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百薬の長 (椎名林檎のアルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『百薬の長』
椎名林檎リミックス・アルバム
リリース
ジャンル J-POP
時間
レーベル ユニバーサルミュージック
椎名林檎 アルバム 年表
ニュートンの林檎 〜初めてのベスト盤〜
(2019年)
百薬の長
(2022年)
放生会
(2024年)
EANコード
EAN 4988031542132
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百薬の長』(ひゃくやくのちょう)は、ユニバーサルミュージックより2022年11月30日に配信、2023年1月11日に発売された日本シンガーソングライター椎名林檎リミックス・アルバム

概要

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椎名林檎名義でアルバムをリリースするのは2019年に発売したベスト・アルバムニュートンの林檎 〜初めてのベスト盤〜』以来であり[注釈 1]、椎名としては初となるオフィシャルリミックス・アルバムとなった[2][3]。本作は国内より鯵野滑郎、石野卓球KID FRESINO岡村靖幸Ovall大沢伸一STUTS砂原良徳イギリスよりジャイルス・ピーターソン、object blue、韓国よりMiso、アメリカよりTelefon Tel Avivが参加した[2]

なお、アルバムはCDの発売・配信ともに2022年11月30日を予定していたが、後述する問題によって、CDの発売を2023年1月11日に延期し、当初の発売予定日には収録音源が配信リリースされる先行配信の形が取られた[4]

収録曲

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楽曲解説

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  1. あの世の門 ~Gate of Hades~ (Telefon Tel Aviv Version)
    原曲は2019年発売の6thアルバム『三毒史』収録曲。
  2. JL005便で ~Flight JL005~ (B747-246 Mix by Yoshinori Sunahara)
    原曲は2014年発売の5thアルバム『日出処』収録曲。
  3. ちちんぷいぷい ~Manipulate the time~ (Gilles Peterson’s Dark Jazz Remix)
    原曲は2014年発売の5thアルバム『日出処』収録曲。
  4. おとなの掟 ~Adult Code~ (object blue Pleasure Principle Remix)
    原曲は2017年発売の2ndカバー・アルバム逆輸入 〜航空局〜』収録曲。
  5. 長く短い祭 ~In Summer, Night~ (Yasuyuki Okamura 一寸 Remix)
    原曲は2015年発売の16thシングル『長く短い祭/神様、仏様』収録曲。
  6. カーネーション ~L'œillet~ (Ovall Remix)
    原曲は2011年発売の12thシングル『カーネーション』収録曲。
  7. 女の子は誰でも ~Fly Me To Heaven~ (STUTS Remix)
    原曲は2011年発売の東京事変7thシングル『空が鳴っている/女の子は誰でも』収録曲。
  8. 丸ノ内サディスティック ~Marunouchi Sadistic~ (Miso Remix)
    原曲は2009年発売の4thアルバム『三文ゴシップ』収録曲[注釈 2]
  9. 浴室 ~la salle de bain~ (Takkyu Ishino Remix)
    原曲は2000年発売の2ndアルバム『勝訴ストリップ』収録曲[注釈 3]
  10. 意識 ~Consciously~ (Shinichi Osawa Remix feat. Daoko)
    原曲は2003年発売の8thシングル『茎 (STEM) 〜大名遊ビ編〜』収録曲。
    途中のラップパートにDAOKOが客演している。
  11. 鶏と蛇と豚 ~Gate of Living~ (KID FRESINO REMIX)
    原曲は2019年発売の6thアルバム『三毒史』収録曲。
  12. いとをかし ~toogood~ (Ajino Namero Bon Voyage Remix)
    原曲は2022年発売の配信シングル『いとをかし』収録曲。
    自身のホームページにアルバム『三毒史』を丸ごとチップチューンの手法でアレンジした「ゲーミング三毒史」などをアップしてきた鯵野滑郎がリミックスを担当した[5]

楽曲クレジット

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#タイトル作詞作曲・編曲Remixed時間
1.「あの世の門 ~Gate of Hades~ (Telefon Tel Aviv Version)」  Telefon Tel Aviv
2.「JL005便で ~Flight JL005~ (B747-246 Mix by Yoshinori Sunahara)」  砂原良徳
3.「ちちんぷいぷい ~Manipulate the time~ (Gilles Peterson’s Dark Jazz Remix)」  Gilles Peterson
4.「おとなの掟 ~Adult Code~ (object blue Pleasure Principle Remix)」  object blue
5.「長く短い祭 ~In Summer, Night~ (Yasuyuki Okamura 一寸 Remix)」  岡村靖幸
6.「カーネーション ~L'œillet~ (Ovall Remix)」  Ovall
7.「女の子は誰でも ~Fly Me To Heaven~ (STUTS Remix)」  STUTS
8.「丸ノ内サディスティック ~Marunouchi Sadistic~ (Miso Remix)」  Miso
9.「浴室 ~la salle de bain~ (Takkyu Ishino Remix)」  石野卓球
10.「意識 ~Conciously~ (Shinichi Osawa Remix feat. Daoko)」  大沢伸一
11.「鶏と蛇と豚 ~Gate of Living~ (KID FRESINO REMIX)」  KID FRESINO
12.「いとをかし ~toogood~ (Ajino Namero Bon Voyage Remix)」  鯵野滑郎
合計時間:

