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2023年9月19日 (火) 23:11時点における版

碧巌録』(へきがんろく)は、中国仏教書であり禅宗語録[1]。別名に仏果圜悟禅師碧巌録[2]碧巌集とも呼ばれる[3]。全10巻[3]代の禅僧雲門宗4世[3]雪竇重顕(せっちょうじゅうけん)が、代の者の伝記の中から百則の問答を選んでそれぞれに頌(頌古〈じゅこ〉のこと[4]。宗旨を込めた漢詩[5])をつけた『雪竇百則頌古』(せっちょうひゃくそくじゅこ)に、代の禅僧で中国の臨済宗11世の圜悟克勤(えんごこくごん)が前文と批評を加えたもの[1]1125年)。圜悟克勤は各則ごとに垂示(すいじ。本則に対する簡単な説示)、評唱(ひょうしょう。批評と唱和[3]的な批判鑑賞[5]。)、および著語(じゃくご。個人の見解をもって述べる、根源的な立場から行う批評の語)を加えている[3]

宗教書であると同時に禅文学としての価値が大きく、古来より「宗門第一の書」といわれ、公開の場で提唱されることも多かった[3][1]看話禅の発展は本書に依るところが大きく、本書に倣(なら)って『従容録』、『無門関』の公案集が作られた[3]。また、臨済宗専門道場においては、修行者が自分の悟境を深めるための公案集として用いられている[1]

出典

  1. ^ a b c d 西村 2010, p. 8.
  2. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『碧巌録』 - コトバンク
  3. ^ a b c d e f g 岩波仏教辞典 1989, p. 713.
  4. ^ 岩波仏教辞典 1989, p. 407.
  5. ^ a b 岩波仏教辞典 1989, p. 789.

参考文献

  • 大正新脩大蔵経第48巻(中国部 諸宗部5)』(大蔵出版
  • 国訳一切経 諸宗部 8巻』(大東出版社
  • 大内青巒『碧巌集講話』(鴻盟社 1906年)
  • 中島久万吉『碧巌録講話』(素修会 1945年)
  • 朝比奈宗源校注『碧巌録』(岩波文庫(上下) 1937年)、のち改版(上中下)
  • 『碧巌録』 入矢義高末木文美士溝口雄三、伊藤文生校注(岩波文庫(全3巻) 1992-1996年、ワイド版1997年)
    • 『現代語訳 碧巌録』(同研究会訳。末木編、岩波書店(全3巻) 2001-2003年)
  • 末木文美士 『「碧巌録」を読む』(岩波書店〈岩波セミナーブックス〉、1998年/岩波現代文庫、2018年)
  • 大森曹玄『碧巌録』(柏樹社 1976年/タチバナ教養文庫(上下)、1994年)。元花園大学学長
  • 平田精耕『碧巌集 現代語訳』(大蔵出版 1987年)
  • 朝比奈宗源・足立大進編『碧巌録提唱』(山喜房仏書林 1980年)、のち新版
  • 山田無文『碧巌録全提唱』(禅文化研究所 1985年)、のち新版
  • 小川隆『続・語録のことば 『碧巌録』と宋代の禅』(禅文化研究所 2010年)
  • 西村惠信『碧巌録の読み方』大法輪閣、2010年。ISBN 978-4-8046-1306-2 
  • 中村元他『岩波仏教辞典』岩波書店、1989年。ISBN 4-00-080072-8 

関連項目