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[[バークマン・センター]]と[[ハーバード大学]]が出版した『オンライン上の有害発言に関する展望』に収められたある随筆は、次のように書いている。
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== 起源と歴史 ==
== 起源と歴史 ==

2022年9月25日 (日) 09:47時点における版

シーライオニング: Sealioning)とは、荒らしや嫌がらせの一類型であり、礼儀正しく誠実なふりを続けながら、相手に証拠をしつこく要求したり質問を繰り返したりすることを指す[1][2][3][4]。これは「議論への参加を執拗に、真意を偽りつつ求める」形をとることがある[5]。用語の起源はウェブコミック『Wondermark』の2014年のエピソード(D・マルキ作)[6]

説明

これを行う荒らしは無知で礼儀正しいふりをし、標的になった人が痺れ(しびれ)を切らせて怒り出すと、荒らしはあたかも自分が不当に虐げられたような振る舞いをして見せる[7][8]。シーライオニングは一人の荒らしが行うこともあるし、複数の荒らしが協力して行うこともある[9]。シーライオニングの技法はギッシュギャロップと似たようなもので、人間相手のDoS攻撃に例えられる[10]

バークマン・センターハーバード大学が出版した『オンライン上の有害発言に関する展望』に収められたある随筆は、次のように書いている。

修辞学的に言うと、シーライオニングは、合理的に議論しようと大声で主張しながら、基礎的な情報に関して・どこでもすぐに見つかる情報に関して・無関係だったり脱線した事柄に関してなされる絶え間ない質問を、融合させる。それは学習しコミュニケーションしようとする誠実そうな姿勢を装う。そうやってシーライオニングは、標的となった人の忍耐・注意・対話の努力をすり減らし、その人が理性的でなく見えるように仕向ける。一見、これをする荒らしの質問は無邪気だが、それは悪意に基づいており有害な結果をもたらす。 — エイミー・ジョンソン、バークマン・センター(2019年5月)[10]

起源と歴史

この言葉は2014年に『Wondermark』で掲載された、デヴィッド・マルキによる一編のウェブコミックに由来する[6]。最初のコマで登場人物の1人がアシカ(シーライオン)への嫌悪を表明し、そこにアシカが割り込んできてその人物に繰り返し説明を求める[11]。「シーライオン」は瞬く間に動詞として人口に膾炙(かいしゃ)した。この言葉はネット上の荒らしの表現として広く知られるようになり、ゲーマーゲート論争に参加した一部の論客たちの態度を表現するために使われた[12][13]

『ファースト・マンデー』誌に掲載された2016年の研究は、論争が絶えないゲーマーゲートコミュニティである subreddit の /r/KotakuInAction のユーザーに対し、「嫌がらせ」を構成するものは何と考えるか調査した。それによると「誠実に反対を表明すること」は論争相手にとっては嫌がらせと捉えられるという意見があり、シーライオニングという言葉は正当な証拠の要求を抑え込むために使われていた[14]

