2023年ブラジル三権広場襲撃事件
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2023年ブラジル三権広場襲撃事件 | |
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2022年ブラジル大統領選挙抗議デモ内で発生 | |
国会議事堂に侵入した人々 | |
日時 | 2023年1月8日 |
場所 | ブラジル ブラジリア |
原因 | 2022年ブラジル総選挙の結果に対する抗議 |
目的 | 政府転覆 |
手段 | 暴動・ヴァンダリズム・略奪・暴行[1]・テロ戦術 |
結果 |
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2023年ブラジル三権広場襲撃事件(2023ねんブラジルさんけんひろばしゅうげきじけん、葡: Invasões na Praça dos Três Poderes em 2023、又は三権中枢施設襲撃事件[2])は、2023年1月8日にブラジルで起きた政治的な暴動事件。当時の同国前大統領であったジャイール・ボルソナーロの支持者らおよそ4000人が、2022年ブラジル総選挙でのボルソナーロの落選は認めないとして、首都ブラジリアにある三権広場に集まり大統領府と連邦最高裁判所、国会議事堂をそれぞれ襲撃した[1]。
背景
[編集]任期満了に伴い2022年10月30日に投開票された大統領選挙の決選投票では、元大統領のルーラが現職のボルソナーロに僅差で勝利し大統領職に返り咲く形となった[3]。同日夜にはボルソナロの支持者らが道路封鎖による抗議行動を行った[4]。11月1日にはボルソナロが「憲法を順守する」と述べ、政権移行を容認した[4]。同月22日、ボルソナーロは一部の電子投票機で投じられた票の無効を訴えたが、選挙結果は高等選挙裁判所をはじめ国内外で承認されており結果が覆ることは無かった[5]。ボルソナーロの支持者の間では軍隊による介入を求めるなど過激な抗議行動が行われた[5][6]。12月22日、ルーラに当選証書が授与されたがボルソナーロの支持者らは連邦警察本部を襲撃し、過激な抗議を続けた[4]。同月24日にはブラジリアの空港で爆発未遂事件が発生し逮捕者が出た[7][8]。
2023年1月1日、ブラジリアでルーラの就任式が行われた。一方でボルソナーロは出国し式典には欠席した[7]。
経過
[編集]1月8日、ボルソナーロの支持者ら約4000人がSNSなどを通して首都ブラジリアに集結した。14時頃(ブラジル時間)、陸軍本部に集まった支持者らは8キロ先の三権広場を目指し行進[8]。15時頃にはバリケードを突破[8]。侵入者は議会の一部をスプリンクラーで水浸しにし、大統領府の窓から家具を投げ、最高裁では略奪を行った[9]。
暴動鎮圧後、警察は約1500人を拘束した。また事前に手配されたバス40台が押収された[10]。その後、女性や高齢者など600人が解放された[11]。
反応
[編集]国内
[編集]国外
[編集]- 日本 - 中南米を歴訪中であった林芳正外務大臣は、9日にブラジルのマウロ・ヴィエイラ外相と会談し、「暴力で民主主義を脅かすことは許されるべきではない」と非難した[14][15]。
- 欧州連合 - シャルル・ミシェル大統領は、「民主主義機関に対する攻撃は、絶対的に非難する」とした[16]。
- 国際連合 - アントニオ・グテーレス事務総長は、8日、ツイッターに「ブラジルの民主的な制度に対する今回の攻撃を非難する」と投稿した[17]
その他
[編集]- 襲撃参加者の多くがボルソナーロの好んだ黄色を基調としたサッカーブラジル代表のユニフォームを着用していたことを受け、ブラジルサッカー連盟は「ユニフォームが非民主的で破壊的な行為に使用されるのを強く拒否する」と非難した[18]。
