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{{条約 |
{{条約 |
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|題名 =北大西洋条約 |
|題名 =北大西洋条約 |
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|署名場所 = [[ワシントンD.C.]]<br>({{flagicon|USA1912}} [[アメリカ合衆国]]) |
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|現況 = |
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|締約国 =(原加盟国)<br>{{flagicon|USA1912}} [[アメリカ合衆国]]<br>{{flag|カナダ}}<br>{{flag|ノルウェー}}<br>{{flag|デンマーク}}<br>{{flag|イタリア}}<br>{{flag|ポルトガル}}<br>{{flag|アイスランド}}<br>{{flag|ベルギー}}<br>{{flag|オランダ}}<br>{{flag|ルクセンブルク}}<br>{{flag|イギリス}}<br>{{flag|フランス}} |
|締約国 =(原加盟国)<br>{{flagicon|USA1912}} [[アメリカ合衆国]]<br>{{flag|カナダ}}<br>{{flag|ノルウェー}}<br>{{flag|デンマーク}}<br>{{flag|イタリア}}<br>{{flag|ポルトガル}}<br>{{flag|アイスランド}}<br>{{flag|ベルギー}}<br>{{flag|オランダ}}<br>{{flag|ルクセンブルク}}<br>{{flag|イギリス}}<br>{{flag|フランス}} |
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|当事国 =アメリカ合衆国と[[西側諸国]] |
|当事国 =アメリカ合衆国と[[西側諸国]] |
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|文献情報 = |
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|言語 = [[フランス語]]、[[英語]] |
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|内容 = |
|内容 = |
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*加盟国間の[[集団防衛]]・[[集団安全保障]]体制構築 |
*加盟国間の[[集団防衛]]・[[集団安全保障]]体制構築 |
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*[[北大西洋条約機構]](NATO)結成 |
*[[北大西洋条約機構]](NATO)結成 |
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|関連 =[[ブリュッセル条約 (1948年)]] |
|関連 =[[ブリュッセル条約 (1948年)]] |
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|ウィキソース =en:North Atlantic Treaty |
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'''北大西洋条約'''(きたたいせいようじょうやく、North Atlantic Treaty)は、北[[大西洋]]地域における[[集団防衛]]・[[集団安全保障]]に関する[[軍事同盟]]構築のための[[条約]]である。[[1949年]][[4月4日]]に[[アメリカ合衆国]]の[[ワシントンD.C.]]で署名された。署名地からワシントン条約と呼ばれることもある{{efn|通常、単にワシントン条約と言った場合は、[[絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約]]を指す。}}。条約の根幹は、いずれの加盟国に対する攻撃も全加盟国に対する攻撃とみなし[[集団的自衛権]]を発動することによって[[集団防衛]]体制を構築し、加盟国外からの攻撃を抑止することにある。本条約に基づいて、軍事同盟「'''[[北大西洋条約機構]]'''」(NATO)が結成された。 |
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{{TOC limit|3}} |
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==概要== |
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[[第二次世界大戦]]の終結後、1948年に[[ドイツ民主共和国|東ドイツ]]・[[西ドイツ]]を[[仮想敵国]]とした[[ブリュッセル条約 (1948年)|ブリュッセル条約]]が[[ベネルクス]]3国、[[イギリス]]、[[フランス]]の間で締結されていた。1949年4月、[[冷戦]]下で力を増した[[ソビエト連邦]]の軍事的脅威に対抗するため、アメリカの外交官{{仮リンク|セオドア・C・アキリーズ|en|Theodore C. Achilles}}を委員長とする委員会によって、この5か国に[[アメリカ合衆国]]、[[カナダ]]、[[ノルウェー]]、[[デンマーク]]、[[イタリア]]、[[ポルトガル]]、[[アイスランド]]を加えた12か国の間で本条約が締結された。 |
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条約締結前の1948年3月22日から4月1日にかけて、[[ペンタゴン]]で秘密会談が行われた。アキリーズは次のように述べている。 |
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{{quote|会談は約2週間続き、それが終わる頃には条約を締結することが暗黙に合意されていた。私は金庫の一番下の引き出しに条約の草案を入れていた。それは、ジャック([[ジョン・デューイ・ヒッカーソン]])以外には見せていなかった。私はそれを保管しておきたかったが、1950年に国防総省を去る時に、律義に金庫に入れたままにしたため、公文書館でそれを見ることはできない。それは、[[米州相互援助条約|リオ条約]]と、まだ署名されていなかったが草案が提供されていたブリュッセル条約をわずかに参考にしている。最終的な北大西洋条約は、全体的な形式と多くの文言が私の最初の草案を保っていたが、いくつかの点で重要な相違があった<ref name="trumanlibrary1">{{cite web|url=http://www.trumanlibrary.org/oralhist/achilles.htm |title=Theodore Achilles Oral History Interview |publisher=Truman Library |access-date=2014-05-29}}</ref>。}} |
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アキリーズによれば、この条約の条文のもう一人の重要な執筆者は[[ジョン・デューイ・ヒッカーソン]]だった。 |
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{{quote|この条約の性質、内容、形式に関して、ジャックは誰よりも責任を負っていた。これはヒッカーソン一人の条約だった<ref name="trumanlibrary1"/>。}} |
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北大西洋条約は、第二次世界大戦末期に過剰拡張を避け、その結果としてヨーロッパに[[多国間主義]]をもたらしたアメリカの願望によって生まれたものであり<ref>{{Cite journal|last=Cha|first=Victor|date=Winter 2009–2010|title=Powerplay: Origins of U.S. Alliances in Asia|journal=International Security|volume=34|issue=3|pages=158–196|doi=10.1162/isec.2010.34.3.158|s2cid=57566528}}</ref>、長く慎重なプロセスの末にアメリカが西ヨーロッパの列強と結んだ集団防衛体制である<ref>{{Cite journal|last=Mabon|first=David W.|date=May 1988|title=Elusive Agreements: The Pacific Pact Proposals of 1949-1951|journal=Pacific Historical Review|volume=57|issue=2|pages=147–178|doi=10.2307/4492264|jstor=4492264}}</ref>。 |
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1955年に西ドイツがNATOに加盟した。[[東側諸国]]はこれに脅威を感じ、[[ワルシャワ条約 (1955年)|ワルシャワ条約]]を締結し[[ワルシャワ条約機構]]を結成した。フランスは1966年から2009年まで軍事部門から脱退していた。 |
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この条約は、ソ連による西ヨーロッパへの武力攻撃を想定して締結されたが、相互自衛権条項が[[冷戦]]下において発動されることはなく、それが初めて発動されたのは2001年10月、[[アメリカ同時多発テロ事件]]に対する{{仮リンク|イーグルアシスト作戦|en|Operation Eagle Assist}}においてだった。条約の締結当初は[[共産主義]]陣営(東側)に対するものであったが、[[ソビエト連邦の崩壊]]後に[[東ヨーロッパ|東欧]]諸国も加盟し、幅広い集団防衛条約となっている。 |
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==加盟国== |
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===原加盟国=== |
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[[File:NATO members (blue).svg|thumb|400px|現在のNATO加盟国]] |
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[[File:Map of NATO chronological.gif|400px|right|thumb|NATO加盟国の変遷]] |
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北大西洋条約の原加盟国は以下の12か国である。これらの国の全権代表が、1949年4月4日にワシントンD.C.にて条約に署名した<ref>{{cite book | last = Bevans | first = Charles Irving | title = Treaties and other international agreements of the United States of America 1776–1949 | url = https://books.google.com/books?id=0M8WAAAAYAAJ | access-date = 2013-05-01 | volume = 4, Multilateral 1946–1949 | year = 1968 | publisher = Department of State | location = Washington, D.C. | oclc = 6940 | lccn = 70600742 | page = 831 | chapter = North Atlantic Treaty}}</ref><ref>{{Cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/declassified_137725.htm|title=NATO Declassified - Treaty Signatories|publisher=NATO|accessdate=2022-11-12}}</ref>。 |
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* {{Flag|Belgium|size=23px}} - 首相兼外務大臣[[ポール=アンリ・スパーク]]、駐米大使{{仮リンク|ロベール・シルヴェルクリュイ|de|Robert Silvercruys}} |
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* {{Flag|Canada|1921|size=23px}} - 外務大臣[[レスター・B・ピアソン]]、駐米大使[[ヒューム・ロング|H・H・ロング]] |
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* {{Flag|Denmark|size=23px}} - 外務大臣{{仮リンク|グスタフ・ラスムセン|en|Gustav Rasmussen}}、駐米大使{{仮リンク|ヘンリク・カウフマン|en|Henrik Kauffmann}} |
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* {{FRA1946}} - 外務大臣[[ロベール・シューマン]]、駐米大使{{仮リンク|アンリ・ボネ|en|Henri Bonnet}} |
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* {{Flag|Iceland|size=23px}} - 外務大臣[[ビャルニ・ベネディクトソン (1908年生の政治家)|ビャルニ・ベネディクトソン]]、駐米大使[[:en:Thor Thors|Thor Thors]] |
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* {{Flag|Italy|1946|size=23px}} - 外務大臣{{仮リンク|カルロ・スフォルツァ|en|Carlo Sforza}}、駐米大使{{仮リンク|アルベルト・タチアーニ|en|Alberto Tarchiani}} |
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* {{Flag|Luxembourg|size=23px}} - 外務大臣[[ジョゼフ・ベッシュ]]、駐米大使[[:lb:Hugues Le Gallais|Hugues Le Gallais]] |
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* {{Flag|Netherlands|size=23px}} - 外務大臣{{仮リンク|ディルク・スティッカー|en|Dirk Stikker}}、駐米大使{{仮リンク|エルコ・ファン・クレフェンス|en|Eelco van Kleffens}} |
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* {{Flag|Norway|size=23px}} - 外務大臣{{仮リンク|ハルワルド・ラング|en|Halvard Lange}}、駐米大使[[:no:Wilhelm von Munthe af Morgenstierne|Wilhelm von Munthe af Morgenstierne]] |
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* {{PRT1933}} - 外務大臣{{仮リンク|ジョゼ・カイエロ・ダ・マッタ|en|José Caeiro da Mata}}、駐米大使{{仮リンク|ペドロ・テオトニオ・ペレイラ|en|Pedro Teotónio Pereira}} |
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* {{Flag|United Kingdom|1801|size=23px}} - 外務大臣[[アーネスト・ベヴィン]]、駐米大使[[オリヴァー・フランクス]] |
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* {{Flag|United States|1912|size=23px}} - 国務長官[[ディーン・アチソン]] |
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===ソ連崩壊前に加盟した国=== |
