玉亭型揚陸艦
玉亭型揚陸艦 (072-II / III型) | |
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基本情報 | |
種別 | 大型揚陸艦 (LST) |
運用者 | 中国人民解放軍海軍 |
就役期間 | 1991年 - 現在 |
建造数 |
072-II型:10隻 072-IIA型(072-III型):15隻 |
前級 | 玉坎型 (072型) |
次級 | 最新 |
要目 | |
常備排水量 | 3,430トン |
満載排水量 | 4,877トン |
全長 | 119.50 m |
最大幅 | 16.40 m |
吃水 | 2.80 m |
主機 | SEMT ピルスティク12PA6 280MPCディーゼルエンジン×2基 |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
出力 | 9,490馬力 |
速力 | 18ノット |
航続距離 | 3,000海里 (14ノット巡航時) |
乗員 | 104名 |
兵装 |
H/PJ-76F 37mm連装機銃×3基 ※玉庭II型では1基のみ |
搭載機 | ヘリコプター甲板 |
搭載艇 |
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レーダー |
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玉亭型揚陸艦(玉庭型とも; ユティンがたようりくかん、英語: Yuting class landing ships)は、中国人民解放軍海軍の大型揚陸艦(戦車揚陸艦)の艦級に対して付与されたNATOコードネーム。人民解放軍海軍での名称は、前期型(玉亭I型)については072-II型大型揚陸艦(中国語: 072-II型大型登陆舰)[1][2]、後期型(玉亭II型)については072-IIA型大型揚陸艦(中国語: 072-IIA型大型登陆舰)[1]や072-III型大型揚陸艦(中国語: 072-III型大型登陆舰)[2][3][4]と異なる見解がある。
玉亭I型 / 072-II型
[編集]基本的には、先行する072型(玉坎型)の発展型であり、艦首を海岸に擱座して兵員・車両を揚陸することを前提に設計されている。このため、艦首部には観音開きの門扉(バウ・ドア)とその中にバウ・ランプを有している。
072型とくらべて、全長は同じだが、幅を増すことにより満載排水量にして1,000トン以上大型化しており、輸送能力の向上をはかっている。搭載余面は810 m2、積載量500トンとされており、水陸両用戦車10両を搭載できる。また揚陸部隊として海軍陸戦隊250名が乗艦できる[1]。
艦尾にはウェルドックを備えており、水陸両用車や724型エアクッション揚陸艇の発進・収容に用いることができる(単なるランプドアのみで注水不能との説もある[5])。このほか、煙突両舷にLCVP上陸用舟艇を少なくとも2隻、最大4隻搭載できる。またドック上方にはヘリコプター甲板を設けているが、ハンガーは備えていない。なお航空艤装と引き換えに、武装はやや簡易化されている[1]。
玉亭II型 / 072-IIA(072-III型)
[編集]排水量は072II型と同様だが、全長を130メートルに増す一方で幅を16メートルに狭めて、造波抵抗の軽減を図っている。また主船体の乾舷を高め、船首楼も延長されている。
バウドアの後端下部からナックルが船首楼まで設けられていることから、水線下の形状も変更されていると見られている[5]。
外見上での最大の特徴が、上甲板とヘリコプター甲板を同一レベルとして、艦橋構造物内を全通する車両用のトンネル通路によって連絡したことである。これにより、必要に応じてヘリコプター甲板にも車両を露点係止するなど、運用上の柔軟性が向上した。なおこれに伴い、艦橋構造物は全幅いっぱいに広げられている[5]。
レールガンと思われる巨大な砲塔を艦首に搭載した写真が2018年に撮影され[6]、2019年1月5日に環球時報は中国中央電視台(CCTV)を引用しながら艦載レールガンを近く実戦配備すると報じた[7][8]。また、30日には米CNBCが米情報機関の関係筋の話として中国でのレールガンの開発は2011年に初めて確認されており、2017年末に艦載化に成功し、2023年までに洋上試験が完了する見通しであると報じた[9]。
同型艦一覧
[編集]設計 | 艦番号 | 艦名 | 就役 | 退役 | 配備先 | 備考 |
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072-II型 /玉亭I型 |
991 | 峨眉山 (E'meishan) |
1992年 9月 |
南海艦隊 | ||
934 | 丹霞山 (Danxiashan) |
1995年 9月 |
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935 | 雪峰山 (Xuefengshan) |
1995年 12月 |
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936 | 海洋山 (Haiyangshan) |
1996年 5月 |
2014年 6月 |
