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「東急2020系電車」の版間の差分

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| 自重 =
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| 全長 = 先頭車:20,470 mm<br>中間車:20,000 mm
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| 車体幅 = 2,788 mm
| 全幅 = 2,826 mm(側灯幅)
| 全幅 = 2,826 mm(側灯幅)
| 全高 = 4,046 mm
| 全高 = 4,046 mm

2024年1月14日 (日) 02:37時点における版


東急2020系電車
(共通事項)
東急2020系電車
(2021年8月 幸手駅 - 南栗橋駅間)
基本情報
運用者 東京急行電鉄 →
東急電鉄
製造所 総合車両製作所
横浜事業所・新津事業所
主要諸元
軌間 1,067 mm(狭軌
電気方式 直流1500 V
架空電車線方式
最高運転速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 4.0 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
全長 先頭車:20,470 mm
中間車:20,000 mm
全幅 2,826 mm(側灯幅)
車体幅 2,778 mm[2]
全高 4,046 mm
車体高 3,620 mm
床面高さ 1,130 mm
車体 軽量ステンレスsustina
台車 軸梁式ボルスタレス台車
TS-1041(動台車)
TS-1042・TS-1042A(付随台車)
固定軸距 2,100 mm
主電動機 かご形三相誘導電動機
全閉外扇形 TKM-18[1]
(東芝形式SEA-446)
主電動機出力 140 kW[1]
駆動方式 WNドライブ
歯車比 99:14(7.07)
制御方式 MOSFET-VVVF(フルSiC
制御装置 三菱電機
MAP-144-15V317[1]
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(HRDA-2)
全電気ブレーキ
保安装置 ATC-P
テンプレートを表示

東急2020系電車(とうきゅう2020けいでんしゃ)は、2018年(平成30年)3月28日に営業運転を開始した[3]東急電鉄通勤形電車である。

本項では、田園都市線用の2020系電車のほか、大井町線用の6020系電車目黒線東急新横浜線用の3020系電車についても記述する。

概要

2020年東京オリンピックが開催されることや、2022年東急が創立100年を迎えることから、沿線の街や駅と調和する車両とすることを目的に命名・導入された[4][5]

JR東日本E235系電車をベースとしており、製造は総合車両製作所横浜事業所と総合車両製作所新津事業所が担当、新津事業所での製造は東急電鉄の車両としては初となる。

田園都市線向けの2020系のほか、大井町線向けの6020系、目黒線・東急新横浜線向けの3020系の3系列が存在する。

車両概説

デザインは、多摩田園都市などの「街づくり」を起源に持つ東急電鉄らしさを意識したものとしており、監修は東急線沿線の商業施設のデザインなどを手がけている丹青社が担当した[6][7]。沿線の街や駅との親和性を高め、利用者に親しみを持ってもらうとともに、「これまでにない新しさを感じていただけるような外観、車内空間」を目指しており、コンセプトカラーに「INCUBATION WHITE」(美しい時代へ孵化していく色)を使用した。先頭車前面から車体側面上部にかけて、導入線区の路線カラーとともに配置されている。丸みのある先頭形状は、やわからみのある顔をイメージしたものである[7]

車体

車体は、総合車両製作所の軽量ステンレス車体のブランドであるsustina(サスティナ)を採用しており、「sustina S24シリーズ」の、車体長20メートルの4ドアステンレス車として製造された[8]レーザー溶接の積極的な採用、骨組の軽量化などで、アルミ車体と同等の車体軽量化を図ったほか、車両外観の溶接痕を減らし、水密性の向上も図っている。オフセット衝突対策として、隅柱の一部に断面45度で切り取ったような位置に補強を追加しており、これにより、オフセット衝突時において、互いの車両に離反する力を発生させ、外板の剥離を防いで客室の損傷を軽減することができる。また前面衝突対策として、運転台前面に衝撃吸収用のハニカム材を配置して、先頭車と中間車の間に衝撃吸収緩衝器を組込むことにより、衝突エネルギーの吸収と生存区間の確保を図っている。客室扉のドア間隔はホームドアの開口範囲に合うように4,820 mmとしており、窓の構成は固定窓と下降窓の組み合わせとしている。