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以下の4か国は、条約発効後、[[ソビエト連邦崩壊]]前に加盟した。 |
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{| |
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* {{GRC1935}}(1952年加盟){{efn|[[ギリシャ王国]]として加盟。}} |
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* {{flag|Turkey}}(1952年加盟) |
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| |
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* {{flag|Germany}}(1955年加盟){{efn|[[西ドイツ]]として加盟。}} |
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* {{flag|Spain|1981}}(1982年加盟) |
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|} |
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===ソ連崩壊後に加盟した国=== |
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以下の14か国は、ソビエト連邦崩壊後に加盟した。 |
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{| |
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| |
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* {{flag|Czech Republic}}(1999年加盟) |
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* {{flag|Hungary}}(1999年加盟) |
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* {{flag|Poland}}(1999年加盟) |
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* {{flag|Bulgaria}}(2004年加盟) |
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* {{flag|Estonia}}(2004年加盟) |
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* {{flag|Latvia}}(2004年加盟) |
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* {{flag|Lithuania}}(2004年加盟) |
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| |
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* {{flag|Romania}}(2004年加盟) |
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* {{flag|Slovakia}}(2004年加盟) |
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* {{flag|Slovenia}}(2004年加盟) |
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* {{flag|Albania}}(2009年加盟) |
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* {{flag|Croatia}}(2009年加盟) |
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* {{flag|Montenegro}}(2017年加盟) |
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* {{flag|North Macedonia}}(2020年加盟) |
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|} |
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===脱退した国=== |
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{{仮リンク|NATOからの脱退|label=脱退|en|Withdrawal from NATO}}した国は存在しないが、以下の3か国は、加盟国から独立した後に本条約に加盟しなかったものである。 |
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{| |
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| |
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* {{flag|Cyprus}} - 1960年にイギリスから独立 |
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* {{flag|Algeria}} - 1962年にフランスから独立 |
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* {{flag|Malta}} - 1964年にイギリスから独立 |
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|} |
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== 条文 == |
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=== 第1条 === |
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第1条では、締約国に対し、国際平和、国際安全保障および正義を損なわないような平和的な手段にて関与し得るあらゆる国際紛争を解決すること、および、国際関係において[[国際連合]]の目的に合わないあらゆる手段による武力の行使を行わないことを求めている<ref name=":0">{{Cite web|url=https://www.loc.gov/law/help/us-treaties/bevans/m-ust000004-0828.pdf|title=About this Collection | United States Treaties and Other International Agreements | Digital Collections | Library of Congress|website=[[Library of Congress]]|archiveurl=https://web.archive.org/web/20141226012706/https://www.loc.gov/law/help/us-treaties/bevans/m-ust000004-0828.pdf|archivedate=2014-12-26|accessdate=2022-11-12}}</ref>。 |
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締約国は、[[国際連合憲章]]に基づき、平和と安全保障の維持を通じて北大西洋地域の安定と[[ウェルビーイング]]を促進することを目指す<ref name=":0" />。 |
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=== 第2条 === |
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第2条は、「締約国は、各国の自由な制度を強化し、その制度の基礎となる原則をより良く理解し、安定とウェルビーイングを促進することによって平和的・友好的な国際関係のさらなる発展に寄与すること。締約国は、国際的な経済政策における対立をなくすように努め、締約国間の経済的協力を推奨する」というものである<ref>{{Cite web |last=NATO |title=The North Atlantic Treaty |url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/official_texts_17120.htm |access-date=2022-04-04 |website=NATO |language=en}}</ref>。この条項は、カナダの全権大使[[レスター・B・ピアソン]]の働きかけにより盛り込まれたことから「カナダ条項」(Canadian Clause)とも呼ばれる<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/opinions_167865.htm?selectedLocale=en|quote=|title=by NATO Secretary General Jens Stoltenberg at Massey College, Toronto (Canada)|accessdate=2022-11-12}}</ref>。ピアソンは、貿易協議会、文化プログラム、技術共有、情報プログラムなどを提案したが、盛り込まれたのは後者の2つだけだった<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/declassified_161511.htm?selectedLocale=en|title=CANADA AND NATO|quote=The report’s ideas about enhanced economic partnerships and cultural connections were not implemented, but two major initiatives were adopted: a more robust information programme to explain NATO and its mission better to Allied audiences, and the creation of a NATO Science Programme, which has encouraged scientific and technological innovation across the Alliance and provided support to many Nobel laureates.|accessdate=2022-11-12}}</ref><ref>{{cite news|url=https://archives.nato.int/uploads/r/null/2/6/26165/C-M_56_127_ENG.pdf|title=Report of the Committee of Three on Non-Military Co-Operation in NATO}}</ref>。それにも関わらず、締約国間の経済摩擦の際にこの条項が取り上げられることがある<ref>{{cite news|url=https://diplomatmagazine.com/brexit-and-security/|title=Brexit and Security|author=Eldon, Stewart|date=2017-03-07}}</ref>。 |
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=== 第3条 === |
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第3条は、「この条約の目的を効果的に達成するために、締約国は、個別的および共同的に、持続的かつ効果的な自助および共助によって、武力的攻撃に抵抗するための個別的および集団的能力を維持し、発展させることとする」というものである<ref name=":0"/>。 |
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2006年に緩やかなガイドラインとして制定された<ref>{{cite web|title=Press Briefing by NATO Spokesman, James Appathurai after the meeting of the North Atlantic Council at the level of Defence Ministers|quote=Finally, I should add that Allies through the comprehensive political guidance have committed to endeavour, to meet the 2% target of GDP devoted to defence spending. Let me be clear, this is not a hard commitment that they will do it. But it is a commitment to work towards it. And that will be a first within the Alliance.|date=2006-06-08|url=https://www.nato.int/docu/speech/2006/s060608m.htm|accessdate=2022-11-12}}</ref>GDPの2%を拠出することを目標とするルールは、この条文を根拠とするものであると解釈されている<ref>{{cite web|author=Jans, Karljin|date=2022-03-18|publisher=Clingendal Institute|title=Will Russia's invasion boost NATO's budget?|url=https://spectator.clingendael.org/en/publication/will-russias-invasion-boost-natos-budget|quote=which goes beyond the idea of the 2% target. This will require focusing on Alliance readiness levels, with at the centre the NATO Defence Planning Process, addressing the full spectrum of challenges. NATO’s Article 3 will remain the fundamental principle to make this a reality. |accessdate=2022-11-12}}</ref>。 |
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また、この条文は、締約国のレジリエンス(大規模な災害やインフラ障害、または武力攻撃に抵抗し、回復する能力)を強化するという負託の中核概念としても使われてきた。これは、{{仮リンク|2016年NATOワルシャワ首脳会合|en|2016 Warsaw summit}}で初めて容認され、2021年、COVID-19パンデミックに対抗するために再確認された<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/official_texts_133180.htm|title=Commitment to enhance resilience: Issued by the Heads of State and Government participating in the meeting of the North Atlantic Council in Warsaw|date=2016-07-08|accessdate=2022-11-12}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/official_texts_185340.htm|title=Strengthened Resilience Commitment|date=2021-07-15|accessdate=2022-11-12}}</ref>。NATOの文書では、これは以下の7つの分野を含むものと理解されている<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/topics_132722.htm|title=Resilience and Article 3|date=2021-07-11|accessdate=2022-11-12}}</ref>。 |
