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「ネフェルウ3世」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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m Sethemhat がページ「ネフェル3世」を「ネフェルウ3世」に移動しました: 出典、西村洋子『古代エジプト語基本単語集』、ドドソン&ヒルトン『エジプト歴代王朝史』に挙げられた使用例および、古代エジプト分野における.wの一般的転写の方法も考慮した改名。詳細はノート参照。
Template除去。せっかく各種出典を確認したので加筆。出典を日本語のものに置き換え。
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'''ネフェル3世'''(Neferu III)は、[[古代エジプト]][[エジプト第12王朝|第12王朝]]の王妃。[[アメンエムハト1世]]と[[ネフェルイタチェネン]]の娘、[[センウセレト1世]]の姉妹かつ妻であり、[[アメンエムハト2世]]の母親である<ref>{{Dodson}}, p.92</ref>。
'''ネフェル3世'''(Neferu III)は、[[古代エジプト]][[エジプト第12王朝|第12王朝]]の王妃。[[アメンエムハト1世]]と[[ネフェルイタチェネン]]の娘、[[センウセレト1世]]の同母姉妹かつ妻であり、[[アメンエムハト2世]]の母親である<ref name="ドドソン、ヒルトン2012p92">[[#ドドソン, ヒルトン 2012|ドドソン, ヒルトン 2012]], p. 92</ref><ref name="ティルディスレイ2008p89">[[#ティルディスレイ 2008|ティルディスレイ2008]], p. 89</ref>。彼女は「王の娘」「王の妻」「王の母」という肩書を持っていた<ref name="ドドソン、ヒルトン2012p97">[[#ドドソン, ヒルトン 2012|ドドソン, ヒルトン 2012]], p. 97</ref>。


この時代の王妃は基本的に葬祭関連の文書によってのみ知られている<ref name="ティルディスレイ2008p90">[[#ティルディスレイ 2008|ティルディスレイ2008]], p. 90</ref>。ネフェルウ3世も大枠として例外ではなく、彼女に関する記録はアメンエムハト1世のピラミッド複合体で発見された石の断片、アメンエムハト2世がセンウセレト1世のために建てた神殿、およびセンウセレト1世のピラミッド複合体に作られたネフェルウ3世のためのピラミッドから得られている(ただし彼女はこのピラミッドに埋葬されなかった可能性がある)<ref name="ドドソン、ヒルトン2012p97"/>。
ネフェル3世は、アメンエムハト1世の4人の子供の内の1人である。彼女は兄弟のセンウセレト1世と結婚し、知られている限りでは彼の唯一の妻だった。彼女は『[[シヌヘの物語]]』で彼の妻として言及されている。


ネフェルウ3世は[[古代エジプト文学]]の傑作である『[[シヌヘの物語]]』にもセンウセレト1世の妻として言及されている。この物語の終盤でネフェルウ3世は王女たちと共に流浪の旅からエジプトへと帰還したシヌヘを出迎えている<ref name="ティルディスレイ2008p89"/>。
彼女は「王の娘」「王の妻」「王の母」という肩書を持っている。


{{Quote|...かれ(=王)に愛されたるもの、従者シヌヘは(次のように)語った。私は主君につき従う従者であり、世襲の王女にしてケネムスウトにおけるセンウセレト王の寵愛厚き妃、カーネフェルウにおけるアメンエムハト王の娘、尊きネフェルウのハレムに仕えるものであった...|『シヌヘの物語』冒頭<ref name="シヌヘの物語p406>[[#シヌヘの物語|シヌヘの物語]], 屋形訳, p. 406</ref>}}
== 出典 ==
{{Quote|...そこへ、王の子たちが案内されてはいってきた。ついで王(引用注:センウセレト1世)は王妃(引用注:ネフェルウ3世)にむかって(こう)申された。「ここにシヌヘがいる。アジア人として、アジア人の格好をしてやってきたのだ」と。王妃は大声で叫び、王の子供たち(も)皆いっせいに叫び声をあげた。そして陛下へ向かって言った。「おお、国王よ。わが主君よ。本当はかれではありません」と。陛下は申されました。「本当にかれなのだ」と。...<ref group="注釈">屋形訳では、固有名詞の記載はそれぞれ、ケネムスート(地名)、センウセルト(王名)、カーネフェルー(地名)、ネフェルー(王妃名)である。ここでは本文に合わせてカナ転写を変更している</ref>|『シヌヘの物語』終盤<ref name="シヌヘの物語p413>[[#シヌヘの物語|シヌヘの物語]], 屋形訳, p. 413</ref>}}

