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海上保安監

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
警備救難監から転送)

海上保安監(かいじょうほあんかん、Vice Commandant for Operations)は、海上保安庁に設置される職の一つで、「長官を助け、海上の安全及び治安に重要な影響を与える事態への対処並びに当該事態の発生の予防に関する事務を整理する」(国土交通省組織令第245条[1])ことを職掌とする。2013年5月15日以前は警備救難監(けいびきゅうなんかん)の名称で「長官を助け、海上保安庁の使用する船舶、航空機及び情報通信システムの整備計画及び運用に関する事務を整理する」(国土交通省組織令第245条に規定する)ことを職掌としていたが、同年5月16日に国土交通省組織令が改正され、名称と職掌が変更された[2][3]

概要

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海上保安庁の職制のなかで、海上保安庁次長と並び海上保安庁長官に次ぐ地位にある。

長官・次長は国土交通省から出向するキャリア官僚が就くことが通例であったため、海上保安大学校出身の生え抜きの海上保安官が就任する最高位のポストとされてきた。しかし、2010年には城野功が海上保安庁次長に昇任し、更に2013年には佐藤雄二が海上保安庁長官へ昇任した以降は、海上保安大学校出身の生え抜きの海上保安官が海上保安庁長官に就任するケースも出てきた。(2016年には中島敏が、2018年には岩並秀一が、2020年には奥島高弘が、いずれも海上保安大学校出身の海上保安官として海上保安庁長官へ昇任した。2022年には国土交通省キャリア官僚である石井昌平が海上保安庁長官に就任した)。

海上保安監の官職にある者は外局次長級として指定職3号俸が国庫から支給される[4][5]。なお海上保安庁においては、海上保安庁長官が指定職7号俸、海上保安庁次長、海上保安監及び海上保安大学校長が指定職3号俸、本庁部長、総務部参事官(警備救難担当、海洋情報担当)及び管区海上保安本部長が、指定職2号俸となっている[4]

歴代の警備救難監・海上保安監

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警備救難監
代数 氏名 任命年月日[6] 前職 後職
1 三田一也 1950年6月1日 海上保安庁官房長[7][8] 海上保安庁次長[9]
空席[10] 1952.4.30
2 三田一也 1952年8月22日 海上保安庁次長[11] 退職
3 松野清秀 1959年10月5日 警備救難部[12] 退職
4 樋野忠樹 1963年3月4日 警備救難部長[13] 死亡[14]
5 渋谷次吉 1963年12月5日 第十管区海上保安本部[15] 退職
6 猪口猛夫 1966年7月12日 警備救難部長[16] 退職
7 織田厳 1969年8月15日 首席監察官[17] 退職
8 粟野次郎 1970年6月24日 首席監察官[18] 退職
9 武市一良 1971年4月1日 首席監察官[19] 退職[20]
10 貞廣豊 1972年4月1日 警備救難部長[21] 退職
11 船谷近夫 1974年4月1日 警備救難部長[22] 退職
12 山本了三 1976年8月1日 警備救難部長[23] 退職
13 久世勝巳 1978年4月1日 警備救難部長[24] 退職
14 村田光吉 1979年4月1日 警備救難部長[25] 退職
15 野呂隆 1980年7月15日 警備救難部長[26] 退職
16 吉野穆彦 1982年4月1日 警備救難部長[27] 退職
17 森孝顕 1984年4月1日 警備救難部長[28] 定年退職[29]
18 宗形健壽 1986年4月1日 警備救難部長[30] 退職
19 邊見正和 1988年4月1日 警備救難部長[31] 退職
20 赤澤壽男 1990年4月1日 警備救難部長[32] 退職
21 土方浩 1991年4月1日 警備救難部長[33] 退職
22 茅根滋男 1992年4月1日 警備救難部長[34] 退職
23 小澤友義 1993年4月1日 警備救難部長[35] 退職
24 沖本俊彦 1994年4月1日 警備救難部長[36] 退職
25 坂正直 1996年4月1日 警備救難部長[37] 退職
26 武井立一 1997年4月1日 警備救難部長[38] 退職
27 桑原康記 1999年4月1日 警備救難部長[39] 退職
28 久保田勝 2000年4月1日 警備救難部長[40] 退職
29 友永幸譲 2001年4月1日 警備救難部長[41] 退職
30 後藤光征 2002年4月1日 警備救難部長[42] 定年退職[43]
31 横山鐵男 2003年4月1日 警備救難部長[44] 退職
32 坂本茂宏 2005年4月1日 警備救難部長[45] 退職
33 冨賀見栄一 2006年4月1日 警備救難部長[46] 退職
34 石橋幹夫 2008年4月1日 警備救難部長[47] 定年退職[48]
35 城野功 2009年4月1日 警備救難部長[49] 海上保安庁次長
36 牛島清 2010年8月10日 第三管区海上保安本部[50] 退職
37 向田昌幸 2011年9月16日 警備救難部長[51] 退職
38 岩男雅之 2012年4月1日 警備救難部長[52] 定年退職[53]
39 佐藤雄二 2013年4月1日 警備救難部長[54] 海上保安監[注 1]
海上保安監
1 佐藤雄二 2013年5月16日 警備救難監[注 1][55] 海上保安庁長官[注 2]
2 鈴木洋 2013年8月1日 警備救難部長[56][57] 退職
3 中島敏 2015年4月1日 警備救難部長[58] 海上保安庁長官
4 秋本茂雄 2016年6月21日 警備救難部長[59] 退職
5 岩並秀一 2017年4月1日 警備救難部長[60] 海上保安庁長官
6 奥島高弘 2018年7月31日 警備救難部長[61] 海上保安庁長官
7 星澄男 2020年1月7日 警備救難部長 退職
8 伊藤裕康 2020年10月1日 警備救難部長 退職
9 瀬口良夫 2021年10月1日 警備救難部長 海上保安庁次長
10 白石昌己 2022年6月28日 警備救難部長 退職
11 渡邉保範 2023年7月4日 警備救難部長 退職
12 彼末浩明 2024年7月1日 警備救難部長