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* 危機における政府機能の継続 |
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* エネルギー・電力のネットワークインフラのレジリエンス |
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* 出入国管理 |
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* 食料と水の安全保障 |
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* 医療の緊急事態 |
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* 弾力性のある市民のコミュニケーション |
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* 効率的な交通網 |
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===第4条=== |
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第4条は、「締約国は、いずれかの締約国の領土保全、政治的独立、または安全が脅かされていると認めたときは、いつでも協議を行う」というものである。この条文は一般にNATOの作戦の出発点と考えられており、緊急事態を対象としている<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/official_texts_17481.htm|title=Report of the Committee of Three on Non-Military Cooperation in NATO|website=NATO.int|date=13 December 1956|access-date=25 February 2022|quote=Special attention must be paid, as explicitly recognised in Article 4 of the Treaty, to matters of urgent and immediate importance to the members of NATO, and to 'emergency' situations where it may be necessary to consult closely on national lines of conduct affecting the interests of members of NATO as a whole. There is a continuing need, however, for effective consultation at an early stage on current problems, in order that national policies may be developed and action taken on the basis of a full awareness of the attitudes and interests of all the members of NATO. While all members of NATO have a responsibility to consult with their partners on appropriate matters, a large share of responsibility for such consultation necessarily rests on the more powerful members of the Community.}}</ref>。 |
|||
この条文が発動されると、その問題は[[北大西洋理事会]](NAC)で協議され、それによって正式に共同意思決定や共同作戦が行われる場合がある<ref name=dt26/>。条約発効以来、この条文は7回発動されている<ref name=art4>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natolive/topics_49187.htm|title=The consultation process and Article 4|website=NATO.int|date=24 February 2022|access-date=25 February 2022}}</ref>。 |
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{| class=wikitable |
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|+ 第4条の発動 |
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! style="width:10em;"|提案した国 |
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! style="width:6em;"|年月 |
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! 理由 |
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! 結果 |
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| {{flagicon|Turkey}} [[トルコ]] |
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| 2003年2月 |
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| [[イラク戦争]]<ref name=art4 /><ref>{{cite speech|url=https://www.nato.int/docu/speech/2003/s030210a.htm|title=Statement by NATO Secretary General, Lord Robertson, on measures in relation to a possible threat to Turkey|date=10 February 2003|access-date=25 February 2022}}</ref> |
|||
| [[:en:Operation Display Deterrence|Operation Display Deterrence]]<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/docu/pr/2003/p03-040e.htm|title=Conclusion of Operation Display Deterrence and Article 4 security consultations|date=16 April 2003|access-date=26 February 2022}}</ref> |
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|- |
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| {{flagicon|Turkey}} トルコ |
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| 2012年6月 |
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| {{仮リンク|2012年トルコ空軍F-4戦闘機撃墜事件|en|2012 Turkish F-4 Phantom shootdown|label=シリア軍によるトルコ空軍機の撃墜}}<ref name=art4 /> |
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| rowspan="2" | [[:en:Operation Active Fence|Operation Active Fence]]<ref name="natoPatriot">{{cite web |date=2012-12-05 |title=NATO Foreign Ministers' statement on Patriot deployment to Turkey |url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/news_92476.htm?selectedLocale=en |access-date=27 February 2022 |quote=As the North Atlantic Council made clear on June 26 and October 3, we stand with Turkey in the spirit of strong solidarity. We, the NATO foreign ministers, declare our determination to deter threats to and defend Turkey. In response to Turkey’s request, NATO has decided to augment Turkey’s air defence capabilities in order to defend the population and territory of Turkey and contribute to the de-escalation of the crisis along the Alliance’s border.}}</ref> |
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|- |
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| {{flagicon|Turkey}} トルコ |
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| 2012年10月 |
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| シリア軍によるトルコの都市への砲撃<ref name=art4 /> |
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|- |
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| {{flagicon|Latvia}} [[ラトビア]]<ref>{{cite news|url=http://www.turkishpress.com/news/393234/|title=UNSC, EU, NATO to hold urgent meetings over Ukraine|date=1 March 2014|access-date=6 March 2014|quote=Meanwhile, Lithuania and Latvia called upon the North Atlantic Council, the decision-making body of NATO, to hold an extraordinary session on Ukraine, citing security concerns.}}, Turkishpress.com</ref><br /> |
|||
{{flagicon|Lithuania}} [[リトアニア]]<ref>{{cite news|url=https://www.theatlantic.com/international/archive/2014/03/russias-seizure-of-crimea-is-making-former-soviet-states-nervous/284156/|title=Russia's Seizure of Crimea Is Making Former Soviet States Nervous|work=[[The Atlantic]]|last=Ford|first=Matt|date=1 March 2014|access-date=4 March 2014|quote=[[Linas Antanas Linkevičius|Linas Linkevicius]], Lithuania's foreign minister, responded on Saturday by invoking Article 4 of the North Atlantic Treaty ... for only the fourth time in the alliance's history.}}</ref><br /> |
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{{flagicon|Poland}} [[ポーランド]]<ref>{{cite news|url=https://www.nytimes.com/2014/03/04/world/europe/top-russians-face-sanctions-by-us-for-crimea-crisis.html?hp&_r=0|title=Top Russians Face Sanctions by U.S. for Crimea Crisis|last=Baker|first=Peter|newspaper=[[The New York Times]]|date=3 March 2014|access-date=4 March 2014|quote=NATO called its second emergency meeting on Ukraine in response to a request from Poland under Article 4 of the North Atlantic Treaty relating to threats to a member state's security and independence.}}</ref> |
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| 2014年3月 |
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| [[ロシアによるクリミアの併合]]への対応 |
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| ルーマニア、ブルガリア、トルコによる[[黒海]]への沿岸部隊、海軍、空軍の配備<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/opinions_160789.htm|title=Press conference by NATO Secretary General Jens Stoltenberg following the meeting of the NATO-Ukraine Commission|date=26 November 2018|access-date=27 February 2022|quote=NATO has increased its presence in the Black Sea region on land, but also with air policing over the Black Sea region, including the Black Sea, and we have a regular NATO presence in the Black Sea, with naval capabilities. Then of course we have three littoral states: Romania, Turkey and Bulgaria}}</ref>。加盟国や国際社会からのロシアへの非難や制裁への支持<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/news_164656.htm|title=Statement by the North Atlantic Council on Crimea|date=18 March 2019|access-date=27 February 2022}}</ref>。ウクライナ政府への改革・医療支援<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/opinions_116862.htm?selectedLocale=en|title=NATO Secretary General statement on the extraordinary meeting of the NATO-Ukraine Commission|date=26 January 2015|access-date=27 February 2022}}</ref>。{{仮リンク|拡大前方プレゼンス|en|NATO Enhanced Forward Presence}}(EFP)の創設<ref name="eura">{{cite news |title=NATO war game defends Baltic weak spot for first time |url=https://www.euractiv.com/section/global-europe/news/nato-war-game-defends-baltic-weak-spot-for-first-time/ |publisher=EURACTIV MEDIA NETWORK BV |date=19 June 2017}}</ref>。 |
