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鳥取県中部地震

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鳥取中部地震から転送)

鳥取県中部地震
鳥取県中部地震の位置(日本内)
鳥取県中部地震
鳥取県中部地震の位置(鳥取県内)
鳥取県中部地震
地震の震央の位置を示した地図
本震
発生日 2016年平成28年)10月21日
発生時刻 14時7分22.6秒(JST
持続時間 約7秒[1]
震央 日本の旗 日本 鳥取県中部
北緯35度22分48秒 東経133度51分21.6秒 / 北緯35.38000度 東経133.856000度 / 35.38000; 133.856000座標: 北緯35度22分48秒 東経133度51分21.6秒 / 北緯35.38000度 東経133.856000度 / 35.38000; 133.856000
震源の深さ 10.6 km
規模    気象庁マグニチュード Mj6.6/モーメントマグニチュード Mw6.2[2][3]
最大震度    震度6弱:鳥取県倉吉市湯梨浜町北栄町[4]
津波 なし
地震の種類 大陸プレート内地震
左横ずれ断層[2]
余震
回数 震度1以上:443回(2017年1月31日現在)[5]
最大余震 2016年10月21日14時53分17.5秒(JST)、M5.0、最大震度4[6]
被害
死傷者数 負傷者32人[7]
被害地域 鳥取県、岡山県
出典:特に注記がない場合は気象庁[6]による。
プロジェクト:地球科学
プロジェクト:災害
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鳥取県中部地震(とっとりけんちゅうぶじしん)は、2016年平成28年)10月21日14時7分ごろに鳥取県の中部を震源として発生した地震である。地震の規模はM(マグニチュード)6.6で、震源の深さは11 km[4]。最大震度6弱を鳥取県の倉吉市湯梨浜町北栄町で観測した。

地震のメカニズム

この地震は、西北西-東南東方向に圧力軸を持つ北北西-南南東走向の左横ずれ断層型の地震で地殻内で発生した地震であった[2]。断層長は約10kmとみられている[2]。地震前までに震源付近で活断層は発見されておらず、日本政府の地震調査委員会はこれまでに知られていない断層が動いたとの見解を示した[8]。気象庁は「今回のような地震は活断層がないところでも起きる」としている[9]京都大学の西村卓也准教授や東北大学の遠田晋次教授によると、山陰地方では地盤が年間3-4 cm東へ動いているためひずみの蓄積しやすい地域が島根県の東部から兵庫県の北部にかけて帯状に連なっており、地震が起きやすい地域となっている[9][10]

1年前の2015年10月から、鳥取県中部では地震活動が活発になっていた[11]。2015年10月から本震直前の2016年10月21日14時まで、鳥取県中部を震源とする最大震度1以上の地震は51回発生している(最大は震度4)[12]。本震2時間前の2016年10月21日12時12分にも本震震源のすぐ近くを震源とするM4.2、最大震度4の地震が起き、その後も本震直前まで体に感じない微小地震が続いていた[2][11][13]

観測・推定された揺れ

震度5弱以上が観測された気象庁の発表地点
震度 都道府県 観測点名
6弱 鳥取県 倉吉市葵町・湯梨浜町龍島・北栄町土下
5強 鳥取県 鳥取市鹿野町鹿野小学校・鳥取市鹿野町鹿野・鳥取市青谷町青谷・三朝町大瀬・湯梨浜町久留・北栄町由良宿
岡山県 真庭市蒜山下福田・鏡野町上齋原
5弱 鳥取県 鳥取市吉方・鳥取市気高町浜村・倉吉市岩倉長峯・倉吉市関金町大鳥居・琴浦町徳万・日吉津村日吉津
島根県 隠岐の島町城北町
岡山県 真庭市禾津・真庭市蒜山下和・真庭市蒜山上福田

鳥取県中部で最大震度6弱を観測したほか、関東地方から九州地方までで震度1以上の揺れを観測した。

防災科学技術研究所は、倉吉市で1494ガルの最大加速度を観測した[14]

倉吉市や岡山県鏡野町上齋原で観測された揺れは周期0.4秒前後の短周期の揺れが卓越しており、木造家屋の倒壊に結びつく周期1-2 秒の成分は小さかった[15]。このため、屋根瓦など小構造物の被害が多い一方、家屋の倒壊は起きにくかったとみられる。

鳥取県中部では、長周期地震動階級3を観測した。広い範囲で長周期地震動が発生し、大阪市ではあべのハルカス梅田スカイビルなどの高層ビルでエレベーターが緊急停止した[16]

