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臭化銅(I)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
臭化銅(I)
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識別情報
CAS登録番号 7787-70-4
特性
化学式 CuBr
モル質量 143.45 g/mol
外観 緑色の粉末
密度 4.71 g/cm3, 固体
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

臭化銅(I)(しゅうかどう(I)、Copper(I) bromide)は、化学式がCuBrの無機化合物である。反磁性の固体で、硫化亜鉛と同様のポリマー構造をとる。この化合物は有機合成に広く用いられる。

性質

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銅(II)不純物のためにしばしば着色(写真参照)されるが純粋なものは無色である[1]。臭化銅(I)は臭化物イオンによって四面体のCu中心が相互連結された特徴的な四配位のポリマー構造のためほとんどの溶媒には溶けない。ルイス塩基で処理すると付加化合物に変化する。例えば、ジメチルスルフィドでは無色の錯体が形成する[2]

この錯体は線形ジオメトリで、銅は二配位である。また、他のソフトな配位子により関連した錯体を作ることもできる。例えば、トリフェニルホスフィンはCuBr(P(C6H5)3)を与える。しかし、この化学種はより複雑な構造をとる。

合成

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一般的には、臭化物の存在下で銅(II)塩を亜硫酸塩で還元することで合成される[3]

また、塩化銅(I)の合成と同じような方法で、臭化水素酸に銅粉末を溶解させても生成する。

有機化学への応用

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ザンドマイヤー反応では、CuBrはアニリン化合物を対応する臭化アリールに変換する[4]

先述の錯体CuBr(S(CH3)2)は有機銅試薬の合成に広く用いられる[2]。関連するCuBr錯体は原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization)と銅触媒クロス脱水素カップリング(CDC)の触媒に使われる。

脚注

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  1. ^ Holleman, A. F.; Wiberg, E. "Inorganic Chemistry" Academic Press: San Diego, 2001. ISBN 0-12-352651-5.
  2. ^ a b Jarowicki, K.; Kocienski, P. J.; Qun, L. "1,2-Metallate Rearrangement: (Z)-4-(2-Propenyl)-3-Octen-1-ol" Organic Syntheses, Collected Volume 10, p.662 (2004). http://www.orgsyn.org/orgsyn/pdfs/V79P0011.pdf
  3. ^ Keller, R. N.; Wycoff, H. D. "Copper(I) chloride" Inorganic Syntheses 1946; Volume II, p 1-4.
  4. ^ Hartwell, J. L. "o-Chlorobromobenzene" Organic Syntheses, Collected Volume 3, p.185 (1955). http://www.orgsyn.org/orgsyn/pdfs/CV3P0185.pdf