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|- |
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| {{flagicon|Turkey}} トルコ |
|||
| 2015年7月 |
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| [[ISIS]]の犯行とされる{{仮リンク|シュリュジュ自爆テロ事件|en|Suruç bombing}}や、南部国境沿いの治安問題への対応<ref name=dt26>[https://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/turkey/11764178/Turkey-calls-for-Nato-meeting-to-discuss-Isil-and-PKK.html telegraph.co.uk: "Turkey calls for emergency Nato meeting to discuss [[Islamic State of Iraq and the Levant|Isil]] and PKK"], 26 July 2015</ref><ref name="cnn july 2015 article 4">{{cite news | url=http://edition.cnn.com/2015/07/26/middleeast/turkey-nato-talks/ | title=Turkey calls for rare NATO talks after attacks along Syrian border | publisher=CNN| date=2015-07-27 | access-date=2015-07-27 | author=Ford, Dana}}</ref><ref name=nyt27>[https://www.nytimes.com/2015/07/28/world/middleeast/turkey-and-us-agree-on-plan-to-clear-isis-from-strip-of-northern-syria.html?_r=0 nytimes.com: "Turkey and U.S. Plan to Create Syria ‘Safe Zone’ Free of ISIS"], 27 July 2015</ref><ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/official_texts_121926.htm?selectedLocale=en|title=Statement by the North Atlantic Council following meeting under Article 4 of the Washington Treaty|date=28 July 2015|access-date=27 February 2022}}</ref> |
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| {{main|{{仮リンク|2015年NATO緊急会合|en|2015 NATO emergency meeting}}}} |
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攻撃に対する糾弾<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/official_texts_121926.htm?selectedLocale=en|title=Statement by the North Atlantic Council following meeting under Article 4 of the Washington Treaty|date=28 July 2015|access-date=27 February 2022}}</ref>。トルコ領内にあるNATOの資産の再評価<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/official_texts_125486.htm?selectedLocale=en|title=Statement by NATO Foreign Ministers on Assurance to Turkey|date=2015-12-01|access-date=2022-02-27|quote=On the basis of our December 2012 decision, the Alliance has been augmenting Turkey’s air defence. We remain determined, in a spirit of 28 for 28, to continue developing additional NATO assurance measures and Allies are working to prepare other possible contributions.}}</ref>。 |
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| {{flagicon|Turkey}} トルコ |
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| 2020年2月 |
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|シリアとロシアによるトルコ軍に対する空爆の疑い<ref>{{cite web|url=https://www.tert.am/en/news/2020/02/29/idlib/3223514|title=Greece 'vetoes NATO statement' on support for Turkey amid Syria escalation|date=2020-02-29|access-date=2022-03-01|quote=The Russian military later explained that the Syrian army targeted Hayat Tahrir al-Sham terrorists operating in the province, adding that Syrian government forces were not informed about the Turkish presence in the area.}}</ref><ref name=art4 />などの、シリア北西部攻勢による緊張の高まり<ref>{{cite web|url=https://www.dailysabah.com/politics/diplomacy/russia-denies-involvement-in-airstrikes-on-turkish-troops-in-idlib|title=Russia denies involvement in airstrikes on Turkish troops in Idlib|website=[[Daily Sabah]]|date=2020-02-28|access-date=2022-03-01}}</ref> |
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|トルコの防空の強化<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/opinions_173939.htm?selectedLocale=en|title=Statement by the Secretary General after Article 4 consultations|date=2020-02-28|access-date=2022-02-27}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.euronews.com/2020/02/27/at-least-22-turkish-soliders-killed-in-syria-airstrike|title=Refugees reach Greek border as EU demands Turkey upholds its migration commitments|website=euronews.com|date=28 February 2020|access-date=28 February 2020|quote=The emergency meeting, held on Friday morning in Brussels, was held under Article 4 of NATO’s founding treaty, which allows any ally to request consultations if it feels its territorial integrity, political independence or security is threatened.}}</ref> |
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| {{flagicon|Bulgaria}} [[ブルガリア]]<br /> |
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{{flagicon|Czech Republic}} [[チェコ]]<br /> |
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{{flagicon|Estonia}} [[エストニア]]<br /> |
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{{flagicon|Latvia}} ラトビア<br /> |
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{{flagicon|Lithuania}} リトアニア<br /> |
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{{flagicon|Poland}} ポーランド<br /> |
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{{flagicon|Romania}} [[ルーマニア]]<br /> |
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{{flagicon|Slovakia}} [[スロバキア]]<ref>{{Cite web|date=2022-02-24|title=NATO vows to defend its entire territory after Russia attack|url=https://apnews.com/article/russia-ukraine-business-europe-russia-vladimir-putin-71bf9d3687e1a04f11dfb895639a13ca|access-date=2022-02-25|website=AP NEWS|language=en}}</ref> |
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| 2022年2月 |
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| [[2022年ロシアのウクライナ侵攻|ロシアのウクライナ侵攻]]<ref>{{cite web |url=https://dorzeczy.pl/kraj/267127/art-4-traktatu-waszyngtonskiego-polska-chce-jego-uruchomienia.html |website=[[Do Rzeczy]] |date=2022-02-24 |title=Polska chce uruchomienia art. 4 traktatu waszyngtońskiego. Wniosek już złożony |url-status=live |archive-url=https://web.archive.org/web/20220224060034/https://dorzeczy.pl/kraj/267127/art-4-traktatu-waszyngtonskiego-polska-chce-jego-uruchomienia.html |archive-date=2022-02-24 |accessdate=2022-11-12}}</ref> |
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{{See also|{{仮リンク|2022年NATOブリュッセル首脳会合|en|2022 Brussels summit}}}} |
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防衛力の強化<ref>{{cite web |url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/official_texts_192404.htm|title=Statement by the North Atlantic Council on Russia's attack on Ukraine |date=2022-02-24|access-date=2022-03-01|quote=Today, we have held consultations under Article 4 of the Washington Treaty. We have decided, in line with our defensive planning to protect all Allies, to take additional steps to further strengthen deterrence and defence across the Alliance.}}</ref><ref name="Al-Jazeera-2022-02-28">{{cite news|title=NATO to deploy thousands of commandos to nations near Ukraine |url=https://www.aljazeera.com/news/2022/2/25/nato-allies-to-provide-more-weapons-to-ukraine-stoltenberg-says |archive-url=https://ghostarchive.org/archive/20220227/https://www.aljazeera.com/news/2022/2/25/nato-allies-to-provide-more-weapons-to-ukraine-stoltenberg-says |archive-date=27 February 2022 |publisher=[[Al Jazeera]] |access-date=26 February 2022 |date=25 February 2022}}{{cbignore}}</ref>。[[ウクライナ]]への補給支援<ref>{{Cite web|url=https://www.nrk.no/nyheter/stoltenberg-varsler-mer-hjelp-1.15872539|title=Stoltenberg varsler mer hjelp|language=no|date=28 February 2022|website=NRK|access-date=28 February 2022|archive-date=28 February 2022|archive-url=https://web.archive.org/web/20220228141917/https://www.nrk.no/nyheter/stoltenberg-varsler-mer-hjelp-1.15872539|url-status=live}}</ref>。[[NATO即応部隊]](NRF)の活性化<ref>{{cite web |title=NATO puts warplanes on alert, to increase troop presence on eastern flank |url=https://www.thestar.com.my/news/world/2022/02/24/nato-to-step-up-deterrence-measures-after-russian-attack-calls-summit|website=[[The Star (Malaysia)|The Star]]|accessdate=2022-11-12}}{{cbignore}}</ref><ref>{{cite web |last=Cook |first=Lorne |title=NATO leaders agree to bolster eastern forces after invasion |url=https://abcnews.go.com/International/wireStory/nato-leaders-meet-reassure-allies-russia-ukraine-83105473 |url-status=live |archive-url=https://ghostarchive.org/archive/20220226/https://abcnews.go.com/International/wireStory/nato-leaders-meet-reassure-allies-russia-ukraine-83105473 |archive-date=26 February 2022 |website=[[ABC News]]|accessdate=2022-11-12}}{{cbignore}}</ref>。 |