- 2020年アメリカ大統領選挙で選挙不正を主張したスティーブン・バノンや極右活動家のアリ・アレクサンダーはこの抗議運動を賞賛した[19][20]。
脚注
[編集]- ^ a b "ボルソナロ氏支持者 大統領府占拠で400人逮捕". 9 January 2022. 2024年1月3日閲覧。
- ^ “ルーラ「我々には安全保障室も軍も存在しなかったようだ」=三権中枢施設襲撃事件での不満語る”. ブラジル日報 (2023年1月20日). 2023年1月25日閲覧。
- ^ 清水孝輔「ブラジル大統領選挙、ルラ元大統領が当選 左派に回帰」『日本経済新聞』2022年10月31日。2023年1月13日閲覧。
- ^ a b c 大月美佳「「票が盗まれた」前大統領支持者暴徒化」『読売新聞』2023年1月10日、朝刊、7面。
- ^ a b 宮本英威「敗北のボルソナロ氏、開票結果に異議 ブラジル大統領選」『日本経済新聞』2022年11月23日。2023年1月13日閲覧。
- ^ “ボルソナロ氏、大統領選敗北で「心を痛めている」と初めて心境吐露”. ロイター. (2022年12月12日). オリジナルの2023年1月13日時点におけるアーカイブ。 2023年1月13日閲覧。
- ^ a b 宮本英威「ボルソナロ大統領、ブラジルを出国 ルラ氏就任式欠席へ」『日本経済新聞』2022年12月31日。2023年1月13日閲覧。
- ^ a b c d 中川千歳、新富哲男「ブラジル連邦議会 暴徒が襲撃 民主主義の危機 米国に酷似」『信濃毎日新聞』(共同通信)2023年1月10日、朝刊、7面。
- ^ 杉藤貴浩「ブラジル前大統領支持者ら 連邦議会など襲撃」『東京新聞』中日新聞東京本社、2023年1月10日、朝刊、2面。
- ^ 中村聡也「バス手配し集合か ブラジル議会襲撃、1500人拘束」『毎日新聞』2023年1月11日、朝刊、6面。2023年1月13日閲覧。
- ^ “ブラジル 議会侵入 女性や子ども約600人解放 徹底捜査の方針”. NHK NEWS WEB. (2023年1月11日) 2023年1月4日閲覧。
- ^ “ボルソナロ前ブラジル大統領、米国から病床の写真投稿”. AFP=時事通信. (2023年1月10日) 2024年1月3日閲覧。
- ^ “バイデン米大統領「非道」と糾弾 民主主義への攻撃”. 産経ニュース. 共同通信. (2023年1月9日) 2023年1月12日閲覧。
- ^ “ルラ新政権と関係強化確認 林氏、ブラジル外相と会談”. 47NEWS. 共同通信. (2023年1月10日) 2023年1月12日閲覧。
- ^ 中村聡也「日ブラジル外相会談 林氏、ルラ政権支持表明「暴力許されない」」『毎日新聞』2023年1月10日。2023年1月12日閲覧。
- ^ 三井美奈 (2023年1月9日). “「絶対的に非難」 ブラジル議会襲撃でEU大統領”. 産経ニュース 2023年1月12日閲覧。
- ^ “ブラジル 連邦議会侵入 ルーラ大統領“関係人物を厳しく処罰”. NHK NEWS WEB. (2023年1月9日) 2023年1月14日閲覧。
- ^ “議会襲撃者の代表ユニ着用を非難 ブラジルサッカー連盟”. 47NEWS. 共同通信. (2023年1月10日) 2023年1月12日閲覧。
- ^ Wendling, Mike (2023年1月9日). “【解説】 ブラジルで選挙否定派が議会襲撃 トランプ氏の側近らが応援 [How Trump's allies stoked Brazil Congress attack]”. BBC 2023年1月12日閲覧。
- ^ Palmer, Ewan (2023年1月10日). “ブラジル議会襲撃の陰で米極右スティーブ・バノンはいかに暗躍したか [Steve Bannon's Connection to Brazil Insurrection by Bolsonaro Supporters]”. Newsweek 2023年1月12日閲覧。