前頭部は鋼材の骨組みで構成し、これをFRP成形品で覆う構造としている[9]前照灯はLED照明を使用しており、前照灯は前面下部に4灯と、ハイビーム時は加えて前面上部に2灯の計6灯とし、夜間時での視認性の向上を図っている[9]。先頭車の屋根上には、列車無線アンテナ逆L型アンテナ)のほかに、後述するINTEROSによる通信にも使用されるWiMAXアンテナを設置している[10]

床下の側面非常ハシゴも引き続き設置され、本系列では両先頭車と各付随車に設置される。先頭車は運転台側向き、付随車は1号車向きとなっている。

内装

インテリアデザインは、東急沿線の風景をイメージした座席や照明も含めた車内全体のカラーコーディネートにこだわり、親しみやすさと心地よさを感じるデザインとしている。座席表地には龍村美術織物製のものが使用されている[11]

腰掛は、5000系の2015年度増備車で採用されたハイバック仕様のロングシートとなっているが、ヘッドレストは省略された[注 1][12]。座席は基本的に扉間が7人掛け、車端が3人掛けであるが、2020系の2130F以降においては4・5・8号車の扉間の座席が6人掛けとなっている[12]

車椅子スペースは各車両に一か所ずつ(2号車は2か所[10])設置した。先頭車は連結面寄り、2号車は両端、他の中間車は上り方、いずれも向かって右側に配置されており、車内外の壁面には車椅子マークとベビーカーマークを掲出、2020年頃より床面への掲出も始まった。また車椅子でない方も利用しやすいように、側面の窓に2段の手すりと妻面に腰当を設置した。

車端部の3人掛け座席は全て優先席とされ、先頭車は1両あたり3席、2号車は6席、他は9席が用意される。また、各妻面上部に防犯カメラを設置している。

側引戸の鴨居部には17インチの車内案内表示器を2基設置しており、右側は停車駅表示案内の他、行先情報・ドアの開方向情報・乗り換え案内・乗車マナーなどについて表示する(左側は「TOQビジョン」)。客室扉の内側は、混雑時に扉が開く際に戸袋に荷物などが引き込まれるのを防止するため、素材に表面が滑りやすい素材を採用した。妻引戸の戸閉装置は5000系の重力式から、ゼンマイの力でゆっくりと戻る方式に変更している。

枕木方向のつり手棒は側面天井部と接続をすることにより、ロールバーの補強構造を構成して、側面衝突に対する車両変形量の抑制を図っている。

天井の客室灯には40 W相当のLED照明を採用したほか、つり手棒の配置変更に合わせて配置の見直しを行い、従来より数を2灯ほど減少させている(中間車は22灯、先頭車は20灯)が、架線停電時に備えて蓄電池からの電力で点灯する予備灯を、中間車では11灯、先頭車は10灯へと増加させている。

乗務員室

乗務員室は、前面ガラスの面積を広げて視界の拡大を図っており、主幹制御器はワンハンドルマスコンを運転台中央に配置した。その前方に2つのモニター装置が配置されている。モニター装置はE235系で使用されているINTEROSの導入により、計器・表示灯類などの情報集約を進めており、これにより計器・表示灯類などをモニター装置で表示することが可能となっている。また、現状では相互乗り入れの際に各社の車両においてその機器配置が異なり、乗務員の取扱いの負担が重いことを考慮して、東京地下鉄(東京メトロ)・東武鉄道西武鉄道の関係者と運転台共通化の協議を行い[13]、それに合わせて相互乗り入れする各社が保有している車両との仕様共通化を行った。その他の乗り入れ線区や本車を導入しない他の東急線の車両の仕様も参考にしている。乗務員が扱う機器ついては、設計完了後にモックアップを作成して、集められた各現業職員との間で取付け高さとボタンの形状と操作感などの検証を行ない、修正している[13][14]