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|} |
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また、第4条を正式に発動しないが、発動の検討を表明するという例もある。実際にはこれは、問題を提起し、加盟国に抑止力を与えるという、第4条の本来の目的とみなされていた<ref>{{cite web|url=https://scholarlycommons.law.emory.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1224&context=eilr|author=Sherrod L. Bumgardner|title=Article 4 of the North Atlantic Treaty|access-date=2022-02-26|quote=In 1954, the first Secretary General of NATO, Lord Ismay, emphasized Article 4 consultation as a deterrence measure before an armed attack}}</ref>。例えば、2021年11月、ポーランド外務省は、エストニア、リトアニア、ラトビアと共に、{{仮リンク|2021年ベラルーシ=欧州連合国境危機|label=ベラルーシ移民危機|en|2021–2022 Belarus–European Union border crisis}}を理由とした第4条の発動を検討したが、正式に要請はしなかった<ref>{{cite web|url=https://www.thefirstnews.com/article/poland-considers-activating-natos-article-4-says-pm-25997|title=Poland considers activating Nato's Article 4, says PM|access-date=2022-02-25|date=2021-11-14}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.euractiv.com/section/politics/short_news/baltics-pledge-support-to-poland-over-natos-article-4/|title=Baltics pledge support to Poland over NATO's Article 4|date=2021-11-16|access-date=2022-03-01}}</ref>。 |
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===第5条=== |
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第5条では、{{仮リンク|同盟体制の発動事由|en|casus foederis}}(''casus foederis'')を規定しており、この条約で最も重要な条項である。ヨーロッパまたは北アメリカにある1つまたは複数の加盟国に対する武力攻撃を、加盟国全てに対する武力攻撃とみなすことと規定している。このような武力攻撃を受けた場合、各加盟国は、[[国際連合憲章]]第51条により認められる個別的または集団的自衛権の行使として、武力の行使を含めた、北太平洋地域の安全を回復し維持するために必要な行動を取って、攻撃を受けた国を支援することとしている。 |
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====アメリカ同時多発テロ事件==== |
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{{main|アメリカ同時多発テロ事件}} |
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これまでに、第5条の発動が検討された事例は何度かあったが、実際に発動されたのは2001年9月11日の[[アメリカ同時多発テロ事件]]のときのみである<ref>[http://www.nato.int/nato-welcome/index.html NATO: Key Events (timeline)], 2001: "Large-scale terrorist attacks in New York and Washington D.C.—NATO invokes Article 5 for the first time ever and adopts a broader approach to security"</ref><ref>{{Cite news|url=https://www.nytimes.com/2001/09/13/us/after-attacks-alliance-for-first-time-nato-invokes-joint-defense-pact-with-us.html|title=AFTER THE ATTACKS: THE ALLIANCE; For First Time, NATO Invokes Joint Defense Pact With U.S.|last=Daley|first=Suzanne|date=2001-09-13|work=The New York Times|access-date=2017-05-26|issn=0362-4331}}</ref>。2001年10月4日、NATOはこの攻撃が本条約の適用対象となる攻撃であることを確認し、第5条の発動を決定した<ref>{{cite web|url=http://www.nato.int/docu/update/2001/1001/e1002a.htm |title=NATO Update: Invocation of Article 5 confirmed – 2 October 2001 |publisher=Nato.int |access-date=22 August 2010}}</ref>。 |
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アメリカ同時多発テロ事件に対して、NATOは{{仮リンク|イーグル・アシスト作戦|en|Operation Eagle Assist}}、{{仮リンク|アクティブ・エンデバー作戦|en|Operation Active Endeavour}}などの8つの公式行動を行った。アクティブ・エンデバー作戦は、[[地中海]]で行われた、テロリストや大量破壊兵器の移動を阻止し、船舶の安全を強化するための作戦で、2001年10月4日に開始された<ref>{{cite web |url= http://www.aco.nato.int/resources/21/NATO%20Operations,%201949-Present.pdf |title= NATO's Operations 1949–Present |work= NATO |date= 22 January 2010 |access-date= 4 September 2013 }}</ref>。 |
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====発動が検討された事例==== |
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{| class=wikitable |
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|+ 第5条の発動の検討 |
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! style="width:10em;"|検討した国 |
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! style="width:6em;"|年月 |
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! 理由 |
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| {{flagicon|Turkey}} [[トルコ]] |
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| 2012年6月 |
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| {{main|{{仮リンク|2012年トルコ空軍F-4戦闘機撃墜事件|en|2012 Turkish F-4 Phantom shootdown}}}} |
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2012年6月22日、シリア沖13海里の公海上空で、レーダーシステムの試験のために単機で出動した非武裝のトルコ軍機F-4が撃墜された<ref>[http://www.todayszaman.com/diplomacy_turkey-says-jet-shot-down-in-international-airspace_284462.html todayszaman.com: "Turkey says jet shot down in international airspace "] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20150626194107/http://www.todayszaman.com/diplomacy_turkey-says-jet-shot-down-in-international-airspace_284462.html |date=26 June 2015 }}, 24 June 2012</ref><ref>[http://www.todayszaman.com/diplomacy_turkey-not-to-invoke-art-5-nato-war-in-syria-as-unlikely-as-ever_284616.html todayszaman.com: "Turkey not to invoke Art. 5, NATO war in Syria as unlikely as ever"] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20150627050427/http://www.todayszaman.com/diplomacy_turkey-not-to-invoke-art-5-nato-war-in-syria-as-unlikely-as-ever_284616.html |date=27 June 2015 }}, 25 June 2015</ref>。6月25日、トルコの副首相は本条約第5条の適用を提案する意思があることを表明した<ref>{{cite web|url=http://www.todayszaman.com/diplomacy_turkey-syrias-jet-downing-an-attack-on-the-whole-of-nato_284651.html|title=Turkey: Syria's jet downing an attack on the whole of NATO|work=TodaysZaman|url-status=dead|archive-url=https://web.archive.org/web/20150626222519/http://www.todayszaman.com/diplomacy_turkey-syrias-jet-downing-an-attack-on-the-whole-of-nato_284651.html|archive-date=26 June 2015|accessdate=2022-11-12}}</ref>。 |
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| {{flagicon|Turkey}} [[トルコ]] |
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| 2012年8月 |
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| {{main|スレイマン・シャー霊廟#シリア内戦}} |
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トルコ首相[[レジェップ・タイイップ・エルドアン]]は、「(シリア領内にあるトルコの[[飛地]]である)[[スレイマン・シャー霊廟]]とその周辺の土地は我々の領土である。霊廟に対するいかなる好ましくない行為も、我々の領土に対する攻撃、すなわちNATOの(保護下にある)土地に対する攻撃として、我々は無視することができない」と述べた<ref>[http://www.hurriyetdailynews.com/ankara-warns-against-attack-on-tomb.aspx?pageID=238&nID=27233&NewsCatID=338 Ankara warns against attack on tomb], Hürriyet Daily News, 7 August 2012.</ref>。 |
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| {{flagicon|NATO}} [[NATO]] |
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| 2015年6月 |
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| [[北大西洋条約機構事務総長|NATO事務総長]][[イェンス・ストルテンベルグ]]<ref>{{cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/events_120899.htm|title=NATO – Event: Meetings of NATO Ministers of Defence, 24-Jun.-2015|author=NATO|work=NATO|accessdate=2022-11-12}}</ref><ref>[http://www.nato.int/cps/en/natohq/news_120115.htm nato.int: "Defence Ministers Meetings – Brussels, 24 and 25 june 2015"], 26 May 2015</ref>は、当局筋のオフレコのインタビューにて、「親モスクワのテレビ局を運営するなど、完全に合法な活動であっても、条約第5条に基づくNATOの対応が要請される、広い意味での攻撃とみなされる可能性がある。最終的な決定は2015年10月に予定されている」と述べた<ref>[https://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/11693497/US-confirms-it-will-place-250-tanks-in-eastern-Europe-to-counter-Russian-threat.html telegraph.co.uk: "US confirms it will place 250 tanks in eastern Europe to counter Russian threat"], 23 June 2015</ref>。 |
