調教師・騎手顕彰者
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調教師・騎手顕彰者(ちょうきょうし・きしゅけんしょうしゃ)とは、中央競馬の発展に多大な貢献のあった調教師・騎手の功績を讃え、後世に伝えていくことを目的とする顕彰制度である。
2004年に日本中央競馬会(JRA)創立50周年記念事業の一環として、調教師7名、騎手3名が、2014年はJRA60周年記念事業の一環として調教師2名、騎手4名が顕彰された。2015年からは選定を行う年の2月末日までに引退した者を対象に、候補者がいる場合に選定手続を実施することとなり、2016年と2022年にそれぞれ調教師1名が顕彰された。現在、東京競馬場内のJRA競馬博物館に、顕彰者のブロンズ盾(レリーフ像、銘板付)、写真入りプロフィールパネルが展示されている。顕彰者は野球選手などでいうところの「殿堂入り」に相当する。
選考基準
[編集]2004年
[編集]- 調教師
- 中央競馬における通算勝利度数が1000勝以上[1]であり、管理馬が八大競走のうち、日本ダービーを含む5種類以上の競走において、のべ10勝以上を記録している者。
- 騎手
- 通算勝利度数が概ね1000勝を記録している者で、年間最多勝利記録などでとくに顕著な成績を残した者。
2014年
[編集]- 調教師
- 中央競馬における通算勝利度数が概ね1000勝以上であり、管理馬がGI競走を延べ5勝以上しており[2]、年間最多勝など、特に顕著な成績を記録し、2004年以降に引退した者[3]。
- 騎手
- 中央競馬における通算勝利度数が概ね2000勝以上[4]であり、GI競走を延べ10勝以上しており[2]、年間最多勝など、特に顕著な成績を記録した者。
2015年-
[編集]- 調教師
- 中央競馬における通算勝利度数が概ね1000勝以上であり、管理馬がGI競走を延べ5勝以上しており[2]、年間最多勝など、特に顕著な成績を記録し、2004年以降に引退した者[5]。
- 騎手
- 中央競馬における通算勝利度数が概ね2000勝以上であり、GI競走を延べ10勝以上しており[2]、年間最多勝など、特に顕著な成績を記録し、免許を有さないこととなった日から原則として5年を経過した者[6]。
顕彰者
[編集]調教師
[編集]顕彰者名 | 選定年 | 通算成績 | 主な勝ち鞍 | 主な記録 |
---|---|---|---|---|
稲葉幸夫 | 2004年 | 8414戦1113勝 | 東京優駿、菊花賞、桜花賞2回、優駿牝馬5回 天皇賞(春)、天皇賞(秋)2回、有馬記念 |
|
尾形藤吉 | 9338戦1669勝 | 皐月賞3回、東京優駿8回、菊花賞5回、桜花賞5回、優駿牝馬5回 天皇賞(春)4回、天皇賞(秋)7回、有馬記念2回 |
年間最多勝利調教師12回 | |
久保田金造 | 10041戦1000勝 | 東京優駿2回、菊花賞3回、優駿牝馬 天皇賞(春)2回、天皇賞(秋)2回 安田記念、マイルチャンピオンシップ |
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武田文吾 | 8897戦1227勝 | 皐月賞2回、東京優駿2回、菊花賞2回、桜花賞、優駿牝馬 天皇賞(春)、天皇賞(秋)、有馬記念 |
年間最多勝利調教師2回 | |
二本柳俊夫 | 8024戦1043勝 | 東京優駿、菊花賞2回、優駿牝馬 天皇賞(春)2回、天皇賞(秋)、有馬記念3回 |
||
藤本冨良 | 9054戦1339勝 | 皐月賞2回、東京優駿3回、菊花賞、桜花賞 優駿牝馬、天皇賞(春)4回、有馬記念 |
年間最多勝利調教師2回 | |
松山吉三郎 | 9157戦1358勝 | 東京優駿2回、桜花賞、優駿牝馬2回 天皇賞(春)3回、有馬記念2回 |
||
伊藤雄二 | 2014年 | 7501戦1153勝 | 皐月賞、東京優駿、桜花賞2回、優駿牝馬2回 秋華賞2回、天皇賞(秋)、スプリンターズS、安田記念、エリザベス女王杯 |
年間最多勝利調教師5回 |
松山康久 | 7700戦1001勝 | 皐月賞2回、東京優駿2回、菊花賞、天皇賞(秋)、マイルチャンピオンシップ | 年間最多勝利調教師1回 | |
橋口弘次郎 | 2016年 | 8645戦991勝 | 東京優駿、菊花賞2回、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、スプリンターズS、安田記念、NHKマイルカップ、朝日杯FS、ドバイシーマクラシック | 年間最多勝利調教師1回 |
藤沢和雄 | 2022年 | 9113戦1570勝 | 東京優駿、桜花賞2回、優駿牝馬、天皇賞(秋)6回、ジャパンカップ、有馬記念3回、高松宮杯[7]、NHKマイルカップ、ヴィクトリアマイル2回、安田記念3回、スプリンターズS3回、マイルチャンピオンシップ6回、阪神JF2回[8]、朝日杯FS2回[9]、ジャック・ル・マロワ賞 | 年間最多勝利調教師12回 |
