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「鎌ヶ岳」の版間の差分

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2022年11月23日 (水) 09:27時点における版

鎌ヶ岳
御在所岳の富士見岩から望む鎌ヶ岳(2009年10月11日)
御在所岳の富士見岩から望む鎌ヶ岳
標高 1,161[1] m
所在地 日本の旗 日本
三重県三重郡菰野町
滋賀県甲賀市
位置 北緯35度00分05秒 東経136度25分16秒 / 北緯35.00139度 東経136.42111度 / 35.00139; 136.42111座標: 北緯35度00分05秒 東経136度25分16秒 / 北緯35.00139度 東経136.42111度 / 35.00139; 136.42111[1]
山系 鈴鹿山脈
種類 隆起花崗岩
鎌ヶ岳の位置(日本内)
鎌ヶ岳
鎌ヶ岳の位置
プロジェクト 山
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鎌ヶ岳(かまがたけ)は、三重県三重郡菰野町滋賀県甲賀市にまたがる鈴鹿山脈南部の標高1,161m鈴鹿国定公園内にあり、関西百名山[2] 及び鈴鹿セブンマウンテン[3] のひとつに選定されている。

概要

山全体が花崗岩からなり[4]、一部斜面では風化が進んでいる[5][6]。鈴鹿山脈で最もアルペン的な山容[5][7]飛騨山脈槍ヶ岳に似た鋭く尖った山容で、南側の水沢岳へと続く痩せ尾根は、鎌尾根と呼ばれている。「鈴鹿の槍ヶ岳やマッターホルン」と呼ばれることもある[6]。三重県側の濃尾平野からや御在所ロープウェイからも、その三角錐の山容が望める。北側と南側からは均整のとれた三角形の山容で、東の一角から均整が崩れて湾曲した形に見えることが山名の由来とされている[6]。別称が「冠ヶ嶽」[6]

歴史

古くは「冠峰」や「釜嶽」と呼ばれ、和歌漢詩に詠まれていた[5]。伊藤冠峰(いとうかんぽう、1717年享保2年)-1787年(天明7年))の「冠峰」は鎌ヶ岳の山名を意味し、鎌ヶ岳の鋭峰を詠んだ漢詩の石碑が御在所岳の山頂に建立されている。俳人山口誓子が鎌ヶ岳を俳句に詠んで、その石碑が1961年(昭和36年)8月13日に御在所岳の山頂に建立された[6]

雪嶺の大三角を鎌と呼ぶ — 山口誓子

環境

ニホンカモシカが周辺の鈴鹿山脈の山域に生息、国の特別天然記念物の指定を受けている[12]。北東斜面にはブナ天然林があり、「鎌ヶ岳ブナ原始林」が県の天然記念物の指定を受けている[8][9]。山頂付近では、アカヤシオシロヤシオミツバツツジなどが多く見られ、山腹や谷筋ではシャクナゲ山桜イナモリソウイワカガミショウジョウバカマバイカオウレンダイモンジソウなどが見られる[6][7][13]。一部では、イワウチワイワザクラなども見られる[7][14]日本海側多雪型の植物のオオカニコウモリハイイヌガヤヒメモチなども分布している[5]

登山

御在所岳から望む鎌ヶ岳

伊勢菰野藩の第10代藩主土方雄興が、「冠嶽記」の紀行文を残している[15]

登山ルート

多くの登山道が開設されている[16]。最短ルートは、武平峠からの鈴鹿山脈の主稜線のルートで[6]、花崗岩の登山道は風化が進み溝状となっている箇所があり、山頂直下北側に急な岩場には鎖が設置されており、山頂直下の西側に新たに巻道となる迂回路が開設された。利用者が少ない、バリエーションルートもある。

