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「JR西日本223系電車」の版間の差分

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2022年3月26日 (土) 06:47時点における版

JR西日本223系電車
(共通事項)
JR神戸線を走行する2000番台の新快速
(2021年2月 須磨駅 - 塩屋駅間)
基本情報
運用者 西日本旅客鉄道
製造所 川崎重工業車両カンパニー
近畿車輛[* 1]
日立製作所笠戸事業所[* 2]
製造年 1994年[1] - 2008年
製造数 927両
主要諸元
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 1,500 V
最高速度 130km/h(一部120km/h)
車体 ステンレス
(前頭部のみ普通鋼
台車 ボルスタレス台車
主電動機 かご形三相誘導電動機
歯車比 15:98 (1:6.53)
制御方式 VVVFインバータ制御
1C1M
制動装置 電力回生併用電気指令式空気ブレーキ
抑速ブレーキ
保安装置 EBTE装置列車防護無線装置
備考 脚注
  1. ^ 5000・9000番台を除く。0番台は先頭車4両を含む12両のみ。
  2. ^ 1000番台W3編成のみ。
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223系電車(223けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流近郊形電車である[2]

本項では、本系列と213系で構成される同社の在来線技術試験車「U@tech」と、本系列と類似の車体を持つ鉄道総合技術研究所(鉄道総研)の「R291形電車」についても記述する。

概要

近畿地区の路線におけるサービス向上及び老朽化した近郊型車両の置き換えを目的として、1994年[1](平成6年)から導入が開始され、投入される線区や列車種別に応じて様々な仕様変更を繰り返しながら製造された。本系列の後継形式である225系とともにJR西日本のアーバンネットワーク(京阪神エリア)を代表する主力車両でもある。

阪和線・関西空港線用の0番台・2500番台、東海道本線・山陽本線用の1000番台・2000番台、東海道本線・山陽本線・福知山線用の6000番台・7000番台、北近畿地区用の5500番台、岡山地区用の5000番台の7グループが在籍している[注 1]。過去には、試作車として製造されたのち事業用車に改造された9000番台が在籍していた。

新快速の運用車両には153系が「ブルーライナー」、117系が「シティライナー」、221系には「アメニティライナー」と言う愛称があったが、本形式および後継の225系には特に車両愛称は与えられていない。

また、本系列をベースとしつつ各線区ごとの事情を加味して仕様変更を実施した単行電車の125系、交直流の近郊形電車521系JR四国所有の5000系が導入されている。

車両概説

本項では登場当時の仕様を基本として記述し、番台別の差異については次項で述べる。

車体

207系で採用された軽量ステンレス鋼製で、前頭部のみ一般構造用圧延鋼材 (SS400) の溶接組立構造としている[3]

前面形状は221系に比べて傾斜角度が緩やかになり、新設計の半流線形で非常時貫通構造としたが、その後に製造された5000番台・5500番台のみ常時貫通構造としたため、上部のみ垂直な形状となった。正面は、0番台円形の前部標識灯に対して、1000番台以降は角型前部標識灯とフォグランプが2灯ずつ取り付けたものになっている[注 2]。運行番号表示器は、2000番台1次車と2500番台1次車のみLED式が採用されたが、その他の車両はマグサイン式である[注 3]。207系と同様に補助警笛としてミュージックホーンが設置されており、運転席下部のペダルを軽く踏むとミュージックホーンだけが、強く踏むと通常の空気笛が同時に鳴る仕組みとなっている。

塗装は0番台・2500番台が関西国際空港のイメージカラーである青と白のグラデーションが採用され[注 4]、それ以外の系列では221系と共通イメージの白・茶(ぶどう色2号関西急電シンボルカラー)・青(JR西日本コーポレートカラー)・ベージュ(新快速シンボルカラー)の4色帯となり、戸袋部分にも窓周りと同色の茶色の帯が貼付された。

側窓は0番台は221系に準じて下降式の窓に戸袋窓があり、その後に製造された1000番台は車端部以外の戸袋窓が廃止された。2000・2500番台以降は戸袋窓がなくなり、窓の形状は下降式から内折れ式に変更された。この部分では上から5分の2程度の部分に黒い桟が入っている。5000番台全車と2000番台の5次車からと2500番台の3次車からは再び下降式に戻された。

方向幕は221系や207系でも採用された幕式種別表示器とLED式行先表示器を採用しており、本形式からは車体正面にも行先表示器も設置された。寿命保持のため、車体側面の行先表示器は一定の速度で消灯する。

車内

221系に準じた転換クロスシートが設置されているが、系列によって座席数・配列が異なっている。

阪和線・関西空港線向けの0番台・2500番台の座席は関西国際空港の利用客が大型荷物を持ち込んでも広くスペースが取れるようにすることや、ラッシュ時の収容力を確保するために車端部を除いて2人+1人となっており、車体塗色に合わせた空色のモケットである。0番台はノルウェー・エクネス社製の輸入品が設置され、1人席の肘掛け下には荷物を固定するためのワイヤーが備えられた。しかし2006年までに転換式の座席がすべて2500番台と同様の国産の住江工業製に交換され荷物固定用ワイヤーは廃止された。座席交換によって窓際の肘掛がなくなった。扉間の座席は0番台のみ221系と同じ6列で、2500番台は1列少ない5列になっている。2011年6月より225系5000番台に準じた座席モケットに変更された車両が登場して[4]おり、0番台は既に交換が完了している。

東海道・山陽本線・瀬戸大橋線向けの1000番台・2000番台・5000番台・6000番台は221系と同じ2人+2人掛けで座席モケットの色も同様であるが、扉間の座席は1列少ない5列になっており、乗降扉付近のスペースを確保して混雑緩和が図られている。221系に比べて座席数が減少するため、転換ができない固定座席の背面に収納式の補助席が装備された。すべての補助席を使用すると1両あたりの座席定員が221系より8席増加する(221系は体質改善工事施工編成でも座席定員の変更はなし)。この補助席は中央の扉では両側の固定座席の背面にあるが、両端の扉では中央寄りの固定座席の背面にしかない。補助席は混雑防止のため、平日ラッシュ時には車掌の操作により一斉ロックが可能な構造になっている。1000番台については、使用できないときはその旨のお知らせ灯が点灯し、補助席を取り出すと背もたれの部分もせり出して背面がフラットになる構造となっているが、2000番台以降はこれらが省略されている。最近、座席のモケットが交換され、写真のような座席は223系には残っていない。

ワンマン仕様の5500番台は車端部のみ4人掛けのロングシートとなっており、それ以外は1000・2000・5000・6000番台と同じ配列・モケット色となる。最後部のみ整理券発行機を設置した関係で補助席が設置されていない。

トイレは0番台・1000番台には従来型の和式トイレが設置されたが、2000番台以降の系列には車いすの利用に対応するためスペースを拡大した洋式トイレが設置されている。トイレの向かいの座席は、和式トイレの0番台・1000番台については4人ボックス席であるが、1000番台は車いすスペースとして利用できるように跳ね上げ式の座席となっている。2000番台以降の車両は車いすスペースとしており座席は設置されていない。

2000番台の車内案内表示装置

車内にはLED式の車内案内表示装置が設置されている。221系では車体妻面に1両あたり2か所設置されていたが、223系では乗降扉の上に配置されており、0番台では1両あたり6箇所(全てのドア上)に、1000番台以降は浜側2箇所・山側1箇所の千鳥配置に変更されている。日本語及び英語での案内に対応している。

207系に引き続きドアチャイムが設置されており、製造当初は207系前期製造分と同様に閉まる時のみに鳴っていたが、現在では開く時も鳴るように改良されている。なお、半自動時はドアチャイムは鳴らない。

Doormusic.ogg 0番台・1000番台・2000番台(4次車以前)・2500番台(2次車以前)・5000番台・6000番台(V編成)のドア開閉時に鳴動するドアチャイム[ヘルプ/ファイル] 223-2500-3Jisya_doormusic.ogg 223系2000番台(5次車以降)・2500番台(3次車)・6000番台(MA編成)のドア開閉時に鳴動するドアチャイム[ヘルプ/ファイル]

乗務員室

横軸ツインレバー型マスコンを搭載した運転台

運転台のマスコンは、221系から引き続きブレーキとマスコンが別々の横軸ツインレバー型を採用している。車掌スイッチは間接制御式(リレー式)を採用、個別開閉にも対応している。

機器類

221系では動力車の性能調整をMM'ユニット方式と単独電動車(1M)方式の2種類の電動車を用意することで行っていたが、本系列では走行に必要な機器類を1両の電動車に集中させ、それを3両に1両程度の割合で連結することで編成組成の自由度を向上させている。製造期間が14年の長期にわたっているため、各部の構造はグループごと、さらにグループ内でも製造ロットごとに差違が生じている。例えば主回路装置(VVVFインバータ)の制御素子は0番台がゲートターンオフサイリスタ(GTO)、1000番台以降では絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)と異なったものを搭載しており、IGBT素子を搭載する番台では車両単位で三菱電機東芝日立製作所製が混在している。

0番台での車両制御装置は、VVVFインバータと補機用電源である静止形インバータ(SIV)で構成されていたが、1000番台以降で双方を一体化させた車両制御装置に改良され、SIVの不具合時にはVVVFインバータの1群を補助電源として使用することが可能となっている[5]

屋根上機器は221系を踏襲した集約分散式冷房装置2基を全車に搭載している。また、電動車については屋根上後位寄り(大阪駅基準で播州赤穂・和歌山寄り)に下枠交差型パンタグラフを搭載、2基の冷房装置を挟んで前位寄りには搭載準備工事としてパンタ台を設置している。ただし剛体架線のJR東西線を走行する網干総合車両所宮原支所(旧宮原総合運転所)の6000番台と、丹波方面を走行する5500番台では一部編成のみ前位寄りパンタ台にもパンタを搭載し、2基搭載としている。

