総武流山電鉄3000形電車
総武流山電鉄3000形電車(そうぶながれやまでんてつ3000がたでんしゃ)は、流鉄が総武流山電鉄時代の1999年に西武鉄道(西武)から譲受して運用を開始した通勤形電車。
本項では、2010年から運用を開始した流鉄5000形電車(りゅうてつ5000がたでんしゃ)についても記述する。
3000形
[編集]- クモハ3001-モハ3101-クハ31「流星[注 1]」 - 元135編成(1970年西武所沢車両工場製)
- クモハ3002-モハ3102-クハ32「若葉」 - 元131編成(1970年西武所沢車両工場製)
在来車1200形・1300形の置き換えのため、1999年に西武旧101系の4両編成2本を3両編成化して譲受したもの。2000形に続き側面にN字形の帯を配したデザインとなっている。3両編成化に際し、種車のうちモハ101形偶数車に、クハ1101形偶数車の運転台を接合して先頭車化を行っている。形式は、馬橋寄り車両が制御車クハ30形、中間車が主制御器と菱形パンタグラフ2基を装備した電動車モハ3100形、流山寄り車両が制御電動車クモハ3000形である。なお、本系列は西武旧101系で唯一の他事業者への譲渡事例である。 なお、置き換え対象となる1200形・1300形は元々1987年まで西武線で運用されてきた501系・551系を改造したものであり、西武線での世代交代を12年ぶりに総武流山電鉄で再現した形となった。
2010年1月20日の全列車2両編成化により定期運用を離脱し、「流星」は同年8月29日[1]、「若葉」は2011年5月15日[2]のさよなら運転をもって運用を終了し、廃車となった。
3000形 編成表
← 馬橋 流山 →
|
愛称 | 塗色 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
形式 | クハ30 (Tc) |
◇ ◇ モハ3100 (M1) |
クモハ3000 (Mc2) | |||
車両番号 (西武時代) |
31 (1135) |
3101 (135) |
3001 (136+1136) |
流星(2代)[注 2] | 橙色地 | 白帯 |
32 (1131) |
3102 (131) |
3002 (132+1132) |
若葉(2代)[注 3] | 黄緑地[注 4] | 白帯 |
-
3001編成「流星」
(流山駅) -
3002編成「若葉」
(平和台駅 - 鰭ヶ崎駅間)
5000形
[編集]- クモハ5001-クモハ5101「さくら」[注 5] - 元273編成(1982年西武所沢車両工場製)
- クモハ5002-クモハ5102「流星[注 1]」 - 元275編成(1982年西武所沢車両工場製)
- クモハ5003-クモハ5103「あかぎ」 - 元277編成(1982年西武所沢車両工場製)
- クモハ5004-クモハ5104「若葉」 - 元287編成(1979年東急車輛製造製)
- クモハ5005-クモハ5105「なの花」 - 元271編成(1982年西武所沢車両工場製)
つくばエクスプレス開業後の流山線の合理化の一環として、定期列車を終日ワンマン運転の2両編成にするために、2009年以降、西武新101系の2両編成を譲受したもの。3000形とは編成の向きが逆である。編成両車とも制御電動車で、形式は馬橋寄り車両がクモハ5100形、流山寄り車両が主制御器と菱形パンタグラフ2基を装備したクモハ5000形である。譲受に際しては、ワンマン運転対応改造に加え、前面行先表示器のLED化が実施されている。種別表示器は幕式のまま、「ワンマン」「各駅停車」「BEER列車」などが含まれる内容へ変更された。
2009年に5001編成が武蔵丘車両検修場で改造され、6月17日に流鉄カラーとなり同所から南入曽車両基地まで[3]移動の後、6月22日甲種輸送された[4]。流山線入線後に愛称板の取り付けと行先表示器のLED化が行われた。
2009年度冬からの運行開始が駅の掲示板で告知され、2010年1月20日、3日後のダイヤ改正に先立って営業運転を開始した[5]。その後2013年までに全5編成が導入され、在来形式をすべて置き換えた。
なお、5003編成は2011年6月5日に西武鉄道の武蔵丘車両検修場で開催された「西武・電車フェスタ2011 in 武蔵丘車両検修場」にて、本系列への改造途上の状態で展示されている[6]。
導入後の変化
