生物多様性オフセット
表示
生物多様性オフセット(せいぶつたようせい-)とは、人間活動が生態系に与えた影響を、その場所とは異なる場所に多様性を持った生態系を構築することにより、補償する環境活動である。英単語"offset"(補償・代償・相殺)を翻訳することなく、カーボンオフセットと同様に仮名書きする。
1950年代にアメリカ合衆国・ドイツで代償ミティゲーション・代償手段と呼ばれたものと、ほぼ同等の概念である[1][2][3]。これはミティゲーションの一種であり、他のミティゲーション手法によっても回避できない損失の回復・代償として行われる行為である[1][3][4]。ノーネットロスとすることが原則である。さらにミティゲーションに踏み込み、環境改善超過分を数量化および証券化するミティゲーション・バンキング(いわば二酸化炭素排出量取引の生物多様性・生態系版)もなされている。一方で、かけがえのない環境を金銭で売り渡すかのような仕組みに対し、批判的な意見もある。また、オフセット制度があたかも免罪符のようになり、かえって開発行為を助長することにつながるのではとの懸念もある。
脚注
[編集]関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 田中章研究室(ランドスケープ・エコシステムズ研究室)(公式サイト)
- EICネット
- 「代償ミティゲーション」
- 「ミティゲーション」(environmental mitigation, 意訳:環境損害緩和)
- 「ノー・ネット・ロス原則」(意訳:実質的損害回避原則)
- 「ミティゲーション・バンキング」(mitigation banking)
- 田中章・大田黒信介 (2008年9月). “諸外国における自然立地のノーネットロス政策の現状” (pdf). 2008年度環境アセスメント学会研究発表会要旨集. pp. 47-51ページ. 2009年5月22日閲覧。
- 田中章 (1999年3月). “米国の代償ミティゲーション事例と日本におけるその可能性” (pdf). ランドスケープ研究 Vol.62 No.5. pp. 581-586ページ. 2010年10月18日閲覧。
- 田中章 (2012年). “米国宅地開発の環境アセスメントにおける生物多様性保全-ミティゲーション・シークエンスと代償ミティゲーション-” (pdf). 日本不動産学会誌, Vol.26, No.3. pp. 93-100ページ. 2013年2月24日閲覧。
- 田中章 (2011年). “生物多様性オフセット制度化の国際的広がりと今後の課題:CBD COP10での動向を含めて” (pdf). 東京都市大学環境情報学部紀要,第十二号. pp. 27-32ページ. 2013年2月24日閲覧。
- 田中章 (2011年). “緑の生物多様性オフセット入門─個人的経験から─”. 海外情報誌ARDEC,財団法人日本水土総合研究所,Vol.44. pp. 34-38ページ. 2013年2月24日閲覧。
- 田中章 (2010年). “ミティゲーション・バンキングによるウェットランド等の生態系保全―米国の生物多様性オフセットの経済的手法:生物多様性バンキングの実態―” (pdf). 水環境学会誌,Vol.33(A),No.2. pp. 54-57ページ. 2013年2月24日閲覧。
- 田中章 (2010年). “里山のオーバーユースとアンダーユース問題を解決する“SATOYAMAバンキング”─生物多様性バンキング・戦略的環境アセスメントと里山保全の融合” (pdf). 環境自治体会議,環境自治体白書2010年版. pp. 47-51ページ. 2013年2月24日閲覧。
- 田中章 (2009年). ““生物多様性オフセット”制度の諸外国における現状と地球生態系銀行,“アースバンク”の提言” (pdf). 環境アセスメント学会誌,Vol.7,No.2. pp. 1-7ページ. 2013年2月24日閲覧。
- 田中章 (2009年). “生物多様性オフセットと評価方法” (pdf). 環境監査研究会18周年記念シンポジウム基調講演論文. pp. 1-15ページ. 2013年2月24日閲覧。
- 田中章 (2009年). “生物多様性オフセットの国際潮流” (pdf). 日経エコロジー,121号. pp. 97ページ. 2013年2月24日閲覧。