特典グッズにまつわる問題

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本作は通常版のほかにユニバーサルミュージックの公式通販サイト限定版「UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤」が発売予定であり、限定版にはマスクとマスクケースがセットになった「夢語りマスク」、ミニ巾着ポーチである「これっポーチ」、アクリル・カードケースである「諸々券ケース」が付属予定であった[2][3]。しかし、アップされた画像のグッズのデザインにおいて、アクリルカードケースが「義足人工関節を使用している人、内部障害難病の人、または妊娠初期の人など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている人々が、援助を受けやすくするため」に使用される「ヘルプマーク」に酷似していること、マスクケースに「赤十字マーク」のような柄があることが発売発表の翌日である10月8日頃からTwitterを中心に問題となった[6][7][8]

ヘルプマークに関しては著作権と商標権を保有している東京都が販売や利益目的の使用は認めていないため、10月14日にユニバーサルミュージックに対してグッズの取り扱い等について対応の要請を行い[9][10][11][12]、赤十字マークに関してはジュネーブ条約において紛争地域等で赤十字標章を掲げている病院や救護員などには絶対に攻撃を加えてはならないと厳格に定められており、『赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律』で名称等や使用に関して規定があることから赤十字マークは赤十字社自衛隊の衛生部隊など、法律に基づいて認められている組織だけが使用でき、一般の病院や商品等に付けることは法律等により禁止されており[13]日本赤十字社広報室も取材に「この度のグッズ制作にあたり、事前にレコード会社から弊社あてのご連絡やご相談はいただいておりませんでした」と説明した[14]

こうした問題を踏まえて、10月10日にユニバーサルミュージックは「特典グッズに関しまして、多くの皆さまから頂きましたご意見を踏まえ、弊社内で協議しております」とコメントを発表し[15][16]10月18日にはグッズの内容やデザインは社内で企画検討したものであり、「デザインについて改めて弊社で検証しましたところ、法令の確認を含めた各種チェックが不十分であったこと、また、日本赤十字社及び東京都福祉保健局からも各マークの使用規定などについてご指導を頂きました」としたうえで、「ヘルプマークをご利用の皆様、その普及に努められている皆様には、ご不安・ご不快な思いを抱かせてしまいましたことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪をし、グッズデザインの改訂およびCDの発売を延期することを発表した[17][18][19][20]11月1日にはユニバーサルミュージックがあらためて経緯の説明を行い、グッズは会社が独自に企画立案し、制作したもので、椎名が参画・監修した制作物ではないと説明した上で、「これがアーティスト自身の発案によるデザインであるという根拠のない噂を生んでしまったことで、椎名林檎のクリエイティビティや信念を傷つける事態を引き起こしてしまいました」「今回の事態は、弊社のコンプライアンス/倫理認識の至らぬ結果であり、この事実を深く反省し、事態を引き起こした原因・責任を負うものとして認識しております」と謝罪し、今後は制作物に対するチェック体制、社員向けのコンプライアンス、倫理教育を見直し、再発防止につとめると説明を行った[21][22][23]

脚注

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注釈

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  1. ^ 椎名がメンバーとして活動している東京事変を含めると2021年に発売したベスト・アルバム『総合』以来である[1]
  2. ^ 大元の原曲は1999年発売の1stアルバム『無罪モラトリアム』収録曲であるが、リミックスで使用されている曲は『丸ノ内サディスティック (EXPO Ver.)』である[5]
  3. ^ リミックスで使用されている歌詞は2003年発売の9thシングル『りんごのうた』に収録されている『la salle de bain』である[5]

