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青山ダム (台湾)

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青山ダム
青山ダムの眺望
青山ダム (台湾)の位置(台湾内)
青山ダム (台湾)
台湾内の青山ダムの位置
正式名称青山壩
中華民国の旗 中華民国台湾
所在地台中市和平区梨山里
座標北緯24度15分11秒 東経121度09分37秒 / 北緯24.25306度 東経121.16028度 / 24.25306; 121.16028座標: 北緯24度15分11秒 東経121度09分37秒 / 北緯24.25306度 東経121.16028度 / 24.25306; 121.16028
目的発電[1]
現況運用中
着工1964年
竣工1970年
事業主体台湾電力公司
ダム
ダム型式重力式コンクリートダム[1][2]
河川大甲渓
堤高45 m (148 ft)[2][3]
堤頂長100 m (330 ft)[2][3]
天端の標高1,250.3 m (4,102 ft)[3][4]
天端幅6.4 m (21 ft)[3]
堤体積57,000 m3 (75,000 cu yd)[3]
水吐き口弧形水門(テインターゲート) × 3
排砂門 × 1
放流孔 × 2[2]
水吐き口ラジアルアーム式(洪水吐)
排水能力洪水道 6,000 m3/s (7,800 cu yd/s)
排砂道 530 m3/s (690 cu yd/s)
放流道 50 m3/s (65 cu yd/s)[2]
貯水池
ダム湖青山ダム水庫
(旧名・青山水庫[5]
総貯水容量600,000 m3 (490 acre⋅ft)[1][3]
使用池容量410,000 m3 (330 acre⋅ft)(1978年)[3][6]
流域面積595.8 km2 (230.0 sq mi)[1][3]
湛水面積4.85 ha (12.0エーカー)[7]
貯水池標高満水位 1,245 m (4,085 ft)[1]・1,244.4 m (4,083 ft)[3][8]- 1,236 m (4,055 ft)[2]
発電所
名称青山発電所中国語版[1]
(大甲渓発電廠青山分廠)
運営者大甲渓発電所中国語版[2]
運転開始1970年
種類調整池[9]
タービン数92,000 kW × 4
定格出力368,000 kW
(旧・360,000 kW[10][11]
正味年間発電量6億2171万 kWh[11]

青山ダム(せいざんダム、: 青山壩: Qingshan Dam〈チンシャン・ダム〉)は、台湾台中市和平区大甲渓上流にある徳基水庫ダムより約 1キロメートル (0.62 mi) 下流に位置する重力式コンクリートダムである[12]。堰堤(えんてい)により徳基水庫からの水力発電による放流を貯水する調整池の青山ダム水庫(: 青山壩水庫[5])を形成し、次いで下流にある大甲渓最大の水力発電所である青山発電所中国語版の発電に供給する。

ダムは、堤高 45メートル (148 ft)、堤長 100メートル (330 ft) で、弧形水門(テインターゲート)が3門設置されている。青山ダム水庫の総貯水量は60万立方メートル (490 acre⋅ft)[1]、使用貯水量は約41万立方メートル (330 acre⋅ft) となる[3][13]。取水口の水門は、調整池のダム右岸に備えられる[2]

沿革

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1952年(民国41年)、大甲渓に初めて天輪発電所中国語版が完成すると[14]1955年(民国44年)3月に經濟部は大甲渓開発計画委員会(後・大甲渓工作処)を設立し、同年5月には台湾電力公司が発電所6か所の修正計画案を提出した[15]1956年(民国45年)11月、経済部のもとに水資源統一規画委員会(現・経済部水利署中国語版)が開設され、同年12月には「大甲渓総合開発規画報告」が行政院に提出された[16]

1959年(民国48年)、国外の専門家や技術コンサルタントの協力により[17]、「達見(青山)ダム計画定案報告」が作成され[18]アメリカ開発借款基金英語版[19]に申請した。翌1960年(民国49年)、これを引き継いだ米国際開発局は、予算の活用として「達見」(徳基)に加えて「下達見」(青山)にも発電所を建設することを要求した[20]

1963年(民国52年)10月、最終的に林口火力発電所中国語版とともに融資を得ると[21]、計画・建設を受け持つ台湾電力公司のもと[17]アメリカシカゴ)の HARZA Engineering Company が設計し[22]1964年(民国53年)7月より下達見(青山)水力発電の建設が開始された[18]1970年(民国59年)12月20日[3]、当初の建設工事が完成するとともに、下達見は「青山」に改称された[23]

災害・復興

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1999年(民国88年)9月21日の大地震(921大地震)により地域一帯が被災した後、2004年(民国93年)7月、台風7号(蒲公英、ミンドゥル)による洪水(72水災)が青山発電所の発電施設を襲い、設備・機器の浸水により発電不能となった[24][25]

