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7-デヒドロコレステロール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
7-デヒドロコレステロール
識別情報
CAS登録番号 434-16-2 チェック
PubChem 172
日化辞番号 J60.101B
KEGG C01164
MeSH 7-dehydrocholesterol
特性
化学式 C27H44O
モル質量 384.638
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

7-デヒドロコレステロール (7-dehydrocholesterol) は、ズーステロール(動物ステロール)の一種で、プロビタミンD3 と呼ばれる有機化合物。人の体内の皮膚の近くで、この化合物は紫外光の作用によりビタミンD3(コレカルシフェロール)に変わる。コレステロールから、7、8位の水素が失われて二重結合となった構造を持つ。

7-デヒドロコレステロールに紫外光が当たると、電子環状反応により環が開き、中間体であるプレビタミンD3((6Z)-タカルシオール)へと変わる。そこからさらにシグマトロピー転位が起こり、ビタミンD3 を与える。

7-デヒドロコレステロールは哺乳類の乳にも見つかっている。

生合成

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コレステロール合成の前駆体であるプロビタミンD37-デヒドロコレステロール)が、皮膚上で紫外線を受けてステロイド核のB環が開き、プレビタミンD3((6Z)-タカルシオール)となる。

プレビタミンD3は、自然発生的にビタミンD3(コレカルシフェロール)へ異性化する。プレビタミンD3からのビタミンD3(コレカルシフェロール)への転移は、室温では12日間で完了する[1]

皮膚での分布及び光化学反応

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皮膚の表皮の層。基底層(図の赤色部分)及び有棘層(オレンジ色部分)での7-デヒドロコレステロールからプレビタミンD3の生成が最大となる。

皮膚は、主要な2層で形成されている。内側の層は真皮で、結合組織の大部分を占めており、外側の層は薄い表皮である。表皮は、5層で構成されており、外側から内側に順に、角質層、顆粒層、顆粒膜層、有棘層基底層である。

皮膚で270-290 nmの紫外線を受けて7-デヒドロコレステロールからプレビタミンD3(転移してビタミンDに変化するもの)が光化学的に生成される。7-デヒドロコレステロールは、ヒトを含むほとんどの脊椎動物の皮膚中(基底層及び有棘層)で大量(25–50 mg/cm2)に生成される[2][3]

ある種の動物では、毛皮や羽根が紫外線の皮膚への到達を妨げている。鳥類や毛皮を持つ哺乳類においては、皮膚から毛皮や羽根に7-デヒドロコレステロールを含む皮脂を分泌し毛繕いすることによって口からビタミンDを摂取している[4]

1923年に7-デヒドロコレステロールに紫外線を照射することによって脂溶性ビタミンを生成できた。アルフレッド・ファビアン・ヘスは、「光はビタミンDと同等である。」ということを示した[5]。ドイツのゲッティン大学のアドルフ・ヴィンダウスは、ステロールと関連ビタミンの構造の解明で、1928年にノーベル化学賞を受賞した[6]。彼は、さらに、1930年代にビタミンDの化学構造を確定した。

関連項目

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脚注

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  1. ^ Holick, MF (2004). “Vitamin D: importance in the prevention of cancers, type 1 diabetes, heart disease, and osteoporosis”. The American journal of clinical nutrition 79 (3): 362–71. PMID 14985208. 
  2. ^ Crissey, SD; Ange, KD; Jacobsen, KL; Slifka, KA; Bowen, PE; Stacewicz-Sapuntzakis, M; Langman, CB; Sadler, W et al. (2003). “Serum concentrations of lipids, vitamin d metabolites, retinol, retinyl esters, tocopherols and selected carotenoids in twelve captive wild felid species at four zoos”. The Journal of nutrition 133 (1): 160–6. PMID 12514284. 
  3. ^ Norman, Anthony W. (1998) Sunlight, season, skin pigmentation, vitamin D, and 25-hydroxyvitamin D:integral components of the vitamin D endocrine system. Am J Clin Nutr;67:1108–10.
  4. ^ Stout, Sam D.; Agarwal, Sabrina C.; Stout, Samuel D. (2003). Bone loss and osteoporosis: an anthropological perspective. New York: Kluwer Academic/Plenum Publishers. ISBN 0-306-47767-X 
  5. ^ UNRAVELING THE ENIGMA OF VITAMIN D U.S. National Academy of Sciences
  6. ^ Windaus biography at”. Nobelprize.org (1959年6月9日). 2010年3月25日閲覧。