脚注

  1. ^ Poland, Bailey (November 2016). Haters: Harassment, Abuse, and Violence Online. University of Nebraska Press. pp. 144–145. ISBN 978-1-61234-766-0. オリジナルの2019-11-04時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20191104192314/https://books.google.com/books?id=Jd4nDwAAQBAJ&pg=PA145 2018年1月10日閲覧。 
  2. ^ Sarkeesian, Anita (2015年2月20日). “Anita Sarkeesian's Guide to Internetting While Female” (英語). Marie Claire. オリジナルの2019年8月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190802082936/https://www.marieclaire.com/culture/news/a13403/online-harassment-terms-fight-back/ 2019年8月2日閲覧。 
  3. ^ Chandler, Daniel; Munday, Rod (2016-03-03) (英語). A Dictionary of Social Media. Oxford University Press. ISBN 9780192518521. OCLC 952388585. オリジナルの2018-09-19時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180919025124/http://www.oxfordreference.com/view/10.1093/acref/9780191803093.001.0001/acref-9780191803093-e-1257 2018年9月18日閲覧。 
  4. ^ Bloomfield, Robert (2018). “The LAAPs that foster productive conversations and the crebit that undermines them”. Accounting, Organizations and Society 68–69: 125–142. doi:10.1016/j.aos.2018.06.004. "Consider a website that seeks to provide a venue for productive conversations among those who own and love cats. Their conversations are likely to be undermined by those who want to foster a preference for dogs (haters), as well as those who simply enjoy undermining conversations for its own sake (trolls). They can expect these haters and trolls to raise faulty arguments about the evils of cats faster than they can be rebutted (the Gish Gallop); to pretend sincerity in asking repeatedly for evidence on the benefits of cats (sealioning)... [愛猫家で猫を飼う人々同士に生産的な会話の場を提供するウェブサイトを想像してみよう。そこで行われる会話は、犬好き支持派(嫌悪者=ヘイター)や、単に会話をボロボロにして楽しがる人(荒らし=トロール)に害される可能性がある。これら嫌悪者や荒らしが矢継ぎ早に猫の悪い面の誤った議論を起こし、反論が追いつかなくなること(ギッシュギャロップ)はウェブサイト主催者なら予想がつく。誠実なふりをして、猫の良い面の証拠を執拗に求め続けるのだ(シーライオニング)(後略)。]" 
  5. ^ Can Real Social Epistemic Networks Deliver the Wisdom of Crowds?” (pdf). p. 21. 2019年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ2019年1月28日閲覧。
  6. ^ a b Wondermark #1062” (2014年9月19日). 2019年6月8日時点のオリジナルよりアーカイブ2019年3月3日閲覧。
  7. ^ Lindsay, Jessica (2018年7月5日). “Sealioning is the new thing to worry about in relationships and online” (英語). Metro英語版. オリジナルの2018年8月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180831071933/https://metro.co.uk/2018/07/05/sealioning-new-thing-worry-relationships-online-7680577/ 2018年9月13日閲覧。 
  8. ^ Stokel-Walker, Chris (2018年8月18日). “How to handle a troll ... and neuter a sea lion” (英語). The Guardian. オリジナルの2019年1月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190110215841/https://www.theguardian.com/technology/2018/aug/18/how-to-handle-a-troll-and-neuter-a-sea-lion-dealing-with-online-attacks-astroturfine-trolljacking 2018年9月13日閲覧。 
  9. ^ (2019年3月17日). “'Sealioning' Is A Common Trolling Tactic On Social Media—What Is It?”. Forbes. 2019年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ2019年6月16日閲覧。
  10. ^ a b Johnson, Amy (2017年). “The Multiple Harms of Sea Lions”. Berkman Klein Center for Internet & Society. p. 14. 2018年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ2018年9月16日閲覧。
  11. ^ Maxwell, Kerry (2015年10月6日). “Definition of Sea lion” (英語). Macmillan Dictionary. 2018年1月11日時点のオリジナルよりアーカイブ2018年1月10日閲覧。
  12. ^ Jhaver, Shagun; Ghoshal, Sucheta; Bruckman, Amy; Gilbert, Eric. “Online Harassment and Content Moderation: The Case of Blocklists”. ACM Transactions on Computer-Human Interaction 25 (2): 12. doi:10.1145/3185593. 
  13. ^ Massanari, Adrienne L. (2016). "'Damseling for Dollars': Toxic Technocultures and Geek Masculinity". In Lind, Rebecca Ann (ed.). Race and Gender in Electronic Media: Content, Context, Culture. Routledge. ISBN 9781317266129. OCLC 948090024. For supporters [of Gamergate], however, the hashtag became an effective way to swarm the mentions of users perceived as not sharing their views, which became known colloquially as 'sea lioning' (Malki, 2014). [しかし、このハッシュタグは〈ゲーマーゲートの〉支持者には自分の意見を共有していないと認識した、口語表現で言う「シーライオニング」なユーザーの言及をかき集めるのに効果的な方法になった。]
  14. ^ Jhaver, Shagun; Chan, Larry; Bruckman, Amy (2018-02-05). “The view from the other side: The border between controversial speech and harassment on Kotaku in Action”. First Monday 23 (2). arXiv:1712.05851. doi:10.5210/fm.v23i2.8232. オリジナルの2019-03-21時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190321060337/https://firstmonday.org/ojs/index.php/fm/article/view/8232 2019年3月21日閲覧。. 

関連項目

外部リンク