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英和辞典

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

英和辞典(えいわじてん)は、英単語の意味や用法を日本語で解説した辞典である。

概要

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英和辞典には一般に英単語の発音品詞、日本語の意味、そして用例が記述されている。発音は主として国際音声記号によって示される。初学者向けの学習辞典ではカタカナによって示されていることもある。単語によっては本来の英語すなわちイギリスでの発音とアメリカでのそれが併記されている場合が多い。なお和英辞典では通常発音は示されていない。

中学、高校生など英語学習者の便宜をはかるため基本語、重要語には印あるいは強調して表記されていることが多い。 小型のものには和英辞典と一体となったものもある。

日本で出版されている英和辞典で発行部数(初版からの累計)が多いのは、新英和中辞典(約1200万部)、ジーニアス(辞典)(約800万部)などである[要出典]。

構成

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見出し語

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英単語ごとに見出し語として掲げられ、アルファベット順に配列される。通常、同じ綴りでも語源が異なる場合には別項となる。また、綴りが米国と英国で異なる場合もあるが、日本の英和辞典では米国での表記が先に掲げられることが多い。分節については「・」で区切られていることが多い。

解説

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各見出し語では次のような解説が置かれる。

  • 発音 - 多くは発音記号による。カタカナによる辞典もある。米国と英国で異なる場合には注記される。
  • 語義
  • 品詞 - 名詞については語義解説で可算名詞と不可算名詞の区分けを行う英和辞典もある。また、動詞については語義解説で自動詞と他動詞の区分けを行う英和辞典もある。
  • 語形変化

発音表記

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英和辞典のみならず、英語の辞書には主に3つの発音表記が存在する。

  • 「音量表記(quantitative transcription)[1]

音質の違う音素に敢えて同じ発音記号を用い、音の長さ(音量)の違いのみを明示する発音表記。ジョーンズ式(Jonesian system)とも。例えば、beatとbitの母音音素の違いを音量表記で示すならば、/i:/と/i/になる。

  • 「音質表記(qualitative transcription)[1][2]

長音を表す長音符号(:)を用いずに、音質の違いのみを明示する発音表記。異なる音質の音素は、異なった記号で表記される。例えば、beatとbitの母音音素の違いを音質表記で示すならば、/i/と/ɪ/になる。

  • 「音質音量表記(qualitative - quantitative transcription)[1][2]

音質の違いと長さの違いの両方を明示する発音表記。ギムソン式(Gimsonian system)とも。異なる音質の音素は、異なった記号で表記されるが、長さの違いを明示するために長音符号(:)も用いる。例えば、beatとbitの母音音素の違いを音質音量表記で示すならば、/i:/と/ɪ/になる。

日本においては、大正時代以来、長きにわたって英和辞典に「音量表記」が用いられてきた[1]。だが、音の違いを音の長さの違いのみで明示することが出来るという音量表記の長所が逆にあだとなり、例えば、上記の例にも登場したbeatとbitの母音音素の違いは、本来は音の長さではなく、音質に違いがあるにもかかわらず、あたかも音の長さの違いが両者の違いであると読者に受け止められかねない状況になっている。

そのため、今日では、イギリスで出版されている全ての英語発音辞典と学習英英辞典、及び主要な一般英英辞典が採用している「音質音量表記」を採用する傾向がみられ、特にジーニアス英和辞典第4版など、ここ10年ほどの間に新たに出版又は改訂された英和辞典の殆どは「音質音質表記」である[1]

余談だが、「音質表記」については、1944年にアメリカ英語の発音辞典である『A Pronouncing Dictionary of American English』(Thomas A.Knottとの共著)を出版したJ.S.Kenyonなど、アメリカの音声学者や言語学者に支持者が多いが、日本の英和辞典に採用例はない。

歴史

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1760年(宝暦10年)頃、まだ20代半ばだった長崎通詞本木栄之進良永(もときえいのしんよしなが)が、英語の達者なオランダ人から英蘭辞書を借り受けて筆写、職を継いだ息子庄左衛門にこれを伝えたという。

この辞書を原型とし、1810年(文化7年)頃広く用いられていた『蘭和辞典』の和訳を加えて、1814年(文化11年)に完成したのが、後年福澤諭吉も使用したという史上最初の英和辞典『諳厄利亜(あんげりあ)語林大成』である[3]

  • 1857年 英語箋[4]
  • 1862年 英和対訳袖珍辞書[3]
  • 1869年 英和対訳袖珍辞書 改正増補[3]
  • 1873年 英和字彙 附音插図 日就社[3]
  • 1881年 哲学字彙[3]
  • 1887年 英和双解隠語彙集 金港堂[3]
  • 1888年 和訳英字彙 附音插図 大倉書店[3]
  • 1888年 ウェブスター氏新刊大辞書和訳字彙 三省堂[3]
  • 1902年 新訳英和辞典 三省堂[3]
  • 1911年 模範英和辞典 三省堂[3]
  • 1915年 熟語本位英和中辞典
  • 1922年 袖珍英和辞典 三省堂
  • 1926年 コンサイス英和辞典 三省堂
  • 1927年 新英和大辞典 研究社
  • 1936年 岩波英和辞典
  • 1941年 研究社・簡約英和辞典
  • 1954年 新クラウン英和辞典 三省堂
  • 1956年 研究社・新簡約英和辞典
  • 1958年 岩波英和辞典・新版
  • 1967年 研究社・新英和中辞典(第2版)
  • 1970年 岩波英和大辞典(中島文雄)
  • 1971年 研究社・新英和中辞典(第3版)
  • 1972年 アンカー英和辞典(初版)
  • 1972年 旺文社・スタディ英和辞典(新装ワイド版)[5]
  • 1973年 研究社・現代英和辞典(岩崎民平)→1976年に携帯版
  • 1973年 小学館ランダムハウス英和大辞典(初版)
  • 1975年 旺文社・英和中辞典(鳥居次好):コンプリヘンシブ
  • 1975年 新コンサイス英和辞典(佐々木達)
  • 1975年 旺文社・英和中辞典(特装版)[6]
  • 1977年 研究社・新英和中辞典(第4版)
  • 1978年 研究社・ユニオン英和辞典[7]
  • 1980年 プログレッシブ英和中辞典(初版)
  • 1981年 アンカー英和辞典(第2版)
  • 1984年 リーダーズ英和辞典(初版)
  • 1984年 旺文社・スタディ英和辞典(改訂版)[8]
  • 1984年 ライトハウス(辞典)(初版)(竹林滋・小島義郎)
  • 1985年 研究社・新英和中辞典(第5版)
  • 1985年 グローバル英和辞典(佐々木達)
  • 1987年 プログレッシブ英和中辞典(第2版)
  • 1987年 ジーニアス(辞典)(初版)(小西友七)
  • 1987年 ニュー・アンカー英和辞典
  • 2003年 ウィズダム(辞典)(初版)
  • 2005年 ルミナス英和辞典(第2版)[9]
  • 2018年 コンパスローズ英和辞典[10]

脚注

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関連項目

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