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徳基発電所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
徳基発電所
徳基発電所(大甲渓発電所徳基支所)の正門
徳基発電所の位置(台湾内)
徳基発電所
台湾における徳基発電所の位置
正式名称 台湾電力股份有限公司大甲渓発電廠中国語版徳基分廠
中華民国の旗 中華民国台湾
所在地 台中市和平区梨山里[1]
座標 北緯24度15分15秒 東経121度09分55秒 / 北緯24.25417度 東経121.16528度 / 24.25417; 121.16528 (徳基発電所)座標: 北緯24度15分15秒 東経121度09分55秒 / 北緯24.25417度 東経121.16528度 / 24.25417; 121.16528 (徳基発電所)
現況 運転中
着工 1969年[2](1968年[3][4]
運転開始 1974年[2][4]
建設費 新台湾ドル約51億3000万元[2]
事業主体 台湾電力公司
運営者 大甲渓発電所中国語版
建設者 台湾電力公司達見工程処
貯水池
上流貯水池 徳基水庫
上流貯水容量 188,660,000 m3 (152,950 acre⋅ft)(2022年)[5]
上流流域面積 600.02 km2 (231.67 sq mi)[5]
上流表面積 414 ha (1,020エーカー)[5]
タービン
製造元 日立製作所(立軸フランシス水車発電機 × 3[6][7]
発電所
主要動力源 水力貯水池〈水庫〉式[8]
発電機数 3基 × 78,000 kW[2][8]
発電量
定格出力 234,000 kW[1][8]
正味年間発電量 3.6億 kWh[5]
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徳基発電所(とくきはつでんしょ、: 德基發電廠)は、台湾台中市和平区に位置する水力発電所である。徳基水庫の貯水を利用して発電され、発電量は年間3.6億キロワット時 (3.59億kWh[9]) になる[5][10]

1996年(民国85年)8月以降、大甲渓流域一帯の発電所は、台湾電力公司による大甲渓発電所中国語版の統合・管理により編入され、1974年(民国63年)に完成した徳基発電所の名称も大甲渓発電所徳基支所(: 大甲溪發電廠德基分廠)とされる[10]

徳基発電所は、国の基盤となる重要な施設として常時警備されるなか、かつては観光者の見学も広く受け入れていたが、1999年9月21日の大地震以降、一般の入場を禁止している[11]

沿革

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日本統治時代(1895-1945年)、1934年の実地調査に始まる[12]大甲渓流域の豊富な水力資源の開発は、日中戦争(1937-1945年)勃発後、大甲渓電源開発計画のもと[13]1941年1月より開始された[14][15]。そして上流の達見(徳基)に水力発電所を建設するためのケーブル工事や道路工事などが行われたが、太平洋戦争(1941-1945年)の終戦に伴い中止された[16]

戦後中国語版1946年民国35年)5月[17]国民政府日本統治時代の台湾電力を接収し、台湾電力公司を設立すると[18]、大甲渓の開発を再開し[9]1956年(民国45年)には達見における調査がフランスの専門家らを招いて実施された。そして台湾電力は、1959年(民国48年)9月、達見の開発計画における「達見工程処」(: 達見工程處)を開設した[19]

1968年(民国57年)に世界銀行の融資の獲得に伴い[2]、同年のうちに道路の拡張などの作業がなされ開始され[20]1969年(民国58年)12月8日、ダムおよび発電所が正式に着工された。1973年(民国62年)12月に貯水を開始し、1974年(民国63年)6月に第1発電機が稼動した[2]。そして同年7月27日に第2発電機、9月29日に第3発電機の稼動により3基の水車発電機装置が完成し[4]、徳基水庫および発電所は、1974年10月6日に竣工した[2]

工期4年10か月[21]、総費用は新台湾ドル約51億3000万元[2]余りで[10]、設備容量は23万4000キロワット(78,000kW×3基[2][8][8][9]貯水池(水庫)ならびに水力発電所が完成した際、中華民国総統蔣介石(蔣中正)により「徳基」(徳基発電所[10])と名付けられた[1]

発電設備

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地下発電所と発電機3基

徳基の発電設備は、徳基水庫のダム左岸の鞍部より深さ 270メートル (890 ft) の地下にあり[7]、地下発電所は奥行き 77メートル (253 ft)、幅 17.5メートル (57 ft)、高さ 33メートル (108 ft) で、水力発電のための水車発電機3基が設置される[4]。3基の発電機は、日立製作所製の立軸フランシス水車発電機である[6][10]

