7 Days to End with You
ジャンル | 言語読解ノベルゲーム |
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対応機種 |
iOS Android Steam(Microsoft Windows) Nintendo Switch |
開発元 | Lizardry |
発売元 |
Lizardry PLAYISM(Switch) |
人数 | 1人 |
発売日 |
iOS, Android:2022年1月24日 Win:2022年2月7日 Switch:2023年1月26日 |
対象年齢 |
IARC:6+ iOS:17+ |
コンテンツアイコン | iOS:軽度なバイオレンス |
エンジン | Unity |
『7 Days to End with You』(セブン デイズ トゥ エンド ウィズ ユー)は日本のゲーム開発者Lizardryによるビジュアルノベル。言語読解をテーマとし、作中の文章は架空言語となっている。
2022年1月24日にiOS・Android向けアプリとして発売され、同年2月7日にMicrosoft Windows(Steam)版が発売。2023年1月26日にNintendo SwitchがPLAYISMより発売。
概要
[編集]Steamでの紹介文には「物語を読み解く全く新しいジャンルのパズル&ノベルゲーム」とある。プレイヤーキャラクターは現実の言葉で思考するものの、他の人物の台詞や作中の文書は全て架空言語で記される。マルチエンドで、全く言葉を理解できない場合でもクリア自体は可能だが、ある程度理解した上でなければ迎えられないエンドがある。
登場した単語の一覧があり、単語がどのような場面で出てきたか振り返ることができる。例えばある単語が植物に対してばかり使われているならば、単語の意味は「植物」であると推理できる。会話の中で、一覧から単語を選んで応える場面があり、適切な単語を選ぶことによって展開が変わる。一覧には推理した単語の意味を自由に記入でき、記入内容は台詞などの上にルビとして併記される。一覧は二周目以降にも引き継がれる。登場する架空言語の単語数は130弱である。
文字には法則性があり完全読解が可能となっているが、言葉の正しい意味が作中で開示されることはなく、物語をどのように受け取るかはプレイヤーに委ねられている。
イラスト、シナリオ、プログラムなどをLizardryが一人で手掛けて制作した。Lizardryが学生時代に国内でバックパッカーをしていた頃、英語を話す外国人と知り合いお互いの言語がわからないなりに親しくなった経験が反映されている[1]。
Switch版では新規エンディングなどの追加要素が予定されている[2]。
開発
[編集]開発者のLizaedryはゲームクリエイターになる夢は持っていなかった。しかし昔からゲームを作ることには関心を持っていたため、個人でゲームを作り始めた。勉強を兼ねて試験的にモバイルで無料ゲームを中心に制作して公開したが、ある程度の収入が見込め、開発技術が身についたことから本作を開発した[3]。
開発人数はLizaedry一人のみ。BGMとSEは作る体制が整ってないため、著作権フリーの物を使用してる[3]。
本作のコンセプトは「コミュニケーションにおいて最も重要なのは相手を理解したいと思う熱量である」と企画時点で決定したが、内容はユーザーに任せることになっている[3]。
switchへの移植のきっかけは、当初は開発の敷居が高かったため移植する予定は立てておらず、文字入力が頻繁に起こるゲームの設定のため相性が合わない思ったが、PLAYISMの担当者に声を掛けてもらった事から相談を重ねるうちに考えが変わり、移植することになった[3]。
あらすじ
[編集]- プロローグ
- 主人公の「私」は、ある朝目覚めると記憶喪失になっており自身の名前も過去もわからなくなっていた。非常に体調が悪く、それは記憶の欠落と関係があるようだった。そばには「赤い髪の人物」がおり、その人は好意的で、看護をしてくれているようだが、話しかけてくる言葉は異国の言語で何一つ理解できない。その人の名前も関係性もわからない。本や新聞を開いてみても、そこに書かれている言語は見覚えがなく読めない。家の中の鏡は割れているため自分の顔すらもわからない。
- DAY1
- 赤い髪の人物は身振り手振りで意思疎通を図ろうと懸命で、物を触ってのコミュニケーション法を絵を使って説明する。意図を察した私はその人の言葉を理解していこうと決意する。先のやり取りの後、その人は常に私のそばについて回るようになる。その人の住む家には私がいた私室やリビングのほか、温室や錬金部屋がある。私が何かに触れると、赤い髪の人物は未知の言葉でそれが何かを説明する。私はその言語が使われる状況や共通点から、少しずつその意味を理解していく。ただしその人は私が錬金部屋にある奇妙な仕掛けに触れることや、家の外に出ようとすることには拒否反応を示した。