2007年(民国97年)の再建計画の通過を経て[9]、翌2008年(民国98年)11月より工事が始まり[24]2010年(民国99年)6月に発電所の再建が開始された[9]。復興工事の間の2014年(民国103年)、青山ダムは開放状態のまま貯水されなかった[26]。翌2015年(民国104年)、青山発電所は、新たな装置による発電を開始した[24][25]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g 中區水庫簡介”. 經濟部水利署中區水資源局. 2023年8月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 青山壩水門操作規定”. 主管法規查詢系統. 法規內容. 中華民國經濟部 (2016年11月7日). 2023年8月10日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 青山調整池”. 中華民國台灣地區水庫水壩資料. 國立臺灣海洋大學資源管理研究室 (2012年2月17日). 2012年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月10日閲覧。
  4. ^ 經濟部 (2014年9月18日). “公告修正青山壩蓄水範圍及其申請許可事項。”. 行政院公報資訊網. 國家發展委員會. 2023年8月10日閲覧。
  5. ^ a b 青山壩水庫運用要點”. 水利法規查詢系統. 水庫水門類. 水利行政組 (2016年11月7日). 2023年8月10日閲覧。
  6. ^ 台電公司電源開發處 (2010), p. 8
  7. ^ 經濟部 (2018年5月2日). “青山蓄水範圍圖1070502” (PDF). 水利法規查詢系統. 水庫及其蓄水範圍公告. 水利行政組. 2023年8月10日閲覧。
  8. ^ 經濟部水利署水利規劃試驗所 (2011-06). “第貳章 基本資料蒐集調查: 六、堰壩淤積”. 大甲溪流域整體治理規劃檢討總報告. 中華民國政府. p. 2–47. https://books.google.co.jp/books?id=VVcBEAAAQBAJ&pg=SA2-PA47&lpg=SA2-PA47&dq=%E9%9D%92%E5%B1%B1%E5%A3%A9&source=bl&ots=FKDPei1wUa&sig=ACfU3U3_ILDTuk_YHz5xIObrjigQlfJZrg&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwi6-Yjqi9OAAxUMZ94KHZw1B0I4HhDoAXoECB8QAw#v=onepage&q=%E9%9D%92%E5%B1%B1%E5%A3%A9&f=false 2023年8月10日閲覧。 
  9. ^ a b c 大甲溪發電廠簡介” (PDF). 台湾電力. 2013年12月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月10日閲覧。
  10. ^ 台電公司電源開發處 (2010), pp. 8 27
  11. ^ a b 李涵茵 (2009年1月). “大甲溪 沿線電廠概況” (PDF). 能源報導. 經濟部能源局. p. 23. 2011年8月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月27日閲覧。
  12. ^ 台電公司電源開發處 (2010), p. 28
  13. ^ 台電公司電源開發處 (2010), p. 8
  14. ^ (2005), p. 44
  15. ^ 李瑞宗, “大甲山溪水力發電計畫” (PDF), 電源開發: pp. 20-21, https://www.ntl.edu.tw/public/Attachment/99191653943.pdf 2023年8月10日閲覧。 
  16. ^ (2005), pp. 46-47
  17. ^ a b (2005), p. 47
  18. ^ a b 北波 (1998)、91頁
  19. ^ 林 (2023)、192・194-195頁
  20. ^ (2005), pp. 47-48
  21. ^ 台電公司電源開發處 (2010), p. 11
  22. ^ 劉文宗 (2005年5月7日). “TBM or not TBM”. 臺灣省土木技師公會. 2023年8月10日閲覧。
  23. ^ 台電公司電源開發處 (2010), p. 27
  24. ^ a b c 李忠憲 (20150-07-31). “大甲溪青山分廠重生啟用 夏日電力救火隊”. 自由時報. https://news.ltn.com.tw/news/life/breakingnews/1397016 2023年8月10日閲覧。 
  25. ^ a b “谷關青山發電廠 二機組已運轉發電”. 公視新聞網. (2015年10月28日). https://news.pts.org.tw/article/302948 2023年8月10日閲覧。 
  26. ^ 經濟部水利署: “水庫或壩堰營運概況”. pp. 2 6 (2015年4月23日). 2021年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月10日閲覧。

参考文献

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  • 北波道子「戦後初期台湾における電源開発と工業化 - 経済発展の初期条件と「開発独裁」」(PDF)『現代中国』第72号、日本現代中国学会、1998年、87-97頁、ISSN 0435-21142023年8月10日閲覧 
  • 朱瑞墉 (2005). “大甲溪的故事 大甲溪組曲” (PDF). (台灣電力股份有限公司) (53): 40-49. ISSN 1026-2423. オリジナルの2016-06-03時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160603085925/http://www.tri.org.tw/per/53/53-40.pdf 2023年8月10日閲覧。. 
  • 台電公司電源開發處 (2010-04-22) (PDF), 台電大甲溪系列水庫建設之過去現在與未來 簡報, 台灣電力公司電源開發處, オリジナルの2013-12-20時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20131220022414/http://sinotecf.org.tw/0422-1.pdf 2023年8月10日閲覧。 

関連項目

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外部リンク

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