主要機器

主制御器は、300系以来となる三菱電機製を採用し、SiC-MOSFETとSiC-SBDを組み合わせた、フルSiCパワーモジュールを用いた2レベル式VVVFインバータ制御装置(MAP-144-15V317形)を搭載しており、1台の制御装置で主電動機4台を制御する1C4M方式としている[10]。高速度域まで多パルスのスイッチングを行うため、主電動機の損失を低減させて省エネルギー性能を向上させており、従来の8500系と比べて半分程度の電力で走行できるようになっている。

主制御器を各電動車に搭載する単独M方式とされるが、M1(A・B)とM2(A・B)はユニットに近い構成となっており、集電装置と高速度遮断器はM1側に集約されている。またSIVはM2に搭載されるが、SIV断流器はM1に搭載されている。

主電動機は、東芝[10]のTKM-18(東芝形式SEA-446)形全密閉外扇式三相かご形誘導電動機(定格電流108 A、定格周波数80 Hz、定格出力140 kW、定格回転数2,380 rpm)を採用しており、熱交換により冷却を行う方式であるため、メンテナンス頻度の低減が図られている。

制動方式は、回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ方式としており、INTEROSの編成ブレーキ力管理システムからのブレーキ指令により、編成全体で応荷重制御・電空協調制御・回生ブレーキを優先する遅れ込め制御を行うことで、省エネルギー運転と空気ブレーキ制輪子(ブレーキシュー)の摩耗量の低減が図られている。

また、常用ブレーキを従来の7段ステップ制御から8段ステップ制御とし、8段ステップは減速度を4.0 km/h/sとすることで、回生ブレーキが安定しない時や雨天時と降雪時などで安定した制動力が得られるようにしている。また、降雪時での減速度低下時のバックアップとして非常ブレーキ時の回生補足機能を新たに追加している。これは、従来の非常ブレーキ作動時には、すべて空気ブレーキで作動して回生ブレーキは使用されないが、この機能では、非常ブレーキ作動時には、INTEROSで減速度の演算を行い、一定の減速度低下が計測された場合には、回生ブレーキを補足で使用するものであり、降雪時でのさらなる安全性を図っている。

補助電源装置は、IGBT素子を使用した3レベル方式の富士電機[10](CDA175形)静止形インバータ(SIV)であり、出力は三相交流440 V、260 kVAである。整流装置は補助電源装置とは別に搭載しており、出力は直流100 Vである。また各車に変圧器を搭載しており、出力は交流100 Vである。

電動空気圧縮機は、吐出量は1,750 ℓ /minのドイツクノールブレムゼ製オイルフリーレシプロ式[10](VV180-T形)を採用[15]潤滑油を使用しないため外部のオイル排出や元空気タンク側へのオイル流出がなく、交換や給油が不要となる。

冷房装置は、三菱電機製CU7080形[10]冷房能力58.14 kW(50,000 kcal/h)を屋根上に1台搭載しており、予備暖房用の6.0 kWのヒータを内蔵している。また、天井部の横流ファン付近にパナソニックJR東日本テクノロジーが共同開発した空気洗浄装置の「nanoe(ナノイー)」を設置している。東急電鉄の電車としては初めての設置となる[6]

集電装置は、東洋電機製造[10]のシングルアームパンタグラフ(PT7108-E)で、上昇検知装置を有する。

戸閉装置は、富士電機製のラック・アンド・ピニオン式のブラシレスモーターを使用した電気式戸閉装置を採用している[16]。戸閉状態では、常に互いの引戸が押し付け合う構造となっており、挟まれたものを引き抜きやすい特性がある[17]

蓄電池は、5000系と同じく焼結式のアルカリ蓄電池を採用している。5000系が直流100 V・60 Ahと列車無線の非常電源に使用する直流24 V・30 Ahの2種類を搭載していたのに対し、本形式は直流100 V・105 Ahの1種類のみとしている。

台車は軸箱支持装置が軸梁式のボルスタレス方式空気ばね台車を採用した。5000系などで採用されていたものとは形状が大きく変更され、牽引装置も一本リンク式となる。基礎ブレーキ装置は踏面片押し式のユニットブレーキであるが、付随台車はディスクブレーキが追加されている。なおこのディスクブレーキのライニングは脱着性向上を図るため、UIC(国際鉄道連合)規格に基づいた構造としている。形式はTS-1041(電動台車)・TS-1042[注 2]・TS-1042A(付随台車)となっている。

