コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

知夫赤壁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
赤壁遊覧船から見る知夫赤壁
展望台から見る知夫赤壁
知夫赤壁の位置(島根県内)
隠岐 知夫赤壁
隠岐
知夫赤壁
隠岐知夫赤壁の位置

知夫赤壁(ちぶせきへき、ちぶりせきへき)は、島根県隠岐郡知夫村の西海岸にある高さ50~200メートルの巨大な岩石である。「あかかべ」や「あかたき」とも呼ばれている[1]

国の名勝および天然記念物大山隠岐国立公園の特別保護区に指定されている[2]

酸化鉄のためにその岩石の色が赤、茶に変色している。陸から展望台があるほか、海からも遊覧船がある[3]。隠岐ユネスコ世界ジオパークのジオサイトになっている。

地理

[編集]

知夫村の西側、仁夫・古海地区にあり、高さ50~200メートルの断崖が南北1メートルにわたり続く[4]

地質

[編集]

赤壁は昇竜岩・臥竜岩などの岩石できていて、色鮮やかになっているが[5]、噴火の際に岩石中のが酸化して大部分が赤色になっている[6]

縦に貫いている灰色のような岩は大部分が玄武岩で形成されている[7]

歴史

[編集]

成り立ち

[編集]

600万年前の噴火活動で外輪山が形成され、500万年前の噴火活動で粗面岩岩脈が形成されたとされる。約7000年前に海水準が現在と等しくなり、その後海食が進み、現在の海岸地形を形成した[8]

江戸時代

[編集]

1688年(元禄元年)発行の地誌『増補隠州記』には馬に乗った子どもが断崖から落ちたことから児落の嵩(このおちのだけ)と呼んでいたと記載がある [9]

近現代

[編集]

1934年(昭和9年)8月には文部省の嘱託によって地質学者の脇水鉄五郎が知夫村を訪れ、その後造園学者の田村剛、内務官僚の国府犀東が知夫村を訪れると、いずれも知夫湾や知夫赤壁の価値について絶賛した[10]。1935年(昭和10年)12月20日、「隠岐知夫赤壁」(おきちぶりせきへき)として国の名勝および天然記念物に指定された[11]

文化

[編集]

国府犀東

[編集]
国府犀東筆の掛け軸

国府犀東は知夫村を訪問した際に以下の漢詩を詠んでいる[12]

赤壁山頭欲夕陽
(赤壁の崖の頂は今まさに夕日があたろうとしている)
彩雲如鳳翥高岡
(夕日に赤く彩られた雲が鳳凰の様に赤壁の上を天翔けていくことよ)
元弘天子迍邅跡
(そこは後醍醐天皇が行き悩んだという旧跡に他ならない)
不看琳宮俯隠洋
(かつて後醍醐天皇が住まわれた玉の様に美しい宮殿は大海原からは隠れた状態であり、目にすることはできない)
知夫海上懐古
(知夫の海上からの景色を懐古して) — 国分犀東[12]

連続テレビ小説『だんだん』

[編集]

2009年(平成21年)2月20日から26日まで、知夫村でNHKの連続テレビ小説『だんだん』のロケが行われた[13]。ロケ中は、島民のエキストラ参加、撮影機材の搬入、昼食の炊き出しなど、村総出で撮影に協力している[14]。知夫赤壁も撮影スポットとなっている[15]

観光

[編集]

知夫赤壁は赤ハゲ山とともに、知夫村を代表する2大観光スポットである[16]

赤壁遊覧船
来居港から出航し、東回りで島を約1時間かけて1周し、終盤に赤壁を眺める遊覧船である[17]。陸から観ることが出来ない約1キロメートルに渡る赤壁の全体像を見渡せる[18]。特に夕陽の当たる時間帯の赤壁はドラマチックな姿になる[18]。ガイド付きの遊覧では、日本語以外に、フランス語英語ポルトガル語で案内、解説が出来る[17]

交通アクセス

[編集]
  • 来居港フェリーターミナルから車で約30分、駐車場から徒歩5分[19]

脚注

[編集]
  1. ^ 知夫村誌編纂委員会『新修 知夫村誌』知夫村誌編纂委員会、1996年12月1日、995頁。 
  2. ^ 大山隠岐国立公園(大山蒜山地域)区域及び公園計画図 環境省
  3. ^ 夕日に染まる赤壁 絶景知夫で試験クルーズ開始 滞在型観光掘り起こす」『山陰中央新報』2021年10月14日。2024年6月24日閲覧。
  4. ^ 『隠岐の国散歩』隠岐観光協会、199710、129頁。 
  5. ^ 島根県の歴史散歩編集委員会編『島根県の歴史散歩』山川出版社、264頁。 
  6. ^ 斎藤眞・下司信夫・渡辺真人『列島自然めぐり日本の地形・地質見てみたい大地の風景116』文一総合出版、176頁。 
  7. ^ 文化庁文化財保護部『天然記念物事典』第一法規出版株式会社、265頁。 
  8. ^ 隠岐ユネスコ世界ジオパーク推進協議会『日本のユネスコ世界ジオパーク』隠岐ユネスコ世界ジオパーク推進協議会、2017年3月、15頁。 
  9. ^ 『新隠岐島史料増補隠州記』隠岐の島町教育委員会、2020年3月、84頁。 
  10. ^ 知夫村誌編纂委員会『新修 知夫村誌』知夫村誌編纂委員会、1996年12月1日、415頁。 
  11. ^ 知夫村誌編纂委員会『新修 知夫村誌』知夫村誌編纂委員会、1996年12月1日、996頁。 
  12. ^ a b 横山彌四郎『知夫村誌』知夫村、1960年2月1日、195頁。 
  13. ^ 『広報ちぶ』知夫村、2009年3月、4頁。 
  14. ^ 『広報ちぶ』知夫村、2009年3月、2頁。 
  15. ^ 『広報ちぶ』知夫村、2009年3月、5頁。 
  16. ^ 知夫里島最高峰から眺める絶景スポット しまね観光ナビ
  17. ^ a b 「絶景赤壁案内4か国語OK」『山陰中央新報』2022年9月22日。
  18. ^ a b 絶対行きたい!知夫村の魅力スポット
  19. ^ 赤壁

参考文献

[編集]
  • 知夫村誌編纂委員会『新修 知夫村誌』知夫村誌編纂委員会、1996年
  • 横山彌四郎『知夫村誌』知夫村、1960年
  • 『新隠岐島史料増補隠州記』隠岐の島町教育委員会、2020年
  • 『隠岐の国散歩』隠岐観光協会、1997年
  • 文化庁文化財保護部『天然記念物事典』第一法規出版株式会社、1971年
  • 斎藤眞・下司信夫・渡辺真人『列島自然めぐり日本の地形・地質見てみたい大地の風景116』文一総合出版、2012年
  • 隠岐ユネスコ世界ジオパーク推進協議会『日本のユネスコ世界ジオパーク』隠岐ユネスコ世界ジオパーク推進協議会、2017年
  • 島根県の歴史散歩編集委員会編『島根県の歴史散歩』山川出版社、2008年
  • 『広報ちぶ2009年3月号』知夫村、2009年3月

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]

座標: 北緯36度0分48.4秒 東経133度0分13.2秒 / 北緯36.013444度 東経133.003667度 / 36.013444; 133.003667