- 勝ち鞍の「天皇賞」には、前身競走である帝室御賞典優勝を含む。ほかクラシック競走も一律に現行名称で記載。
- 安田記念は1984年のGI競走格付け以降の勝利のみ記載。同競走とスプリンターズS、秋華賞、マイルチャンピオンシップは、選考対象の八大競走には含まれない。
- 松山康久は松山吉三郎の次男であり、親子揃っての顕彰者選出となった。
騎手
[編集]顕彰者名 | 選定年 | 通算成績 | 主な勝ち鞍 | 主な記録 |
---|---|---|---|---|
野平祐二 | 2004年 | 7280戦1339勝 | 桜花賞、優駿牝馬、天皇賞(春)3回、有馬記念2回 | 年間最多勝利騎手3回 |
福永洋一 | 5086戦983勝 | 皐月賞、桜花賞2回、菊花賞、天皇賞(春)、天皇賞(秋) | 年間最多勝利騎手9回 | |
保田隆芳 | 6143戦1295勝 | 皐月賞、東京優駿2回、菊花賞3回、桜花賞2回、優駿牝馬2回 天皇賞(春)3回、天皇賞(秋)7回、有馬記念2回 |
年間最多勝利騎手3回 | |
岡部幸雄 | 2014年 | 18647戦2943勝 | 皐月賞3回、東京優駿、菊花賞3回、優駿牝馬3回、天皇賞(春)4回、天皇賞(秋)2回、有馬記念3回 ジャパンカップ2回、ジャパンカップダート[10]、宝塚記念、安田記念3回、マイルチャンピオンシップ3回、高松宮杯[7]、 エリザベス女王杯、フェブラリーS2回、NHKマイルカップ、スプリンターズS、朝日杯3歳S[11]、ジャック・ル・マロワ賞 |
騎手大賞2回 年間最多勝利騎手2回 |
河内洋 | 14940戦2111勝 | 皐月賞、東京優駿、菊花賞、桜花賞4回、優駿牝馬2回、天皇賞(春)2回、有馬記念 安田記念2回、ジャパンカップ、マイルチャンピオンシップ3回、エリザベス女王杯2回、スプリンターズS2回 |
年間最多勝利騎手3回 | |
郷原洋行 | 11906戦1515勝 | 皐月賞、東京優駿2回、菊花賞、天皇賞(春)2回、天皇賞(秋)2回 安田記念、マイルチャンピオンシップ |
年間最多勝利騎手1回 | |
柴田政人 | 11728戦1767勝 | 皐月賞2回、東京優駿、菊花賞、桜花賞、天皇賞(春)、天皇賞(秋)2回、有馬記念 宝塚記念、安田記念、朝日杯3歳S |
年間最多勝利騎手1回 |
脚注
[編集]- ^ 2004年時点で通算勝利度数の要件を満たした者は顕彰者と当時現役の調教師以外では伊藤修司(通算1223勝)、夏村辰男(通算1166勝)、佐藤勇(通算1074勝)、上田武司(通算1071勝)の4人がいるが、佐藤は八大競走の勝利が日本ダービーと天皇賞(春)各1勝ずつに留まり、他の3人は管理馬の日本ダービー制覇の経験がない。
- ^ a b c d グレード制導入以前の八大競走、宝塚記念、ジャパンカップ、エリザベス女王杯も含む。
- ^ 2004年に勝利度数要件を満たしながら選から漏れた4人のうち、伊藤はG1級競走7勝かつ年間最多勝利調教師も4回経験していたが、2000年引退でこの基準が適用されず、夏村と佐藤はG1級競走が5勝に届かず、上田は年間最多勝利調教師の経験がない。
- ^ 1983年以前に騎手を引退した者については1000勝以上、1984年から2003年までの間に騎手を引退した者については1500勝以上としている。2014年時点で通算勝利度数の要件を満たした者は顕彰者と当時現役の騎手以外では増沢末夫(1992年引退で通算2016勝)と南井克巳(1999年引退で通算1522勝)がいるが、増沢はGI級競走の勝利数が10勝に届かず、南井は年間最多勝利騎手の経験がない。
- ^ 2022年7月3日時点で「2004年以降引退」以外の要件を全て満たしている現役調教師はいない(唯一要件を全て満たしていた藤沢和雄が2022年2月28日に定年で引退し、その後調教師・騎手顕彰者に選出されたため)。なお、国枝栄は2022年7月2日に中央競馬において1000勝を達成しているが、年間最多勝の経験がない。
- ^ 2024年2月11日時点で「免許を有さないこととなった日から5年経過」以外の要件を全て満たしている現役騎手は武豊・川田将雅の2人。また、元騎手では蛯名正義・福永祐一の2人である。なお、2021年引退の蛯名、2023年引退の福永は早ければ2026年、2028年にそれぞれ顕彰者に選出される見通しであり、福永の選出が実現すれば親子揃っての選出となる。
- ^ a b 優勝当時のもの。現在の高松宮記念
- ^ 1991年~2000年の阪神3歳牝馬ステークスを含む。
- ^ 2000年以前の朝日杯3歳ステークスを含む。
- ^ 優勝当時のもの。現在のチャンピオンズカップ
- ^ 優勝当時のもの。現在の朝日杯FS