駆動装置は5000・6000系と同じく中実軸平行カルダン式だが、電動機の電機子軸と輪軸の歯車駆動軸との間の継手を、CFRP製のたわみ板を使用したTD継手式から、東急としては初採用となる歯車形たわみ軸継手を使用したWN継手式に変更し、高速走行時の信頼性向上を図っている。

列車情報管理装置として、東日本旅客鉄道のE235系等で実績があるINTEROSを採用している。データ通信速度を従来と比べて40倍も向上させたことで、大容量のデータを扱うことが可能で、車両の各機器への伝送のほかにWiMAXによるデータ通信を利用して、車両の各種データを地上システムにリアルタイムに送信して活用することが可能としている。将来的には、各機器のデータを利用して、車両留置時で実施する検査の簡略化や蓄積した車両のビッグデータを分析し、機器の寿命や故障の予知を捉えて適切な時期に必要なメンテナンスを行う状態保全に向けた取組みを進める予定である。

2020系

東急2020系電車
2020系
基本情報
運用者 東京急行電鉄
東急電鉄
製造所 総合車両製作所
横浜事業所・新津事業所
製造年 2017年 - 2022年
製造数 300両
運用開始 2018年3月28日
投入先 田園都市線
主要諸元
編成 10両編成
軌間 1,067 mm(狭軌
電気方式 直流1500 V
架空電車線方式
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 4.0 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
自重 本文参照
保安装置

ATC-P東武形ATS内蔵)

新CS-ATC
テンプレートを表示

老朽化した8500系の置き換えを目的として2018年に導入された。ラインカラーは緑。

第一編成の2121Fは総合車両製作所横浜事業所にて落成し、2017年11月30日に長津田検車区にて報道陣に公開された[18]

扉間の窓上部と妻引戸上部にデジタルサイネージ液晶ディスプレイによる電子看板)が設置されている。側窓上部のものは、21.5インチサイズの液晶モニターを横に3つ連続配置しており、3画面で一つの連続した画面のように使用することができる。

田園都市線及び直通運転先である東京メトロ半蔵門線東武伊勢崎線日光線で運用するため、半蔵門線及び東武線の保安装置と無線装置も内蔵している[19]

デジタル無線に対応するため、屋根上の列車無線アンテナ(逆L形)は各車2本となっている。なお当初は片方が準備工事のみであった。

2130F以降ではラッシュ時の乗降時間短縮を図り、4・5・8号車[注 3]のドア間の座席を7人掛けから6人掛けに減少させ、ドア横に38 cmのスペースを確保している[20][21]

運用

2018年3月28日に3編成が営業運転を開始した[22]。運用開始半年間は前面貫通ドアに東武直通非対応を示すKマークが貼られており、東武線への直通乗り入れは行っていなかった[23]が、同年10月1日から2121F・2122Fが東武線への乗り入れを開始し、久喜駅南栗橋駅 - 中央林間駅で運行されている[24]。2017年度に3編成が製造され、2018年度と2019年度は6編成[25][26]、2020年度は5編成[27]、2021年度は9編成[28]、2022年度は1編成が導入された[29]

編成表

 
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
     
0
0
   
0
   
0
0
 
形式 クハ2120
(Tc2)
デハ2220
(M2B)
デハ2320
(M1B)
サハ2420
(T3)
サハ2520
(T2)
デハ2620
(M3)
サハ2720
(T1)
デハ2820
(M2A)
デハ2920
(M1A)
クハ2020
(Tc1)
搭載機器 BT VVVF
SIV
VVVF
CP
    VVVF   VVVF
SIV
VVVF
CP
BT
自重 31.5 t 33.5 t 33.5 t 27.8 t 27.5 t 32.0 t 27.5 t 33.5 t 33.5 t 31.4 t
定員
(座席)
143
(45)
155
(48)
155
(51)
155
(45 or 51)
155
(45 or 51)
155
(51)
155
(51)
155
(45 or 51)
155
(51)
143
(45)
車両番号
(旧車番)
2121