台車はボルスタレス式を採用し、基礎ブレーキとして電動台車には踏面ブレーキ、付随台車にはディスクブレーキを備える。0番台の台車は207系をベースにした円錐積層ゴム支持式ボルスタレス台車であるが、営業最高速度を130 km/hに向上させた1000番台以降は、高速走行を行う681系で採用実績のある軸梁式に変更およびヨーダンパが追加された[6]

WDT59形台車
(モハ223-2524)
WTR243A形台車
(クハ222-2519)

形式と編成

形式

2011年4月1日現在は以下の形式が存在し、9000番台にはクモヤ223形のみ存在する。

クモハ223形(Mc・Mc1・Mc3)
クモヤ223形(Mzc)
車体前位に運転台を持つ制御電動車パンタグラフ・VVVFインバータおよび静止形インバータ(SIV)(0番台)・車両制御装置(1000番台以降)・空気圧縮機(CP)を搭載する。クモハ223形は9000番台を除く各番台に、クモヤ223形は9000番台(9001)のみ存在し、主要機器を全て搭載している。2000番台1次車とそれを番台変更した網干総合車両所の6000番台[注 5]に存在する3000番台・7000番台は主電動機を3基設置[注 6]。上り向きに連結されている。なお、0番台と100番台はCPを搭載していない。
モハ223形(M・M1)
中間電動車。クモハ223形から運転台を除いたもので、5000番台・5500番台以外の各番台に存在。2000番台2次車以降の中でCPを搭載していない車両は2100番台(網干総合車両所宮原支所の6000番台車では6100番台(6300番台も含む))[注 7]になっている。また、0番台もCPを搭載していない。
モハ222形(M'・M'3)
中間電動車。モハ223形から補機類(SIV・CP)を除いたもので、2000番台1次車とそれを番台変更した網干総合車両所の6000番台[注 5]にのみ存在する。3000番台・7000番台は主電動機を3基設置。
クハ222形(T'c・T'c1)
車体後位に運転台を持つ制御車。2位寄りにトイレを備え、0番台と100番台はCPを搭載する。
サハ223形(T・T1)
付随車。100番台はCPを搭載している。5000番台・5500番台以外の各番台に存在。

番台区分

0番台

0番台
0番台HE411編成
(2017年7月15日 浅香駅)
基本情報
製造所 川崎重工業
近畿車輛(先頭車4両を含む12両のみ)
製造年 1994年
製造数 68両
投入先 大阪環状線阪和線関西空港線きのくに線
主要諸元
編成 2両・6両 → 3両・5両 → 4両・4両
最高運転速度 120 km/h
設計最高速度 120 km/h
130 km/h (準備工事)
起動加速度 2.1 km/h/s(登場時)
2.5 km/h/s(主電動機交換後)
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.2 km/h/s
自重 27.7 t(サハ223)
31.1 t(クハ222)
38.0 t(モハ223)
39.0 t(クモハ223)
全長 20,000 mm
全幅 2,950 mm
全高 3,640 mm
台車 円錐積層ゴム式
WDT55A(電動車)
WTR239A(付随車)
主電動機 かご形三相誘導電動機
0番台:180 kW(WMT100B・登場時)
230 kW (WMT102C)
駆動方式 WN継手式中実軸平行カルダン方式
編成出力 1,840 kW
1,800 kW(2500番台混結)
制御方式 3レベルGTO-VVVFインバータ(登場当初)
PWMIGBT-VVVFインバータ(体質改善車)
制御装置 WPC4
WPC13(体質改善車)
制動装置 電気指令式直通回生抑速
純電気ブレーキ(体質改善車)
保安装置 ATS-SW,ATS-P
車両異常挙動検知システム(体質改善車)
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転落防止幌設置前の0番台

1994年9月4日関西国際空港開港にあわせて関空快速に使用するために、1994年2月から3月にかけて6両編成9本(54両)と2両編成7本(14両)の計68両が新造された第1グループ。近畿車輛川崎重工業で製造され、日根野電車区(当時。現:吹田総合車両所日根野支所)に配置された。編成記号はHEである。

車体はビードと呼ばれる棒状の補強構造のないステンレス製で、221系と同配置の連窓(ドア間6、車端2)やビードのない外観を確保しつつ車体強度・剛性を維持するため、若干厚めの外板が用いられ側窓の上下寸法も221系と比較して縮小されている。関西国際空港連絡橋通過時の横風対策として、車高は221系より6 cm低く抑えられている[7]

電動車両にはVVVFインバータ・補助電源装置・集電装置など、運転に必要な機器を空気圧縮機を除いて集中搭載した[7]。これによって粘着性能の向上を図っている[7]。VVVFインバータはGTO素子を用いた電圧形PWMインバータWPC4であり、インバータ1基で1基の電動機を制御する、いわゆる1C1M構成としている[8]。保守点検の容易化および操作性向上の観点から1車分4群のインバータ装置を1箱に集約している[8]。補助電源装置はGTO二重チョッパ+IGBT3レベルインバータで構成された静止形インバータWSC30(定格容量130 kVA)を採用する[9]。空気圧縮機は往復単動2段式が採用され、クハ222形0番台にはWMH3093-WTC2000B、クハ222形100番台・サハ222形100番台にはWMH3094-WTC1000Cが搭載される。冷房装置は集約分散式のWAU702Bを各車2台搭載する[9]

1995年4月20日には空港行きリムジンバスに対抗すべく、指定席を設けた特別快速関空特快「ウイング」を新設。検札の利便性から編成の最後尾車両が指定席車両とされ、該当車両は自由席車と区別するため種別幕は下部に黄緑帯が入ったものが使用されたが、車内が自由席車と変わらないこともあり指定席車と気付かず誤乗する乗客が絶えなかったため1999年5月10日に廃止された。

なお、クハ222形100番台の空気圧縮機は前述の3連化の際に207系と同じWMH3093-WTC2000に交換されている[10]。2007年7月から2008年3月にかけて、223系0番台のM車のモーターを出力180 kWのWMT100Bから230 kWのWMT102Cに取替えた[11]。モーター交換と並行して、転落防止幌設置工事が進められている[11]。また、同年冬ごろ出場のクハ222-101より、クハ222形のトイレ前の座席を撤去して車椅子スペースに改造する工事が、2008年初頭出場のクハ222-105より、トイレを2000番台・2500番台と同型の車椅子対応の大型トイレに交換する工事も始まっている。

1994年度のグッドデザイン賞を受賞している[12]

JRW207_1000andJRW223_0vvvf.ogg 223系0番台の発車時の磁励音[ヘルプ/ファイル]

落成時の編成表[13]
 
← 大阪・天王寺
関西空港・和歌山 →
6両編成 形式 クモハ223
(Mc)
サハ223
(T)
サハ223
(T1)
モハ223
(M)
サハ223
(T)
クハ222
(Tc)
搭載機器 VVVF, SIV, Pan   CP VVVF, SIV, Pan   CP
2両編成 形式 クモハ223
(M1c)
クハ222
(T1c)
 
搭載機器 VVVF, SIV, Pan CP
  • VVVF:VVVFインバータ、CP:空気圧縮機、SIV:補助電源装置、Pan:集電装置

1000番台

1000番台
1000番台V4編成
(2021年01月31日)
基本情報
製造所 川崎重工業
近畿車輛
日立製作所笠戸事業所(W3編成のみ)
製造年 1995年 - 1997年
製造数 92両
投入先 琵琶湖線JR京都線JR神戸線湖西線
主要諸元
編成 4両(2M2T)
8両(3M5T)
最高運転速度 130 km/h
設計最高速度 130 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度(常用) 4.3 km/h/s
減速度(非常) 5.2 km/h/s
自重 28.1 t(サハ223)
32.0 t(クハ222)
38.0 t(モハ223)
40.0 t(クモハ223)
全長 20,000 mm
全幅 2,950 mm
全高 3,640 mm
台車 短腕軸梁式(ヨーダンパ付
WDT56(電動車)
WTR240(付随車)
主電動機 かご形三相誘導電動機 WMT102A
主電動機出力 220 kW
駆動方式 WNドライブ
編成出力 8両基本→220 kW×12 = 2,640 kW
4両付属→220 kW×8 = 1,760 kW
定格速度 73 km/h(車輪径860 mm時)[14][15]
制御方式 PWMIGBT-VVVFインバータ
制御装置静止形インバータ一体型)WPC7
制動装置 電気指令式直通回生抑速
保安装置 ATS-SW,ATS-P
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転落防止幌設置前の1000番台

東海道本線山陽本線琵琶湖線JR京都線JR神戸線)を中心に運行されている新快速を最高速度130 km/h 運転に対応させる目的で製造されたグループである。編成記号は8両編成がW、4両編成がVである。

車両端ボックスシート部分を除いて戸袋窓が廃止され、車体板厚を薄くするとともに側面にはビードが付けられている[16]

走行機器設計を行うにあたり、各機器の機能及び機器構成上集約できるものに関しては極力一体化・集約化・軽量化を図っている[6]

電動車両には、車両制御装置[注 8]や空気圧縮機・集電装置といった、走行に必要な機器を集中搭載することで粘着性能の向上を図っている。車両制御装置(WPC7)はJRグループとしては初めて、IGBT素子を使用した3レベル電圧形PWMインバータを使用し、従来のVVVF装置とSIVは機器構成が共通であることから共通化を行い、車両制御装置として一体箱に収納することとした[6]。1基の装置中にインバータを5基(主回路部4基+補助電源部1基)搭載し、主回路部はインバータ1基で1台の主電動機を制御する1C1M制御方式を採用している。補助電源部は三相交流440 V、110 kVAの容量を有している[17]。主回路部と同じくIGBTを用いた2レベル電圧形PWMインバータをCVCF制御し、補助電源部が故障した際には主回路用インバータをCVCF制御することで補助電源のバックアップとしている[18]。空気圧縮機はレシプロ式であるWMH3093-WTC2000D形を採用する。冷房装置は電動車がWAU705、主要機器を搭載しない付随車については681系と同様、低重心化のため機器を屋根上と床下に分散させたセパレート型のWAU304を2基搭載する。

