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がか座

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
画架座から転送)
がか座
Pictor
Pictor
属格 Pictoris
略符 Pic
発音 [ˈpɪktər]、属格:/pɪkˈtɔərɨs/
象徴 イーゼル
概略位置:赤経  04h 32m 52.3s -  06h 52m 02.7s[1]
概略位置:赤緯 -42.80° - -64.15°[1]
広さ 247平方度[2]59位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
15
3.0等より明るい恒星数 0
最輝星 α Pic(+3.30
メシエ天体 無し
確定流星群 無し
隣接する星座 ちょうこくぐ座
りゅうこつ座
はと座
かじき座
とも座
とびうお座
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がか座(がかざ、画架座、Pictor)は、現代の88星座の1つ。18世紀半ばに考案された新しい星座で、イーゼル(画架)をモチーフとしている[注 1]。日本では北大東村以南で全体を見ることができるが、領域が狭く明るい星もないことから目立たない星座である。

主な天体

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恒星

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ハッブル宇宙望遠鏡によるがか座β星と原始惑星系円盤の撮像。

2022年4月現在、国際天文学連合 (IAU) が認証した固有名を持つ恒星は1つもない[3]

星団・星雲・銀河

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チャンドラX線天文台のX線観測データとオーストラリア望遠鏡コンパクトアレイの電波観測データを合成した「がか座A」の画像。銀河間空間に光速に近い速さで吹き出すジェットが確認できる。

由来と歴史

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1756年に刊行されたラカーユの南天の星図に描かれたがか座。

がか座は、18世紀中頃にフランスの天文学者ニコラ・ルイ・ド・ラカーユによって考案された。1756年に刊行された『Histoire de l'Académie royale des sciences』に掲載されたラカーユの星図の中で、画架とパレットがセットとなった姿と「画架とパレット」という意味の「le Chevalet et la Palette」という名称が描かれたのが初出である[11][12][13]。のちの1763年にラカーユが刊行した著書『Coelum australe stelliferum』に掲載された第2版の星図では、ラテン語化された「Equuleus Pictorius」と呼称が変更されている[11][14]1801年ヨハン・ボーデが刊行した『ウラノグラフィア』では、「画家の棚」という意味の「Pluteum Pictoris」と記載された。

1844年にイギリスの天文学者ジョン・ハーシェルは、フランシス・ベイリー宛の書簡の中で、Equuleus Pictorius を「Pictor」と短縮することを提案した[11][15]。それを受けたベイリーが、翌年の1845年に刊行した『British Association Catalogue』において「Pictor」と改めたことにより、以降この呼称が定着することとなった[11]

1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Pictor、略称はPicと正式に定められた[16]。新しい星座のため星座にまつわる神話や伝承はない。

呼称と方言

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明治期より「畫架[注 2]」のちに「画架」という訳名が使われており、明治末期以降数度行われた星座の訳名見直しでも他の呼び名が採用されることはなかった[17][18][19]。漢字の読みは一貫して「ぐゎか」または「がか」とされているが、1928年(昭和3年)に天文同好会の編集により新光社から刊行された『天文年鑑』の第2号では「ゑかけ」という読みで紹介されていた[20]。これについて天文年鑑の編集に携わっていた山本一清は、東亜天文学会の会誌『天界』1934年8月号の「天文用語に關する私見と主張 (3)」という記事の中で耳に聞いただけでは解りかねる日本語や,漢語萬能時代の夢よりさめて,純粹な日本語(耳で聞いただけで解る日本語)を採用するといふ意味の撤底に於いて,一般に賛成して頂けるものだと思ふ.[21]としており、自らが妥当と考える星座名の一覧でも「ゑかけ(畫架)」という邦訳を充てていた[22]

脚注

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注釈

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  1. ^ Pictorラテン語で「画家」を意味する言葉だが、モチーフは「画家」ではなく「画架」である
  2. ^ 「畫」は「画」の旧字体。

出典

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  1. ^ a b The Constellations”. 国際天文学連合. 2023年1月7日閲覧。
  2. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  3. ^ IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2023年1月7日閲覧。
  4. ^ "alp Pic". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月20日閲覧
  5. ^ "bet Pic". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月20日閲覧
  6. ^ Planet beta Pic b”. The Extrasolar Planets Encyclopaedia (2022年7月7日). 2023年1月7日閲覧。
  7. ^ Planet beta Pic c”. The Extrasolar Planets Encyclopaedia (2021年9月25日). 2023年1月7日閲覧。
  8. ^ "HD 33793". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月20日閲覧
  9. ^ Planet Kapteyn's b”. The Extrasolar Planets Encyclopaedia (2019年6月14日). 2023年1月7日閲覧。
  10. ^ Planet Kapteyn's c”. The Extrasolar Planets Encyclopaedia (2021年4月11日). 2023年1月7日閲覧。
  11. ^ a b c d Ridpath, Ian. “Star Tales - Pictor”. 2022年11月19日閲覧。
  12. ^ Ridpath, Ian. “Lacaille’s southern planisphere of 1756”. Star Tales. 2023年1月7日閲覧。
  13. ^ Histoire de l'Académie royale des sciences” (フランス語). Gallica. 2023年1月7日閲覧。
  14. ^ Coelum australe stelliferum / N. L. de Lacaille”. e-rara. 2023年1月7日閲覧。
  15. ^ “Extract (translated) from a letter from Professor Bessel to Sir J. F. W. Herschel, Bart. dated Königsberg, January 22, 1844”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society (Oxford University Press (OUP)) 6 (5): 62-64. (1844). Bibcode1844MNRAS...6...62.. doi:10.1093/mnras/6.5.62. ISSN 0035-8711. 
  16. ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2023年1月5日閲覧。
  17. ^ 星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、11頁、ISSN 0374-2466 
  18. ^ 学術研究会議 編「星座名」『天文術語集』1944年1月。doi:10.11501/1124236https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1124236 
  19. ^ 星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、13頁、ISSN 0374-2466 
  20. ^ 天文同好会 編『天文年鑑』2号、新光社、1928年6月、3-6頁。doi:10.11501/1138377https://dl.ndl.go.jp/pid/1138361/1/7 
  21. ^ 山本一清天文用語に關する私見と主張 (3)」『天界』第14巻第161号、東亜天文学会、1934年8月、406-411頁、doi:10.11501/3219882ISSN 0287-6906 
  22. ^ 山本一清天文用語に關する私見と主張 (4)」『天界』第14巻第162号、東亜天文学会、1934年9月、447-451頁、doi:10.11501/3219883ISSN 0287-6906 

座標: 星図 05h 00m 00s, −50° 00′ 00″