菅野重樹
人物情報 | |
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生誕 | 1958年9月29日(66歳)[1][2] |
出身校 | 早稲田大学 |
学問 | |
研究分野 | ロボット工学 |
研究機関 |
早稲田大学 スタンフォード大学[3] |
博士課程指導教員 | 加藤一郎[4] |
博士課程指導学生 | 黄強[5]、渋谷恒司[6]、森田寿郎[7]、尾形哲也[8]、岩田浩康[9]、金天海[10]、菅佑樹[11]、有江浩明[12]、坂本義弘[13] |
学位 | 工学博士(早稲田大学)[4] |
主な業績 | 「工房」[14][15] |
主要な作品 | WABOT2、WABOT2-mkII、WAMOEBA-2、WENDY、TWENDY-ONE |
学会 | 自動化推進協会、計測自動制御学会、IEEE、日本ロボット学会、バイオメカニズム学会など |
主な受賞歴 | 第1回日本ロボット学会技術賞、平成29年度文部科学大臣表彰(科学技術賞)[16] |
公式サイト | |
菅野研究室 |
菅野 重樹(すがの しげき、1958年(昭和33年)9月29日[1][2] - )は、日本のロボット研究者。工学博士(早稲田大学)。早稲田大学理工学術院創造理工学部教授。加藤一郎研究室で筑波科学博に出展した鍵盤演奏ロボット「WABOT-2」を開発し[17][18]、自身の研究室では世界初の卵を割れるロボットハンドを持つ「WENDY」[注釈 1]や人間共存型ロボット「TWENDY-ONE」を開発した[19][20][21]。自動化推進協会理事長[22]、計測自動制御学会会長[23]などを歴任。平成29年度文部科学大臣表彰(科学技術賞・研究部門)受賞[24]。
来歴・人物
[編集]菅野はSFや機械が好きな子供で、加藤一郎研究室で開発されたヒューマノイドロボット「WABOT-1」に影響を受けて早稲田大学に進学する[25]。1985年の国際科学技術博覧会(通称「つくば科学博」)で鍵盤演奏ロボットの開発に関与。4肢の機構と制御を担当する[17]。1986年、博士後期課程を単位取得退学し、理工学部助手に就任[26][3]。学位は1989年に取得する[4][3]。この間、WABOT-2の指を改良し、ピアノを演奏できるようにした[20]。
菅野研究室では、パッシブコンプライアンスを持つロボットや、世界で初めて卵を割るロボット「WENDY」[注釈 1]を開発[21][20]。また、知能・感情を持つロボット「WAMOEBA」(ワメーバ)[注釈 2]シリーズの研究開発にも取り組んでいる[29][30][27]。バイオメカニズム学会では加藤一郎の後を受け、菅野研究室が事務局を引き継いだ[31]。自動化推進協会では2001年5月から会長を務め、任期途中の2004年に特定非営利法人化、2009年5月まで理事長を務めた[22]。
2007年には人間共存ロボット「TWENDY-ONE」を開発[32]。生物系特定産業技術研究支援センターや前川製作所と共同でイチゴ収穫ロボットにも取り組んだ[33][34][35]。フューチャーロボティックス(株)[36]では取締役を務める[37]。また、出身学生が代表を務めるベンチャー企業「東京ロボティクス株式会社」でも、技術顧問に就任している[38]。ムーンショット型研究開発制度では目標3の研究開発プロジェクト「一人に一台一生寄り添うスマートロボット」でプロジェクトマネージャーを務める[39]。
略歴
[編集]- 1977年 - 開成高等学校卒業[2]
- 1981年 - 早稲田大学理工学部卒業[1][3]
- 1983年 - 早稲田大学大学院博士前期課程修了[3]
- 1986年 - 早稲田大学大学院博士後期課程単位修得退学[26][3]
- 1986年 - 早稲田大学理工学部助手[26][3]
- 1989年 - 工学博士[4]
- 1990年 - 早稲田大学講師(専任)[1][2]
- 1992年 - 早稲田大学助教授[1]
- 1993年 - スタンフォード大学客員研究員( - 1994年)[3]
- 1998年 - 早稲田大学教授[1]
主な受賞歴
[編集]- 1985年度 - 早稲田大学小野梓記念賞(学術賞)[43]
- 1990年4月 - 日本ロボット学会技術賞[44][注釈 3]
- 2000年3月 - 日本機械学会論文賞[45][注釈 4]
- 2001年5月 - 日本機械学会ロボティクスメカトロニクス部門学術業績賞[46]
- 2008年 - IEEE RAS Distinguished Service Award[47][40]
- 2012年10月 - 日本ロボット学会第5回功労賞[48][注釈 5]
- 2016年7月 - IEEE AIM2016 Best Paper Award[要出典][注釈 6]
- 2016年9月 – 計測自動制御学会論文賞[49][注釈 7]
- 2017年4月 - 文部科学大臣表彰(科学技術賞・研究部門)[24][16][注釈 8]
社会的活動
[編集]- 自動化推進協会 - 会長、理事長[22][注釈 9]