- DAY2
- 私は学習を続ける。
- DAY3
- 私の身体は重く、体調は良くならない。いつも私のそばにいた赤い髪の人物が、突然立ち止まって何かを話し始め、私を置いてリビングに向かって行く。私が追いかけると、その人はテーブルの椅子に腰掛けている。私が近づくとその人は絵を使って、かつて自分たち二人は愛し合う関係であったが、何らかの事情で私はそのことを忘れていると伝える。私は今までの学習から絵の内容を理解し、そのことを言葉で伝える。その人は自分の意図が通じたことに驚きの表情を浮かべ、また嬉しそうに何かを話す。一方、私は先の話について、自分の理解が正しいとしたら今後どうすればよいのか思案する。
- DAY4
- 私は自分の体調が日に日に悪くなっていることを感じる。ある時、錬金部屋に入ると赤い髪の人物が何かを探し始める。その人は飲み物を入れる容器を失くしたと、絵を使って説明する。私は意図を理解し、その人を連れて家中を捜し回る。失くし物は無事見つかり、その人は嬉しそうな表情を浮かべる。
- DAY5
- 私の体調は更に悪化している。夜、家のドアがノックされる。赤い髪の人物は驚き、慌てて私を一階の部屋の中に押し込め、何かを指示して去っていく。しばらくするとドア越しに話し声が聞こえてきた。私がドアの隙間から覗き見ると、フードを被った人物が玄関前で赤い髪の人物と口論をしている。口論中、大きな物音がしたため私はじっと身を潜める。しばらくすると更に大きな物音がし、不安になった私は部屋を出て様子を見に行く。玄関前に二人の姿はなかったが、すぐに錬金部屋に続く階段から赤い髪の人物が降りてくる。私は学習した言葉を使って、何があったのか尋ねる。赤い髪の人物は私が適切な言葉を選べていることに驚き、事情らしき何かを話し始める。
- 私は今までの学習から話の内容を推察する。過去に戦争があったこと、戦争後に自分は行方不明になったこと、行方不明になった自分を人々が捜していること、しかし私は記憶障害でそれを覚えていないこと、赤い髪の人物は私と一緒にいるのを望んでいること。一方、この話が本当だとしたら自分は何者なのかと悩む。
- DAY6
- 私の身体は限界に近付いており、目もよく見えなくなっている。
- 隠しイベント
- DAY6までの間にある手順を踏むと隠しイベントが発生する。
- 私は赤い髪の人物の目を盗んで、以前、その人が触られることを嫌がった錬金部屋にある奇妙な仕掛けを解く。すると隠し部屋への入口が開いた。隠し部屋には血生臭いにおいが漂っており、拘束具や鉈、兵士の装備品などが落ちている。床には血痕がある。私が気になって赤い髪の人物を錬金部屋に連れて行くと、その人は隠し部屋の入口が開かれているのを見て私が秘密を暴いたことを悟り、隠し部屋にある物が何かを淡々と言葉で説明する。物語の進展次第では人間の死体が追加され、赤い髪の人物はそれがDAY5で口論をしていたフードの人物であると話す。
- DAY7
- 私の身体は酷く衰弱し、意識も朦朧としている。私はそばにいた赤い髪の人物に、自分は間もなく死ぬことを言葉で伝える。その人は私が言葉の意図を理解しており、また自分の死期も把握できていると話す。その人はまた孤独になる、もう一度私と会いたいと話す。そして二人が再会するため錬金術を使うとも話す。私も一連の話の内容を理解する。
- 隠しイベントを起こしていない場合、ここで物語が終わり、赤い髪の人物が死にゆく主人公を涙ながら見送るところで画面がブラックアウトし、物語の終わりが示唆される。
- エンディング
- 赤い髪の人物は今一度、私が話の内容を理解できているか尋ねる。私は理解していると答える。その人は私が今、何を感じているか尋ねる。私は罪と答える。その人はそれが自分自身の罪を指していることを認め、私に何を望んでいるか尋ねる。プレイヤーは主人公の願いとして「全てを受け入れる」か「全てを終わらせる」かを選択する。
- 全てを受け入れる
- 私の答えを聞いたその人は涙を流しながら、錬金術をたくさん使う、自分と主人公はたくさん一緒にいると話す。画面がブラックアウトし、主人公の意識がなくなったことが示唆される。
- ゲームが再開され、主人公が目を覚ます。目の前には赤い髪の人物がいる。その人は朝の挨拶をした後、今が621という未来の日付であることを話す。赤い髪の人物がまた一緒にいると話したところで画面がブラックアウトし、物語の終わりが示唆される。
- 全てを終わらせる
- 私はその人の首に手をかける。赤い髪の人物は涙を流し、自分は裁きと死を願っていると話す。その人は私に感謝の言葉を伝え、一緒に眠りにつきたい、終わりにしたいと話す。私はその人と最期の言葉を交わす。画面がブラックアウトし、物語の終わりが示唆される。