運転最高速度が130 km/hに向上したことから、台車は681系で実績のある軸梁式ボルスタレス台車が採用された[19]。動力台車がWDT56、付随台車がWTR240と呼称される。高速走行時の乗り心地改善のため、ヨーダンパおよびアンチローリング装置が取り付けられた[19][20]。さらに、130 km/hからの十分な制動力を確保するために基礎ブレーキを見直した。WDT56は両抱き式の踏面ユニットブレーキ、WTR240は1軸2枚のディスクブレーキと片押し踏面ブレーキの併用とした[21]

製造前には国鉄時代に一部の快速に連結されていたグリーン車1980年廃止)を復活させる構想もあったが、関空快速の指定席の利用率低迷などもあり、最終的には見送られた。この件は朝日新聞大阪版でその構想が記事になった[注 9]。試験期間を減じて前倒しで投入されたため、製造直後はWN継手から異音や振動が発生する、車両から発生する電気ノイズで近傍を走行する201系の保護回路を誤動作させて緊急停止させるなど、いくつかの不具合が発生していた。

1次車

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災後の輸送力増強による在来車のフル運用により、これらの車両が検査回帰を迎えることとなり、当初の予定よりも前倒しして同年8月12日から営業運転を開始した[22]。1次車として8両の基本編成(W1 - W4)と4両の付属編成(V1 - V4)各4本の計48両が川崎重工業近畿車輛日立製作所で製造された。このうち、W3編成は223系唯一の日立製車両の編成である。

2次車

1997年には2次車として基本編成5本(W5 - W9)と付属編成1本(V5)の計44両が川崎重工業・近畿車輛で製造された。このグループは東芝製と日立製の車両制御装置は冷却フィンの形状が変更され、全ての台車に軸ダンパが設置された(1次車も電動台車に限り軸ダンパを追設している)。

2000番台

2000番台
2000番台W35編成
(2021年02月16日)
基本情報
製造所 川崎重工業車両カンパニー
近畿車輛
製造年 1999年 - 2008年
製造数 648両
投入先 琵琶湖線JR京都線JR神戸線湖西線
主要諸元
編成 4両(2M2T)
6両(2M4T)
8両(3M5T)
最高運転速度 130 km/h
設計最高速度 130 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度(常用) 4.3 km/h/s
減速度(非常) 5.2 km/h/s
編成定員 1,102名(8両)
自重 29.0 t(サハ223)
32.4 t(クハ222)
36.7 t(モハ222)
38.5 t(モハ223)
40.7 t(クモハ223)
編成重量 263.1 t(8両)
全長 20,000 mm
全幅 2,950 mm
全高 3,640 mm
台車 短腕軸梁式(ヨーダンパ・アンチローリング装置付)
WDT59(電動車)
WTR243(付随車)
WTR243E(付随車、5次車以降(駐車ブレーキ準備))
主電動機 かご形三相誘導電動機 WMT102B
主電動機出力 220 kW
駆動方式 WNドライブ
編成出力 1次車(3000番台含む)
8両基本→220 kW×11 = 2,420 kW
4両付属→220 kW×6 = 1,320 kW
2次車以降(2000番台)
8両編成→220 kW×12 = 2,640 kW
6両・4両編成→220 kW×8 = 1,760 kW
制御方式 PWMIGBT-VVVFインバータ
静止形インバータ一体型)
制御装置 1次車:WPC10
2次車以降:WPC13
制動装置 電気指令式直通回生抑速
純電気ブレーキ(三菱・東芝インバータ車)
保安装置 ATS-SW,ATS-P
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転落防止幌設置前の2000番台

東海道・山陽線の113系・117系・221系の置き換えを目的に、1000番台の増備車として1999年から2008年まで後述の6000番台と合わせて8両編成×30本・6両編成×14本・4両編成×81本の合計648両が川崎重工業と近畿車輛で製造された。223系の中で最大勢力を誇るグループである。

編成記号は8両・4両は1000番台の続番で、新たに設定される6両編成はJである。また、後に6000番台に改造された宮原所属の4両編成はMAである。

このグループは、1000番台よりコストダウンとバリアフリー対策の強化が図られた。

まずコストダウンについては車体構造が見直され、従来の骨組み工法から東日本旅客鉄道(JR東日本)のE217系などで採用されている外板自体に強度を持たせる工法に変更された。1000番台からの顕著な外観上の変化は、再び側面のビードがなくなったこと、車端部に残っていた戸袋窓も廃止され、その代わりに車端部の窓が拡大されている点がある。また、将来の改造を容易にするため、構体妻壁は別扱いで組み立てられ、本体にボルトで後付けする方式が採用されたのも特徴である。これにより中間車から先頭車、先頭車から中間車への改造が車端部の交換のみで簡単に行えるようになった。運転台構造は基本的に1000番台を踏襲するが、それまで前面ステップ端面に取り付けられていた尾灯が前照灯と一体化したユニットタイプに変更されている[23]。室内設備での1000番台との相違点としては、座席クッションの減少・座席窓側の肘掛け廃止・補助席の格納式背もたれ廃止・補助席の使用告知ランプを廃止した代わりに「混雑時など時間帯により、補助シートはご利用できません」と書かれたプレートの取り付け等が行われているなどがある。

バリアフリー対策としては、車端部の連結面に転落防止幌が設置され、床面高さを20 mm下げることでホームとの段差を小さくした[24]。トイレは車椅子対応の大型タイプとなり、向かいには新たに車椅子スペースが設けられたが、車椅子で使用できる高さの手すりと壁に沿ったヒーターがある他は空きスペースとなっている。

WPC10形式ごとのインバータ個数構成
形式名 WPC10-G1 WPC10-G2 WPC10-G3 WPC10-G4
主回路
インバータ
4 3 4 3
補助回路
インバータ
1 1 0 0

電動車両には、車両制御装置[注 8]と集電装置のほか、必要に応じて空気圧縮機などの補機類を搭載する。車両制御装置(WPC10)はIGBT素子を使用した3レベル電圧形PWMインバータで、1基の装置中にインバータを5基(主回路部4基+補助電源部1基)搭載し、主回路部はインバータ1基で1台の主電動機を制御する1C1M制御方式を採用している。補助電源部は三相交流440 V、150 kVAの容量を有しており、1000番台 (WPC7) より容量が増強されている[25]。主回路部と同じくIGBTを用いた3レベル電圧形PWMインバータをCVCF制御し、補助電源部が故障した際には主回路用インバータをCVCF制御することで補助電源のバックアップとしている[26]。補助電源部故障によるCVCF制御への切り替えについて、1000番台(WPC7)では床下での手動切り替えとなっていたが、2000番台(WPC10・WPC13)では運転台からの遠隔切り替え方式となっている[27]。なお、編成に応じた必要最小限の機器構成に対応できるように1もしくは2基のインバータを省略できるようにしており、上表に示されるように形式名で区別されている。これらに関しては、インバータを追加することでフル装備(主回路インバータ4基+補助回路インバータ1基)とできるようにされている。また、空気圧縮機(CP)はJR西日本初の除湿装置一体型のスクリュー式WMH3098-WRC1600形(JR西日本テクノス[28])を電動車に搭載するが、容量に余裕がある場合は搭載が省略される場合もある(後述)。

台車はWDT59(電動車)・WTR243(付随車)が採用されている。床面高さの低下により、台車は側枠の形状を変更し枕ばね取り付け位置を引き下げた。またWDT59の基礎ブレーキは踏面ブレーキであるが、車輪踏面のメンテナンスの観点や床下スペース確保の要求、軽量化、騒音低減等の点から両抱き式から片押し式に変更している[27]。さらに、惰行時の騒音低減のために軸継手の改良を図った[27]。冷房装置についてはセパレートクーラーは採用されず、集約分散式WAU705Aに形式変更・統一された。クーラキセに内蔵されている車外放送用スピーカは2基から1基に減らされている[29]。また、コストダウンの一環としてメーカーごとの工法の差がある程度許容されており、製造メーカーによって妻面のビードの有無[注 10]など、細部の形状が異なっている[30]

2000番台の車両数
次車 クモハ223形 モハ223形 モハ222形 クハ222形 サハ223形
1次車 3001 - 3041 2001 - 2018 2001 - 2018
3019 - 3041
2001 - 2041 2001 - 2095
2次車 2042 - 2055 2019 - 2025
2140 - 2151
  2042 - 2055 2096 - 2128
3次車 2056 - 2088 2026 - 2039
2152 - 2176
  2056 - 2088 2129 - 2195
4次車 2089 - 2094 2077 - 2079
2180 - 2183
  2089 - 2094 2196 - 2208
5次車 2095 - 2110 2084, 2085
2186 - 2199
  2095 - 2110 2209 - 2228
6次車 2111 - 2123 2200
2301- 2312
  2111 - 2123 2229 - 2241
7次車 2124, 2125 2313, 2314   2124, 2125 2242, 2243

HITACHI Kinomoto-Yogo M1_223-2182Hassya.ogg 日立製VVVFを搭載した2000番台・2500番台の発車時の磁励音[ヘルプ/ファイル]
HITACHI Kinomoto-Yogo M1_223-2182Teisya.ogg 日立製VVVFを搭載した2000番台・2500番台の停車時の磁励音[ヘルプ/ファイル]
TOSHIBA Omi_imazu-Shin_asahi M'_222-3031Hassya.ogg 東芝製のソフト変更後のVVVFを搭載した2000番台・2500番台の発車時の磁励音[ヘルプ/ファイル]
TOSHIBA Omi_imazu-Shin_asahi M'_222-3031Teisya.ogg 東芝製のソフト変更後のVVVFを搭載した2000番台・2500番台の停車時の磁励音[ヘルプ/ファイル]