2125
2221

2225
2321

2325
2421

2425
2521

2525
2621

2625
2721

2725
2821

2825
2921

2925
2021

2025
2126 2226 2326
(6321)
2426 2526 2626 2726 2826 2926 2026
2127 2227 2327
(6322)
2427 2527 2627 2727 2827 2927 2027
2128

2150
2228

2250
2328

2350
2428

2450
2528

2550
2628

2650
2728

2750
2828

2850
2928

2950
2028

2050

※2126F・2127Fはデハ2320欠車で落成、6020系デハ6320を長津田にて改造の上組み込み(詳細は#Qシート車組み込み時の動きを参照)

凡例

各編成の車歴

編成番号 製造所 新製日[30] 製造年度 備考
2121F 横浜 2017.12.08 2017年度 製造時、列車無線アンテナ1本
2122F 新津 2018.02.08
2123F 2018.02.22
2124F 2018.06.07 2018年度
2125F 2018.06.28
2126F(9R) 2018.10.26 それぞれ6020系Qシート車1両と同時に輸送[31]
欠車の3号車は表の末尾を参照
2127F(9R) 2018.11.30
2128F 2019.03.07
2129F 2019.03.28
2130F 2019.10.04 2019年度 この編成より4・5・8号車の座席減少・無線アンテナ形状変更
2131F 横浜 2019.11.01 この編成より各部の社名表記を変更[注 4]
2132F 新津 2020.01.17
2133F 2020.02.18
2134F 2020.03.06
2135F 2020.03.27
2136F 2020.05.21 2020年度
2137F 2020.06.11
2138F 横浜 2020.10.23 この編成より誘導無線省略
2139F 新津 2020.09.10
2140F 2020.10.19
2141F 2021.03.24 2021年度
2142F 2021.03.29
2143F 横浜 2021.04.05
2144F 2021.04.22
2145F 2021.05.25
2146F 2021.06.28
2147F 2021.07.26
2148F 2021.09.02
2149F 新津 2022.01.20
2150F 2022.06.06 2022年度
デハ6321→
デハ2326
横浜 2018.01.22 2017年度 2018.11.07改造・改番[32]
デハ6322→
デハ2327
2018.03.01 2018.12.10改造・改番[32]

6020系

東急6020系電車
6020系(Qシート車連結後)
基本情報
運用者 東京急行電鉄
東急電鉄
製造所 総合車両製作所
横浜事業所・新津事業所
製造年 2018年
製造数 2編成14両
運用開始 2018年3月28日
投入先 大井町線
主要諸元
編成 7両編成
軌間 1,067 mm(狭軌
電気方式 直流1500 V
架空電車線方式
最高運転速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 4.0 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
自重 本文参照
保安装置 ATC-P
テンプレートを表示

大井町線急行列車の輸送力増強(7両化及び運行本数増加)を目的に[33]、2018年に導入された。ラインカラーはオレンジ。これと並行して、同じく急行用である6000系の7両化も進められた。

大井町線で運用されている情報伝送装置による駅通過防止装機能と工事区間などで使用される臨時速度制限用のATCコードに変更できる臨時速度制限機能を有している。また車内液晶モニターの設置数が少ないため、2020系よりも車両重量がやや軽くなっている[10]

運用

大井町線の急行列車として、2020系と同じく2018年3月28日から営業運転を開始した。当初は大井町駅 - 長津田駅間での運転だったが、2019年からは中央林間駅まで直通運転を行っている。

編成表

製造時(現在は全てQシート組み込みのため消滅)

 
← (渋谷大井町
号車 1 2 3 4 5 6 7
     
0
0
   
0
0
 
形式 クハ6120
(Tc2)
デハ6220
(M2B)
デハ6320
(M1B)
サハ6420
(T1)
デハ6520
(M2A)
デハ6620
(M1A)
クハ6720
(Tc1)
搭載機器 BT VVVF
SIV
VVVF
CP
  VVVF
SIV
VVVF
CP
BT
自重 31.2 t 33.3 t 33.3 t 27.3 t 33.3 t 33.3 t 31.1 t
定員
(座席)
143
(45)
155
(48)
155
(51)
155
(51)
155
(51)
155
(51)
143
(45)
車両番号 6121
6122
6221
6222
6321(Ⅰ)
6322(Ⅰ)
6421
6422
6521
6522
6621
6622
6721
6722

