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B型肝炎ウイルス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
B型肝炎ウイルス
分類
レルム : リボウィリア Riboviria
: パラルナウイルス界 Pararnavirae
: アルトウェルウイルス門 Artverviricota
: レウトラウイルス綱 Revtraviricetes
: ブルベルウイルス目 Blubervirales
: ヘパドナウイルス科
Hepadnaviridae
: オルトヘパドナウイルス属
Orthohepadnavirus
: B型肝炎ウイルス
Hepatitis B virus

B型肝炎ウイルス(Bがたかんえんウイルス、Hepatitis B Virus)は、ヘパドナウイルス科オルトヘパドナウイルス属に属するDNAウイルスである。B型肝炎の原因ウイルスである。略してHBVと呼ばれる。

歴史

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記録では1883年に、ドイツ帝国のLurmanによって最初の報告がなされている。1964年アメリカ合衆国バルーク・サミュエル・ブランバーグらにより、オーストラリア原住民の血清から、後にHBs抗原とされる「オーストラリア抗原」が発見される。その後1968年に、東京大学医学部大河内一雄(後に九州大学医学部教授)により、オーストラリア抗原と肝炎の関連を報告された。

ヒト以外の感染例では、ドイツのミュンスター大学の研究チームは、鳥類DNAに混入しているB型肝炎ウイルスの痕跡を研究することにより、鳥の感染例は古いもので8200万年前ごろの可能性が高いことを、科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に報告している。哺乳類が感染するようになったのは、1210万年前以降とされている[1]

構造

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HBVの環状のDNA。プラス鎖は不完全な状態で存在している。

DNAウイルスである。HBVは直径42nmで3.2kbの環状の二本鎖DNAとそれを包むエンベロープからなる。ただ、このDNAは完全な二本鎖ではなくプラス鎖のほうが一部欠けていて短い。内部にはコアを持つ(Dane粒子とも呼ばれる)。表面にある抗原 (HBs) によってadr・adw・ayr・aywなどの亜型が存在する。

種類

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遺伝子配列の相違によって以下の遺伝子型(genotype)とその亜型(subtype)に分類されている。

解析方法

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  • 直接sequencing法
  • EIA法(日本では特殊免疫研究所 IMMUNIS®が保険適応)
  • PCR-Invader法(日本ではBML社)
  • PCR-RFLP
  • INNO-LiPA法(日本ではFujirebio社)

遺伝子型

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  • genotype A
    • Aa/1(Asian/African type) , Ae/2(European type) , Ac/3(Cameroon)
  • genotype B
    • Bj/1(Japanease type) , Ba/2(Asian type) , B3 , B4 , B5
  • genotype C
    • Ce/1(East Asian type) , Cs/2(South East type) , C3 , C4
  • genotype D
    • D1 , D2 , D3 , D4 , D5
  • genotype E
  • genotype F
    • F1 , F2 , F3 , F4
  • genotype G
  • genotype H
  • genotype J

生活環

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HBVは細胞に感染するとまず、自分のDNAを細胞の核に送り込む。そこで、プラス鎖のDNAを修復して完全な二重鎖のスーパーコイルDNAになるとこれを鋳型として宿主細胞由来のRNAポリメラーゼを使ってプレゲノムRNAを合成する。そこから、ウイルスDNAポリメラーゼにある逆転写酵素活性をもちいてこのRNAからマイナス鎖のDNAを合成する。この過程ではRNAのプライマーが次々に転移し、全長のマイナス鎖DNAを完成させる。その後、DNAポリメラーゼにより、プラス鎖が合成されるが、合成が全て終わる前に小胞体内腔に出芽したウイルス表面分子のHBsに覆われ細胞外に放出される。

熱に強く、60℃ × 10分間の加熱処理でも不活化されず、感染性を失わない[2]が、60℃ × 10時間では不活化される[3]

疫学

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2002年のB型肝炎による人口10万人当たりの障害調整生存年数(en: disability-adjusted life year[4]

感染

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B型肝炎ウイルスは血液を介して感染する。感染経路には垂直感染と水平感染とがあり、成人以降での水平感染の多くは一過性であることが多い。

臨床像

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血液中の時間経過の慢性のHBV抗原及びHBV抗体の水準値

治療

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慢性B型肝炎の治療の目的は、慢性肝炎の沈静化(ALTの正常化)と、その後の肝硬変への移行・肝細胞癌発症の阻止にある。急性B型肝炎は基本的に保存的加療がなされる。

出典

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関連項目

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脚注

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  1. ^ 8200万年前に鳥類感染か=B型肝炎ウイルス―独大学 時事通信(2013年5月1日)
  2. ^ B型肝炎ウイルスの不活化 肝臓 Vol.18 (1977) No.8 P584
  3. ^ 森泰樹、緒方正吾、阿多実茂 加熱人血漿蛋白液輸液とHBe抗原・抗体 肝臓 Vol.19 (1978) No.5 P510
  4. ^ Mortality and Burden of Disease Estimates for WHO Member States in 2002” (xls). World Health Organization (2004年12月). 13 November 2009閲覧。

外部リンク

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