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遠山満

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

遠山 満(とおやま みつる、1893年5月[1] - 1952年頃)は、日本の俳優である。結婚後の本名は小原 緑(おはら みどり)[1]。洋行帰りの舞台俳優であり、サイレント映画時代の1925年からトーキー第二次世界大戦後の1951年までの間に活躍した剣戟俳優であった。映画では時代劇の脇役に徹し、戦後まもなくは現代劇にも出演した。

来歴・人物

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出身地は不明。旧姓の本名は島田 緑(しまだ みどり)。初期の芸名は「遠山 緑[1]1921年松竹蒲田の『呪いの金鉱』で映画デビュー。

1920年代前半(大正末期)には、剣戟一座を率いて米国に渡り、西海岸を中心に巡業をしていた。同地では、チャーリー・チャップリンが遠山一座が演じた『森の石松』をおもしろがり、チャップリンがセシル・B・デミルを誘って2人で主催し、遠山らに公演をさせたという逸話がある[2]

帰国後、剣戟ブームの時代、1925年(大正14年)から1926年(大正15年・昭和元年)にかけて、浅草公園六区で活躍した。同時期の1925年、かねてから共演していた女優の小原小春1894年3月5日 - 没年不詳、本名:小原春子(はるこ)[3]、または春(はる)[4]東京都台東区出身。)と結婚し、小原家の婿養子となった[1]。同年枝正義郎監督の『新四谷怪談』、1930年(昭和5年)には高橋寿康監督の『鴛鴦呪文』の両作に、妻の小春[2]とともに主演している。どちらも無声映画である。

1937年(昭和12年)、松竹下加茂撮影所に入社[2]大曾根辰夫監督の『お静礼三』(1938年)、二川文太郎監督の『春風伊勢物語』(1938年)に脇役として出演したあと、新興キネマ京都撮影所製作、野淵昶監督の『紀国屋文左衛門』(1938年)に出演した。翌1939年(昭和14年)、日活京都撮影所に移籍、松田定次監督、嵐寛寿郎主演の『鞍馬天狗 江戸日記』、『鞍馬天狗 恐怖篇』に平井勘兵衛役で出演した。同年末にはマキノ正博監督、片岡千恵蔵主演のミュージカル映画『鴛鴦歌合戦』に藤尾役の深水藤子の父、遠山満右衛門役で出演している。

1942年(昭和17年)1月の戦時統合による大映への合併後も同撮影所に残留、大映京都撮影所稲垣浩監督、千恵蔵主演の『独眼龍政宗』、1945年(昭和20年)の終戦直前の夏には伊藤大輔・稲垣浩共同監督の『東海水滸伝』に出演している。

戦後は、1950年(昭和25年)、京都の東横映画製作、稲垣浩監督の時代劇『俺は用心棒』、大映東京撮影所製作、伊藤大輔監督の現代劇『遙かなり母の国』、大映京都撮影所製作、安達伸生監督の現代劇『火山脈』とたてつづけに出演した。同年に撮影された松竹京都撮影所製作の『無頼漢』は同年7月24日の同撮影所の火事でネガが焼失してしまい、公開されなかった。翌1951年(昭和26年)も、東横映画製作、マキノ雅弘・萩原遼共同監督の『女賊と判官』、松竹京都撮影所製作、伊藤大輔監督の『おぼろ駕籠』と京都の各撮影所をわたりあるいたが、同年の萩原遼監督作『夢介千両みやげ 春風無刀流』に出演したのを最後に、映画界から姿を消した[2]

その後の1952年ごろ、貧困に窮したのちに死去[1][5]。推定59歳没。

因みに遠山の妻・小春の妹はおなじく女優の原光代1902年4月12日 - 1998年4月16日、本名:小原赤子)である[6]

おもなフィルモグラフィ

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  1. ^ a b c d e 『メディア史研究 17』(2004年・ゆまに書房刊)「在朝日本人の映画製作研究 田中則広」p125〜 によると、1927年の旅券発行記録では「1893年(明治26年)5月生、本名小原緑、小原小春の婿、母・小原かねの養子」とあり、本籍は小原家の住所「東京市神田区南神保町」となっていた。
  2. ^ a b c d 『日本映画俳優全集・男優編』(キネマ旬報社、1979年)の「遠山満」の項(p.386)を参照。同項執筆は千葉伸夫奥田久司。同項には『無法松の一生』(1943年)に「奥大将」役で出演しているように記述されているが、同役は正しくは荒木忍が演じた。
  3. ^ 『現代演劇総覧』著:高沢初風(東京:文星社、1919年)
  4. ^ 『芸人名簿』(東京:文芸協会、1915年)
  5. ^ 『映画年鑑 1953年版』(時事通信社)p94上段。「俳優の共済事業としては、遠山満の逝去を動機として(中略)十月には全会員が生命保険に団体加入した」と記述がある。
  6. ^ 『日本映画俳優全集・女優編』(キネマ旬報社、1980年)の「原光代」の項の記述(p.542)を参照。同項執筆は盛内政志司馬叡三

外部リンク

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