Qシート組み込み後[17]

 
← (渋谷大井町
号車 1 2 3 4 5 6 7
     
0
0
   
0
0
 
形式 クハ6120
(Tc2)
デハ6220
(M2B)
デハ6320
(M1L)
サハ6420
(T1)
デハ6520
(M2A)
デハ6620
(M1A)
クハ6720
(Tc1)
搭載機器 BT VVVF
SIV
VVVF
CP
  VVVF
SIV
VVVF
CP
BT
自重 31.2 t 33.3 t 34.8 t 27.3 t 33.3 t 33.3 t 31.1 t
定員
(座席)
143
(45)
155
(48)
133※
(45)
155
(51)
155
(51)
155
(51)
143
(45)
車両番号 6121
6122
6221
6222
6321(Ⅱ)
6322(Ⅱ)
6421
6422
6521
6522
6621
6622
6721
6722

※デハ6320(M1L車)はクロスシート時の定員129人

凡例

各編成の車歴

編成番号 製造所 新製日[30] 製造年度 備考
6121F(7R) 横浜 2018.01.22 2017年度 製造時、列車無線アンテナ1本
3号車は2020系編入改造の準備工事あり
6122F(7R) 2018.03.01
デハ6321(Ⅱ) 新津 2018.10.25 2018年度 それぞれ2020系9両と同時に輸送[31]
既存3号車と交換する形で組み込み
デハ6322(Ⅱ) 2018.11.26

Qシート車両

6020系では、2018年11月に全2編成の3号車に「Qシート」車両が組み込まれた。11月13日より通常営業運転を、12月14日より「Qシート」サービス列車としての運転を開始した[34]

車両は側面全体にオレンジ一色のラッピングが施され、一見して判るようになっている。

内装は座席をデュアルシートとし、各座席には電源コンセント[注 5]、一部の座席にはカップホルダーを備える[35]。室内灯は電球色とされ、車内Wi-Fiも用意されている[34]。優先席・車椅子スペースは他の中間車と同一の配置となっている[17]

Qシート車組み込み時の動き

Qシート車の2両は2020系と同時に製造、輸送されている[31][36]。デハ6321(II)は2126Fに、デハ6322(II)は2127Fにそれぞれ組み込まれていた。

輸送はデハ2320が欠車・その部分に新デハ6320(Qシート・無装飾)が連結、といった状態で行われた。運用時と異なる組成[注 6]で輸送されるが、長津田到着後には一度10両編成に組成している。

その後、既存の6020系と新造の2020系で互いに3号車を入れ替える形で編成組替えが行われた。

旧デハ6320の2両はそれぞれデハ2320へ改番され、他の2020系車両に合わせて帯色の変更や液晶ディスプレイ増設[37]等の改造を行った。なお、この改造に関しては当初より準備工事が行われていた。

新デハ6320(Qシート)は編成から外れている間[注 7]にラッピングを施工した。このうちデハ6321は当初ドア部分が無装飾(ステンレス地色)とされていたが、デハ6322のラッピングと同時期に修正されている。

組替え前の組成

号車 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 9号車 10号車 3号車抜取り日 備考
新造車
車両番号
2126 2226 6321(II) 2426 2526 2626 2726 2826 2926 2026 2018.10.13 新津製・2018.10.11 - 12搬入
2127 2227 6322(II) 2427 2527 2627 2727 2827 2927 2027 2018.11.01 新津製・2018.10.30 - 31搬入
既存車
車両番号
6121 6221 6321(I) 6421 6521 6621 6721 2018.10.09 横浜製
6122 6222 6322(I) 6422 6522 6622 6722 2018.11.14 横浜製