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ^ a b 警備救難監を廃止し海上保安監を新たに設置したことに伴う発令。
  2. ^ 史上初めての海上保安官(現場)出身の長官。

出典

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  1. ^ 国土交通省組織令(平成十二年政令第二百五十五号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2019年6月28日). 2020年1月15日閲覧。 “令和元年政令第四十四号改正、2019年7月1日施行分”
  2. ^ 行政組織の新設改廃状況報告書 平成25年1月28日から同年8月1日まで” (PDF). 内閣府 (184回国会(臨時会)提出). p. 7 (2013年8月). 2020年1月15日閲覧。
  3. ^ インターネット版官報 平成25年5月16日(特別号外 第13号)8頁 | 政令第144号 国土交通省組織令の一部を改正する政令”. インターネット版官報. 国立印刷局 (2013年5月16日). 2020年1月15日閲覧。
  4. ^ a b 指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の定め並びに職務の級の定数の設定及び改定に関する意見の申出(平成31年3月28日)
  5. ^ 内閣総理大臣 菅直人 (2013年5月31日). “第177回国会(常会)答弁書第一五八号 内閣参質一七七 第一五八号”. 参議院. 2020年1月15日閲覧。
  6. ^ 特記ない場合は、後任者も同日付で移動
  7. ^ 官報昭和24年6月4日第6715号に5月25日付で海上保安庁官房長に発令の記事がある。
  8. ^ 官報昭和25年6月22日第7032号では、前職の記載はなく「海上保安官一等海上保安監 三田一也」を警備救難監に任命と記載されている。
  9. ^ 官報昭和27年5月12日第7600号
  10. ^ 官報昭和27年5月12日第7600号の記事では、三田一也が海上保安庁次長に移動後の後任の記事はなく、官報昭和27年8月29日第7694号にふたたび警備救難監への発令があるが、前任者の記事はない。
  11. ^ 官報昭和27年8月29日第7694号
  12. ^ 官報昭和34年10月7日第9838号
  13. ^ 官報昭和38年3月5日第10832号
  14. ^ 1963年11月29日。官報昭和38年12月3日第11091号の死後叙勲記事。
  15. ^ 官報昭和38年12月6日第11094号
  16. ^ 官報昭和41年7月14日第11875号
  17. ^ 官報昭和44年8月16日第12801号
  18. ^ 官報昭和45年6月25日第13054
  19. ^ 官報昭和46年4月5日第13584号
  20. ^ 1972年3月31日付。官報昭和47年4月3日第13582号
  21. ^ 官報昭和47年4月5日第13584号
  22. ^ 官報昭和49年4月3日第14177号
  23. ^ 官報昭和51年8月4日第14873号
  24. ^ 官報昭和53年4月5日第15366号
  25. ^ 官報昭和54年4月5日第15663号
  26. ^ 官報昭和55年7月16日第16045号
  27. ^ 官報昭和57年4月5日第16533号
  28. ^ 官報昭和59年4月4日第17147号
  29. ^ 1996年3月31日付
  30. ^ 官報昭和61年4月5日第17422号
  31. ^ 官報昭和63年4月7日第18377号
  32. ^ 官報平成2年4月10日号外第38号
  33. ^ 官報平成3年4月9日号外第46号
  34. ^ 官報平成4年4月10日号外第49号
  35. ^ 官報平成5年4月13日号外第58号
  36. ^ 官報平成6年4月14日号外第70号
  37. ^ 官報平成8年4月12日号外第87号
  38. ^ 官報平成9年4月17日号外第71号
  39. ^ 官報平成11年4月13日号外第71号
  40. ^ 官報平成12年4月24日号外第81号
  41. ^ 官報平成13年4月18日号外第79号
  42. ^ 官報平成14年4月12日号外第77号
  43. ^ 2003年3月31日付
  44. ^ 官報平成15年4月15日号外第83号
  45. ^ 官報平成17年4月15日号外第85号
  46. ^ 官報平成18年4月14日号外第87号
  47. ^ 官報平成20年4月15日号外第79号
  48. ^ 2009年3月31日付
  49. ^ 官報平成21年4月14日号外第80号
  50. ^ 官報平成22年8月17日第5377号
  51. ^ 官報平成23年9月26日第5646号
  52. ^ 官報平成24年4月16日号外第88号
  53. ^ 2013年3月31日付
  54. ^ 官報平成25年4月17日号外第83号
  55. ^ 官報平成25年5月22日第6050号
  56. ^ 人事、海上保安庁”. 日本経済新聞 (2013年7月31日). 2020年1月15日閲覧。 “海上保安監(警備救難部長)鈴木洋”
  57. ^ 官報平成25年8月7日第6104号
  58. ^ 官報平成27年4月17日号外第89号
  59. ^ 官報平成28年6月24日第6803号
  60. ^ 官報平成29年4月18日号外第85号
  61. ^ 官報平成30年8月2日第7318号