辻音楽師の喧嘩
フランス語: Rixe de musiciens 英語: The Musicians' Brawl | |
作者 | ジョルジュ・ド・ラ・トゥール |
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製作年 | 1625-1630年頃 |
寸法 | 94 cm × 141 cm (37 in × 56 in) |
所蔵 | J・ポール・ゲティ美術館、ロサンゼルス |
『辻音楽師の喧嘩』(つじおんがくしのけんか、仏: Rixe de musiciens, 英: The Musicians' Brawl)は、フランス17世紀の画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールが1625-30年頃に制作したキャンバス上の油彩画である。ロサンゼルスのJ・ポール・ゲティ美術館に所蔵されている[1]。
概要
[編集]1972年、パリのオランジュリー美術館でジョルジュ・ド・ラ・トゥールの大回顧展が行われたが、その際、何点もの作品の所在がわかり、同時にそれまで知られていなかった作品が発見された[2]。この回顧展以前に、フランスのシャンベリ美術館にある『辻音楽師の喧嘩』の複製が知られていたが、これはオリジナルをもとにして描かれたものであった[3]。回顧展に出品されたオリジナルは、当時の所有者であったイギリスのトレヴァー卿 (Lord Trevor) が1972年12月に競売にかけ、アメリカのロサンゼルスにあるJ・ポール・ゲティ美術館が獲得した[2]。
この作品の主題は、辻音楽師のハーディ・ガーディ弾きと笛弾きの喧嘩である。おそらく演奏をする場所を巡っての争いであろう。左側にいるハーディ・ガーディを肩から掛けた男は、楽器の回転軸とナイフで自分を防御しようとしている。中央にいる男は、オーボエの原型である楽器で左側の男を打ちつつ、レモン果汁を男の目に入れて、男が本当に盲目であるか確かめようとしている。右側では、さらに2人の辻音楽師が笑って、喧嘩を楽しんでいる。左側の老女は箒の先端を掴み、喧嘩を見ているが、2人が争いを止めるよう懇願するかのような、苦渋に満ちた表情を浮かべている[1][2]。
人物たちは浅い空間に押し込まれたように描かれ、鑑賞者の眼前にあるので臨場感がある。画家は、すべての登場人物を非常な細部にわたって描写している。欠け落ちている虫歯、皮のように硬い肌、荒っぽく焦点の合っていない目、そして、布、木材、髪の毛、身体の肉などが仔細に、写実的に観察されているのである[1]。
ギャラリー
[編集]ラ・トゥールの描いた辻音楽師の絵画
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『犬を連れたハーディ・ガーディ弾き』、186 × 120 cm、1622-1625年頃、ベルグ・モン・デ・ピティエ美術館
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『ウェドマンのハーディ・ガーディ弾き』、157 × 94 cm、ルミルモン、シャルル・フリリー市立美術館 (Musée municipal Charles-Friry)
脚注
[編集]- ^ a b c The Musicians' Brawl (Getty Museum) J・ポール・ゲティ美術館公式サイトの本作の解説 2022年11月26日閲覧
- ^ a b c ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 再発見された神秘の画家、ジャン=ピエール・キュザン & ディミトリ・サルモン、創元社、2005年刊行、113-114頁、ISBN 4-422-21181-1
- ^ ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 再発見された神秘の画家、ジャン=ピエール・キュザン & ディミトリ・サルモン、創元社、2005年刊行、45頁、ISBN 4-422-21181-1
外部リンク
[編集]- The Musicians' Brawl (Getty Museum) J・ポール・ゲティ美術館公式サイトの本作の解説