組替え後の組成

号車 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 9号車 10号車 組成日
車両番号
(旧車番)
2126 2226 2326
(6321)
2426 2526 2626 2726 2826 2926 2026 2018.10.13
2127 2227 2327
(6322)
2427 2527 2627 2727 2827 2927 2027 2018.11.17
6121 6221 6321(II) 6421 6521 6621 6721 2018.10.17
6122 6222 6322(II) 6422 6522 6622 6722 2018.11.14

※Qシート車は判りやすいよう全て網掛けしたが、組替え前は無装飾である。

3020系

東急3020系電車
3020系
(2021年6月15日 多摩川駅
基本情報
運用者 東急電鉄
製造所 総合車両製作所横浜事業所
製造年 2019年
運用開始 2019年11月22日
投入先 目黒線東急新横浜線
主要諸元
編成 8両編成
(運行開始当初は6両編成)
軌間 1,067 mm(狭軌
電気方式 直流1500 V
架空電車線方式
最高運転速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 4.0 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
自重 本文参照
保安装置 統合型保安装置
ATC-PATS-PATO
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目黒線の輸送力増強および東急新横浜線開業準備用として2019年に導入された。ラインカラーは水色。

本形式ではワンマン運転を行うため、運転台には車上ITV(ホーム監視用モニター画面)を備え、ドア開閉用ボタンを運転士の手元に設置しているほか、非常停止スイッチも設けられている[38][39]。また、落成当初より相模鉄道(相鉄)への乗り入れを見据えた工事を施している[38]

運用される線区は全ての駅でホームドアが完備されているため、車両間の転落防止幌の設置が省略された。フルスクリーン形ホームドアに対応するため、室外解錠ハンドルの半数が床下搭載となっている[38][注 8]

列車無線はアナログ用とデジタル用が個別で用意され、同路線の他系列と同様にアナログ用はTc1に集約されている。

運用

2019年11月22日より営業運転を開始。8両編成で製造されているものの、当初は暫定的な6両編成での運行であった。なお落成時には8両編成での試運転も実施している。

その後2022年に正式に8両編成化が行われた。1月に3123Fが8両化され4月1日より営業運転を開始[40][41][42]、同年8月までに全3編成の8両化が完了した。

編成表

 
浦和美園・赤羽岩淵・西高島平・横浜(相鉄)渋谷目黒
号車
(6両編成時)
1
 
2
 
3
 
4
(抜取)
5
(抜取)
6
(4)
7
(5)
8
(6)
     
0
0
     
0
0
 
形式 クハ3120
(Tc2)
デハ3220
(M2B)
デハ3320
(M1B)
サハ3420
(T2)
サハ3520
(T1)
デハ3620
(M2A)
デハ3720
(M1A)
クハ3820
(Tc1)
搭載機器 BT VVVF
SIV
VVVF
CP
    VVVF
SIV
VVVF
CP
BT
自重 31.5 t 33.3 t 33.3 t 27.3 t 27.3 t 33.3 t 33.3 t 31.9 t
定員
(座席)
143
(45)
155
(48)
155
(51)
155
(51)
155
(51)
155
(51)
155
(51)
143
(45)
車両番号 3121

3123
3221

3223
3321

3323
3421

3423
3521

3523
3621

3623
3721

3723
3821

3823

※運行開始当初の6両編成は号車番号以外に相違点なし

凡例

各編成の車歴

編成番号 製造所 新製日[30] 製造年度
3121F 横浜 2019.04.22 2019年度
3122F 2019.06.07
3123F 2019.08.05

車体装飾

  • 本系列は運行開始当初、デビューマークを付けて運行していた。
  • 2020年9月8日より、2020系2130Fに「SDGsトレイン 美しい時代へ号」と称したラッピング電車が運行している[43][注 9]。当初は1年間を目処に運行する予定であったが、2021年8月26日に、1年間延長運行することが発表され[44]、さらに2022年8月31日に、2023年3月まで延長運行することが発表された[45]
  • 2022年4月10日より3020系3121F[注 10]が、2022年4月17日より2020系2122Fが「東急グループ100周年トレイン」として運転を開始した。2023年3月末日まで運転される予定である[46]

