関西・歌舞伎を愛する会
関西・歌舞伎を愛する会(かんさい・かぶきをあいするかい、元関西の歌舞伎を育てる会)は、1978年に結成された日本のボランティア団体。関西における歌舞伎(関西歌舞伎)を復興するために結成された[1]。
2022年6月時点での事務局長は川島靖男。事務局は大阪市中央区谷町2-7-6 みのるビル4階にある。
概要
[編集]1978年(昭和53年)12月20日、当時衰退していた関西歌舞伎を復興させるために大阪の民間労働組合(故高畑敬一大阪民労協代表幹事)の呼びかけによって、行政、経済界、労働界の関係者や、学者・文化人、市民らが集結し、非営利のボランティア団体として朝日座で結成された。
「みんなが力を合わせて、関西で歌舞伎をもっと盛んにし、次代に伝えて」いくことをモットーとしている。
沿革
[編集]- 1978年12月20日 - 朝日座で非営利のボランティア団体「関西の歌舞伎を育てる会」結成。
- 1979年5月 - 55年ぶりに十七代目中村勘三郎、二代目澤村藤十郎、岸昌大阪府知事、大島靖大阪市長、小松左京(作家)、故高畑敬一大阪民労協代表幹事の各氏、関係者などが船乗り込みで船に乗り込む。朝日座で十七代目中村勘三郎、五代目中村富十郎、二代目澤村藤十郎、五代目中村勘九郎(当時)、五代目坂東八十助(当時)などによる第一回公演を実施。以降、毎年7月に公演を実施している。
- 1986年8月 - 国立文楽劇場において、初めての自主公演を開催。中座の改修工事により「育てる会」の公演ができなくなったため、『夏祭浪花鑑』の自主公演を開催する運びとなった。
- 1982年 - 会の名称を「関西の歌舞伎を育てる会」から「関西・歌舞伎を愛する会」に改称。
結成趣意書
[編集]関西で歌舞伎を育てる会(現関西・歌舞伎を愛する会)結成趣意書は、以下の通りである。
「 | 歌舞伎は、日本人が生み出した世界に誇りうる最高の伝統的、舞台芸術の一つである。
三百数十年前、庶民大衆の中から生まれた歌舞伎も、時代の移り変わりの中で大きく変貌しながら伝統的な古典芸能として保存、継承されている。それは歌舞伎が持つ、人間の本質、性格、美を具現する姿に、現代人として共鳴できるところがあるからである。諸外国で歌舞伎が高く評価される理由も、まさにここにあると言わざるを得ない。 しかしながら、映像や活字による文化が氾濫し、生活形態や意識が多様化している現代においては、落ちついて歌舞伎を鑑賞しようという若者は少なく、このまま放置しておけば伝統ある歌舞伎が衰退してしまうのは目に見えている。さいわい、国立劇場がある東京においては毎年、高校生や一般むけの歌舞伎鑑賞教室が開催され、その地道な活動によって若い世代の観客が増えている。 一方、関西、とりわけ大阪における歌舞伎界の現状は不安そのものの状態である。それは、例年五月に上演されてきた顔見世が、今年より姿を消したことでもわかろう。さらに、現在、約三百名余りの歌舞伎役者のうち、関西出身者は約五十名であるが、その半数以上は東京に住まなければ仕事に支障をきたすという問題もある。 井原西鶴、近松門左衛門という、近世日本の巨匠を生みだした、上方文化の面影はどこへいってしまったのだろうか。もともと関西は、日本文化の発祥の地であり、歴史的、精神的なふるさととして、以来今日まで日本文化の発展に貢献してきた。 関西の復権やルネッサンスと呼ばれ、いま精神的、文化的な真の豊かさを実現するための実践がなによりも求められている。幸い、昭和五十八年度には大阪に国立文楽劇場を完成させ、多目的に使える関西文化復興のための殿堂にしようという構想がまとめられた。しかし、その完成を待っているほど時間的余裕は残されていない。今から青少年や勤労者を中心に歌舞伎人口を広範囲に育てあげなければならない。 大阪に生まれた文楽は、関係者の献身的な努力で若者の中に関心を持つ者が増えている。 一方、歌舞伎はまだ、これからの一層の努力が待たれているのである。文化の育たないところに、経済の発展と豊かな市民生活の向上は望めない。 関西を文化砂漠にしないため、いま市民一人一人の自覚と参加がなによりも求められている。 伝統芸能を次代に伝える義務が我々に課せられているのである。 関西で歌舞伎を育てる会は、歌舞伎についての関心をみんなで深めるとともに、より多くの人が観劇するよう、市民ぐるみの活動をしようとするものである。 どうか、この会に一人でも多くの方が参加され、行動を共にされんことを切望するものである。(昭和53年12月20日結成) |
」 |
活動内容
[編集]- 歌舞伎ファンの拡大のため、関係組織が連携し取り組む。
- 個人会員、法人会員の拡大に取り組む。
- 関西圏での歌舞伎公演に積極的に協力する。
- 歌舞伎俳優に関わる情報発信に積極的につとめる。
- 歌舞伎のほか、文楽、能、狂言などの古典芸能に関する情報発信にもつとめる。
- 歌舞伎公演のバスツアーを実施する(こんぴら歌舞伎、永楽館歌舞伎、システィーナ歌舞伎など)。
- 関西圏の大向う育成のため勉強会を実施する。
- 自治体などが企画する歌舞伎講座やイベント等に積極的に協力する。
関連項目
[編集]出典
[編集]- ^ “片岡仁左衛門、澤村藤十郎「関西・歌舞伎を愛する会 結成三十周年記念 七月大歌舞伎」への想い|歌舞伎美人”. 歌舞伎美人. 2022年6月26日閲覧。