TOSHIBA Omi_imazu-Shin_asahi M'_222-3031Dasei.ogg 2000番台・2500番台の惰行時の走行音[ヘルプ/ファイル]

1次車

2000年3月11日の新快速の最高速度130 km/hへの引き上げと、それに伴う使用車両の223系統一を主目的として1999年3月から2000年3月にかけて8両編成18本(編成番号W10 - W27、以下同)と4両編成23本(V6 - V28)の計236両が製造された。本系列の投入によって新快速がすべて223系で運転されるようになった。

従来、223系はMT比1:2を基本にして性能が設定されていたが、東海道・山陽本線の実際の編成は4両(MT比2:2)または8両(MT比3:5)で余裕があるため、本来は1両あたり4基搭載のところ、モーターを1基未搭載とした3個モーター車(0.75M)が設定された。8両編成のうちクモハ223形1両と4両編成のすべての電動車が主電動機を3基搭載とし、通常の電動車と区別するため、2000番台の続番に1000を足した3000番台になった。この措置によって通常の2000番台車両に欠番が生じており、将来3000番台車に主電動機を1基増設し2000番台への改番(復帰)された場合、単純に現番号-1000番で容易に欠番を埋められるように配慮されている。補機類も容量がアップされ、従来の1基あたり3両から4両対応として個数の削減が図られた。このことから補機類を搭載しない中間電動車が製造され、既存の中間電動車(モハ223形)との区別のためにモハ222形とされた[注 11]

2008年1月にこのグループのうち、4両編成6本(V21 - V26)が、同年10月に4両編成2本(V27・V28)が、2010年2月に4両編成1本(V20)が221系との併結用に一部機器の設定変更を受け、車番に+4000を加えられて他の223系グループから運用が独立した(6000番台を参照)。その後、2012年3月にV27・V28編成が、2018年末にはV20・V21編成が221系性能固定改造を解かれて原番復帰したが、2021年3月に再びV27・V28編成が6000番台に改造された[31]2021年9月29日をもって6000番台の運用が消滅したため[要出典]順次原番復帰している。

2次車

アーバンネットワークのさらなる輸送改善と本線系統の快速に残っていた113系の置き換え目的で、2003年に8両編成5本(W28 - W32)・4両編成7本(V29 - V35)と快速を中心に使用するため新たに6両編成2本(J1・J2)の計80両が川崎重工業にて製造され、追加投入された。冷房装置が小改良が施されたWAU705Bに変更されたほか、川重製の特徴である車両の妻面のビード本数が削減されている。また緊急列車停止装置(EB装置)や緊急列車防護装置(TE装置)が搭載されている。

1次車は雨天時など走行中に駆動輪の空転が多発したため、対策として3個モーター車が廃止され、全電動車が4個モーター車となった。また、VVVFインバータの形式はWPC13に変更され、三菱・東芝製インバータ搭載車には新たにインバータ制御プログラムの変更により純電気ブレーキ機能が追加された。補機類の配置も見直されて冗長性確保のためモハ222形にSIVが搭載されるようになり、モハ223形の一種(2100番台、2140 - 2176・2180 - 2183・2186 - )という扱いに改められた。これらも1次車の3000番台と同様、将来空気圧縮機の追加による2000番台化が行われても番号が重複しないよう飛び番で番号が付され、下2桁が同じ番号の2000番台車両(2040 - 2076・2080 - 2083・2086 - )が欠番となっている。なお、この車両は運転台の液晶モニターには「M1」と表示される。

座席モケットは、転換シートと化粧板の間にあった詰め物や座席背ずりの中央にあった窪みが省略されている。また、窓ガラスは緑色のUVカットガラスに変更された[注 12]。他にも貫通扉の渡り板手前にスロープが設置されて段差がなくなったが、クハ222形はスロープがトイレと干渉したため設置されず、危険防止のため渡り板の段差部分に目立つよう蛍光テープが貼り付けられている。2021年3月にV29編成が6000番台に編入され[31]、ダイヤ改正に合わせ運用を開始した。

3次車

JR京都線・JR神戸線のさらなる高速化と朝ラッシュ時の快速の本系列への統一に向けて2004年3月から2005年9月にかけて投入されたグループ。2004年に8両編成6本(W33 - W38)・4両編成17本(V36 - V52)と6両編成8本(J3 - J10)、2005年4月25日JR福知山線脱線事故発生後に追加で、同線ATS-P整備に伴うATS-P未設置の117系置き換えに転用された221系の補充用として4両編成2本(V53・V54)の計172両が製造された。スカートが当初より大型タイプとなり、パンタ台の形状も変化している。また、追加製造分となるV53編成以降は速度計が変更されている。

4次車

2006年10月21日の新快速敦賀延長に際して2006年10月から2007年2月までに増備されたグループである。8両編成1本(W39)・6両編成2本(J11・J12)・4両編成3本(V55 - V57)の計32両が製造された。

2003年2月18日に韓国で発生した大邱地下鉄放火事件の調査結果を受けて、国土交通省が2004年末に鉄道に関する技術上の基準を定める省令を改正したことを受け、蛍光灯カバーが321系と同様の特殊樹脂でコーティングしたガラス繊維製に変更された[注 13]。また、併せて貫通扉のストッパーの廃止、消火器や非常ボタンの表記デザインが見直された。また、車内の標記類が一部プレートからステッカーに変更されている。2021年2月にV56・V57編成が吹田総合車両所京都支所に転属の上、6000番台に編入され[32]同所R01・R02編成となっている。

5次車

2007年3月以降に製造されたマイナーチェンジ車である。2007年4月13日から順次営業運転を開始した。このグループは4両編成14本(V58 - V64・MA01 - MA07)と6両編成2本(J13・J14)の計68両で、8両編成(W編成)は製造されていない。網干総合車両所宮原支所の6000番台は6000番台を参照。

4次車までとは車体など細部の構造が異なっており、開閉窓や窓周りの配色が1000番台と同じものへ戻され、前面貫通扉の窓が縦方向に短いものとされた。また、床材や付随台車の見直しも行われ、付随台車については駐車ブレーキ準備工事に伴い形式をWTR243Eに変更し、踏面ブレーキは片押しユニットブレーキとした[33]

6次車

2008年1月から同年7月までに製造された4両13編成のグループ。全車が宮原総合運転所に配属され、配属後に6000番台となった。

7次車

2008年8月に落成したグループ。車両の前面・側面が50 km/hで衝突した際の室内残存空間が既存車両より約2割増加するよう車体強度が強化され、321系や683系4000番台と同程度の車両強度を有する[34]。4両編成2本(V65・V66編成)の計8両が製造され、網干総合車両所に配置されたが、2012年3月のダイヤ改正前で6000番台に改番のうえ網干総合車両所宮原支所に転属し(V65 → MA21・V66 → MA22)、現在は福知山線で運用している。

  • 屋根と車体側面、台枠と車体側面への結合部材の追加
  • 戸袋部柱への補強の追加
  • 車体側面の外板の材質変更
  • 車両端と台枠の重なり代を65 mm延長し接合部を強化(車両の前面の一部が衝突する「オフセット衝突」対策)

2500番台

2500番台
2500番台HE420編成
(2017年7月15日 浅香駅)
基本情報
製造所 川崎重工業車両カンパニー(1・2次車)
近畿車輛(3次車)
製造年 1999年(1次車)・2007年(2次車)・2008年(3次車)
製造数 72両
投入先 大阪環状線阪和線関西空港線きのくに線
主要諸元
編成 3両・5両 → 4両
最高運転速度 120 km/h
設計最高速度 130 km/h (準備工事)
起動加速度 2.5 km/h/s (4M4T)
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.2 km/h/s
自重 31.7 t(クハ222)
40.5 t(クモハ223)
全長 20,000 mm
全幅 2,950 mm
全高 3,640 mm
台車 短腕軸梁式(ヨーダンパ付
WDT59(電動車)
WTR243A(付随車)
主電動機 かご形三相誘導電動機 WMT102B
主電動機出力 220 kW
駆動方式 WN継手式中実軸平行カルダン方式
編成出力 1,760 kW
1,800 kW(0番台混結)
制御方式 PWMIGBT-VVVFインバータ静止形インバータ一体型)
制御装置 1次車:WPC10
2次車以降:WPC13
制動装置 電気指令式直通回生抑速
純電気ブレーキ(三菱・東芝インバータ車)
保安装置 ATS-SW,ATS-P
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転落防止幌設置前の2500番台(未更新車)

1999年より0番台の運用線区へ2000番台をベースとした車両を導入し、番台区分は2500番台となった。

1次車

1999年の紀州路快速運転開始による0番台の編成組み替え時に先頭車4両が不足したため、川崎重工業でクモハ223とクハ222が各2両新規製造された。

各部の配色は0番台から踏襲されているものの、形状や経年の違いから異なる部分も多い。窓周りには2000番台の茶帯にあたるパールブルーの帯が入っている。電動車両に搭載される車両制御装置[注 8]は、VVVF制御装置の異なる0番台との混結を考慮して、車両制御装置内の補助電源部バックアップ機能は準備工事としている。営業最高速度が120 km/hであることから、付随台車をディスクブレーキが1軸1枚のWTR243Aに変更し、アンチローリング装置を省略した。

2次車

2007年3月のダイヤ改正で223系の運用を増加させるにあたり2006年度に全車2500番台の編成として製造されたグループである。全編成が新造車のため2500番台としては初めて中間車が起こされた。5両編成と3両編成各1本・計8両が川崎重工業で製造され2007年2月5日より運用を開始した。

基本的な形態は1次車に準じるが、2000番台での各種改良が取り入れられ、窓ガラス色や蛍光灯カバー形状などに変更が加えられている[注 14]。主回路面での相違点として1次車で準備工事とされた補助電源部バックアップ機能を本搭載している。

