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符号の規約

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

物理学において、ある量の集合についてそれぞれ正か負かの符号を任意に選択できる場合があり、このときの符号の付け方を符号の規約(ふごうのきやく, : sign convention)という。ここでいう「任意」とは、この符号について異なる規約を(一貫して)用いたとしても、同一の物理系として正確に記述されるという意味である。このため符号選択は(論文や書籍の)著者によって様々であり、しばしば科学研究における混乱や不満、誤解や過誤の源となっている。一般に、符号の規約は1つの次元についての座標系の選択の、特別な場合である。

また「符号の規約」の用語は、虚数単位 i の因子を含む、より広い意味で用いられることもある。

相対論

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計量符号

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相対性理論において、計量符号(+,−,−,−)(−,+,+,+) のいずれかである。[注釈 1]それぞれ diag(+1,−1,−1,−1), diag(−1,+1,+1,+1)計量テンソルに対応する。より高次元の相対性理論においても同様である: (+,−,−,−,…)(−,+,+,+,…).

この符号の規約には幾つかの呼び名がある:

幾つかの著名な院生向けテキストにおける使用例:

計量の符号といくつかの関係式
関係式 (+,−,...,−) (−,+,...,+)
4元運動量の成分表示
質量殻条件
ローレンツ力
マクスウェル方程式
正準交換関係
運動量演算子の座標表示

曲率

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リッチテンソル Rμνリーマンテンソル Rμναβ縮約として定義されるが、その縮約には次の2通りの取り方がある:

  • Rμν = Rαμαν
  • Rμν = Rαμνα

リーマンテンソルの対称性により、この2つの定義は符号だけ異なる。またリーマンテンソルの定義についても符号だけを変える2通りの定義があり、これら2通りずつの定義を協働して用いることで、異なる規約についても同一の物理を与える。

その他の符号の規約

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書籍や論文において使用される符号の規約は、冒頭で明示することが慣例となっている。

注釈

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  1. ^ この項においては、計量の符号は時間成分を最初に、そして空間成分を続けて表示する。
  2. ^ a b 粒子物理畑の人間は(+,−,−,−)を好み、一方で相対論畑の人間は(−,+,+,+)を好むと言われる。AstroBaki (2017年12月6日). “Lorentz transformations” (英語). 2018年1月2日閲覧。
  3. ^ 『パウリ物理学講座』Pauli Lectures on Physics
  4. ^ 13章のみ時間的規約へと符号を変更している。

参考文献

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  • Misner, Charles W.; Thorne, Kip S.; Wheeler, John A. (1973). Gravitation. W. H. Freeman. pp. 見返し. ISBN 0-7167-0344-0 

関連項目

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