- 計測自動制御学会 - フェロー[50]、SI部門長[51]、会長[23]
- IEEE - フェロー[40]、RAS AdCom Member 2008~2013 Seqretary[26]
- 日本ロボット学会 - フェロー[52]、欧文誌『Advanced Robotics』編集長(2007-2011年度)[53]
- 日本機械学会 - フェロー[54]
- バイオメカニズム学会 - 常任理事 事務局[31]
- 日本人間工学会[1]
- 精密工学会[1]
- 人体科学会[55]
- ほか、多くの国際会議で要職を歴任した[3]。
著作
[編集]学位論文
[編集]- 『鍵盤楽器演奏ロボットに関する研究』早稲田大学〈博士学位論文(甲第795号)〉、1989年3月9日 。
著書
[編集]- 尾島俊雄 監修,菅野重樹 文,藪野健 絵『ワボットのほん 5』、中央公論新社、2004年、ISBN 4120035905。
- 加藤一郎 編、高西淳夫・菅野重樹 著『マイロボット』、読売新聞社〈読売科学選書35〉1990年、ISBN 4643901020。
- 菅野重樹、尾形哲也「心性―人間の心と機械の心―」、日本機械学会 編『メカノクリーチャ ―生物から学ぶデザインテクノロジー―』、ISBN 978-4-339-04568-0。[56]
- 菅野重樹『人が見た夢ロボットの来た道 ―ギリシャ神話からアトム、そして…』、JIPMソリューション、2011年、ISBN 9784889563979。
- 神宮寺一 漫画、黒沢翔 シナリオ、菅野重樹 監修『ぼくの友だちはロボット』、集英社、2013年、ISBN 978-4-082-88094-1。
解説(単著)
[編集]- 「ロボット制御の基礎」『HYBRIDS』第5巻第4号、1989年、16-22頁。
- 「ロボットと人間の情緒コミュニケーション」『人間工学』第38巻第5号、2002年、255-260頁。
- 「パーソナルロボットの現状と技術課題」『電気学会雑誌』第113巻第6号、1993年、 455-460頁。
- 「家庭用ロボットの作業移動」『日本ロボット学会誌』第13巻第7号、1995年、 937-938頁。
- 「ロボット教育・研究の現状と課題」『日本ロボット学会誌』第14巻第3号、1996年、 322-325頁。
- 「ロボットと人間の心のインタフェース」『バイオメカニズム学会誌』第21巻第1号、1997年、 21-25頁。
- 「バイメカとロボットの30年」『バイオメカニズム学会誌』第24巻第1号、2000年、 32-33頁。
- 「RTビジネスの戦略」『日本ロボット学会誌』第24巻第3号、2006年、 278-283頁。
- 「QOLにおけるロボティクス技術」『映像情報メディア学会誌』第61巻第8号、2007年、 1092-1095頁。
- 「実用になる人間共存ロボットの試作」『日本ロボット学会誌』第26巻第8号、2008年、 860-863頁。
- 「欧文誌(Advanced Robotics)発行の歴史」『日本ロボット学会誌』第30巻第10号、2012年、 959-961頁。
解説(共著)
[編集]- 「CIM/ROBOTの発展」『日本ロボット学会誌』第10巻第3号、1992年、 310-314頁。- 藤本英雄との共著。
- 「“情”が作る 真のコミュニケーション」『日経サイエンス』2004年1月。- 尾形哲也との共著。
- 「ロボットによるコミュニケーションの探究 ―情緒交流ロボットWAMOEBA―」『日本ロボット学会誌』第24巻第6号、2006年、 688-691頁。- 尾形哲也との共著。
- 「人間共存ロボットにおける生活支援のためのビジョン技術」『日本ロボット学会誌』第27巻第6号、2009年、 596-599頁。- 菅岩泰亮、岩田浩康との共著。
- 「人間共存ロボットTWENDY-ONEによるコンプライアントマニピュレーション」『日本ロボット学会誌』第31巻第4号、2013年、347-352頁。- 岩田浩康、菅岩泰亮との共著。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ a b 「WENDY」はWaseda Engneering Designed sYmbiontから来ている[57]。
- ^ 「WAMOEBA」はWaseda Artificial Mind On Emotion BAse、早稲田のアメー バの意味[27][28]。
- ^ 受賞理由 - WABOT–2mk、受賞者 - 菅野重樹、加藤一郎[44]。
- ^ 受賞論文 - 尾形哲也、菅野重樹『情動モデルを有する自律ロボットWAMOEBA-2と人間との情緒交流」、『日本機械学会論文集C編』第65巻第633号、1999年5月、1900-頁[45]。
- ^ 受賞理由 - Advanced Roboticsを発展に導いたリーダーシップ[48]。
- ^ 受賞論文 - A haptic feedback driver-vehicle interface for controlling lateral and longitudinal motions of autonomous vehicles[要出典].