3次車

2008年3月15日ダイヤ改正に合わせ、日根野電車区所属車の増車と既存の5両・3両編成の4両化のため、近畿車輛で60両製造されたグループである。投入の目的上、4両編成で製造された車両はごくわずかに留まり、既存編成との混結を前提にクモハ223形-モハ223形-クハ222形の3両編成[注 15]やモハ223形単独[注 16]で落成した車両が多いのが特徴。2008年3月14日より営業運転を開始。2次車から更なる改良が加えられ、同時期の2000番台(5次車)に準じた仕様になった。よって窓周り帯が細くなるなど外観にも大きな変化が生じている。

5000番台

5000番台
5000番台P2編成
(2022年1月2日)
基本情報
製造所 川崎重工業車両カンパニー
製造年 2003年
製造数 7編成14両
投入先 瀬戸大橋線
主要諸元
編成 2両(1M1T)
最高運転速度 130 km/h
設計最高速度 130 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度(常用) 4.3 km/h/s
減速度(非常) 5.2 km/h/s
全長 20,100 mm
全幅 2,950 mm
全高 3,640 mm
台車 短腕軸梁式(ヨーダンパ・アンチローリング装置付)
WDT59(電動車)
WTR243(付随車)
主電動機 かご形三相誘導電動機 WMT102B
主電動機出力 220 kW
駆動方式 WN継手式中実軸平行カルダン方式
編成出力 220 kW×4 = 880 kW
制御方式 PWMIGBT-VVVFインバータ静止形インバータ一体型)
制御装置 WPC13(三菱電機製)
制動装置 電気指令式直通回生抑速
純電気ブレーキ
保安装置 ATS-SW
備考 ATS-P準備工事済み
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瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」の輸送改善と在来車の213系を置き換えるために投入されたグループで、2003年7月に2両編成7本(計14両・P1 - P7編成)が川崎重工業で製造され、岡山電車区に配属された。

置き換えにあたっては車両使用料の観点から、JR四国側も「マリンライナー」用に車両を投入して連結して運用することとなった。そのためJR四国の製造する5000系の岡山側後方2両を構成する普通車(自由席)車両と本番台は、基本的な構造は2000番台2次車をベースとし、JR四国との乗り入れ協定などから様々な設計変更がされた共同開発車となった。

先頭部は連結運転時に常時乗客が編成間を通行できるように貫通幌が設置されたため、デザインが変更されて前面ガラスが直立した形態となった。側窓は1000番台とほぼ同一の下降窓構造を採用。窓周りの茶色の部分は上下方向に縮小され、車端部以外1000番台と同じデザインとなっている。なお1000番台では乗務員扉後部の帯は端が丸くなっていたが、本番台では角ばったものとなっている[注 17]。また、ATS-Pが整備されていない路線で運用されるため、本番台は唯一準備工事のみの施工となっている[注 18]

室内の変化として、LED式の案内装置の下の広告スペースが従来より拡大された点・乗務員室付近の意匠が125系に準じたものになった点が挙げられる。助士側は開放スペースになっているが、いたずら防止のためにドアスイッチ類にカバーが設けられている。

先に説明の通りJR四国側の5000系の岡山側2両とは共同開発で、車体の配色も同じである。そのため外見的な違いは車体に貼付されたJRマークの色と、排障器の形状の違い程度である[35]

2007年6月下旬から2010年1月23日まで、ラッシュ対策として5000番台の2両編成に網干総合車両所から貸し出されたサハ223形2000番台が組み込まれ、3両編成化された[36]。増結されたサハ223形は全車の開閉可能な側窓が内折れ式であったため、全編成で帯幅、窓構造が揃っていなかった。

2015年より223系に対し先頭車間転落防止幌を設置する工事が進められているが、本番台では2018年現在でも先頭車間転落防止幌が設置された編成が存在しない。

「マリンライナー」専用車両として開発されたため、鳥越トンネル[37]の通過は考慮されず、パンタグラフ折り畳み高さは一般的な電車と同じになっている。

5500番台

5500番台
5500番台F16編成
(2018年08月24日)
基本情報
製造所 川崎重工業車両カンパニー
近畿車輛
製造年 2008年
製造数 16編成32両
投入先 山陰本線福知山線
主要諸元
編成 2両(1M1T)
最高運転速度 120 km/h
起動加速度 2.1 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.2 km/h/s
車両定員 133(129)名(クモハ223)
126(123)名(クハ222)
(カッコ内は補助席未使用時)
自重 42.0 t(1基パンタ車、クモハ223)
42.3 t(2基パンタ車、クモハ223)
34.4 t(クハ222)
全長 20,000 mm
全幅 2,950 mm
全高 3,640 mm
台車 短腕軸梁式(ヨーダンパ付
WDT59(電動車)
WTR243E(付随車・駐車ブレーキ準備)
主電動機 かご形三相誘導電動機 WMT102C
主電動機出力 230 kW
駆動方式 WNドライブ
編成出力 230 kW×4 = 920 kW
制御方式 PWMIGBT-VVVFインバータ静止形インバータ一体型)
制御装置 WPC13
制動装置 電気指令式直通回生抑速
純電気ブレーキ(三菱・東芝インバータ車)
保安装置 ATS-SW,ATS-P
備考 ワンマン対応
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転落防止幌設置前の5500番台

福知山地区で使用されていた113系3800番台・5800番台の置き換え用として2008年に製造された。

前述している5000番台をベースに、2000番台4次車以降で行われた耐燃焼性・耐溶融滴下性の向上や防音性の確保のための設計変更を盛り込んでいる。JR西日本の在来線電車としては、下枠交差型パンタグラフを装備して新造された最後の形式である。

車体は衝突安全性の観点から車体構造の見直しが行われている[38]。構体の台枠-側-屋根垂木の接合部を強化し、側構体の強化や戸袋部の補強など、他番台と比較して車体の強度向上が図られている[39][38]

乗務員室は5000番台同様な前面貫通扉を持った常時貫通構造とし、客室内展望を考慮して125系3次車と同様の背面仕切りにするとともにワンマン運転対応設備を設置している[33]。また、併結時の客室スペースとしての利用を考慮して助士席を解放できるようにしている[33]

客室設備は扉間は転換クロスシート、車端部はロングシートを基本とし、T'c車1位寄りに車椅子スペース、2位寄りに車椅子対応大型便所を備える[38]。便所の汚物処理形式は従来のカセット式(0番台・100番台・2500番台は循環式)ではなく、521系で採用された防臭性に優れた真空式に変更された[33]。客室照明カバーは2000番台4次車に準じて変更されている[38]。運転席後ろの運賃表示器は、当初はLED7セグ併用であったが、現在はLCDに交換されている。

車両制御装置や空気圧縮機に変更はないが、主電動機はWMT102B(1時間定格出力220 kW)に代わり、長寿命化の観点から絶縁種別をH種からClass200に向上させた WMT102C(1時間定格出力230 kW)を搭載する[33]

集電装置はクモハ223形後位寄りに1基搭載が基本であるが、5両(5501 - 5504・5509)には霜取り用パンタグラフが前位寄りに追加され、2基搭載となっている。

台車については2000番台5次車と同じく電動台車がWDT59・付随台車が駐車ブレーキ準備工事済みのWTR243Eである[33]

最高速度は120 km/hで、嵯峨野線内で221系と併結して運用されることもあるため[注 19]、6000番台と同様に運転室扉と前面貫通扉にオレンジのラインが入っている。

6000番台

6000番台
6000番台網干車CV26編成 編成ステッカー変更前
(2021年02月17日)
基本情報
製造所 川崎重工業車両カンパニー
近畿車輛
種車 2000番台
導入年 2008年 - 2012年
投入先 JR宝塚線JR東西線おおさか東線
主要諸元
編成 4両(2M2T)
最高運転速度 120 km/h
設計最高速度 130 km/h
起動加速度 2.1 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 5.2 km/h/s
自重 29.0 t(サハ223)
32.4 t(クハ222)
36.7 t(1基パンタ車、モハ222)
38.5 t(2基パンタ車、モハ223)
40.7 t(1基パンタ車、クモハ223)
全長 20,000 mm
全幅 2,950 mm
全高 3,640 mm
台車 短腕軸梁式(ヨーダンパ・アンチローリング装置付)
WDT59(電動車)
WTR243(付随車)
WTR243E(付随車、旧6・7次車(駐車ブレーキ準備))
主電動機 かご形三相誘導電動機 WMT102B
主電動機出力 220 kW
駆動方式 WN継手式中実軸平行カルダン方式
編成出力 220 kW×6 = 1,320 kW(旧1次車)
220 kW×8 = 1,760 kW(旧2次車以降)
制御方式 PWMIGBT-VVVFインバータ
静止形インバータ一体型)
制御装置 旧1次車:WPC10
旧2次車以降:WPC13
制動装置 電気指令式直通回生抑速
純電気ブレーキ(三菱・東芝インバータ車)
保安装置 ATS-SW,ATS-P
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転落防止幌設置前の6000番台宮原車

221系運用に充当する目的で、車両性能を221系と同一水準になるよう機器の設定が変更された網干総合車両所本所・吹田総合車両所京都支所所属のグループと、走行線区のほとんどが130 km/h対応線区ではないため、221系と同等の車両性能に設定された宮原支所所属のグループがある[40]

6000番台では、先頭車(クモハ223形・クハ222形)の前面貫通扉の下部と側面乗務員扉の下部にオレンジ色の細いライン2本がシールで追加されており、運転台にも「221系性能」といった標記が追加されている。

網干総合車両所所属

2008年1月21日から運用を開始している。阪和線用以外の223系は221系併結運用を可能とするため、223系側で加速性能などを221系に合わせられるように設計されており[41]、2000年3月に新快速が全列車223系に統一されるまでは、ラッシュ時や編成の片方の代走など、一部の定期運用で両系列の併結運転が行われていた。