- エピローグ
- 条件を満たすとエピローグが追加される。
- 誰かが錬金術を題材とした英語の文章を執筆している。そこへ別の誰かがメモを差し出す。メモには赤い髪の人物を示す言葉が記されていた。
キャラクター
[編集]- 私
- 主人公。性別は不明。記憶喪失で自分の名前を思い出せず、周囲で使われている言葉も理解できない。
- 赤い髪の人物
- 未知の言語を使う赤毛の人物。髪型はロングヘア。黒いノースリーブのタートルネックに、黒いロングパンツを着ている。性別は不明で作中では言及されず、Switch版の販売元であるPLAYISMは赤毛の見知らぬ人(red-haired stranger)と表現している[4]。ただし一部の外部メディアはゲームを紹介するうえで女性または少女としている[5][6]。
- 主人公が意識を取り戻したとき、すぐそばにいた。記憶喪失で言葉も理解できない主人公のために、絵や身振り手振りでコミュニケーションを取る。
評価
[編集]日本ゲーム大賞2022にてゲームデザイナーズ大賞にノミネートされ、2位[7]。
INDIE Live Expo Awards 2022にてルールズオブプレイ賞を受賞。「新しいゲームプレイの手法を発明をしたタイトル」に捧げられる賞である[8]。
電撃オンラインの投票企画”電撃インディー大賞2023”では10位に選ばれた[9]。
アプリゲットで高野京介は、「○ 言葉がわからない中、意味を推理していくゲーム性は斬新。ドット絵のグラフィックやBGM、ヒロインの女性も魅力的。△ 他にあまり類をみないゲームシステムのため、最初どうすればいいか戸惑う人も多いと思う」と評した[10]。Gamerで田中一広は、「未知の言語を推理によってじわじわと理解していく楽しさは、本作ならでは。他の作品では決して味わえない楽しさ」と評した[11]。
出典
[編集]- ^ “クリエイター自身の経験がゲームになった『7 Days to End with You』インタビュー! 旅行での出会いがゲームに。” (2022年4月12日). 2022年12月8日閲覧。
- ^ “Switch版『7 Days to End with You』2022年冬に配信。そばにいる女性の言葉を推理しながら物語を読み解くパズル&ノベルゲーム【Indie World】” (2022年11月10日). 2022年12月8日閲覧。
- ^ a b c d Nintendo DREAM 2023, p. 65.
- ^ ““Twitter” (2023年1月26日). 2023年7月23日閲覧。
- ^ “Switch版『7 Days to End with You』2022年冬に配信。そばにいる女性の言葉を推理しながら物語を読み解くパズル&ノベルゲーム【Indie World】” (2022年11月10日). 2023年7月23日閲覧。
- ^ ““言語の意味を徐々に理解していく独特のゲーム性が光る!「7 Days to End with You」” (2022年1月31日). 2022年12月9日閲覧。
- ^ “日本ゲーム大賞2022、大賞は『エルデンリング』! 同作でディレクターを務めた宮崎英高氏は経済産業大臣賞を受賞【TGS2022】” (2022年9月15日). 2022年12月8日閲覧。
- ^ ““INDIE Live Expo Awards 2022”の大賞は「Unpacking」に決定。各受賞タイトルまとめ” (2022年12月4日). 2022年12月7日閲覧。
- ^ ““インディーゲーム名作ベスト10。電撃インディー大賞2023結果発表” (2023年5月31日). 2023年7月23日閲覧。
- ^ ““君と、終る、7日間。言語を推理して、物語を読み解く未知すぎるパズル&ノベルアドベンチャー” (2022年1月25日). 2022年12月9日閲覧。
- ^ ““言語の意味を徐々に理解していく独特のゲーム性が光る!「7 Days to End with You」” (2022年1月31日). 2022年12月9日閲覧。
参考文献
[編集]- 「Indies DREAM」『Nintendo DREAM』2023年3月号、アンビット、2023年1月21日、65頁、JAN 4910071130338。
外部リンク
[編集]- 7 Days to End with You | Game(インディーゲーム) - PLAYISM
- 7DaysToEndWithYou @official (@7dtewy) - X(旧Twitter)
- Lizardry (@Lizardry_dev) - X(旧Twitter)(制作者Twitterアカウント)