秦酒公
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秦 酒 公(はたの さけ の きみ)とは、日本古代の、5世紀後半頃の豪族。浦東君の子。秦意美の父。
経歴
[編集]渡来系氏族の廷臣と伝えられている。
『日本書紀』巻第十四によれば、雄略天皇が木工(こだくみ)の闘鶏御田(つげ の みた)に命じて楼閣を造らせた。御田は楼に登って、四方に飛ぶように疾走した。これを見ていた伊勢の采女がその速さに驚き 、饌(そなえもの)をひっくりかえしてしまった。天皇はこれを見て、御田がその采女を犯したのだと疑い、物部(もののべ)の手に渡して処刑しようとしたとき、酒公が琴を弾いて歌を歌い、御田の無実を天皇に悟らしめた[1]。
また、秦の民が分散して臣・連などの姓を持つ諸氏のもとに置かれ、おのおのの一族のほしいままに駈使されている情況を嘆いて、秦造酒は天皇に訴えた。天皇はこれを集めて酒公に賜った。酒公はこの百八十種勝(ももあまりやそ の すぐり)を率いて庸、調の絹や縑(かとり)を献上し、その絹・縑が朝廷にうず高く積まれたので、「禹豆麻佐」(うつまさ)の姓を賜ったという話がある[2]。この話は『新撰姓氏録』や『古語拾遺』にもみえ、『新撰姓氏録』には、さらに大蔵の長官になった、と伝えられている。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 『日本書紀』(三)、岩波文庫、1994年
- 『日本書紀』全現代語訳(上)、講談社学術文庫、宇治谷孟:訳、1988年
- 『日本の歴史1 神話から歴史へ』、井上光貞:著、中央公論社、1965年
- 『コンサイス日本人名辞典 改訂新版』p995(三省堂、1993年)
- 『謎の渡来人 泰氏』文春新書、水谷千秋:著、2009年
- 『渡来氏族の謎』祥伝社新書、加藤謙吉:著、2017年