その後223系の増備により本線系で運用されていた221系の他線区への転出が進み、221系のみで運用を組むのが困難となったため、従来221系が限定で充当されていた運用にも223系が充当されることになった。ここで221系との併結が恒常的に発生することや、運用そのものが221系の運転曲線を前提にダイヤが作成されていることから、223系側の性能選択スイッチの切り替えミスを防ぐ目的で、当該運用への充当対象車は221系相当の性能に制御器の動作モードが固定されることとなった。

2008年1月から2月にかけて6編成(V21 - V26編成)、同年10月に2編成(V27・V28編成)、2010年2月に1編成(V20編成)が改番[42]された。その後、2012年3月に2編成(V27・V28編成)が221系性能固定を解かれて原番復帰。7編成(V20 - V26編成)が221系C編成と共通で運用されていた[43]が、2018年12月にV20・V21編成は性能固定を解かれ原番復帰した[31](1000番台のV編成のうちの2編成が有料座席車両を組み込んで新快速で限定運用されるため)[要出典]。6000番台で残存した編成は順次編成記号がV → CVに変更された。

さらに2021年3月13日のダイヤ改正より、奈良電車区に転属した221系C編成2本の補充としてV27・V28編成が6000番台に再改造されたほか、新たにV29編成が6000番台に改番された。これまでは全車1次車を対象としていたが、今回初めて2次車も対象となった[31]。なお、この性能固定は、221系に代わる同数の225系100番台の投入によって2021年9月末から10月4日にかけて全編成が解除され、車両番号も元の番号に戻されている。

網干総合車両所宮原支所所属

2008年3月15日に開業したおおさか東線の開業にあわせて新規に製造されたグループ。2000番台5次車および6次車として4両20編成(MA01 - MA20)の合計80両が宮原総合運転所(現:網干総合車両所宮原支所)に配置され、営業運転開始前に全車が6000番台に変更された。2000番台5次車までの仕様変更を受けて製造された新製車のため、2000番台1次車を番台変更した網干本所所属の6000番台とは編成形態や各部の仕様が異なっている。JR東西線剛体架線区間を運転するため、離線対策として全ての電動車(クモハ223形・モハ223形)にパンタグラフを2基搭載して製造された。223系の電動車はもともとパンタグラフが2基搭載可能な構造だったが、実際に2基の搭載が行われたのは本グループが初めてである。なお、現在はJR東西線の剛体架線区間は走行しないが、そのパンタグラフは霜取り用として活用されている。

さらに2012年3月のダイヤ改正で113系及び221系の置き換えを目的として2008年に新造された7次車4両2編成が網干総合車両所本所から改番(V65 → MA21、V66 → MA22)のうえ転入した。これらの編成のパンタグラフの増設は行われていない。

吹田総合車両所京都支所所属

2021年3月13日のダイヤ改正より運転開始したグループ。2021年2月に網干総合車両所より転入した2000番台4次車4両2編成(V56・V57編成) を改造したもので[44]、編成番号はそれぞれR01・R02となった。221系と共通の運用であり、嵯峨野線では5500番台との併結運用も存在する。

9000番台

9000番台
クモヤ223-9001 (U@tech)
(2006年12月26日 岸辺駅
基本情報
製造所 川崎重工業
製造年 1998年
製造数 1両
廃車 2019年3月31日
主要諸元
最高速度 130 km/h (曲線通過+20)
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度(常用) 4.3 km/h/s
減速度(非常) 5.2 km/h/s
車両定員 非営業車両(事業用
自重 39.4 t
全長 19,670 mm
全幅 2,950 mm
全高 3,640 mm
台車 短腕軸梁式(ヨーダンパ付
WDT56XA
主電動機 全閉自冷式永久磁石同期電動機 WMT926
主電動機出力 270 kW
駆動方式 WN継手式中実軸平行カルダン方式
制御方式 2レベル電圧形PWMIGBT-VVVFインバータ
制御装置 WPC902
制動装置 電気指令式回生発電
保安装置 ATS-SW,ATS-P
出典:鉄道ピクトリアル2005年10月臨時増刊号より
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1998年(平成10年)11月に川崎重工業が、2000番台の量産に先立ち1両のみ製造した2シート工法車体検証用の試作車である。クモハ223-9001と車号が付けられていたものの、川崎重工業の所有物であり、無車籍であった。

量産タイプの2000番台と異なり、前面にフォグランプが装備されておらず、2000番台のフォグランプに相当する部分に前照灯、前照灯に相当する部分に尾灯がそれぞれ設置され、尾灯の分だけ灯具部分の切り欠きが狭められて1000番台と同じ切り欠き高となっている。また冷房室外機も集中式1台である。車体の製造工法確認を目的として試作されたものであるため、車籍を与えられることもなく評価試験後は工場内に留置されていたが、在来線用技術試験車「U@tech」への転用のため、JR西日本が購入のうえ2004年9月に吹田工場(現在の吹田総合車両所)で改造を実施、クモハ223-9001からクモヤ223-9001に改番された。

2019年3月31日付でクモヤ223-9001含む「U@tech」の3両が廃車扱いとなり、9000番台の区分は消滅した[45]

なお、在来線で番号が9000番台に区分されている試験車両は、JR西日本のみならずJRグループ全体でも本車両が唯一である[注 20]

在来線技術試験車「U@tech」

U@tech(ユーテック)とは、JR西日本が在来線の次世代鉄道へのシステム改革のために製作した試験車である。U@techの意味は、「あなた=お客様」(you)、アーバンネットワーク(Urban Network) 、ユビキタスubiquitous) 、未来(future)を表すUに、技術(technology)を組み合わせており、「U」を目指した技術試験車であることを表している。

試験車を用意するにあたり「130 km/hで走行できる余剰車」ということからマリンライナーの新車置き換えで余剰となった213系2両(クロ212-1・サハ213-1)と223系9000番台(クモハ223-9001)が試験車の種車として2004年8月に改造され、それぞれクヤ212-1・サヤ213-1・クモヤ223-9001に改称された。塗装は3両とも統一の青系統のラッピングが施され、この時点で配置区所の吹田工場を示す「京スイ」の文字も入れられた[46]。改造後も無車籍の状態が続いていたが、2007年3月31日付で正式にJR西日本籍に編入された。

U@techはさらなる安定輸送の提供・地上との大容量データ伝送と業務革新・快適な車内空間、環境・省エネルギーの4つのテーマについて開発を進めており、地上と車両を高速大容量通信で結ぶ「沿線無線WAN[注 21]が搭載されたほか、本線走行用のATSに加え、車上主体列車制御システム(無線式)の実証試験用装置の設置[47][48]、新開発の東芝製全閉自冷式永久磁石同期電動機 (PMSM)(270 kW)[49]・台車・シングルアームパンタグラフなど、様々な試験装備を搭載してデータの収集を行っており、後に運転台もグラスコックピット化された。車両性能は最高速度130 km/hで、曲線通過性能は半径600 m以上の曲線では本則+20 km/hとし、加減速度は223系2000番台と同等である。後に車上主体列車制御システムの試験車両にもなっている。

走行試験は主に吹田総合車両所にある試運転線とJR京都線JR神戸線嵯峨野線で行われる。高槻駅の1番線には「U@tech」専用の停止位置目標(折り返し用)があったが新ホームの増設に伴い撤去された。

改造

荷物室新設・撤去工事

JR難波駅直上に設置された大阪シティエアターミナル(OCAT)で国際線搭乗手続きを受けた乗客の荷物搬送用として、0番台に荷物室の新設工事が行われた。2両編成のうちJR難波寄りクモハ223形100番台の乗務員室側の一部座席を撤去して仕切壁を設け、大型荷物棚の設置・火災報知器・荷物室用の蛍光灯などが新設され、荷物室となったエリアは戸袋窓と乗降ドアのガラスを外して車体と同色に塗った鉄板をはめ込み、ドア外側には赤地に白文字で「NO ENTRY」・「ここからは乗車できません」と書かれた戸袋部にまでかかる帯と、進入禁止のマークが書かれていた。

荷物室のドアはその他の乗降ドアの制御とは別回路とされ、個別スイッチにより開閉可能な構造に変更された。このため、停車駅側にも「この乗車位置からは乗車できない」旨の表示があった。荷物室は名目上は業務用室とされたため、本来なら形式が制御電動車(クモ)かつ普通荷物合造車(ハニ)を示す「クモハニ」となるところ、形式変更は行われなかった。

なお、荷物室は1998年にOCATでの搭乗手続きの利用率低下により廃止され、この部分は客室に復元された。

室内灯の停電対策

130 km/hで走行することによりパンタグラフが架線から一時的に離線し、SIVが停止し、室内灯が消灯して停電することが多くなっていた。このため地上設備と車両設備に改良が行われ、地上設備に対しては架線電圧の乱れが多発する場所の架線を調整し、架線構成の乱れを制御するバランサなどが設置された。車両設備では1000番台と2000番台1次車の96両に対してコンデンサが増設された。

カーテンの取り付け工事

2000番台1次車236両と2500番台1次車4両は、コスト削減とメンテナンスの改善を目的に、窓ガラスを濃い灰色の熱線吸収ガラスとしてカーテンを省略した[注 22][注 23]。しかし、カーテンを設置してほしいという乗客からの要望によりカーテンが増設された。

車両前面強化対策

飛来物や人身事故時に窓ガラスの破損や乗務員の怪我が相次いで発生したため、運転士側前面にパイプ型のプロテクターや前面ガラスに貫通防止フィルム装着などが行われた。2000番台2次車以降はガラスの強度を向上させたため、この改造の対象外である。

避難用はしご設置

日根野支所所属車は紀勢本線や関西空港線など南海トラフ地震で津波の被害が予想される海沿いの区間を走行するため、各車両の中央扉付近に避難用はしご及び収納用ケースの設置が行われた。なお、日根野支所所属車両は新製当初から設置している225系5100番台・227系1000番台と、阪和線から撤退した103系・205系[注 24]を除き全車がこの改造を受けている。