== 脚注 =
=== 注釈===
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=== 出典 ===
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=== 参考文献 ===
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* {{Cite book |和書 |author=ジョイス・ティルディスレイ |authorlink=:en:Joyce Tyldesley |others=[[吉村作治]]監修、月森左知訳 |title=古代エジプト女王・王妃歴代誌 |publisher=[[創元社]] |date=2008-06 |isbn=978-4-422-21519-8 |ref=ティルディスレイ 2008 }}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

2022年10月2日 (日) 13:12時点における版

ネフェル
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ネフェルウ3世(Neferu III)は、古代エジプト第12王朝の王妃。アメンエムハト1世ネフェルイタチェネンの娘、センウセレト1世の同母姉妹かつ妻であり、アメンエムハト2世の母親である[1][2]。彼女は「王の娘」「王の妻」「王の母」という肩書を持っていた[3]

この時代の王妃は基本的に葬祭関連の文書によってのみ知られている[4]。ネフェルウ3世も大枠として例外ではなく、彼女に関する記録はアメンエムハト1世のピラミッド複合体で発見された石の断片、アメンエムハト2世がセンウセレト1世のために建てた神殿、およびセンウセレト1世のピラミッド複合体に作られたネフェルウ3世のためのピラミッドから得られている(ただし彼女はこのピラミッドに埋葬されなかった可能性がある)[3]

ネフェルウ3世は古代エジプト文学の傑作である『シヌヘの物語』にもセンウセレト1世の妻として言及されている。この物語の終盤でネフェルウ3世は王女たちと共に流浪の旅からエジプトへと帰還したシヌヘを出迎えている[2]

...かれ(=王)に愛されたるもの、従者シヌヘは(次のように)語った。私は主君につき従う従者であり、世襲の王女にしてケネムスウトにおけるセンウセレト王の寵愛厚き妃、カーネフェルウにおけるアメンエムハト王の娘、尊きネフェルウのハレムに仕えるものであった...
『シヌヘの物語』冒頭[5]
...そこへ、王の子たちが案内されてはいってきた。ついで王(引用注:センウセレト1世)は王妃(引用注:ネフェルウ3世)にむかって(こう)申された。「ここにシヌヘがいる。アジア人として、アジア人の格好をしてやってきたのだ」と。王妃は大声で叫び、王の子供たち(も)皆いっせいに叫び声をあげた。そして陛下へ向かって言った。「おお、国王よ。わが主君よ。本当はかれではありません」と。陛下は申されました。「本当にかれなのだ」と。...[注釈 1]
『シヌヘの物語』終盤[6]

= 脚注

注釈

  1. ^ 屋形訳では、固有名詞の記載はそれぞれ、ケネムスート(地名)、センウセルト(王名)、カーネフェルー(地名)、ネフェルー(王妃名)である。ここでは本文に合わせてカナ転写を変更している

出典

参考文献

  • 杉勇三笠宮崇仁編 編、屋形禎亮 訳「シヌヘの物語」『古代オリエント集』筑摩書房、1978年4月、403-414頁。ISBN 978-4-480-20601-5 
  • エイダン・ドドソン、ディアン・ヒルトン『全系図付エジプト歴代王朝史』池田裕訳、東洋書林、2012年5月。ISBN 978-4-88721-798-0 
  • ジョイス・ティルディスレイ『古代エジプト女王・王妃歴代誌』吉村作治監修、月森左知訳、創元社、2008年6月。ISBN 978-4-422-21519-8 

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