コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

豚耳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
豚耳
豚耳を醤油香辛料で煮たもの
繁体字
簡体字
文字通りの意味豚の耳
発音記号
標準中国語
漢語拼音zhu1 er3
粤語
粤拼zyu1 ji5
スペインマドリードのオレハ・デ・セルド

食材としての豚耳は、ブタを調理したもの。世界各地の料理に見られる。

ヒトの食材としての豚耳

[編集]

日本国内における利用

[編集]

沖縄料理

[編集]
ミミガーかチラガーの薄切りにねぎを乗せたもの

沖縄料理では、豚耳はミミガー(耳皮の意)と呼ばれる。茹でたり酢漬けにしたりして調理し、酢の物にしたり、刺身にしたりして供される。沖縄では豚の顔の皮も食用とされており、チラガー(面皮が転じたもの)と呼ばれている。

奄美料理

[編集]

奄美料理では、豚耳はみんぐり、あるいはみんがわ(耳皮)と呼ばれ、味噌漬けや酢味噌和え、炒め物などにされる。

アジアにおける利用

[編集]

中華料理

[編集]

中華料理では、豚耳は前菜や副菜として使われることが多い。「豬耳朵」、あるいは略して「豬耳」と称されるほか、「層層脆」と呼ぶ地域もある。茹でるか煮込むかした後薄切りにし、醤油豆板醤で味を調える。調理すると外側は豆腐のようなゼラチン質となり、真ん中の軟骨は歯ごたえがある食感になる。豚耳は温製でも冷製でも食される。

広東料理
[編集]
香港における豚耳

広東料理では、豚耳は滷味に使われる食材の一つである。豚の全可食部位を用いることに重点が置かれており、豚耳(および滷味全般)は珍味とは見做されていない。

ベトナム料理

[編集]

ベトナム料理では、豚耳は薄切りにし、煎って細かく挽いた米粉と混ぜ合わせる。そのままで食べるか、香草と一緒にライスペーパーに巻きベトナム風のつけダレにつけて食する。

フィリピン料理

[編集]

フィリピンにおいては、フィリピン料理シシグの材料として、豚の尻尾肉や頬肉とともに豚耳が用いられることがある[1]

タイ料理

[編集]
ヤムフームーは、薄切りにした豚耳を使ったタイのサラダである。

タイ料理では、豚耳は様々な料理に用いられる。なかでも、タイ北部のチンソクモク(発酵させた薄切りの豚耳をバナナの葉に包み、炙ったもの)やヤムフームー(薄切りの茹でた豚耳を材料とするタイサラダ)が代表例である。

欧米における利用

[編集]

ブルガリア料理

[編集]

ブルガリアでは、豚耳はワインビールの前菜として用いられる。茹でた後、レモンや醤油、塩、胡椒で焼く。

リトアニア料理

[編集]

リトアニアでは豚耳をキアウレス・アウシスと呼び[2]、燻製にしたあと薄く切ってビールのつまみとするか、丸ごと茹でた後西洋わさびと生野菜かピクルスと付け合わせ、主菜として供される。

スペイン料理

[編集]

スペイン料理における豚耳は、揚げるか、焼いてタパスのひとつであるオレハ・デ・セルドにするか[3]、シチューやコシードなど様々な形で煮込まれるかの調理法を経て食される。

ポルトガル料理

[編集]

ポルトガル料理においては、豚耳は茹でた後炙り、ニンニクと生コリアンダーを付け合わせてオレルハ・デ・ポルコ・デ・コエントラダとする。

アメリカ料理

[編集]
薄切りにした豚耳

豚耳は南部アフリカ系アメリカ人の間で生まれたソウルフードの一つである。

英語で豚耳は「ピッグスイア(Pig's ears)」と呼ばれるが、米国には茹でたペイストリーを「ピッグスイア」と俗称する地域もある。このペイストリーの製法は以下の通りである。まず、パイ生地に似た生地を伸ばし、大きな円(大抵は直径 3インチほど)になるように切り、果物の甘い餡、または香り高いチーズの餡を中に詰める。その後ペイストリー生地を折り返し、フォークで刺して留めたのち、出来上がるまで茹で、温かいうちに食する。茹でた後の仕上げ方として、焼く、揚げる、あるいはフライパンで炒めるという製法もあるほか、しばしば粉砂糖がまぶされる。

ノースカロライナ州西部では、ブタのレバーや豚耳、豚の鼻肉と、コーンミール香辛料を使って作られるレバーマッシュと呼ばれる豚肉製品が一般的である。

イヌの食材としての豚耳

[編集]

国によっては、豚耳がドッグフードとして扱われており、ペットショップで広く入手可能である。

脚注

[編集]
  1. ^ Aguilar, Joey (7 August 2005). “Pampanga sets Sisig Festival” (英語). The Manila Times. https://books.google.com/books?id=VLljAAAAIBAJ&pg=PA4 7 February 2023閲覧。 
  2. ^ Belonogoff, Lara; Smart!, Culture (1 October 2007) (英語). Lithuania - Culture Smart!: The Essential Guide to Customs & Culture. Kuperard. pp. 108. ISBN 978-1-85733-612-2. https://books.google.com/books?id=jbE-AQAAQBAJ&pg=PT108 7 February 2023閲覧。 
  3. ^ “Bull testicles or lamb intestines? Spain's 5 weirdest tapas dishes” (英語). South China Morning Post. (17 March 2020). https://www.scmp.com/magazines/style/news-trends/article/3075419/spains-5-weirdest-tapas-dishes-careful-you-might-order 7 February 2023閲覧。 

外部リンク

[編集]