先頭車間転落防止幌の取り付け

2010年12月17日に舞子駅で発生した乗客転落死亡事故により、その対策として増解結を頻繁に行う当形式に2015年より先頭車間転落防止幌の取り付けが進められている[50][51][52]。ただし、5000番台は併結を行うJR四国5000系に転落防止幌が設置されていないため、転落防止幌設置の対象には含まれていない。

体質改善工事

0番台は製造から20年以上経過しているため、2018年5月16日にHE401編成が体質改善工事を施工して吹田総合車両所から出場した[53]。工事内容は以下の通り。

  • 行先・種別表示器をフルカラーLED式に交換
  • 運行番号表示器の撤去
  • 前照灯は白熱灯から323系に準じたLEDに変更され、新たにフォグランプを追加。また、従来車体下部に設置されていた尾灯は撤去され、前照灯スペースの下部に移設された。
  • 運転台前面の窓に予備ワイパーを新設、これに伴いその箇所の窓を縮小
  • 排障器に機器保護カバーを追設
  • 客室内装材の改修
  • 扉横の座席の交換
  • VVVF制御装置の換装など、床下電子機器類の更新
  • 車両異常挙動検知装置の設置
  • トイレを車椅子対応の洋式トイレに変更
  • 妻面角部に補強部材の取付
  • 運転台計器類をアナログ式に変更

体質改善工事は他番台にも波及しており、2019年7月には1000番台[54]、2500番台にも体質改善工事を施工した編成が登場した[55]。ただし、1000・2500番台は化粧板の交換などといった内容が省略されている[注 25]

Aシート車化改造

JR西日本では、2019年春より新快速に有料座席サービス「Aシート」を導入することを発表した。本系列の1000番台4両編成のうち2編成(V3編成・V4編成)のクハ222形を専用車両に改造したうえで、12両編成の一部新快速列車に1両(9号車)を導入した[56]。また、車体は中央部の扉を埋め2枚扉となった[56]。外観は窓回りが黒塗装となり、側面は521系(JR西日本所属車)にも似た青帯が配され、乗降扉部分には黄色いラインが入れられた。車両正面部分は変更がない。

車内については、座席設備はJR西日本が保有する特急型車両の普通車に相当する仕様となっており、テーブル付きのリクライニングシートを備える。この他、公衆無線LANのサービスや荷物スペースの設置、JR西日本の普通車では初となる各座席コンセントが設置された[56]

なお、この有料座席サービスは、これまで空席がある場合に乗客がその中から自由に選び着席した上で車内改札時に車掌に乗車整理券として着席料金(500円)を支払うことになっていたが、2022年3月12日のダイヤ改正で全席指定席となり、事前に指定席券(840円)を購入するシステムになった。

その後、2019年3月16日に行われるダイヤ改正と同時に導入されることが発表され、同日より実際に導入された。12両編成の9号車(京都・野洲側先頭車両から数えて4両目)が「Aシート」となり、運用は2019年4月時点で1日4本で、平日は野洲駅 - 姫路駅または網干駅間で1往復ずつ、土曜・休日は野洲駅 - 姫路駅間で2往復の運行となっている[57]

2月27日には報道陣にAシート装備車が公開された。Aシートとなったのは,223系1000番台よりV3編成のクハ222-1007、およびV4編成のクハ222-1008となっている[58]

車両ドアボタンの改善

発光形ボタンに改良されたドア開閉ボタン

ドアの開閉方法を分かりやすくするため、北近畿地区を走行する5500番台を対象にドア開閉ボタンの改良が実施された[59]

車内ディスプレイ設置

V13編成の車内液晶ディスプレイ V13編成の車内液晶ディスプレイ
V13編成の車内液晶ディスプレイ

JR京都・神戸線・琵琶湖線・湖西線・北陸本線で運用される車両を対象に、車内案内表示装置を従来のLED式から20.7インチのフルカラー式の液晶ディスプレイ(WESTビジョン)に交換することが発表された[60]。ディスプレイは全乗降口に設置される。改造車両は2020年3月中旬から登場し、2021年度までに全330両への設置を完了する予定。

Wi-Fiの設置

日根野支所所属車は順次Wi-Fiの設置が行われた。なお、新製時からWi-Fiを設置している225系5100番台のステッカーとはデザインが異なっている。

車内掲出のステッカー。各車両の両妻面に貼られている。

防犯カメラの設置

2021年の会見でJR西日本の全車両に防犯カメラを設置する事が発表され、2022年度以降、駅間の走行距離が長い本系列および225系を優先して防犯カメラを設置する予定である[1]

編成の組み替え

0番台・2500番台

1999年5月10日から大阪環状線 - 和歌山駅間で紀州路快速が運転を開始した。大阪環状線 - 日根野駅間は関空快速と併結運転することになり、編成両数は2両+6両から5両+3両に組み替えられた。この組み替えにより、2両編成のATS-Pは2両で1つのシステムを構成する集中制御方式であったため、この編成に挿入された7両の付随車にATS-Pの引き通し線が整備された。この際電動空気圧縮機の容量が不足するため、JR東西線の開業に備えて編成を組み替えた207系1000番台の物と交換している。また先頭車両が4両不足したため2500番台(1次車)が4両製造され0番台の中間車と組成した。

さらに2008年3月には新造の2500番台を含めた編成替えが行われ日根野所属車は全車4両編成に統一された。

← 大阪・京橋
関西空港・和歌山 →
1994年4月 -
クモハ223
-#0
サハ223
-#0
サハ223
-#100
モハ223
-#0
サハ223
-#0
クハ222
-#0
クモハ223
-#100
クハ222
-#100
1999年5月 - (紀州路快速運転開始)
クモハ223
-#2500
サハ223
-#0
モハ223
-#0
サハ223
-#100
クハ222
-#2500
クモハ223
-#0
サハ223
-#0
クハ222
-#0
クモハ223
-#0
サハ223
-#100
モハ223
-#0
サハ223
-#0
クハ222
-#0
クモハ223
-#100
サハ223
-#100
クハ222
-#100
2007年2月から新規投入
クモハ223
-#2500
サハ223
-#2500
モハ223
-#2500
サハ223
-#2500
クハ222
-#2500
2007年2月から新規投入
クモハ223
-#2500
サハ223
-#2500
クハ222
-#2500
2008年3月 - (4両編成統一)
クモハ223
-#0
サハ223
-#100
モハ223
-#0
クハ222
-#0
クモハ223
-#2500
サハ223
-#2500
モハ223
-#2500
クハ222
-#2500
クモハ223
-#100
サハ223
-#0
モハ223
-#2500
クハ222
-#100
クモハ223
-#2500
サハ223
-#0
モハ223
-#2500
クハ222
-#2500

2000番台・5000番台

2000番台を組み込んで3両化された5000番台

2007年6月下旬から2010年1月23日まで、ラッシュ対策として5000番台の2両編成に網干総合車両所から貸し出されたサハ223形2000番台が組み込まれ、3両編成化された[36]。なおこの期間中に5000番台先頭車の事故修理のため、2000番台の先頭車が一部の編成に組み込まれていた[61]

← 岡山
高松 →
登場時 - 2007年6月
2010年1月 - 現在
クモハ223
-#5000
クハ222
-#5000
2007年6月 - 2010年1月
クモハ223
-#5000
サハ223
-#2000
クハ222
-#5000

本系列を用いた試験

  • 2000番台1次車のクモハ223-3018+モハ222-3028(V15編成)は、2003年2月にシングルアーム式パンタグラフを搭載して試験走行を行った[62]。また2000番台1次車のクモハ223-3033(V25編成)も翌2004年からシングルアーム式パンタグラフを試験装備していたが、2005年11月に通常の下枠交差式のパンタグラフに戻された。シングルアーム式パンタグラフはのちに521系225系で本採用された。
  • また、2000番台3次車のクハ222-2081(W38編成)には2010年1月末からHIDランプ式の前照灯とフォグランプが試験として装備されていた[63]が、後年になって従来のシールドビームに復元された。なお、HIDランプも225系で本採用された。
  • 2011年2月7日から14日にかけて、2000番台の車内にリチウムイオン電池を搭載し、試験走行を行った[64][65]
  • 2000番台1次車、W10編成は先頭部に試作型の転落防止幌を装着して試運転した[66]
  • 6000番台MA21編成は中間車2両を抜いた状態で広島地区に貸し出され、導入前のD-TAS(当時はATS-M形と呼称されていた)の実用試験に使用された[67]
  • 1000番台V5編成は、2019年10月に先頭車両屋根上に電車線非接触測定装置を搭載して試運転を行った。後方には2000番台V64編成を連結した。

車両配置と運用線区

2021年10月1日現在の配置区所と運用線区は以下の通り[68]

吹田総合車両所日根野支所

上野芝駅を通過する区間快速の2500番台

吹田総合車両所日根野支所には0番台・2500番台が配置されており、4両編成(HE401-HE435編成)140両が配置されている。

大阪環状線 - 関西空港駅和歌山駅間を結ぶ関空快速・紀州路快速直通快速などの快速列車のほか、阪和線の普通・区間快速、関西空港線のシャトル、大阪環状線の周回列車などに充当されている。紀勢本線(きのくに線)の定期列車では和歌山駅 - 御坊駅間で運用されていたが、2011年3月13日のダイヤ改正で紀伊田辺駅まで運用範囲が広がった。2008年3月14日までは、日中の一部の関空快速が大和路線JR難波駅[注 26]へ乗り入れていた。