[編集]5001編成は2017年7月30日のさよなら運転をもって「流馬」としての運転を終了[7][8]。全般検査とあわせて塗装を変更し、2018年8月23日より「さくら」として営業運転を開始した[9]。
5002編成「流星」は2019年夏に白帯での運転を終了し、全般検査とあわせて帯色を白から青へ変更した[10]。 2020年1月20日に試運転を実施し[11]、翌日より営業運転を再開した[12]。
5004編成「若葉」は、車体色を黄緑地の白帯から翡翠色地の濃緑帯へと変更し、2022年12月1日より営業運転を再開した。[13]
混色編成「オムライス電車」
[編集]2021年から、「あかぎ」「なの花」の編成を組み替えた混色編成が運転されている。当初は特に名前が定まっていなかったが、2022年6月以降、公式Webサイトのお知らせにて、両車の塗装をケチャップと鶏卵になぞらえ「オムライス電車」の名称が使用されている。
2021年11月、「なの花」クモハ5005に不具合が発生し、5003編成「あかぎ」の全般検査などと重なり車両が不足しかねない状況となった。この際、問題のないクモハ5105と、先に検査を終えたクモハ5003により、馬橋方から「なの花」+「あかぎ」の混色編成を組成した。11月30日に試運転を行い[14]、翌日より営業運転を開始している[15]。
混色編成が好評だったため、2022年2月には、クモハ5103の検査・クモハ5005の修理が終了し、そのまま組成して馬橋方から「あかぎ」+「なの花」の混色編成も誕生。2月19日に試運転を行い、同日中に営業運転を開始した[16][17]。
5000系 編成表
← 馬橋 流山 →
|
愛称 | 塗色 | 輸送年月 | 営業運転開始 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
形式 | クモハ5000 (Mc2) |
◇ ◇ クモハ5000 (Mc1) | |||||
車両番号 (西武時代) |
5101 (274) |
5001 (273) |
流馬(3代)[注 6] →さくら |
薄ピンク地[注 7] | 濃ピンク帯[注 7] | 2009.06[18] | 2010.01.20[5] |
5102 (276) |
5002 (275) |
流星(3代)[注 8] | 橙色地 | 白帯 →青帯 |
2010.09[19] | 2011.03.11[20] | |
5103 (278) |
5003 (277) |
あかぎ(2代)[注 9] | 臙脂色地 | 白帯 | 2011.10[21] | 2012.03.14[22] | |
5104 (288) |
5004 (287) |
若葉(3代)[注 10] | 黄緑地 →翡翠色地 |
白帯 →濃緑帯 |
2012.09[23] | 2012.12.03[24] | |
5105 (272) |
5005 (271) |
なの花(3代)[注 11] | 黄色地 | 黄緑帯 | 2013.09[25] | 2013.12.06[26] |
-
5001編成「流馬」改造前
(2009年11月1日 流山検車区) -
5001編成「流馬」
(鰭ヶ崎-平和台) -
5001編成「さくら」
-
5002編成「流星」旧塗装
-
5002編成「流星」新塗装
-
5003編成「あかぎ」
(編成組み換え前) -
5004編成「若葉」旧塗装
(鰭ヶ崎-小金城趾) -
5003-5105による混色編成
「オムライス電車」 -
5004編成「若葉」新塗装
(鰭ヶ崎~平和台)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ a b 読みは「りゅうせい」。
- ^ 初代は1200形1201編成、3代は5000形5002編成。
- ^ 初代は1200形1208編成、3代は5000形5004編成。
- ^ 初代「若葉」1200形1208編成の地色は若草色であった。
- ^ 2017年7月30日までは「流馬(りゅうま)」。
- ^ 初代は1200形1203編成、2代は2000形2004編成。
- ^ a b 3代目流馬時代は水色地・N字形白帯。
- ^ 初代は1200形1201編成、2代は3000形3001編成。
- ^ 初代は1300形1301編成。
- ^ 初代は1200形1208編成、2代は3000形3002編成。
- ^ 初代は1200形1210編成、2代は2000形2005編成。
出典
[編集]- ^ “流鉄で「流星」のさよなら運転”. 鉄道ファン・railf.jp (2010年8月30日11:49 掲載) .
