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茶餐庁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
茶餐庁
油麻地にある茶餐庁「美都餐室」
各種表記
繁体字 茶餐廳
簡体字 茶餐厅
拼音 chácāntīng
注音符号 ㄔㄚˊ ㄘㄣ ㄊㄧㄥ
ラテン字 Cha chaan teng
発音: チャーツァンティン
広東語拼音 cha4chaan1teng1
広東語発音: チャーチャーンテーン
日本語読み: ちゃさんちょう
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茶餐庁(ちゃさんちょう、チャーチャーンテーン、中国語: 茶餐廳; 粤拼: cha4chaan1teng1)は、香港マカオ広東省の都市で一般的な、喫茶、軽食を兼ねた飲食店である。

概要

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「茶餐廳」の「廳」は、「庁」の繁体字(正体字)である。香港発祥の様式で、洋食中華料理広東料理)も扱い、早朝から深夜まで営業する店も多い。近隣住民や学生朝食夜食を食べたり、ビジネスマンが昼食を食べたり、冷たいものを飲んで休憩したりと、香港人の日常生活には欠くことのできない存在となっている。香港人を対象にした、最も香港らしい食文化はというアンケートで、茶餐庁は第一位となったことがある。

近年は上海北京などの大都市や、各国の中華街にも香港スタイルの茶餐庁が出店している。また、日本でも、東京、大阪、名古屋、神戸などに、広東料理と喫茶メニューなどを出す類似の様式の飲食店が存在する。

歴史

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「冰室」と呼ばれるレトロな店の内装の例

20世紀前半、第二次世界大戦前の香港では住宅地の近くに半固定式の屋台である「大牌檔」(広東語:ダーイパーイトン、daai6paai4dong3)が多くあり、朝食の油条中華まんなどを売っていた。1930年代には気候が暑い広州市で冷たい飲み物を提供する「氷室」( 広東語:ベンサッ、bing1sat1)と呼ばれる 喫茶店が出現し、数を増やすと共に、近隣の地域にも普及して行った。 第二次世界大戦後、香港でも徐々に暮らしが落ち着くにつれて、氷室が出来、さらにそれまでは高級レストランでしか食べられなかった洋風の軽食も出すようになり流行した。当時は、冷たい飲み物やサンドイッチなどの簡単なメニューを用意することで客も満足し、利益も出せたが、競争の激化と多様な要望に応えてゆく内に、現在のような洋食メニューと中華メニューを取り揃えた豊富な内容で、長時間営業するスタイルの茶餐庁へと変化してきた。

一部の店には「冰室」時代の内装や屋号を今も残している店もある。一方で不夜城とも言われる香港のライフスタイルに合わせて24時間営業にし、新しいメニューを広げている店もある。地価や家賃の高い香港では、回転率を上げた経営をしないと生き残れず、人件費をかけても長時間営業する方が利益に貢献できるという考えもある。しかし、多数のメニューをそろえるために、廃棄せざるを得ない材料も多く、近年、より効率的に営業ができるように点心専門店や洋菓子専門店に転業する例も見られる。

また、元々甘味処、肉のロースト、麺類などの専門店が喫茶メニューやセットメニューを用意して、茶餐庁化している例も多いがこれらの茶餐庁と名乗っていない店では、手間のかかる洋食などは用意されていないことが多い。また、マカオの茶餐庁ではポルトガル料理マカオ料理のメニューも取り入れている例が多い。

香港と中国本土の経済的つながりが強くなると、地域的にも深圳市など、香港に隣接する地域や広州市にも香港式の茶餐庁ができるようになり、現在では広東省内の大抵の都市にある。ただし、広東省などにある茶餐庁では、洋食メニューはわずかの場合が多い。広東省から離れた中国の都市では茶餐庁という店名を付けていても、単なる広東料理店である場合もある。

特徴

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店内の一例
  • 小さい店舗でも幅広いメニューを揃えており、食事目的の客も喫茶目的の客も受け入れる[1][2]
  • 安くて、早くて、味もそこそこという要望に応えられるが、高級感はない[3]
  • 朝から夜まで営業時間が長く、24時間営業の店もある[3]
  • 勝手に席を選んで座るが、混んでいると相席になる。2人で横並びに座るように言われることも多い[4]。背もたれで仕切られたボックスシートになっている店もある[4]
  • 前払いのファーストフード店と異なり、食後に出口のカウンターに行って支払う。香港の一般のレストランで求められるチップの支払いは不要。
  • 一人でも食べやすいセットメニュー(定食)も用意されている。
  • 時間帯によってメニューの一部が変わることが多い。
  • 持ち帰り(テイクアウト)できるメニューも豊富に揃えている。
  • ファストフード店のようなチェーン展開をする例(翠華餐廳、檀島咖啡餅店、新釗記などがある)は限られ、個人経営が基本である。他に、「大家楽中国語版」、「大快活」のような茶餐廳風ファーストフードレストランチェーンも存在する。
  • 喫茶アイスの方がホットよりも2香港ドル程度高いものが多い。氷の追加も有料である[2]
  • 白粥を靚女、ホットコーヒーを汪阿姐と呼称するなど、独特な茶餐廳用語が多数存在する[5]

茶餐庁の主なメニュー

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麺類

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乾炒牛河

ご飯物

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燒味飯
豬扒碟頭飯
及第粥
  • 燒味中国語版(シウメイファーン) - チャーシューの丸焼き(味付け無し、醤油味)、鴨やガチョウの丸焼きなどの焼き物乗せご飯。
    • 單拼飯(ターンペンファーン) - 具材が一種類のご飯。
    • 雙拼飯(ションペンファーン) - 具材が二種類のご飯。
    • 四寶飯(セイボウファーン) - チャーシュー、骨付き鶏肉、塩漬け卵など四種類の具材を乗せたご飯。
  • 碟頭飯(ディブタウファーン) - 皿に盛り合わせたご飯物各種。大抵はご飯を炒飯にする(炒底チャウダイ)オプションも可能。
    • 餐蛋飯(ツァンダーンファーン) - ランチョンミートと卵焼き乗せご飯。
    • 滑蛋蝦仁飯(ワーッダーンハーヤンファーン) - 剥きエビの卵とじがけご飯。(中国にはない天津飯にやや似た料理、牛肉の卵とじ版も一般的。

洋食

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朝食の定番「菠蘿油
マカロニスープ

デザート

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香港風フレンチトースト

飲料

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アイス鴛鴦茶

香港の有名茶餐庁

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翠華餐庁の入り口
香港島の蘭芳園

関連商品

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香港の食料品店では茶餐廳の味と銘打った紙パック入りのレモンティー、ソフトドリンク、インスタントミルクティーなどが売られている。

香港ではバターをはさんだパイナップルパンを形取ったマグネットなども売られている。

香港茶餐廳(香港カフェ)
2006年11月童友社から発売されたミニチュア食品模型のコレクション。元々香港で売られていた物で日本では9種のセットメニューと1種の紅茶用網付きポットの全10種が中身目隠し方式で発売された。

脚註

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参考文献

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関連項目

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外部リンク

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