  • 鈴鹿山脈縦走路 国見岳 - 国見峠 - 御在所岳 - 武平峠 - 鎌ヶ岳 - 岳峠 - 水沢岳 -
  • 武平峠 湯の山温泉 - 御在所山ノ家 - 御在所岳表道分岐(覚明行者修行跡) - 武平峠 - 赤ガレ - 鎌ヶ岳[17][18]
  • 三ツ口谷 湯の山温泉 - 御在所山ノ家 - 三ツ口谷出合 - (大滝)[注釈 1] - 武平峠出合 - 鎌ヶ岳[18][19]
  • 長石尾根 湯の山温泉 - 長石谷登山口 - 長石尾根 - 鎌ヶ岳
  • 長石谷 湯の山温泉 - 長石谷登山口 - 犬星ノ滝 - 岳峠 - 鎌ヶ岳[14]
  • 馬の背尾根 湯の山温泉 - 三岳寺 - 馬の背尾根 - 雲母峰分岐 - カズラ谷分岐 - 岳峠 - 鎌ヶ岳
  • 雲母峰(きららみね)からの稜線ルート 雲母峰 - 馬の背尾根分岐 - カズラ谷分岐 - 岳峠 - 鎌ヶ岳
  • カズラ谷 宮妻峡ヒュッテ - カズラ谷 - 岳峠 - 鎌ヶ岳[19][20]
  • 松尾川沿い(滋賀県側)

周辺の山小屋

鎌ヶ岳の周辺には以下の山小屋がある[21][22]

外観 名称 所在地 標高
(m)
鎌ヶ岳からの
方角と距離 (km)
収容
人数
備考
藤内小屋、2009年12月14日撮影 藤内小屋 北谷と国見尾根との分岐 665 北北東 2.8 20 [注釈 2]
日向小屋、2019年7月15日撮影 日向小屋 御在所岳裏登山道 500 北東 2.8 20
御在所山の家、2020年7月16日撮影 御在所山の家 御在所岳の一ノ谷新道と中道との分岐 600 北東 1.9 10 1943年開業[注釈 3][23]
市営宮妻峡ヒュッテ 宮妻峡 330 南東 2.4 46 四日市市営[24]

地理

三重県側のいなべ市から望む鈴鹿山脈

周辺の山

鈴鹿山脈南部に位置する。稜線の北側には御在所岳があり、南側に水沢岳がある。山頂から北東に長石尾根が延びる。山頂のすぐ南側のピークから雲母峰へと東に尾根が延びる[22]

山容 名称 標高
(m)[1][25][26]
三角点等級
基準点名[25]
鎌ヶ岳からの
方角と距離(km)
備考
鎌ヶ岳から望む雨乞岳(1996年11月3日) 雨乞岳 1237.71 三等
「雨乞岳」
北西 4.0
鎌ヶ岳から望む御在所岳(2001年11月19日) 御在所岳 1,212 (一等)「御在所山」
(1209.41m)
北 2.1 日本二百名山
御在所岳から望む鎌ヶ岳(2009年10月11日) 鎌ヶ岳 1,161 0 関西百名山
鎌ヶ岳から望む水沢岳(2010年6月2日) 水沢岳
(宮越山)
1029.28 三等
「冠山」
南 1.5 すいざわだけ
(みやごしやま)
鎌ヶ岳から望む雲母峰(2001年11月19日) 雲母峰 888.13 三等
「吉良々山」
東 2.5 きららみね
鎌ヶ岳から望む入道ヶ岳(2010年6月2日) 入道ヶ岳 905.58 三等
「入道岳」
南東 3.3

源流の河川

以下の源流となる河川は、伊勢湾および琵琶湖へと流れる。三ツ口谷には大滝がある[16]。長石谷には犬星ノ大滝がある[7]

周辺の峠

  • 武平峠(ぶへいとうげ) - 国道477号(鈴鹿スカイライン)
  • 岳峠(だけとうげ) - 鎌ヶ岳と鎌尾根との鞍部
  • 水沢峠(すいざわとうげ) - 水沢岳と宮指路岳との鞍部

交通・アクセス

鎌ヶ岳の風景

脚注

注釈

  1. ^ 大滝(御滝)への道は難路で、迂回路の巻道がある。
  2. ^ 2008年(平成20年)9月8-9日の豪雨による土石流で藤内小屋は崩壊、その後復旧した。
  3. ^ 近畿日本鉄道の前身の関西急行が1943年(昭和17年)に建造した山小屋。