2014年に中国海警局に移管されて 「拖25」として再就役、後に「警医01」と改称 | ||
937 | 青城山 (Qingchengshan) |
1996年 8月 |
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908 | 雁蕩山 (Yandanshan) |
1997年 1月 |
東海艦隊 | |||
909 | 九華山 (Jiuhuashan) |
2000年 4月 |
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939 | 普陀山 (Putuoshan) |
2000年 8月 |
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910 | 黄崗山 (Huanggangshan) |
2001年 12月 |
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940 | 天台山 (Tiantaishan) |
2002年 4月 |
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072-IIA型 (072-III型) /玉亭II型 |
913 | 八仙山 (Baxianshan) |
2003年 10月 |
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911 | 天柱山 (Tianzhushan) |
2003年 | 北海艦隊 | |||
992 | 華頂山 (Huadingshan) |
2003年 | 南海艦隊 | |||
993 | 羅霄山 (Luoxiaoshan) |
2003年 1月 |
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912 | 大青山 (Daqingshan) |
2004年 | 北海艦隊 | |||
994 | 戴雲山 (Daiyunshan) |
2004年 | 南海艦隊 | |||
995 | 万羊山 (Wanyangshan) |
2004年 | ||||
996 | 老鉄山 (Laotieshan) |
2005年 | ||||
997 | 雲霧山 (Yunwushan) |
2005年 | ||||
981 | 大別山 (Dabieshan) |
2015年 5月23日 |
東海艦隊 | |||
982 | 太行山 (Taihangshan) |
2015年 10月22日 |
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916 | 天目山 (Tianmushan) |
2016年 1月12日 |
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914 | 武夷山 (Wuyishan) |
2016年 3月7日[10] |
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915 | 徂徠山 (Culaishan) |
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917 | 五台山 (Wutaishan) |
参考文献
[編集]- ^ a b c d Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 128-129. ISBN 978-1591149545
- ^ a b Stephen Saunders (2015). Jane's Fighting Ships 2015-2016. IHS. p. 154. ISBN 978-0710631435
- ^ 佐々木俊也「着上陸能力 (特集 中国海軍 2015) -- (中国海軍の能力を探る)」『世界の艦船』第816号、海人社、2015年5月、96-99頁、NAID 40020406578。
- ^ 「写真特集 今日の中国軍艦」『世界の艦船』第816号、海人社、2015年5月、31頁、NAID 40020406561。
- ^ a b c 「揚陸艦艇 (特集・中国海軍の新型艦艇) -- (注目の中国新型艦艇)」『世界の艦船』第686号、海人社、2008年2月、96-99頁、NAID 40015771006。
- ^ “中国海軍がレールガンの艦載に成功”. TechCrunch (2019年1月5日). 2021年8月2日閲覧。
- ^ “中国軍艦艇、「電磁レールガン」搭載近付く 国営紙”. CNN (2019年1月5日). 2021年8月2日閲覧。
- ^ “中国が軍艦にレールガンを配備。でも運用はまだ先?”. ギズモード (2019年1月15日). 2021年8月2日閲覧。
- ^ “中国が今月、艦船搭載レールガンの試験 2025年に実戦配備へ 米報道”. 産経ニュース (2019年1月31日). 2021年8月2日閲覧。
- ^ 中国海军三艘新型两栖坦克登陆舰同时入列、中華網、2016年3月9日閲覧
外部リンク
[編集]ウィキメディア・コモンズには、玉亭型揚陸艦に関するカテゴリがあります。