から10月19日まで運行された。しかし、令和2年7月豪雨の影響で、7月30日下泉 - 田野口間の線路敷横の大井川護岸に損傷が発生したことにより、8月7日からは新金谷 - 家山間の運行となった。同日からの上り家山発新金谷行き列車は電気機関車牽引で運行されたが、これは家山駅構内に転車台デルタ線がないからである。
2021年(令和3年)度は6月12日から10月18日まで運行される予定であったが、9月27日まで運行された。なお、6月12日から28日までは、「みどりのトーマス号」として運行された。このほか、同年12月24日から翌2022年(令和4年)1月10日にかけて冬の特別運行も行われたが、それ以降はC11 190をトーマスに改装して運行している[8]。これは、本機が2022年(令和4年)3月で検査切れとなるからである。

ギャラリー

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脚注

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注釈

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  1. ^ 鉄道省→国鉄製の機関車に限らなければ、軽便規格(762mm軌間)の西武山口線が1972年より借り入れ車両による定期的な営業用動態保存運行を開始していた。また、定期的運行を伴わない国鉄型蒸気機関車の動態保存は同じ1972年開館の梅小路蒸気機関車館で実施されていた。
  2. ^ 18日という説もある[2]
  3. ^ 17日という説もある。
  4. ^ 16日0時30分 - 釧路駅から出発(途中、岩見沢駅からはD51 953が牽引)。 → 同日22時10分 - 五稜郭操車場に到着。 → 17日17時20分 - 同操車場から出発(途中、青函連絡船「渡島丸」に積載され海上輸送)。 → 18日21時15分 - 青森操車場(現・青森信号場)に到着。 → 19日2時30分 - 同操車場から出発。 → 同日12時26分 - 長町駅に到着。 → 20日13時57分 - 同駅から出発。 → 21日13時35分 - 大宮駅に到着。 → 同日20時39分 - 同駅から出発。 → 同21時54分 - 鶴見操車場に到着。 → 22時16分 - 同操車場から出発。 → 22日1時23分 - 東静岡駅に到着。 → 同日4時40分 - EF18 33の牽引で同駅から出発。 → 同7時20分 - 金谷駅に到着[3]

出典

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  1. ^ a b 『現役蒸気機関車のすべて』JTBパブリッシング、2005年、95頁。 
  2. ^ 『鉄道画報 No.4』誠文堂新光社、2006年、47頁。 
  3. ^ 『大井川鐵道 蒸気機関車運転25周年記念 写真集 川根路の煙』川根路号写友会、2001年、75 - 77頁。 
  4. ^ 『【復刻版】私鉄の車両 14 大井川鉄道』ネコ・パブリッシング、2002年、160頁。 
  5. ^ 蒸気機関車C11形227号機”. 大井川鐵道. 2022年4月28日閲覧。
  6. ^ a b 鉄道ジャーナル』第32巻第10号、鉄道ジャーナル社、1998年10月、90頁。 
  7. ^ 大井川鐵道株式会社【公式】 on Twitter: "「SLくん」"”. 大井川鐵道 (2016年2月3日). 2022年4月28日閲覧。
  8. ^ 大井川鐵道 新春の川根路に「きかんしゃトーマス号」を運転”. ネコ・パブリッシング (2022年1月5日). 2022年7月4日閲覧。

参考文献

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  • 『大井川鐵道オフィシャルガイド』
  • 川根路号写友会『大井川鐵道 蒸気機関車運転25周年記念 写真集 川根路の煙』
  • JTBパブリッシング『現役蒸気機関車のすべて』
  • 交通新聞社『SLダイヤ情報21』

関連項目

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外部リンク

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