- ^ 受賞論文 - Mitsuhiro KAMEZAKI, Hiroyasu IWATA, Shigeki SUGANO“A Pragmatic Approach to Modeling Object Grasp Motion Using Operation and Pressure Signals for Demolition Machines”. SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration. 7(6), 2014: 356-363. [49]
- ^ 受賞分野 - 研究、受賞理由 - 「人間共存ロボットの設計と制御に関する研究」[16]。
- ^ 会長から理事長への変更は、法改正に伴う自動化推進協会の法人格取得のため[22]。
- ^ IEEE/ASME International Conference on Advanced Intelligent Mechatronics
- ^ IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems
- ^ IEEE International Conference on Robotics and Automation
- ^ IEEE International Conference on Robotics and Automation
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h 尾形哲也、菅野重樹「自己保存に基づくロボットの行動生成 ―方法論と機械モデルの実体化」、『日本ロボット学会誌』第15巻第5号、1997年、710-721頁。
- ^ a b c d “教員の横顔”. 早稲田大学理工学部機械工学科. 2017年8月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月26日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 菅野研 2017.
- ^ a b c d 菅野 1989.
- ^ 黄強『移動型マニピュレータの安定性を考慮した運動計画に関する研究』、早稲田大学〈博士学位論文(甲第1155号)〉、1996年10月17日。NAID 500000144811。
- ^ 渋谷恒司『バイオリン演奏におけるスキルに関する研究』、早稲田大学博士学位論文(甲第1254号)、1998年3月5日。NAID 500000157557。
- ^ 森田寿郎『人間共存ロボットのためのマニピュレータに関する研究』、早稲田大学〈博士学位論文(甲第1294号)〉、1998年10月15日、NAID 500000173573、doi:10.11501/3152696。
- ^ 尾形哲也『内分泌系を参考としたロボットの感情モデルに関する研究』、早稲田大学博士学位論文〈甲第1425号〉、2000年3月2日、NAID 500000188478、doi:10.11501/3167600。
- ^ 岩田浩康『人間・ロボット觝触制御に関する研究』、早稲田大学博士学位論文〈甲第1745号〉、2003年3月6日。NAID 500000234796。
- ^ 金天海『自律型ロボットにおける制御回路構造の学習手法 ―オンライン・リアルタイムなネットワーク構造の強化学習―』、早稲田大学(博士学位論文(甲第2581号)〉、2008年3月15日。NAID 500000435229。
- ^ 菅佑樹『対話型進化的計算を用いた適応的な人間-ロボット間インタラクションに関する研究』、早稲田大学博士学位論文〈甲第2808号〉、2009年2月25日。NAID 500000473883。
- ^ 有江浩明『ダイナミカルシステムによる新規な目標指向行動の生成に関する研究』、早稲田大学〈博士学位論文(甲第3296号)〉、2011年2月25日。NAID 500000542937。
- ^ Yoshihiro Sakamoto“Indoor positioning with GPS-compatible signals : Doppler positioning and proximate multi-channel pseudolite”, 早稲田大学博士学位論文〈甲第3908号〉、2013年2月25日、日本語題名『GPS互換信号を用いた屋内測位に関する研究 ―ドップラー測位と近接多チャンネルスードライト―』
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- ^ メッセージ 2007, p. 98.
参考文献
[編集]- 未来をつくる大学の研究室58 ―動作と身体構造を人間に近付け新たなロボットの開発に努める 早稲田大 創造理工学部 菅野重樹研究室― (PDF). VIEW21 (Report). ベネッセ教育総合研究所. October 2015. 2017年8月20日閲覧。
- “教授紹介”. 早稲田大学菅野研究室. 2017年8月20日閲覧。
- 日本ロボット学会 監修、オーム社 編 編「Massage16 菅野 重樹」『ロボット研究者からのメッセージ』オーム社、2007年7月、98-105頁。ISBN 978-4-274-20424-1 。
- デイビー日高@ロボタイムズ (2013年9月5日). “【レポート】IEEEが語った日本のロボットの可能性と米国の脅威”. マイナビニュース: pp. 1-12 2017年8月20日閲覧。
外部リンク
[編集]- 早稲田大学理工学術院創造理工学部総合機械工学科菅野研究室 - 研究室公式サイト
- AI driven Robot for Embrace and Care 一人に一台一生寄り添うスマートロボット - 早稲田大学
(研究者情報)
- 論文一覧(KAKEN)
- 菅野重樹 - CiNii Research
- 菅野重樹 - DBLP Bibliography Server
(動画・取材)
- “ロボットと暮らす?”, NHK for School, NHK
- 早稲田大学体験webサイト (2020年7月27日). 【早稲田大学】ビジュアルシンキング:ロボットハンド(創造理工学部 総合機械工学科) - YouTube
- Moonshot R&D Program (2021年5月6日). 「一人に一台一生寄り添うスマートロボット」菅野 重樹PM (早稲田大学 教授) - YouTube