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モロゾフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
神戸モロゾフ製菓から転送)
モロゾフ株式会社
Morozoff Limited
種類 株式会社
市場情報
東証プライム 2217
1983年8月8日上場
大証1部(廃止) 2217
2013年7月12日上場廃止
本社所在地 日本の旗 日本
658-0033
神戸市東灘区向洋町西五丁目3番地
本店所在地 650-0021
神戸市中央区三宮町1-8-1
設立 1931年8月8日
業種 食料品
法人番号 2140001002665 ウィキデータを編集
事業内容 菓子および菓子原料の製造販売、輸出入 他
代表者 山口信二(代表取締役社長
山岡祥記(代表取締役副社長
資本金 37億3,746万円
発行済株式総数 7,088,452株[1]
売上高 連結:325億583万4000円
(2023年1月期)[1]
営業利益 連結:24億2375万7000円
(2023年1月期)[1]
経常利益 連結:17億323万4000円
(2023年1月期)[1]
純利益 連結:26億1575万7000円
(2023年1月期)[1]
純資産 連結:185億8021万6000円
(2023年1月31日現在)[1]
総資産 連結:265億9595万1000円
(2023年1月31日現在)[1]
従業員数 連結:534名
(2023年1月31日現在)[1]
決算期 1月31日
会計監査人 有限責任監査法人トーマツ
主要株主 日本マスタートラスト信託銀行(株)(信託口) 9.38%
(株)みずほ銀行 3.65%
三菱UFJ信託銀行(株) 3.06%
山陽電気鉄道(株) 3.04%
(株)日本カストディ銀行(信託口) 2.90%
(株)平和 2.60%
あいおいニッセイ同和損害保険(株) 2.52%
(株)みなと銀行 2.51%
則岡迪子 1.82%
(株)三井住友銀行 1.71%
(2023年1月31日現在)[1]
主要子会社 (株)鎌倉ニュージャーマン 100%
外部リンク https://www.morozoff.co.jp/
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モロゾフ株式会社: Morozoff Limited)は、兵庫県神戸市東灘区に本社を置く洋菓子メーカーである。

ドイツ菓子メーカーユーハイムと更にはゴンチャロフ製菓と並び、神戸の菓子ブランドの一つとして有名。白系ロシア人であるフョードル・ドミトリエヴィチ・モロゾフ一家が神戸で経営していたチョコレート店を起源とし、社名はその姓に由来する。

概要

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神戸市六甲アイランドに本社を構え、菓子販売店舗を中心に、カフェレストランを全国に展開している。店舗数は2015年(平成27年)の時点で1102店[注釈 1](併設店を含む)。代表的な商品は、チーズケーキプリンなど。創業翌年の1932年に「バレンタインデーにチョコレートを贈る」というコンセプトの商品を発売し、モロゾフは日本初のこととしている[2]

ガラスの器(1973年までは陶器の製品であった)に入ったプリンは高級品として知られ、食べ終わった後の空き瓶がガラスコップの代用品として再利用されることが多い[3]。このことは、「関西人の家庭には必ずモロゾフのプリンの容器がある」としてバラエティ番組『探偵!ナイトスクープ』でも紹介された。また、吉本新喜劇小籔千豊が、ネタで「そんなに使わないのについつい取って置いてしまう」物の代名詞として、しばしばギャグのネタにしている。当のモロゾフ社自身も、食べた後の容器はリサイクルするか何かの容器に再利用することを紹介している[4]。なお、試験的に一時プラスチック製の容器に変更したこともあったが、売り上げが落ちたため、ガラス製容器に戻したという[3]

笛吹市の洋酒メーカー「モンデ酒造」の前身に当たる「モロゾフ酒造」とは、無関係である。

モロゾフ家との関係

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ロシア革命を逃れて日本に来て、その後神戸でチョコレート店を経営していた白系ロシア人フョードル・ドミトリエヴィチ・モロゾフ一家は、神戸の材木商である葛野友槌(現モロゾフの初代社長で野坂参三の実兄)から出資を受けて、1931年に神戸モロゾフ製菓を設立した。

経営は順調に推移したが、葛野側が会社の会計帳簿をモロゾフ親子側に一切見せなかったため、モロゾフ家は不審を抱くようになり、最終的に1941年に両者の問題は裁判まで持ち込まれた。

モロゾフ側は日本語が不自由だったため、結果的に裁判で追い出された形となった。モロゾフ一家はモロゾフ洋菓子店から去るだけではなく、「モロゾフ」や類似した商号を使用して菓子販売をすることを禁じられ、同様の事業をすることも禁じられた。モロゾフ家にとって厳しい条件であったが、条件を飲まなければロシアを継いだ共産主義国家であるソビエト連邦へ強制送還すると言われたため、判決をのまざるを得なかった。