緊急地震速報

気象庁は、倉吉観測点で地震を検知してから12.1秒後の14時7分36.4秒に緊急地震速報(警報)を京都府・大阪府・兵庫県・鳥取県・島根県・岡山県・広島県・香川県・愛媛県の全域、福井県嶺南、滋賀県南部、山口県東部、徳島県北部に発表[17]

被害・影響

地震で漆喰壁が剥がれ落ちた白壁土蔵群・中野竹藝。(元帥酒造旧酒蔵、震災前の画像。)

鳥取県を中心に住宅の屋根瓦や壁が崩壊する被害が相次いだ[18]。2017年9月21日現在、住宅の全壊18棟、半壊312棟、一部破損1万5095棟が確認されている[7]。倉吉市役所では窓ガラスが割れ階段の一部が崩壊したため、鳥取中部総合事務所に災害対策本部を設置した[19][20]。住居の損傷が酷い地域では避難生活を強いられ、32人が重軽傷を負ったが死者は出なかった。

公共施設・文化財等への影響

国の重要伝統的建造物群保存地区でもある倉吉市の白壁土蔵群では建物の漆喰の壁が剥がれ落ち[21]、近隣にある国の登録有形文化財銭湯大社湯」でも浴室に貼られている明治時代の特注品のタイルが大量に剥がれ落ちるなどの被害があった[22]。田内城麓にある岩阿弥陀釈迦堂は落石により全壊した。また、広島県竹原市にある国の重要文化財復古館頼家住宅」で瓦が10枚程度落下、島根県の松江市にある松江城石垣の間を埋める石が落下するなど広い範囲で文化財への被害が発生している[23]

倉吉市では、多くの水道施設が被災したが特に高さ18 mの生竹配水塔の被害が大きく倒壊の危険があり、近接している3世帯には避難勧告を発令、地震発生後から40日後に生竹配水塔の解体作業を終了し12月1日に避難勧告の解除を行った[24]

観光産業への影響

鳥取県内では、旅館・ホテルの宿泊キャンセルが1万件に迫るなど観光業界に深刻な影響が出た。この事態を受け鳥取県は「がんばろうプロジェクト」を実施し、風評被害払拭への取り組みを行った[25]

日本国内の対応

行政の対応

鳥取県は地震当日の10月21日に倉吉市、湯梨浜町北栄町災害救助法の適用を決定し、10月24日に三朝町も追加で適用された[26]。また倉吉市で断水が発生したため、鳥取県の平井伸治知事は10月21日19時22分、自衛隊に対して災害派遣を要請した[27]

気象庁では「大きな規模の地震の発生後に規模の近い地震が続発した事例がある」として、1週間程度は最大震度6弱程度の地震に注意するよう呼び掛けた[4]。4月に発生した平成28年熊本地震の反省から2016年8月以降は大きな地震があった際に余震発生確率を発表するのをやめ、同程度の規模の地震に注意を呼び掛けることにしていた。

メディア

民間の支援

地震で落下した様々なナシを購入する動きがある。岡山県の真庭市は被災地支援の一環として落下したナシを市内の小学校、幼稚園の給食として提供している。JAまにわも、市内で即売会を開催して格安の価格で落下したナシを販売した[28]

通信

2016年10月21日14時16分から同年11月4日15時まで、西日本電信電話(NTT西日本)から、災害用伝言ダイヤルおよび災害用伝言板が提供された[29]