水車海抜 1,241メートル (4,072 ft) に位置し、徳基水庫の満水位 1,408メートル (4,619 ft) 時の高低差(水頭)は 167メートル (548 ft) で[7]、ダム左岸の取水口より取り込まれて60度傾斜した直径 6メートル (20 ft) 水圧鉄管を通り[10]、1基あたりに毎秒72.5トン (72.5立方メートル毎秒 (2,560 cu ft/s)) の水が[4]、直径 2メートル (6.6 ft) の[7]水車を回す[4]発電用水車の有効落差は 143.1メートル (469 ft)、回転速度 257回転毎分[10]

放水路トンネルは約 350メートル (1,150 ft) で[10]、発電装置の使用より放出された水は、このトンネルより放水された後、下流の青山発電所中国語版谷関発電所中国語版天輪発電所中国語版馬鞍発電所中国語版など大甲渓の各発電所を経て、さらに下流にある石岡ダム中国語版に公共用水や灌漑用水として供給される[5]

脚注

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  1. ^ a b c 德基水力發電廠”. 臺灣電廠百年文史地圖. 地理資訊科學研究專題中心 (2018年). 2023年8月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i 張炎銘 (2014年11月28日). “1974年6月26日 - 德基電廠第一部機組開始發電與德基水庫”. 水利署電子報. 近期電子報. 經濟部水利署. 2023年8月4日閲覧。
  3. ^ IBRD・IDA (1968), p. 8
  4. ^ a b c d e f 德基大壩計畫”. 水電民生館. 行政院公共工程委員會. 2014年1月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月4日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 德基水庫”. 水庫風情. 經濟部水利署 (2023年5月3日). 2023年8月4日閲覧。
  6. ^ a b 大甲溪發電廠簡介” (PDF). 台湾電力. 2013年12月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月4日閲覧。
  7. ^ a b c d 王文吉 (2021年11月9日). “獨》台灣最高水力電廠6年大修 德基1號機鏽蝕現況曝光”. 中時新聞網. https://www.chinatimes.com/realtimenews/20211109003890-260405?chdtv 2023年8月4日閲覧。 
  8. ^ a b c d e 李涵茵 (2009年1月). “大甲溪 沿線電廠概況” (PDF) (Chinese). 能源報導. 經濟部能源局. p. 23. 2011年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月4日閲覧。
  9. ^ a b c 關於電廠”. 大甲溪發電廠. 台電大甲溪發電廠 (2012年2月17日). 2013年6月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月4日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h 大甲溪發電廠簡介: 德基分廠” (PDF). 森林・水資源 電力科技生態走廊. 電廠簡介. 台灣電力公司. 2013年12月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月4日閲覧。
  11. ^ 王文吉 (2021年12月19日). “獨》德基電廠地下270公尺隧道首度出借 邱澤可能來拍有裸露戲”. 中時新聞網. https://www.chinatimes.com/realtimenews/20211201005796-260405?chdtv 2023年8月4日閲覧。 
  12. ^ 黃 (2016), p. 4
  13. ^ 林 (1997)、27-29頁
  14. ^ 林 (1997)、40頁
  15. ^ 黃 (2016), p. 5
  16. ^ 林 (1997)、42頁
  17. ^ 黃 (2016), p. 10
  18. ^ 歷史與發展”. 台灣電力公司. 關於台電. 2023年8月4日閲覧。
  19. ^ (2005), pp. 46-47
  20. ^ IBRD・IDA (1968), p. 8
  21. ^ 特120德基水庫郵票”. 中華郵政全球資訊網. 中華郵政 (2013年). 2023年8月4日閲覧。

参考文献

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  • 林炳炎「日本統治時代の大甲渓開発計画と臨時台湾経済審議会の関係」(PDF)『台湾史研究』第13号、台湾史研究会、1997年3月31日、25-53頁、2023年8月4日閲覧 
  • Public Utilities Projects Department (5 November 1968). Taiwan Power Company Appraisal of the Tachien Hydroelectric Development China (PDF) (Report). International Bank for Reconstruction and DevelopmentInternational Development Association. 2023年8月4日閲覧
  • 黃則煜 (2016). “亮點故事 造水力黃金走廊 - 大甲溪電力百年有成” (PDF). (台灣電力公司) (118): 4-11. ISSN 1026-2423. http://125.227.255.111/yuan/mobile/118/pdf/p04-118.pdf 2023年8月4日閲覧。. 

関連項目

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外部リンク

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