風返稲荷山古墳
風返稲荷山古墳 | |
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所属 | 風返古墳群 |
所在地 | 茨城県かすみがうら市安食1526(字風返) |
位置 | 北緯36度7分21.62秒 東経140度19分46.05秒 / 北緯36.1226722度 東経140.3294583度座標: 北緯36度7分21.62秒 東経140度19分46.05秒 / 北緯36.1226722度 東経140.3294583度 |
形状 | 前方後円墳 |
規模 |
墳丘長78.1m 高さ10m(後円部) |
埋葬施設 |
後円部:横穴式石室(内部に箱式石棺3基) くびれ部:箱式石棺 |
出土品 | 装飾付大刀・馬具・須恵器ほか副葬品多数 |
築造時期 | 6世紀末-7世紀初頭 |
史跡 | なし |
有形文化財 | 出土品(国の重要文化財) |
地図 |
風返稲荷山古墳(かざかえしいなりやまこふん)は、茨城県かすみがうら市安食にある古墳。形状は前方後円墳。風返古墳群を構成する古墳の1つ。史跡指定はされていない。出土品は国の重要文化財に指定されている。
概要
[編集]茨城県中部、霞ヶ浦に突き出す通称「出島半島」の北部、霞ヶ浦と菱木川に挟まれた台地上に築造された古墳である[1]。一帯では前方後円墳1基(稲荷山古墳)・帆立貝形古墳1基・円墳25基・方墳1基・不明6基の古墳計34基からなる風返古墳群が分布し、本古墳はその盟主墳になる[2]。1964年(昭和39年)に発掘調査が、1999年(平成11年)に測量調査が実施されている[2]。
墳形は前方後円形で、前方部を西方向に向ける。埋葬施設は後円部における横穴式石室、くびれ部における箱式石棺であり、横穴式石室内には箱式石棺3基が据えられる。両施設の調査では、装飾付大刀(頭椎大刀・円頭大刀)・馬具2組・須恵器など多数の副葬品が検出されている。
築造時期は、古墳時代後期-終末期の6世紀末-7世紀初頭頃と推定され[3]、複数回の追葬が認められる。東国では最終段階の前方後円墳である点、豊富な副葬品の出土の点で注目され、当時の首長層を考察するうえで重要視される古墳になる。
出土品は2023年(令和5年)に国の重要文化財に指定されている。
遺跡歴
[編集]- 1964年(昭和39年)、発掘調査。副葬品多数出土(日本大学考古学会、1964年に報告)[2]。
- 1999年(平成11年)、測量調査(筑波大学ら霞ヶ浦町遺跡調査会、2000年に報告書刊行)[2]。
- 2006年(平成18年)11月16日、出土遺物が茨城県指定有形文化財に指定[1][4]。
- 2023年(令和5年)6月27日、出土品が国の重要文化財に指定。
墳丘
[編集]- 墳丘長:78.1メートル
- 後円部
- 直径:43.1メートル
- 高さ:10メートル
- 前方部
- 長さ:35メートル
- 幅:57メートル
- 高さ:8メートル
埋葬施設
[編集]埋葬施設としては、後円部において横穴式石室が、くびれ部において箱式石棺が構築されている。
後円部の横穴式石室は、南東方向に開口する。後室・前室・羨道・前庭部から構成される複室構造の石室であり、全長は9.12メートルを測る。石室の石材は雲母片岩の大石。後室には奥壁に沿って奥箱式石棺、側壁に沿って東箱式石棺・西箱式石棺の3基が据えられる。奥石棺からは金銅製耳環、東石棺からは頭椎大刀・円頭大刀・銀装刀子など、西石棺からは金銅製耳環など、前室からは鉄製武器・銅鋺・馬具・須恵器などが検出されている。石棺の構築順序は奥石棺→東石棺→西石棺と想定される[2][1]。
くびれ部の箱式石棺は、墳丘主軸と平行する東西方向に構築され、長辺約1.9メートル・短辺約0.9メートルを測る。石棺の石材は雲母片岩で、天井石・床石は各3枚、側石は各1枚である。石棺内からは円頭大刀・金銅製耳環・ガラス玉が、北西約1メートルの地点からは馬具一式(布で包み木箱内に収納か)が検出されている[2][1]。
出土品
[編集]横穴式石室・箱式石棺の発掘調査で検出された副葬品は次の通り[2][1]。
- 横穴式石室出土
- 奥箱式石棺
- 金銅製耳環
- 東箱式石棺
- 頭椎大刀 1
- 円頭大刀 2
- 銀装刀子
- 西箱式石棺
- 金銅製耳環 2
- 金銅製蜜坩玉
- ガラス玉
- 前室奥
- 直刀
- 鉄鉾
- 鉄鏃
- 銅鋺
- 馬具 - 杏葉、雲珠、辻金具、鞍金具。
- 刀子
- 前室南側
- 弓弭
- 刀子
- 刀装身具
- 直刀
- 須恵器
- くびれ部箱式石棺出土
- 円頭大刀
- 金銅製耳環 2
- ガラス玉 30
- 刀子
- 刀装具
- 馬具 一式 - 轡類、杏葉、辻金具、鏡板、鞍金具。箱式石棺から北西1メートル離れた地点から出土。
文化財
[編集]重要文化財(国指定)
[編集]関連施設
[編集]- かすみがうら市歴史博物館(かすみがうら市坂) - 風返稲荷山古墳の出土品等を保管。
脚注
[編集]参考文献
[編集](記事執筆に使用した文献)
- 「風返古墳群」『日本歴史地名大系 8 茨城県の地名』平凡社、1982年。ISBN 4582490085。
- 大谷猛「風返し古墳群」『日本古墳大辞典』東京堂出版、1989年。ISBN 4490102607。
- 千葉隆司「稲荷山古墳 > 風返稲荷山古墳」『続 日本古墳大辞典』東京堂出版、2002年。ISBN 4490105991。
関連文献
[編集](記事執筆に使用していない関連文献)
- 軽部慈恩・平沢一久「茨城県出島村風返稲荷塚前方後円墳の発掘調査」『日本考古学協会大会研究発表要旨 昭和39年度』、日本考古学協会、1964年、15-16頁。
- 霞ヶ浦町遺跡調査会 編『風返稲荷山古墳』霞ヶ浦町教育委員会、2000年。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 風返稲荷山古墳出土遺物 - 茨城県教育委員会
- 風返稲荷山古墳出土品 - かすみがうら市ホームページ