この地震の震源付近で発生した他の地震

脚注

注釈

出典

  1. ^ 2016年10月21日鳥取県中部の地震-近地強震波形による震源過程解析(暫定)-” (PDF). 気象庁 (2017年2月17日). 2018年6月30日閲覧。
  2. ^ a b c d e 2016年10月21日鳥取県中部の地震の評価” (PDF). 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 (2016年10月22日). 2016年10月22日閲覧。
  3. ^ M6.2 - 8km S of Kurayoshi, Japan”. アメリカ地質調査所 (2016年10月21日). 2016年10月25日閲覧。
  4. ^ a b c 平成28年10月21日14時07分頃の鳥取県中部の地震について”. 気象庁 (2016年10月21日). 2016年10月22日閲覧。
  5. ^ 平成28年10月21日の鳥取県中部の地震(平成28年10月21日14時~)気象庁。
  6. ^ a b 震度データベース検索
  7. ^ a b 鳥取県中部を震源とする地震(第38報)” (PDF). 消防庁 (2018年3月22日). 2018年4月29日閲覧。
  8. ^ “鳥取中部の地震 未知の断層が原因 政府調査委見解”. 毎日新聞. (2016年10月22日). https://mainichi.jp/articles/20161023/k00/00m/040/057000c 2016年10月23日閲覧。 
  9. ^ a b “鳥取、なぜ大地震多い 気象庁「活断層なくても起きる」”. 朝日新聞デジタル. (2016年10月22日). http://www.asahi.com/articles/ASJBQ05DTJBPULBJ00N.html 2016年10月23日閲覧。 
  10. ^ “山陰地方に「ひずみ集中帯」 鳥取県西部地震15年 京大防災研調査”. YOMIURI ONLINE. (2015年5月25日). https://web.archive.org/web/20150603073903/http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/CO004347/20150525-OYTAT50004.html 2016年10月23日閲覧。 
  11. ^ a b c d “鳥取県 去年10月以降は地震活動が活発に”. NHK. (2016年10月21日). オリジナルの2016年10月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161022143330/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161021/k10010738671000.html 
  12. ^ 震度データベース検索気象庁、2016年11月8日閲覧。
  13. ^ 地震情報(震源・震度に関する情報)2016年10月21日12時16分 気象庁発表”. 2016年10月22日閲覧。
  14. ^ 2016年10月21日鳥取県中部の地震による強震動”. 防災科学技術研究所. 2016年10月22日閲覧。
  15. ^ 2016年10月21日鳥取県中部地震東京大学地震研究所。
  16. ^ “長周期地震動、近畿・四国・長野でも観測 鳥取地震”. 朝日新聞. (2016年10月22日). http://www.asahi.com/articles/ASJBP5S3KJBPPLBJ00G.html 2016年10月22日閲覧。 
  17. ^ 緊急地震速報の内容”. 気象庁 (2016年10月21日). 2016年10月22日閲覧。
  18. ^ “鳥取地震、北栄町で住宅2戸が倒壊 転倒した女性が骨折”. 朝日新聞デジタル. (2016年10月21日). http://www.asahi.com/articles/ASJBP5TGTJBPPTIL03T.html 2016年10月23日閲覧。 
  19. ^ “鳥取中部地震、観光名所にも被害 「白壁土蔵群」壁はがれる”. 日本経済新聞. (2016年10月22日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H23_S6A021C1CC0000/ 2016年10月23日閲覧。 
  20. ^ “鳥取で震度6弱 伯耆町の県道で土砂崩れ”. 毎日新聞. (2016年10月21日). https://mainichi.jp/articles/20161022/k00/00m/040/011000c 2016年10月23日閲覧。 
  21. ^ “道路に亀裂 瓦崩落 鳥取中部地震”. 日本海新聞. (2016年10月22日). http://www.nnn.co.jp/news/161022/20161022060.html 
  22. ^ 鳥取の老舗銭湯、存続の危機 国登録文化財、地震で破損(朝日新聞デジタル 2016年10月22日ウェブ魚拓キャッシュ
  23. ^ “広い範囲で文化財に被害 鳥取県中部地震”. 日本経済新聞. (2016年10月23日). https://www.nikkei.com/article/DGXLZO08688390S6A021C1CR8000/ 2016年10月23日閲覧。 
  24. ^ 倉吉市水道局 2016年10月21日鳥取県中部地震災害報告書” (PDF). 倉吉市水道局 (2017年6月22日). 2018年9月21日閲覧。
  25. ^ “鳥取県、中部地震の風評被害払拭へプロジェクトスタート”. 観光経済新聞. https://www.kankokeizai.com/%E9%B3%A5%E5%8F%96%E7%9C%8C%E3%80%81%E4%B8%AD%E9%83%A8%E5%9C%B0%E9%9C%87%E3%81%AE%E9%A2%A8%E8%A9%95%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E6%89%95%E6%8B%AD%E3%81%B8%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88/ 2018年9月21日閲覧。 
  26. ^ 平成28年鳥取県中部地震に係る災害救助法の適用について(第2報)” (PDF). 内閣府 (2016年10月24日). 2018年9月21日閲覧。
  27. ^ 鳥取県中部を震源とする地震に係る災害派遣について(21時00分現在)”. 防衛省 (2016年10月21日). 2018年9月21日閲覧。
  28. ^ “落果梨 食べて支援”. 読売新聞. (2016年11月5日). オリジナルの2016年11月7日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/1jB6n 
  29. ^ 鳥取県中部で発生した地震による通信サービス等への影響および「災害用伝言ダイヤル(171)」、「災害用伝言板(web171)」の提供開始について|NTT西日本”. NTT西日本. 2024年5月3日閲覧。

外部リンク

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