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| {{flagicon|United Kingdom}} [[イギリス]] |
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| 2022年8月 |
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| {{main|{{仮リンク|ザポリージャ原子力発電所の危機|en|Crisis at the Zaporizhzhia Nuclear Power Plant}}}} |
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イギリス{{仮リンク|防衛特別委員会|en|Defence Select Committee}}委員長の{{仮リンク|トビアス・エルウッド|en|Tobias Ellwood}}は、ウクライナの[[ザポリージャ原子力発電所]]に対する意図的に放射能漏れを引き起こすような攻撃は第5条の対象となると発言した。この発言は、[[2022年ロシアのウクライナ侵攻|ロシアのウクライナ侵攻]]において同原発をロシアが占拠したことにより、ロシアが[[原子力事故]]を引き起こす懸念を受けたものである。その翌日、アメリカ下院議員の{{仮リンク|アダム・キンジンガー|en|Adam Kinzinger}}は、NATO加盟国に放射能が漏れた場合、それによって加盟国の国民が死ぬことになり、それは第5条の発動の要件となると発言した<ref>{{cite news|url=https://charter97.org/en/news/2022/8/20/512116/|title=UK, US Set Ultimatum Against Russia Due To Provocations At Zaporizhzhia NPP|publisher=[[Charter 97]]|date=20 August 2022}}</ref>。 |
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| {{flagicon|Albania}} [[アルバニア]] |
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| 2022年10月 |
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|{{main|en:Albania–Iran relations#Cyberattack and severed ties}} |
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アルバニア首相[[エディ・ラマ]]は、2022年7月15日に受けた同国の重要インフラや政府組織を狙った大規模な[[サイバー攻撃]]に対して、同国政府が第5条の発動を検討したことを明らかにした。この攻撃は、[[イラン]]政府に繋がりのあるサイバー犯罪者が行ったものであると考えられている<ref name="albania-politico">{{Cite web |last=Miller |first=Maggie |date=5 October 2022 |title=Albania weighed invoking NATO’s Article 5 over Iranian cyberattack |url=https://www.politico.com/news/2022/10/05/why-albania-chose-not-to-pull-the-nato-trigger-after-cyberattack-00060347 |url-status=live |archive-url=https://web.archive.org/web/20221005221317/https://www.politico.com/news/2022/10/05/why-albania-chose-not-to-pull-the-nato-trigger-after-cyberattack-00060347 |archive-date=5 October 2022 |access-date=5 October 2022 |website=[[Politico]]}}</ref><ref name="albania-nsc">{{Cite web |last=Watson |first=Adrienne |date=7 September 2022 |title=Statement by NSC Spokesperson Adrienne Watson on Iran’s Cyberattack against Albania |url=https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/09/07/statement-by-nsc-spokesperson-adrienne-watson-on-irans-cyberattack-against-albania/ |archive-url=https://web.archive.org/web/20220907114622/https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/09/07/statement-by-nsc-spokesperson-adrienne-watson-on-irans-cyberattack-against-albania/ |archive-date=7 September 2022 |access-date=5 October 2022 |website=[[The White House]]}}</ref>。 |
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|} |
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===第6条=== |
|||
第6条では、第5条が適用される地域・対象を規定している。対象となるのは、北アメリカおよびヨーロッパにある加盟国の領域、[[北回帰線]]以北の北大西洋地域にある加盟国の管轄下にある島嶼および[[フランス領アルジェリア]]のみである。また、これらの地域にある加盟国の軍隊、船舶、航空機への攻撃も対象となる。 |
|||
1965年8月、アメリカ国務省・国防総省およびNATO法務部は、[[ハワイ州]]はこの条項の対象とならないという見解を示した<ref name="hall19650808">{{cite news | url=https://chicagotribune.newspapers.com/clip/27036544/hawaii_lacks_nato_coverage_if_attacked/ | title=Hawaii Lacks NATO Coverage if Attacked | newspaper=Chicago Tribune | date=1965-08-08 | agency=UPI | access-date=2019-01-09 | author=Hall, John | page=4|via = [[Newspapers.com]] {{Open access}}}}</ref>。北アフリカ沿岸のスペインの都市である[[セウタ]]と[[メリリャ]]は、[[モロッコ]]による[[大モロッコ|領有主張]]があるにも関わらず、この条項の対象外である。他の条項によってこれらの都市もNATOの保護下にあると主張する法律の専門家もいるが、この考え方が実際に検証されたことはない<ref name="Newtral">{{cite web |title=¿Están Ceuta y Melilla bajo el paraguas de la OTAN? |url=https://www.newtral.es/ceuta-melilla-otan-expertos/20211002/ |website=Newtral |access-date=25 February 2022 |language=es |date=2 October 2021}}</ref>。2020年、トルコ軍機がシリア軍により攻撃されたが、それがシリア領内であったため、第5条は発動されなかった<ref>{{cite web|url=https://www.lawfareblog.com/turkeys-troubles-idlib-does-article-5-north-atlantic-treaty-hold-answer|title=Turkey's Troubles in Idlib: Does Article 5 of the North Atlantic Treaty Hold the Answer?|date=2020-03-20|access-date=2022-03-01}}</ref>。 |
|||
2003年4月16日、NATOは[[アフガニスタン]]における[[国際治安支援部隊]](ISAF)の指揮を執ることに合意し、42か国の部隊が参加した。この決定は、ISAFを主導していたドイツとオランダの要請によるもので、19か国のNATO大使の全会一致により承認された。同年8月16日にNATOへ指揮権が委譲され、NATO史上初めて北太平洋域外での任務を担当した<ref>David P. Auerswald, and Stephen M. Saideman, eds. ''NATO in Afghanistan: Fighting Together, Fighting Alone'' (Princeton U.P., 2014)</ref>。 |
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===第7条=== |
|||
第7条では、この条約による規定は、国連憲章に基づく各国の権利・義務や[[国際連合安全保障理事会|国連安全保障理事会]]の責務に影響をおよぼすものではないことが規定されている。 |
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===第8条=== |
|||
第8条では、この条約を批准する際に、既に他国と締結している条約・協定が全て、この条約と矛盾しないことを約束しなければならない旨を規定している。この条約と矛盾する条約・協定を締結した場合、またはNATO加盟国同士の軍事衝突が発生した場合はこの条項に違反したことになり、その加盟国はNATOによる保護から外れることになる。 |
|||
そのような事態は発生していないが、以下のような{{仮リンク|国家間武力紛争|en|Militarized interstate dispute|label=NATO加盟国間の武力紛争}}は何度か発生しており、この条項の規定が適用される恐れがあった。 |
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{| class=wikitable |
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|+ NATO加盟国間の武力紛争 |
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|- |
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! 年 |
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! colspan=2 | 交戦国 |
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! 紛争 |
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|- |
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| 1958年-1961年<br/>1972年-1973年<br/>1975年-1976年 |
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| {{flagicon|Belgium}} [[ベルギー]]<br/>{{flagicon|United Kingdom}} [[イギリス]]<br/>{{flagicon|West Germany}} [[西ドイツ]] |
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| {{flagicon|Iceland}} [[アイスランド]] |
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| [[タラ戦争]] |
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|- |
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| 1974年 |
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| {{flagicon|Greece}} [[ギリシャ]] |
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| {{flagicon|Turkey}} [[トルコ]] |
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| [[キプロス紛争#トルコの軍事介入|トルコによるキプロスへの侵攻]] |
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|- |
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| 1994年-1996年 |
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| {{flagicon|Canada}} [[カナダ]] |
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| {{flagicon|Spain}} [[スペイン]] |
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| {{仮リンク|イシビラメ戦争|en|Turbot War}} |
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|- |
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| 1992年- |
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| {{flagicon|Greece}} [[ギリシャ]] |
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| {{flagicon|Turkey}} [[トルコ]] |
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| {{仮リンク|エーゲ海紛争|en|Aegean dispute}} |
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|} |
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===第9条=== |
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{{main|北大西洋理事会}} |
|||
第9条では[[北大西洋理事会]]を設置することを規定している。北大西洋理事会はこの条約に直接基づいて権限の行使をすることが定められている唯一の機関である。その主な目的は、本条約の第3条・第5条の施行である。 |
|||
===第10条=== |
|||
{{main|NATOの拡大}} |
|||
第10条では、NATOに加盟するためのプロセスについて規定している。NATOに新たに加盟できるのはヨーロッパの国のみであり、現行の加盟国による満場一致の合意を要することとしている。 |
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実際には、NATOに加盟するには政治的対話と軍事統合を含む多段階のプロセスを完了する必要がある<ref>{{cite press release |url=http://www.nato.int/docu/pr/1999/p99-066e.htm |title=Membership Action Plan (MAP) |id=NAC-S(99)66 |work=NATO |date=24 April 1999 |access-date=5 February 2015}}</ref><ref>{{Cite web |title=NATO Press Release M-NAC-2 (97)155 |url=https://www.nato.int/docu/pr/1997/p97-155e.htm |access-date=27 September 2020 |website=www.nato.int}}</ref>。 |