脚注

注釈

  1. ^ 2020系の取材時の話では、「ヘッドレストに整髪料が着いてしまうという意見をいただいた」とのことである。
  2. ^ ディスクブレーキがなく、先頭部に使用される。
  3. ^ かつて5000系で6扉車が組み込まれていた位置に相当する
  4. ^ 妻面の車籍銘板「東京急行電鉄」→「東急電鉄」、側面の社紋「TOKYU CORPORATION」→「TOKYU RAILWAYS」
  5. ^ Qシート運用時にのみ使用可能
  6. ^ 通例通り、7 - 5号車・10 - 8号車│4 - 1号車の組成
  7. ^ 6321は10月中旬、6322は11月上旬
  8. ^ 1両に4つ設置され、1つのハンドルで2つのドアを解錠する。2020系などでは妻面(先頭部は側面)に設置されている。
  9. ^ 東横線用の5000系(5121編成)と、世田谷線用の300系(307編成)にも施行されている。
  10. ^ 運行当初は6両編成のままであったが、現在は8両編成となっている。なお、運用復帰時に付随車への車体ラッピングも施された。

出典

  1. ^ a b c 市川裕幸、根本晃一、松野倫明 (2018). “東京急行電鉄2020系通勤車両”. 車両技術256号. https://123deta.com/document/y6jr26nq-%E6%B0%97%E9%A7%86%E5%8B%95%E7%B3%BB%E4%B8%BB%E8%A6%81%E8%A8%AD%E5%82%99%E4%B8%A1%E6%80%A7%E9%9B%BB%E6%B0%97%E3%83%96%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%81%AE%E6%96%B9%E5%BC%8F%E5%9B%9E%E7%94%9F%E3%83%96%E3%83%AC%E3%82%AD%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E9%9B%BB%E6%BA%90%E8%A8%AD%E5%82%99%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E9%81%8B%E8%BB%A2%E6%9D%A1%E4%BB%B6%E4%BF%9D%E5%AE%89%E8%A8%AD%E5%82%99%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E8%BB%8A%E4%B8%A1%E5%BD%A2%E5%BC%8F%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E6%80%A5.html. 
  2. ^ 根本直、池田大樹、標拓馬、三井健司、長谷部和則「東急電鉄2020系電車、3020系電車、6020系電車におけるsustinaコンセプトの適用」『総合車両製作所技報』第7号、2020年、50-61頁。 
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  4. ^ 市川 2018, p. 83.
  5. ^ 車両情報”. 東急電鉄. 2018年4月18日閲覧。
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  10. ^ a b c d e f g h i エリエイ「とれいん」 2018年4月号MODELERS FILE「東京急行電鉄2020・6020系電車」pp.9 - 11。
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  14. ^ 市川 2018.
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  16. ^ 富士電機技報 2019年Vol.92 (PDF)
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  44. ^ 阪急×阪神×東急が協働 特別企画列車「SDGs トレイン」の運行を1年延長します』(PDF)(プレスリリース)阪急阪神ホールディングス、東急グループ、2021年8月26日https://www.tokyu.co.jp/image/news/pdf/20210826-1.pdf2021年11月19日閲覧 
  45. ^ 特別企画列車「SDGsトレイン 美しい時代へ号」の運行を、2023年3月まで延長します|お知らせ|東急電鉄株式会社”. www.tokyu.co.jp. 2022年9月2日閲覧。
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参考文献

  • 市川裕幸「田園都市線と大井町線に導入される新形車両 東京急行電鉄2020系・6020系」『鉄道ファン』第685号、交友社、2018年5月、84-92頁。 
  • 田之上英明「東京急行電鉄2020系・6020系」『鉄道ピクトリアル』第945号、電気車研究会、2018年3月、110-119頁。 
  • 根岸哲/津田亮/長谷川滋/井浦真一/山口博史「3.3kVフルSiCパワーモジュール」『三菱電機技報』2018年3月号、三菱電機、2018年3月、175-178頁。
  • エリエイとれいん』2018年4月号 MODELERS FILE「東京急行電鉄2020・6020系電車」pp.6 - 17

外部リンク