出典

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  1. ^ “東京事変、初めてのオールタイムベストアルバム「総合」とMV集リリース決定”. 音楽ナタリー. (2021年10月8日). https://natalie.mu/music/news/448416 2022年11月30日閲覧。 
  2. ^ a b c “椎名林檎の初リミックスアルバムに石野卓球、岡村靖幸、フレシノ、STUTS、砂原良徳、大沢伸一ら参加”. 音楽ナタリー. (2022年10月7日). https://natalie.mu/music/news/496656 2022年11月30日閲覧。 
  3. ^ a b “椎名林檎、初のリミックスアルバム『百薬の長』リリース 鯵野滑郎、石野卓球、KID FRESINO、岡村靖幸ら国内外から12組参加”. リアルサウンド. (2022年10月7日). https://realsound.jp/2022/10/post-1148016.html 2022年11月30日閲覧。 
  4. ^ “椎名林檎リミックスアルバムの発売日が確定、新生「丸の内サディスティック」MV公開”. 音楽ナタリー. (2022年11月11日). https://natalie.mu/music/news/500909 2022年11月30日閲覧。 
  5. ^ a b c “椎名林檎 リミックスアルバム『百薬の長』ライナーノーツ”. https://sp.universal-music.co.jp/ringo/hyakuyakunochou/ 2022年11月30日閲覧。 
  6. ^ “ヘルプマーク、赤十字マークに酷似した椎名林檎グッズに「誤認を招く」「やめてほしい」と批判の声続出 アルバム限定版に付属”. ねとらぼ (アイティメディア). (2022年10月8日). https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2210/08/news074.html 2022年11月30日閲覧。 
  7. ^ 恩田雄多 (2022年10月8日). “椎名林檎のグッズに批判、ヘルプマークに酷似 障がい者男性「誤解への不安大きい」”. KAI-YOU.net (KAI-YOU). https://kai-you.net/article/84991 2022年11月30日閲覧。 
  8. ^ Taka (2022年10月9日). “椎名林檎の〝ヘルプマークそっくり騒動〟東京都福祉保健局は「対応を検討」”. ガジェット通信 (東京産業新聞社). https://getnews.jp/archives/3348015 2022年11月30日閲覧。 
  9. ^ “椎名林檎の〝ヘルプマークそっくり騒動〟東京都福祉保健局は「対応を検討」”. 東スポWEB (東京スポーツ). (2022年10月11日). https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/241645 2022年11月30日閲覧。 
  10. ^ “椎名林檎が〝ヘルプマーク酷似〟グッズで炎上! 都も対応協議、背景に時代錯誤”. 東スポWEB (東京スポーツ). (2022年10月12日). https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/241672 2022年11月30日閲覧。 
  11. ^ “椎名林檎〝ヘルプマーク酷似〟グッズに東京都が是正要請へ”. 東スポWEB (東京スポーツ). (2022年10月14日). https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/241945 2022年11月30日閲覧。 
  12. ^ 本多由佳 (2022年10月15日). “椎名林檎さんグッズ、ヘルプマークとそっくり? 東京都が対応求める”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). https://www.asahi.com/articles/ASQBG7FDJQBGOXIE044.html 2022年11月30日閲覧。 
  13. ^ “椎名林檎グッズで炎上した「ヘルプマーク」問題 過去には『ポケモン』でも自粛騒ぎ”. 東スポWEB (東京スポーツ新聞社). (2022年10月17日). https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/242154 2022年11月30日閲覧。 
  14. ^ “椎名林檎のアルバム特典グッズが「赤十字マーク」「ヘルプマーク」酷似で炎上!日本赤十字社は「事前の連絡はない」”. 週刊女性PRIME (主婦と生活社). (2022年10月14日). https://www.jprime.jp/articles/-/25467?display=b 2022年11月30日閲覧。 
  15. ^ “椎名林檎グッズがヘルプマーク、赤十字マークに酷似で物議 販売元「多くの意見を踏まえ、弊社内で協議中」”. ねとらぼ (アイティメディア). (2022年10月10日). https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2210/10/news063.html 2022年11月30日閲覧。 
  16. ^ “椎名林檎の特典グッズ「対応を協議中」と発表。「ヘルプマーク」「赤十字マーク」に酷似”. CINRA. (2022年10月11日). https://www.cinra.net/article/202210-briefing-sheenaringo_skkskcl 2022年11月30日閲覧。 
  17. ^ 増田雄三 (2022年10月18日). “「ヘルプマーク」「赤十字マーク」に酷似した椎名林檎グッズ、デザインの改訂とCD発売延期を発表”. ねとらぼ (アイティメディア). https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2210/18/news123.html 2022年11月30日閲覧。 
  18. ^ “椎名林檎の特典グッズは「デザイン改訂」。ヘルプマーク使用者への謝罪も”. CINRA. (2022年10月18日). https://www.cinra.net/article/202210-briefing-sheenaringo_skkskcl2 2022年11月30日閲覧。 
  19. ^ 都築陵佑 (2022年10月18日). “椎名林檎「ヘルプマーク」酷似のグッズがデザイン変更 アルバムは発売延期”. KAI-YOU.net (KAI-YOU). https://kai-you.net/article/85054 2022年11月30日閲覧。 
  20. ^ 國崎万智 (2022年10月18日). “「ヘルプマークに酷似」と波紋、椎名林檎さんグッズのデザイン改訂を発表。「チェックが不十分」と謝罪”. ハフポスト (BuzzFeed Japan). https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_634e24d0e4b03e8038d749fa 2022年11月30日閲覧。 
  21. ^ “「ヘルプマーク」酷似の椎名林檎グッズめぐりユニバーサルミュージック謝罪 椎名さんの参画ないと説明”. ねとらぼ (アイティメディア). (2022年11月1日). https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2211/01/news198.html 2022年11月30日閲覧。 
  22. ^ 國崎万智 (2022年11月2日). “「ヘルプマーク」酷似の椎名林檎さんグッズ、本人の「参画・監修なし」と販売元が説明【発表全文】”. ハフポスト (BuzzFeed Japan). https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6361ae30e4b045895a977922 2022年11月30日閲覧。 
  23. ^ ゆうき (2022年11月3日). “椎名林檎にユニバーサル ミュージックが謝罪 ヘルプマーク酷似グッズは自社企画”. KAI-YOU.net (KAI-YOU). https://kai-you.net/article/85193 2022年11月30日閲覧。 

外部リンク

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