出典

  1. ^ a b c 地図閲覧サービス 2万5千分1地形図名: 伊船(名古屋)”. 国土地理院. 2011年3月26日閲覧。
  2. ^ 関西百名山地図帳 (2010)、18-19頁
  3. ^ a b 鈴鹿を歩く (1995)、56-57頁
  4. ^ a b コンサイス日本山名辞典 (1992)、136頁
  5. ^ a b c d 日本の山1000 (1992)、543頁
  6. ^ a b c d e f g 新日本山岳誌 (2005)、1250頁
  7. ^ a b c d 三重県の山 (2010)、32-33頁
  8. ^ a b 鎌ヶ岳ブナ原始林”. 三重県教育委員会 (1963年1月11日). 2013年5月25日閲覧。
  9. ^ a b 菰野の文化財リスト「鎌ヶ岳ブナ原始林」”. 菰野町. 2013年5月25日閲覧。
  10. ^ 1997年(平成9年)11月に全区間通行料無料となった。
  11. ^ 国道477号(鈴鹿スカイライン)の通行について”. 滋賀県甲賀土木事務所 (2010年12月15日). 2011年3月26日閲覧。
  12. ^ 国指定文化財等データベース「カモシカ」”. 文化庁 (1955年2月15日). 2013年5月25日閲覧。
  13. ^ 花の百名山地図帳 (2007)、204-205頁
  14. ^ a b 鈴鹿を歩く (1995)、52-55頁
  15. ^ ふるさとの山2 鎌ヶ岳”. 菰野町. 2013年5月26日閲覧。
  16. ^ a b 地図で歩く鈴鹿の山 (2003)、66-73頁
  17. ^ 名古屋周辺の山 (2010)、364-365頁
  18. ^ a b 鈴鹿の山万能ガイド (2006)、54-55頁
  19. ^ a b 鈴鹿を歩く (1995)、92-95頁
  20. ^ 鈴鹿の山万能ガイド (2006)、56-57頁
  21. ^ 山の便利手帳 (2011)、178頁
  22. ^ a b c 山と高原地図 (2013)、地図表面
  23. ^ 鈴鹿を歩く (1995)、135頁
  24. ^ 宮妻峡ヒュッテ”. 宮妻峡ヒュッテ. 2013年5月27日閲覧。
  25. ^ a b 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2018年4月15日閲覧。
  26. ^ 日本の主な山岳標高(三重県・滋賀県)”. 国土地理院. 2013年5月25日閲覧。

参考文献

  • 『日本の山1000』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1992年8月。ISBN 4635090256 
  • 徳久球雄(編集) 編『コンサイス日本山名辞典』三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1 
  • 吉住友一、田中均、笠井道男、岩田好晃、山中保一『鈴鹿を歩く』山と溪谷社〈フルカラー特選ガイド〉、1995年11月。ISBN 4635170845 
  • 西内正弘『地図で歩く鈴鹿の山 ハイキング100選』中日新聞社、2003年9月。ISBN 4806204641 
  • 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1 
  • 西内正弘『鈴鹿の山万能ガイド』中日新聞社、2006年9月。ISBN 4806205265 
  • 『花の百名山地図帳』山と溪谷社、2007年5月。ISBN 9784635922463 
  • 『関西百名山地図帳』山と溪谷社、2010年2月。ISBN 9784635530576 
  • 余呉日出夫 著、山と溪谷社(編集) 編『改訂新版 名古屋周辺の山』山と溪谷社〈週末登山コースの百科事典〉、2010年7月28日。ISBN 978-4635180177 
  • 佐藤貞夫、黒田豊年、金丸勝実『改訂版 三重県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド〉、2010年8月。ISBN 9784635023733 
  • 『山の便利手帳2011』山と溪谷社〈山と溪谷2011年1月号付録〉、2010年12月、ASIN B004DPEH6G頁。 
  • 『御在所・霊仙・伊吹』昭文社山と高原地図44〉、2013年2月15日。ISBN 978-4398759023 

関連項目