石田勇治
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石田 勇治(いしだ ゆうじ、1957年 - )は、日本の歴史学者。東京大学名誉教授。日本学術会議連携会員(地域研究)。専門はドイツ近現代史、ジェノサイド研究。
経歴
[編集]京都市出身、1982年東京外国語大学外国語学部卒業、1984年東京大学大学院社会学研究科(国際関係論)修士課程修了、1987年マールブルク大学(ドイツ)社会科学哲学部博士課程修了(Ph.D.政治学、取得)[1]。
東京大学教養学部専任講師、同助教授を経て、教授。この間、ポツダム現代史研究センター客員研究員、ベルリン工科大学反ユダヤ主義研究所客員研究員、ハレ大学客員教授などを歴任し、東京大学名誉教授[2]。The Journal of Genocide Research 編集委員。
日本においてホロコースト見直し論(ホロコースト否認論)が問題となった1995年のマルコポーロ事件の際には、『サンデー毎日』の取材に答えてコメントを出している。
弁護士の尾山宏らとともに、日本民主法律家協会より2008年度「法と民主主義」特別賞を受賞している。
2023年パレスチナ・イスラエル戦争については、「ドイツの政府がハマスの蛮行を糾弾する一方で、イスラエル軍の蛮行を自衛権として容認するのは、二重基準の非難を免れない」としている[3]。
著作
[編集]著書
[編集]- 『ヒトラーとナチ・ドイツ』(講談社現代新書, 2015年)
- 『20世紀ドイツ史』(シリーズ・ドイツ現代史I)(白水社, 2005年)
- 『過去の克服 ヒトラー後のドイツ』(白水社, 2002年)
- Jungkonservative in der Weimarer Republik. Der Ring-Kreis 1928-1933. (Peter Lang Verlag, Frankfurt am Main 1988)
共編著
[編集]- 『想起の文化とグローバル市民社会』(福永美和子との共編著)(勉誠出版, 2016年)
- 『ジェノサイドと現代世界』(武内進一との共編著)(勉誠出版, 2011年)
- 『紛争現場からの平和構築』(城山英明、遠藤乾との共編著)(東信堂, 2007年)
- 『図説 ドイツの歴史』(河出書房新社, 2007年)
- 『ジャーナリズムと歴史認識』(凱風社, 1999年)
- 『アウシュヴィッツと<アウシュヴィッツの嘘>』(T・バスティアン、星乃治彦・芝野由和との共編著)(白水Uブックス1080)(白水社, 1995年)
史料集
[編集]論文
[編集]- 「ジェノサイドという悪夢」『人間の安全保障』(東京大学出版会、2008年)
- 「ジェノサイドと戦争」『岩波講座アジア・太平洋戦争(8) 20世紀の中のアジア・太平洋戦争』(岩波書店、2006年)
- 「アウシュヴィッツの後、現代史をいかに描くか」(『史友』青山学院大学史学会、38号、2006年)
- Wie schreibt man Zeitgeschichte nach Auschwitz?(Deutschstudien, 40, 2006)
- 「『過去の克服』と未来への責任」『砂上の障壁』(日本評論社、2005年)
- 「比較ジェノサイド研究の射程-20世紀前半の事例から」(『現代史研究』現代史研究会、40号、2004年)
- Genocide in Namibia, Turkey, Croatia and Germany: Searching for the Common Features and the Historical Connections(Comparative Genocide Studies, 1, 2004)
- Das Massaker von Nanking und die japanische Öffentlichkeit (Erinnerungskulturen. Deutschland, Italien und Japan seit 1945, Frankfurt am Main 2003)
- 「ホロコースト 強制移住の果てに」『20世紀の定義(4) 越境と難民の世紀』(岩波書店、2001年)
- 「現代ドイツの歴史論争」『歴史における「修正主義」』(青木書店、2000年)
- Der "totale Krieg" und die Verbrechen des japanischen Militärs 1931-1945,(Zeitschrift für Gechichtswissenschaft, 45/5, 1999)
- 「人種主義・戦争・ホロコースト」『岩波講座世界歴史(24) 解放の光と影』(岩波書店、1998年)
- 「ゲンシャー外交とドイツ統一」『ヨーロッパ=ドイツへの道』(東京大学出版会、1996年)
- 「シヴィリアンパワーの政治学」『文明の衝突か、共存か』(東京大学出版会、1995年)
- 「ヴァイマル共和国の崩壊と保守エリート」『現代史における戦争責任』(青木書店、1990年)
解説
[編集]- 「ジェノサイドへのアプローチ」ジェーン・スプリンガー(筑地誠子訳)『一冊で知る ジェノサイド』(原書房、2010年)
- 「スターリングラードからベルリンへ」アントニー・ビーヴァー(川上洸訳)『ベルリン陥落1945』(白水社、2004年)
- 「クレンペラーとその時代」ヴィクトール・クレンペラー(小川フンケ里美・宮崎登訳)『私は証言する ナチ時代の日記 1933-1945年』(大月書店、1999年)
訳書
[編集]- フレート・ブライナースドルファー編『「白バラ」尋問調書 「白バラの祈り」資料集』(田中美由紀との共訳)(未來社、2007年)
- イアン・カーショー『ヒトラー 権力の本質』(白水社、1998年)
- クリストフ・クレスマン『戦後ドイツ史 二重の建国 1945-1955』(木戸衛一との共訳)(未來社、1995年)
インタビュー
[編集]- 「ドイツ統一 10年を振り返る」(『歴史地理教育』、629号、2001年)
- 「過去の克服と東アジア共同体」(『法と民主主義』、391号、2004年)
- 「歴史学者に訊く ドイツの戦後補償」(『SIGHT』ロッキング・オン・ジャパン、25号、2005年)
脚注
[編集]- ^ 2015年07月25日公開ドイツが許されて日本が許されない本当の理由ビデオニュース
- ^ 石田勇治 プロフィールHMV&BOOKS online
- ^ https://globe.asahi.com/article/15216223