- ^ “流鉄3000系「若葉」が,さようなら運転”. 鉄道ファン・railf.jp (2011年5月16日19:22 掲載) .
- ^ “流鉄色となった新101系が出場”. 鉄道ファン・railf.jp (2009年6月18日16:20 掲載) .
- ^ “流鉄5000系が甲種輸送される”. 鉄道ファン・railf.jp (2009年6月23日15:56 掲載) .
- ^ a b “流鉄5000形(3代目「流馬」)が営業運転を開始”. 鉄道ファン・railf.jp (2010年1月21日17:38 掲載) .
- ^ “【西武】「西武・電車フェスタ2011 in 武蔵丘車両検修場」を開催”. 鉄道ホビダス (2011年6月7日18:15 掲載) .
- ^ “5000形「流馬」さようなら記念運転について”. 流鉄 (2017年6月12日). 2017年6月17日閲覧。
- ^ “流鉄の5000形「流馬」が来春にも装いを新たに…7月30日にさよなら運行”. レスポンス (2017年6月13日). 2017年6月17日閲覧。
- ^ “流鉄「さくら」号が営業運転を開始”. 鉄道ファン. railf.jp 鉄道ニュース (交友社). (2018年8月24日)
- ^ 流星号の再デビューについて - お知らせ(流鉄)
- ^ 流星号試運転のため1月20日(水)一部の電車の運転時刻を変更します。 - お知らせ(流鉄)
- ^ 流星号の運用開始について - お知らせ(流鉄)
- ^ 流鉄5000形「若葉号」の塗装が変更される
- ^ 電車の試運転のため11月29日(月)一部の電車の運転時刻を変更します。 - お知らせ(流鉄)
- ^ 交友社 (2021年12月3日). “流鉄5000形、混色編成で運転”. 2021年12月29日閲覧。
- ^ 電車の試運転のため2月19日(土)一部の電車の運転時刻を変更します。 - お知らせ(流鉄)
- ^ Mc5005+Mc5103編成の運用開始について - お知らせ(流鉄)
- ^ 交友社 (2013年12月7日). “流鉄5000形,三代目「なの花」号が営業運転を開始”. 2012年12月7日閲覧。
- ^ 交友社 (2010年9月28日). “流鉄5000系第2編成が甲種輸送される”. 2010年9月30日閲覧。
- ^ 交友社 (2011年3月20日). “流鉄5000系「流星」が営業運転開始”. 2011年6月6日閲覧。
- ^ 交友社 (2011年10月18日). “流鉄5000系が甲種輸送される”. 2011年10月18日閲覧。
- ^ 交友社 (2012年3月20日). “流鉄 二代目「あかぎ」が営業運転を開始”. 2011年7月17日閲覧。
- ^ 交友社 (2012年9月11日). “もと西武鉄道新101系が流鉄へ”. 2012年9月12日閲覧。
- ^ 交友社 (2012年12月7日). “流鉄5000形第4編成が営業運転を開始”. 2012年12月7日閲覧。
- ^ 交友社 (2013年9月10日). “流鉄5000形が甲種輸送される”. 2013年9月10日閲覧。
- ^ 交友社 (2013年12月7日). “流鉄5000形,三代目「なの花」号が営業運転を開始”. 2012年12月7日閲覧。
参考文献
[編集]- 寺田裕一『ローカル私鉄車輌20年 路面電車・中私鉄編』JTB(現、JTBパブリッシング)〈JTBキャンブックス〉、2003年4月。ISBN 4-533-04718-1。
関連項目
[編集]他社の西武新101系譲渡車