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===第11条=== |
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第11条は、この条約の最初の批准のプロセスについて規定している。この条約は、各国がそれぞれの憲法に定める手続きに基づいて批准することが求められ、発効には以下の国の批准が必要である。 |
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* ベルギー |
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* カナダ |
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* フランス |
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* ルクセンブルク |
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* オランダ |
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* アメリカ合衆国 |
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===第12条=== |
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第12条では、この条約の改正の手続きについて規定している。この条約の改正は、その規定が依然として北大西洋地域に影響を及ぼし、かつ、国連憲章に違反しないことが条件である。実際には、この規定は[[#署名後の改正|どの地域がNATOの管轄下にあるか]]を明確にするためにのみ使われている。 |
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===第13条=== |
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{{main|{{仮リンク|NATOからの脱退|en|Withdrawal from NATO}}}} |
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第13条では、NATOから脱退するためのプロセスについて規定している。脱退するには、アメリカ合衆国政府に脱退の1年前に通知するのみであり、他の加盟国の合意等は必要ない。通知を受けたアメリカ合衆国政府は、他の加盟国にその旨を通知する。 |
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これまでに、脱退を検討した国はあったものの、[[#脱退した国|加盟国からの独立の際に加盟しなかった例]]([[アルジェリア]]、[[マルタ]]、[[キプロス]])を除けば、NATOからの脱退は実現していない。 |
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NATOからの完全な脱退ではなく、NATOの軍事指導機構からのみ脱退するという選択肢もある。[[フランス]]は1996年に脱退し、2009年に復帰した。[[ギリシャ]]は1974年に脱退し、今なお復帰していない。 |
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'''北大西洋条約'''(きたたいせいようじょうやく、North Atlantic Treaty)は、北[[大西洋]]地域における[[集団防衛]]・[[集団安全保障]]に関する[[軍事同盟]]構築のための条約。 |
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条約締結地の[[ワシントンD.C.]]にちなみワシントン条約と呼ばれることもあるが、[[絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約]](締結地がやはりワシントンD.C.で同じ通称)との混同を避けるためか浸透はしていない。 |
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===第14条=== |
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条約の根幹は、いずれの加盟国に対する攻撃も全加盟国に対する攻撃とみなし[[集団的自衛権]]を発動することによって[[集団防衛]]体制を構築し、加盟国外からの攻撃を抑止することにある。 |
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第14条では、[[英語]]と[[フランス語]]をNATOの公用語とすること、アメリカ合衆国政府はこの条約の写しを他の締約国に公布することが規定されている。 |
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=== 署名後の改正 === |
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'''[[北大西洋条約機構]]'''(NATO)は、本条約に基づいて結成された軍事同盟である。 |
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この条約が署名された後、以下の3つの改正が加えられた<ref>{{Citation |title=The North Atlantic Treaty|url=https://www.nato.int/cps/en/SID-ECAE8DB0-F591EC88/natolive/official_texts_17120.htm|date=1963-01-16|orig-date=1949-04-04|publication-place=Washington D.C.}}</ref>。 |
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* 第5条が適用される地域の定義は、1951年10月22日に署名されたギリシャとトルコの加盟に関する北大西洋条約議定書第2条によって改正された。 |
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== 概要 == |
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* 第6条について、1963年1月16日、北大西洋理事会は、1962年7月3日より旧[[フランス領アルジェリア]]では本条約は適用されないことを定めた。 |
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[[第二次世界大戦]]の終結後に、[[ドイツ民主共和国|東ドイツ]]・[[西ドイツ]]を[[仮想敵国]]とし1948年に[[ブリュッセル条約 (1948年)|ブリュッセル条約]]が[[ベネルクス]]3国、[[イギリス]]、[[フランス]]の間で締結されていたが、[[冷戦]]下で力を増した[[ソビエト連邦]]の軍事的脅威に対抗するため、[[1949年]]4月にこの5国に更に[[アメリカ合衆国]]、[[カナダ]]、[[ノルウェー]]、[[デンマーク]]、[[イタリア]]、[[ポルトガル]]、[[アイスランド]]が加わった12カ国の間で締結された。 |
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* 第11条について、この条約は、全ての調印国の批准書が寄託された後の1949年8月24日に発効した。 |
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==脚注== |
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1955年、新たに西ドイツがNATOに加盟し(なお、[[東側諸国]]はこれに脅威を感じ、[[ワルシャワ条約 (1955年)|ワルシャワ条約]]を締結し[[ワルシャワ条約機構]]を結成した)、フランスが1966年から2009年まで軍事部門から脱退していた。 |
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===注釈=== |
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===出典=== |
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条約の締結当初は[[共産主義]]陣営(東側)に対するものであったが、[[ソビエト連邦の崩壊]]後に[[東ヨーロッパ|東欧]]諸国も加盟し、幅広い集団防衛条約となっている。 |
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==参考文献== |
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{{main2|加盟国等の詳細については「[[北大西洋条約機構]]」を}} |
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* Watry, David M. (2014). ''Diplomacy at the Brink: Eisenhower, Churchill, and Eden in the Cold War''. Baton Rouge: Louisiana State University Press. |
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==外部リンク== |
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* [https://www.nato.int/cps/en/natolive/official_texts_17120.htm NATO Official Text: The North Atlantic Treaty](英語) |
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* [http://www.nato.int/cps/en/SID-ECAE8DB0-F591EC88/natolive/official_texts_17120.htm Official text] |
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* [https://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/docs/19490404.T1J.html 北大西洋条約](日本語仮訳) - 東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室 |
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* {{Cite web|url=https://www.nato.int/cps/en/natohq/declassified_137721.htm|title=NATO Declassified – The Founding Treaty|accessdate=2022-11-12}} |
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* [https://worldjpn.net/documents/texts/docs/19490404.T1J.html 北大西洋条約](日本語仮訳) - 東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室 |
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2022年11月29日 (火) 13:24時点における版
北大西洋条約 | |
---|---|
通称・略称 | NATO条約 |
署名 | 1949年4月4日 |
署名場所 |
ワシントンD.C. ( アメリカ合衆国) |
発効 | 1949年8月24日 |
締約国 |
(原加盟国) アメリカ合衆国 カナダ ノルウェー デンマーク イタリア ポルトガル アイスランド ベルギー オランダ ルクセンブルク イギリス フランス |
当事国 | アメリカ合衆国と西側諸国 |
寄託者 | アメリカ合衆国連邦政府 |
言語 | フランス語、英語 |
主な内容 | |
関連条約 | ブリュッセル条約 (1948年) |
ウィキソース原文 |
北大西洋条約(きたたいせいようじょうやく、North Atlantic Treaty)は、北大西洋地域における集団防衛・集団安全保障に関する軍事同盟構築のための条約である。1949年4月4日にアメリカ合衆国のワシントンD.C.で署名された。署名地からワシントン条約と呼ばれることもある[注釈 1]。条約の根幹は、いずれの加盟国に対する攻撃も全加盟国に対する攻撃とみなし集団的自衛権を発動することによって集団防衛体制を構築し、加盟国外からの攻撃を抑止することにある。本条約に基づいて、軍事同盟「北大西洋条約機構」(NATO)が結成された。
概要
第二次世界大戦の終結後、1948年に東ドイツ・西ドイツを仮想敵国としたブリュッセル条約がベネルクス3国、イギリス、フランスの間で締結されていた。1949年4月、冷戦下で力を増したソビエト連邦の軍事的脅威に対抗するため、アメリカの外交官セオドア・C・アキリーズを委員長とする委員会によって、この5か国にアメリカ合衆国、カナダ、ノルウェー、デンマーク、イタリア、ポルトガル、アイスランドを加えた12か国の間で本条約が締結された。
条約締結前の1948年3月22日から4月1日にかけて、ペンタゴンで秘密会談が行われた。アキリーズは次のように述べている。
会談は約2週間続き、それが終わる頃には条約を締結することが暗黙に合意されていた。私は金庫の一番下の引き出しに条約の草案を入れていた。それは、ジャック(ジョン・デューイ・ヒッカーソン)以外には見せていなかった。私はそれを保管しておきたかったが、1950年に国防総省を去る時に、律義に金庫に入れたままにしたため、公文書館でそれを見ることはできない。それは、リオ条約と、まだ署名されていなかったが草案が提供されていたブリュッセル条約をわずかに参考にしている。最終的な北大西洋条約は、全体的な形式と多くの文言が私の最初の草案を保っていたが、いくつかの点で重要な相違があった[1]。
アキリーズによれば、この条約の条文のもう一人の重要な執筆者はジョン・デューイ・ヒッカーソンだった。
この条約の性質、内容、形式に関して、ジャックは誰よりも責任を負っていた。これはヒッカーソン一人の条約だった[1]。
北大西洋条約は、第二次世界大戦末期に過剰拡張を避け、その結果としてヨーロッパに多国間主義をもたらしたアメリカの願望によって生まれたものであり[2]、長く慎重なプロセスの末にアメリカが西ヨーロッパの列強と結んだ集団防衛体制である[3]。
1955年に西ドイツがNATOに加盟した。東側諸国はこれに脅威を感じ、ワルシャワ条約を締結しワルシャワ条約機構を結成した。フランスは1966年から2009年まで軍事部門から脱退していた。
この条約は、ソ連による西ヨーロッパへの武力攻撃を想定して締結されたが、相互自衛権条項が冷戦下において発動されることはなく、それが初めて発動されたのは2001年10月、アメリカ同時多発テロ事件に対するイーグルアシスト作戦においてだった。条約の締結当初は共産主義陣営(東側)に対するものであったが、ソビエト連邦の崩壊後に東欧諸国も加盟し、幅広い集団防衛条約となっている。
加盟国
原加盟国
北大西洋条約の原加盟国は以下の12か国である。これらの国の全権代表が、1949年4月4日にワシントンD.C.にて条約に署名した[4][5]。
- ベルギー - 首相兼外務大臣ポール=アンリ・スパーク、駐米大使ロベール・シルヴェルクリュイ
- カナダ - 外務大臣レスター・B・ピアソン、駐米大使H・H・ロング
- デンマーク - 外務大臣グスタフ・ラスムセン、駐米大使ヘンリク・カウフマン
- フランス - 外務大臣ロベール・シューマン、駐米大使アンリ・ボネ
- アイスランド - 外務大臣ビャルニ・ベネディクトソン、駐米大使Thor Thors
- イタリア - 外務大臣カルロ・スフォルツァ、駐米大使アルベルト・タチアーニ
- ルクセンブルク - 外務大臣ジョゼフ・ベッシュ、駐米大使Hugues Le Gallais
- オランダ - 外務大臣ディルク・スティッカー、駐米大使エルコ・ファン・クレフェンス
- ノルウェー - 外務大臣ハルワルド・ラング、駐米大使Wilhelm von Munthe af Morgenstierne
- ポルトガル - 外務大臣ジョゼ・カイエロ・ダ・マッタ、駐米大使ペドロ・テオトニオ・ペレイラ