ちなみに、モロゾフを離れたモロゾフ家は、フョードルの子のヴァレンティン・フョードロヴィチ・モロゾフが「バレンタイン製菓店」を立ち上げたが、第二次世界大戦終結直前の1945年に、連合国軍による空襲で店が壊滅し、戦後に「コスモポリタン製菓」を再度設立している。

ヴァレンティン・フョードロヴィチ・モロゾフは後に次のように述べている。

私が本当のモロゾフ。でも、私の会社の名前、モロゾフじゃない。不思議に思う人、多いでしょうね。 — 重森1990、313頁。

沿革

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  • 1931年昭和6年)8月8日 - 神戸モロゾフ製菓株式会社設立。
  • 1936年(昭和11年)8月 - モロゾフ製菓株式会社に商号変更。
  • 1972年(昭和47年)8月 - モロゾフ株式会社に商号変更。
  • 1974年(昭和49年)9月 - 大阪証券取引所(現在は市場統合)第二部上場。
  • 1983年(昭和58年)8月 - 東京証券取引所第二部上場。
  • 1984年(昭和59年)7月 - 大阪証券取引所・東京証券取引所第一部指定。
  • 2000年(平成12年)12月 - 創業70周年(翌年8月8日)を記念してイメージキャラクター「シンデレラ」を起用。初代シンデレラ(フラン・ワーグマン)はRebecca Bonner。
  • 2011年平成23年) - 3月11日東日本大震災にて仙台工場(仙台市若林区)が被災。5月末での工場閉鎖と仙台営業所の移転を決定。
  • 2013年平成25年)- 新たな経営理念「Be Prime,Be Sweet.」、企業スローガン「こころつなぐ。笑顔かがやく。」を制定。
  • 2016年平成28年)- Visual Hong Kong Limited(香港)を子会社化。
  • 2020年令和2年) - 経営危機に陥っていた株式会社鎌倉ニュージャーマン(旧社)の事業を譲受する新会社として、株式会社鎌倉ニュージャーマン(新社)を設立[5][6]

株主優待

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  • 毎年1月31日付及び7月31日付の株主名簿に記載・記録されている1000株以上保有の株主に優待券1冊(10枚綴)を進呈。優待券1枚につき1050円(税込)までの現金購入及び飲食に対して20%割引を実施
  • 毎年7月31日現在で、1000株以上を3年以上継続保有の株主に対して、年1回2000円相当の自社商品を進呈

不祥事

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  • 香港法人の日本人社長(総経理)が2019年-2020年香港民主化デモに参加する民主派勢力に対し、「テロリスト」・「ゴキブリ」などと誹謗中傷するツイートを複数回にわたって投稿していたことが発覚し、民主派を中心に不買運動や解雇を求める署名活動が呼びかけられた。当該総経理は解任の上帰国させられ謝罪した[7][8]

脚注

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注釈

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  1. ^ 直営店12店 百貨店・専門店内店舗1057店、喫茶店30店・レストラン3店。島根県沖縄県には1店舗も無い。

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i 2023年1月期有価証券報告書モロゾフ
  2. ^ えっ、日本のブランドだったの? 外国生まれと誤解しがちな5つのブランド”. ハフポスト (2019年10月7日). 2021年1月8日閲覧。
  3. ^ a b “【わが社のオキテ】デカくて、重くて…!? モロゾフのプリンが愛される理由”. MSN産経west. (2012年8月12日). オリジナルの2012年8月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120812010342/http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120812/wec12081207010000-n1.htm 2020年6月27日閲覧。 
  4. ^ ガラス容器へのこだわり”. モロゾフ株式会社. 2018年2月15日閲覧。
  5. ^ 人気洋菓子店「鎌倉ニュージャーマン」の旧・経営会社、ヒワハーブ(神奈川県)が特別清算Yahoo!ニュース(帝国データバンク) 2022年年3月1日
  6. ^ 鎌倉ニュージャーマン、モロゾフ傘下でブランド刷新日本経済新聞 2020年11月12日
  7. ^ 香港區總經理涉發表侮辱香港市民言論 MOROZOFF HK爭議事件”. like japan (2020年5月12日). 2020年5月12日閲覧。
  8. ^ 香港ニュース拾い読み #87 香港で「洋菓子のモロゾフ」不買運動! 民主派市民の容赦なき“正義と独善””. クーリエ・ジャポン (2020年5月24日). 2020年5月24日閲覧。

参考文献

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  • 重森守『続 味のたくみ 関西の味覚を作り育てる名匠たち』あまから手帖社、1990年。ISBN 4-900464-06-6 

関連項目

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外部リンク

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