- イギリス - 外務大臣アーネスト・ベヴィン、駐米大使オリヴァー・フランクス
- アメリカ - 国務長官ディーン・アチソン
ソ連崩壊前に加盟した国
以下の4か国は、条約発効後、ソビエト連邦崩壊前に加盟した。
ソ連崩壊後に加盟した国
以下の14か国は、ソビエト連邦崩壊後に加盟した。
脱退した国
脱退した国は存在しないが、以下の3か国は、加盟国から独立した後に本条約に加盟しなかったものである。
条文
第1条
第1条では、締約国に対し、国際平和、国際安全保障および正義を損なわないような平和的な手段にて関与し得るあらゆる国際紛争を解決すること、および、国際関係において国際連合の目的に合わないあらゆる手段による武力の行使を行わないことを求めている[6]。
締約国は、国際連合憲章に基づき、平和と安全保障の維持を通じて北大西洋地域の安定とウェルビーイングを促進することを目指す[6]。
第2条
第2条は、「締約国は、各国の自由な制度を強化し、その制度の基礎となる原則をより良く理解し、安定とウェルビーイングを促進することによって平和的・友好的な国際関係のさらなる発展に寄与すること。締約国は、国際的な経済政策における対立をなくすように努め、締約国間の経済的協力を推奨する」というものである[7]。この条項は、カナダの全権大使レスター・B・ピアソンの働きかけにより盛り込まれたことから「カナダ条項」(Canadian Clause)とも呼ばれる[8]。ピアソンは、貿易協議会、文化プログラム、技術共有、情報プログラムなどを提案したが、盛り込まれたのは後者の2つだけだった[9][10]。それにも関わらず、締約国間の経済摩擦の際にこの条項が取り上げられることがある[11]。
第3条
第3条は、「この条約の目的を効果的に達成するために、締約国は、個別的および共同的に、持続的かつ効果的な自助および共助によって、武力的攻撃に抵抗するための個別的および集団的能力を維持し、発展させることとする」というものである[6]。
2006年に緩やかなガイドラインとして制定された[12]GDPの2%を拠出することを目標とするルールは、この条文を根拠とするものであると解釈されている[13]。
また、この条文は、締約国のレジリエンス(大規模な災害やインフラ障害、または武力攻撃に抵抗し、回復する能力)を強化するという負託の中核概念としても使われてきた。これは、2016年NATOワルシャワ首脳会合で初めて容認され、2021年、COVID-19パンデミックに対抗するために再確認された[14][15]。NATOの文書では、これは以下の7つの分野を含むものと理解されている[16]。
- 危機における政府機能の継続
- エネルギー・電力のネットワークインフラのレジリエンス
- 出入国管理
- 食料と水の安全保障
- 医療の緊急事態
- 弾力性のある市民のコミュニケーション
- 効率的な交通網
第4条
第4条は、「締約国は、いずれかの締約国の領土保全、政治的独立、または安全が脅かされていると認めたときは、いつでも協議を行う」というものである。この条文は一般にNATOの作戦の出発点と考えられており、緊急事態を対象としている[17]。
この条文が発動されると、その問題は北大西洋理事会(NAC)で協議され、それによって正式に共同意思決定や共同作戦が行われる場合がある[18]。条約発効以来、この条文は7回発動されている[19]。
提案した国 | 年月 | 理由 | 結果 |
---|---|---|---|
トルコ | 2003年2月 | イラク戦争[19][20] | Operation Display Deterrence[21] |
トルコ | 2012年6月 | シリア軍によるトルコ空軍機の撃墜[19] | Operation Active Fence[22] |
トルコ | 2012年10月 | シリア軍によるトルコの都市への砲撃[19] | |
ラトビア[23] |
2014年3月 | ロシアによるクリミアの併合への対応 | ルーマニア、ブルガリア、トルコによる黒海への沿岸部隊、海軍、空軍の配備[26]。加盟国や国際社会からのロシアへの非難や制裁への支持[27]。ウクライナ政府への改革・医療支援[28]。拡大前方プレゼンス(EFP)の創設[29]。 |
トルコ | 2015年7月 | ISISの犯行とされるシュリュジュ自爆テロ事件や、南部国境沿いの治安問題への対応[18][30][31][32] | →詳細は「2015年NATO緊急会合」を参照
|
トルコ | 2020年2月 | シリアとロシアによるトルコ軍に対する空爆の疑い[35][19]などの、シリア北西部攻勢による緊張の高まり[36] | トルコの防空の強化[37][38] |
ブルガリア |
2022年2月 | ロシアのウクライナ侵攻[40] |
→「2022年NATOブリュッセル首脳会合」も参照
|
また、第4条を正式に発動しないが、発動の検討を表明するという例もある。実際にはこれは、問題を提起し、加盟国に抑止力を与えるという、第4条の本来の目的とみなされていた[46]。例えば、2021年11月、ポーランド外務省は、エストニア、リトアニア、ラトビアと共に、ベラルーシ移民危機を理由とした第4条の発動を検討したが、正式に要請はしなかった[47][48]。
第5条
第5条では、同盟体制の発動事由(casus foederis)を規定しており、この条約で最も重要な条項である。ヨーロッパまたは北アメリカにある1つまたは複数の加盟国に対する武力攻撃を、加盟国全てに対する武力攻撃とみなすことと規定している。このような武力攻撃を受けた場合、各加盟国は、国際連合憲章第51条により認められる個別的または集団的自衛権の行使として、武力の行使を含めた、北太平洋地域の安全を回復し維持するために必要な行動を取って、攻撃を受けた国を支援することとしている。
アメリカ同時多発テロ事件
これまでに、第5条の発動が検討された事例は何度かあったが、実際に発動されたのは2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件のときのみである[49][50]。2001年10月4日、NATOはこの攻撃が本条約の適用対象となる攻撃であることを確認し、第5条の発動を決定した[51]。
アメリカ同時多発テロ事件に対して、NATOはイーグル・アシスト作戦、アクティブ・エンデバー作戦などの8つの公式行動を行った。アクティブ・エンデバー作戦は、地中海で行われた、テロリストや大量破壊兵器の移動を阻止し、船舶の安全を強化するための作戦で、2001年10月4日に開始された[52]。
発動が検討された事例
検討した国 | 年月 | 理由 |
---|---|---|
トルコ | 2012年6月 | →詳細は「2012年トルコ空軍F-4戦闘機撃墜事件」を参照
2012年6月22日、シリア沖13海里の公海上空で、レーダーシステムの試験のために単機で出動した非武裝のトルコ軍機F-4が撃墜された[53][54]。6月25日、トルコの副首相は本条約第5条の適用を提案する意思があることを表明した[55]。 |
トルコ | 2012年8月 | →詳細は「スレイマン・シャー霊廟 § シリア内戦」を参照
トルコ首相レジェップ・タイイップ・エルドアンは、「(シリア領内にあるトルコの飛地である)スレイマン・シャー霊廟とその周辺の土地は我々の領土である。霊廟に対するいかなる好ましくない行為も、我々の領土に対する攻撃、すなわちNATOの(保護下にある)土地に対する攻撃として、我々は無視することができない」と述べた[56]。 |
NATO | 2015年6月 | NATO事務総長イェンス・ストルテンベルグ[57][58]は、当局筋のオフレコのインタビューにて、「親モスクワのテレビ局を運営するなど、完全に合法な活動であっても、条約第5条に基づくNATOの対応が要請される、広い意味での攻撃とみなされる可能性がある。最終的な決定は2015年10月に予定されている」と述べた[59]。 |
イギリス | 2022年8月 | →詳細は「ザポリージャ原子力発電所の危機」を参照
イギリス防衛特別委員会委員長のトビアス・エルウッドは、ウクライナのザポリージャ原子力発電所に対する意図的に放射能漏れを引き起こすような攻撃は第5条の対象となると発言した。この発言は、ロシアのウクライナ侵攻において同原発をロシアが占拠したことにより、ロシアが原子力事故を引き起こす懸念を受けたものである。その翌日、アメリカ下院議員のアダム・キンジンガーは、NATO加盟国に放射能が漏れた場合、それによって加盟国の国民が死ぬことになり、それは第5条の発動の要件となると発言した[60]。 |
アルバニア | 2022年10月 |
アルバニア首相エディ・ラマは、2022年7月15日に受けた同国の重要インフラや政府組織を狙った大規模なサイバー攻撃に対して、同国政府が第5条の発動を検討したことを明らかにした。この攻撃は、イラン政府に繋がりのあるサイバー犯罪者が行ったものであると考えられている[61][62]。 |
第6条
第6条では、第5条が適用される地域・対象を規定している。対象となるのは、北アメリカおよびヨーロッパにある加盟国の領域、北回帰線以北の北大西洋地域にある加盟国の管轄下にある島嶼およびフランス領アルジェリアのみである。また、これらの地域にある加盟国の軍隊、船舶、航空機への攻撃も対象となる。
1965年8月、アメリカ国務省・国防総省およびNATO法務部は、ハワイ州はこの条項の対象とならないという見解を示した[63]。北アフリカ沿岸のスペインの都市であるセウタとメリリャは、モロッコによる領有主張があるにも関わらず、この条項の対象外である。他の条項によってこれらの都市もNATOの保護下にあると主張する法律の専門家もいるが、この考え方が実際に検証されたことはない[64]。2020年、トルコ軍機がシリア軍により攻撃されたが、それがシリア領内であったため、第5条は発動されなかった[65]。
2003年4月16日、NATOはアフガニスタンにおける国際治安支援部隊(ISAF)の指揮を執ることに合意し、42か国の部隊が参加した。この決定は、ISAFを主導していたドイツとオランダの要請によるもので、19か国のNATO大使の全会一致により承認された。同年8月16日にNATOへ指揮権が委譲され、NATO史上初めて北太平洋域外での任務を担当した[66]。
第7条
第7条では、この条約による規定は、国連憲章に基づく各国の権利・義務や国連安全保障理事会の責務に影響をおよぼすものではないことが規定されている。
第8条
第8条では、この条約を批准する際に、既に他国と締結している条約・協定が全て、この条約と矛盾しないことを約束しなければならない旨を規定している。この条約と矛盾する条約・協定を締結した場合、またはNATO加盟国同士の軍事衝突が発生した場合はこの条項に違反したことになり、その加盟国はNATOによる保護から外れることになる。
そのような事態は発生していないが、以下のようなNATO加盟国間の武力紛争は何度か発生しており、この条項の規定が適用される恐れがあった。
年 | 交戦国 | 紛争 | |
---|---|---|---|
1958年-1961年 1972年-1973年 1975年-1976年 |
ベルギー イギリス 西ドイツ |
アイスランド | タラ戦争 |
1974年 | ギリシャ | トルコ | トルコによるキプロスへの侵攻 |
1994年-1996年 | カナダ | スペイン | イシビラメ戦争 |
1992年- | ギリシャ | トルコ | エーゲ海紛争 |
第9条
第9条では北大西洋理事会を設置することを規定している。北大西洋理事会はこの条約に直接基づいて権限の行使をすることが定められている唯一の機関である。その主な目的は、本条約の第3条・第5条の施行である。
第10条
第10条では、NATOに加盟するためのプロセスについて規定している。NATOに新たに加盟できるのはヨーロッパの国のみであり、現行の加盟国による満場一致の合意を要することとしている。
実際には、NATOに加盟するには政治的対話と軍事統合を含む多段階のプロセスを完了する必要がある[67][68]。
第11条
第11条は、この条約の最初の批准のプロセスについて規定している。この条約は、各国がそれぞれの憲法に定める手続きに基づいて批准することが求められ、発効には以下の国の批准が必要である。
- ベルギー
- カナダ
- フランス
- ルクセンブルク
- オランダ
- イギリス
- アメリカ合衆国
第12条
第12条では、この条約の改正の手続きについて規定している。この条約の改正は、その規定が依然として北大西洋地域に影響を及ぼし、かつ、国連憲章に違反しないことが条件である。実際には、この規定はどの地域がNATOの管轄下にあるかを明確にするためにのみ使われている。
第13条
第13条では、NATOから脱退するためのプロセスについて規定している。脱退するには、アメリカ合衆国政府に脱退の1年前に通知するのみであり、他の加盟国の合意等は必要ない。通知を受けたアメリカ合衆国政府は、他の加盟国にその旨を通知する。
これまでに、脱退を検討した国はあったものの、加盟国からの独立の際に加盟しなかった例(アルジェリア、マルタ、キプロス)を除けば、NATOからの脱退は実現していない。
NATOからの完全な脱退ではなく、NATOの軍事指導機構からのみ脱退するという選択肢もある。フランスは1996年に脱退し、2009年に復帰した。ギリシャは1974年に脱退し、今なお復帰していない。
第14条
第14条では、英語とフランス語をNATOの公用語とすること、アメリカ合衆国政府はこの条約の写しを他の締約国に公布することが規定されている。
署名後の改正
この条約が署名された後、以下の3つの改正が加えられた[69]。
- 第5条が適用される地域の定義は、1951年10月22日に署名されたギリシャとトルコの加盟に関する北大西洋条約議定書第2条によって改正された。
- 第6条について、1963年1月16日、北大西洋理事会は、1962年7月3日より旧フランス領アルジェリアでは本条約は適用されないことを定めた。
- 第11条について、この条約は、全ての調印国の批准書が寄託された後の1949年8月24日に発効した。
脚注
注釈
出典
- ^ a b “Theodore Achilles Oral History Interview”. Truman Library. 2014年5月29日閲覧。
- ^ Cha, Victor (Winter 2009–2010). “Powerplay: Origins of U.S. Alliances in Asia”. International Security 34 (3): 158–196. doi:10.1162/isec.2010.34.3.158.
- ^ Mabon, David W. (May 1988). “Elusive Agreements: The Pacific Pact Proposals of 1949-1951”. Pacific Historical Review 57 (2): 147–178. doi:10.2307/4492264. JSTOR 4492264.
- ^ Bevans, Charles Irving (1968). “North Atlantic Treaty”. Treaties and other international agreements of the United States of America 1776–1949. 4, Multilateral 1946–1949. Washington, D.C.: Department of State. p. 831. LCCN 70-600742. OCLC 6940 2013年5月1日閲覧。
- ^ “NATO Declassified - Treaty Signatories”. NATO. 2022年11月12日閲覧。
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- ^ “by NATO Secretary General Jens Stoltenberg at Massey College, Toronto (Canada)”. 2022年11月12日閲覧。
- ^ “CANADA AND NATO”. 2022年11月12日閲覧。 “The report’s ideas about enhanced economic partnerships and cultural connections were not implemented, but two major initiatives were adopted: a more robust information programme to explain NATO and its mission better to Allied audiences, and the creation of a NATO Science Programme, which has encouraged scientific and technological innovation across the Alliance and provided support to many Nobel laureates.”
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参考文献
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外部リンク
- Official text
- “NATO Declassified – The Founding Treaty”. 2022年11月12日閲覧。
- 北大西洋条約(日本語仮訳) - 東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室