0番台は1994年4月1日に運用を開始し、阪和線で運用された。この時期は和歌山行の運用もあった。同年6月15日のダイヤ修正で関西空港駅への乗り入れを開始し、その後関空開港に伴う9月4日のダイヤ改正で本格的に空港アクセス列車の関空快速として運用を開始した。当初、一部列車では京橋駅発着の6両編成とJR難波発着の2両編成が天王寺で増解結を行う運用が行われた。この時点で阪和線日根野駅以南へ乗り入れる列車は平日朝の和泉砂川駅発着の区間快速と夜の和泉砂川行きの最終快速を除き運用されず、和歌山駅への乗り入れが一旦なくなった。当時2両編成は運用的に持て余し気味で、日中は2編成を連結した4両編成で天王寺駅 - 日根野駅・和泉砂川駅間の普通にも使われていた。

臨時列車としては南紀熊野体験博期間中には白浜駅まで、2009年には紀州路快速の延長運転を行い快速「熊野古道号」として紀伊富田駅まで運行されたことがある。

また2014年2月17日 - 21日に実施された大阪環状線の朝ラッシュ時間帯の3ドア車両集中運用の関係でJRゆめ咲線に乗り入れたことがある[69]

2018年3月17日のダイヤ改正より、阪和線全快速・普通列車が223・225系で統一された。(日根野 - 和歌山間除く)。また新大阪発着快速が廃止されたため、梅田貨物線での運行を終了した[70]。運行終了時、定期列車では深夜の新大阪駅 - 御坊駅間で225系5000番台と共通運用となっていた。

吹田総合車両所京都支所

吹田総合車両所京都支所には6000番台が配置されており、6両編成(P01・P02編成)12両が配置されている。

京都支所所属の221系と原則共通運用であり、同形式との併結運用のほか、山陰本線(嵯峨野線)では5500番台との併結運用がある。

網干総合車両所

JR神戸線を走行する2000番台普通列車
湖西線普通で使用される2000番台

網干総合車両所本所には、1000番台・2000番台・6000番台が所属し、8両編成(W編成)39本、6両編成(J編成)14本、4両編成(V編成)62本の合計644両が配置されている。

1000番台・2000番台は4 - 12両編成で新快速・快速・普通に運用されている。また、朝晩には草津線柘植駅に乗り入れる列車にも運用されている。なお、1000番台と2000番台および225系0番台・100番台は共通運用され、1000番台・2000番台および225系0番台・100番台との併結列車が多く見られる。J編成は快速(普通)専用であり、221系同様に新快速には運用されない。2006年の直流化工事区間の近江塩津駅・敦賀駅へ乗り入れる列車は4両編成(V編成)のみが運用されている。2016年3月26日のダイヤ改正以前はV編成とJ編成に限りJR東海管内の大垣駅まで3往復が入線していた。

6000番台は4 - 12両編成で米原駅 - 上郡駅間および赤穂線の快速・普通に運用されていた。221系との併結を目的として区分されたグループのため、上記の1000番台・2000番台や225系0番台・100番台と併結されることはなく、新快速では運用されない。姫路駅 - 播州赤穂駅・上郡駅間では編成単独の4両で運転されていた。ただし2021年10月の運用見直しで225系100番台によって221系と併結する運用がすべて置き換えられたため、6000番台としての運用は消滅した。

1000番台・2000番台は、臨時列車として大阪方面から山陰本線嵯峨野線)に直通する臨時列車として春と秋の観光シーズンを中心に嵯峨嵐山駅園部駅まで運転し、日中の113系による運用の一部を本系列が代走していた。また、1000番台はかつて1997年9月11日の京都駅ビルのオープンを記念し奈良駅から奈良線を経由し京都駅まで乗り入れたことがあり、臨時快速「レインボー号」として福知山駅を経由して北近畿タンゴ鉄道宮津線天橋立駅まで乗り入れたこともある。2000番台は2004年3月13日天神川駅開業を記念して、本系列を使用した祝賀列車が広島地区で運転されたり、2016年9月10日 - 9月11日運転の団体列車「桃太郎ミステリー列車2016」に当形式が使用され新倉敷駅まで入線した事例や、イベントの臨時列車として下関駅や高松駅まで入線した実績もある。なお、2004年10月16日のダイヤ改正で113系に代わって大垣駅への乗り入れを開始したが、その際に名古屋駅まで乗務訓練として乗り入れている。

また2004年9月には、台風16号による高潮の影響で宇野線宇野駅構内に留置していた105系115系がそれぞれ浸水して故障し、和歌山地区への転用や短編成化と車両の改造工事などにより予備車両がなく、車両不足が発生した。その際、岡山電車区に留置されていたJ1編成が宇野線岡山駅 - 宇野駅間で同月末まで使用された。その後2007年7月1日から2010年1月23日までは、岡山駅 - 高松駅間を運行する快速「マリンライナー」の増結用として、4両編成・6両編成の2000番台付随車 (T) の一部が後述する5000番台の中間車として運用についていた[36][71]。なお、編成から外された付随車は、同年1月25日付けで網干総合車両所に返却されている[36]

さらに2007年には、瀬戸大橋線での踏切事故によるクモハ223形5000番台破損の修理のため、網干所属の223系2000番台が応援運用に入ったことがある[61]。このときは、P10[注 27]・P11編成[注 28]を名乗っていた。

また、播但線にも代走として運用されることがある[72][73]

網干総合車両所宮原支所

直通快速として走行する6000番台

網干総合車両所宮原支所には6000番台4両(MA編成)22本の合計88両が配置されている。

2008年3月15日から尼崎駅 - 奈良駅間(JR東西線・おおさか東線経由)の直通快速として運用されていたが、北新地駅の可動式ホーム柵設置に伴い2011年3月11日をもって運用を終了した。

MA21編成は2両に減車の上、広島地区での乗務員訓練と山陽本線横川駅 - 五日市駅間に導入したATS-M形の試験に使用されていた[74]

福知山電車区

山陰本線で運用に就く5500番台

福知山電車区には5500番台2両編成(F編成)16本の合計32両が配置されており、北近畿地区で運用されている。

2008年7月22日から福知山線篠山口駅 - 福知山駅間で、同年8月11日から山陰本線・舞鶴線でも運用を開始している。従来この区間で運用されていた113系を置き換えた(ただし配置両数の関係で113・115系の運転も山陰本線内で残っている)。山陰本線内はおもに園部駅 - 城崎温泉駅間で運用されているが、一部は吹田総合車両所京都支所の221系と併結して京都駅 - 園部駅間でも運用されている。

岡山電車区

予讃線を走行する5000番台

岡山電車区には5000番台2両編成(P編成)7本の計14両が配置されている。

一部時間帯を除き、2003年10月1日から同時に投入された共通設計のJR四国の高松運転所に所属する5000系と連結し、快速「マリンライナー」として岡山駅 - 高松駅間で運用されている。製造直後、2003年10月11日から13日まで「マリンライナー京阪神ホリデー号」として5000系とともに京都駅まで乗り入れたことがある[75]

車体装飾

軍師官兵衛ラッピング 明石駅にて(2014年7月)

2000番台は2014年頃からラッピング広告編成となって運用されている。以下はその実施例。

  • 2014年にはNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の放送に合わせ、網干総合車両所本所所属の223系2000番台2本(W25・W27)に期間限定で施されていた。
  • 2016年には京都鉄道博物館のオープンに合わせ、網干総合車両所本所所属の223系2000番台(W16・W18)に期間限定で施されていた[76][77]
  • 2021年3月5日に、京都府から「森の京都QRトレイン〜Quality and Relaxing Train〜」の運行が発表[78]され、ラッピング車両としてR02編成が起用された[79]。223系では前面から側面の全てをラッピングしたのは初の事例となる[80]。外観デザインは「森の京都」のコンセプトカラーである赤みの茶色と黒・金をベースに、花・木・鳥の模様が描かれたものとなっている。

編成

2012年4月1日現在の編成は次の通り[81]

  • 吹田総合車両所日根野支所所属車
 
← 天王寺(阪和線)・大阪環状線外回り先頭
関西空港・紀伊田辺 →
0番台 クモハ223
- #0
(Mc)
サハ223
- #100
(T1)
モハ223
- #0
(M)
クハ222
- #0
(T'c)
2500番台 クモハ223
- #2500
(Mc)
サハ223
- #2500
(T)
モハ223
- #2500
(M)
クハ222
- #2500
(T'c)
0番台・2500番台
混結
クモハ223
- #100
(Mc1)
サハ223
- #0
(T)
モハ223
- #2500
(M)
クハ222
- #100
(T'c1)
クモハ223
- #2500
(Mc)
サハ223
- #0
(T)
モハ223
- #2500
(M)
クハ222
- #2500
(T'c)
  • 網干総合車両所所属車
 
← 敦賀
上郡・播州赤穂 →

← 柘植
草津(草津線) →
1000番台 クモハ223
- #1000
(Mc)
サハ223
- #1000
(T)
サハ223
- #1000
(T)
モハ223
- #1000
(M)
サハ223
- #1000
(T)
サハ223
- #1000
(T)
モハ223
- #1000
(M)
クハ222
- #1000
(T'c)
クモハ223
- #1000
(Mc)
サハ223
- #1000
(T)
モハ223
- #1000
(M)
クハ222
- #1000
(T'c)
 
2000番台
(1次車)
クモハ223
- #3000
(Mc3)
サハ223
- #2000
(T)
サハ223
- #2000
(T)
モハ222
- #2000
(M')
サハ223
- #2000
(T)
サハ223
- #2000
(T)
モハ223
- #2000
(M)
クハ222
- #2000
(T'c)
クモハ223
- #3000
(Mc3)
サハ223
- #2000
(T)
モハ222
- #3000
(M'3)
クハ222
- #2000
(T'c)
 
2000番台
(2 - 7次車)
クモハ223
- #2000
(Mc)
サハ223
- #2000
(T)
サハ223
- #2000
(T)
モハ223
- #2100
(M1)
サハ223
- #2000
(T)
サハ223
- #2000
(T)
モハ223
- #2000
(M)
クハ222
- #2000
(T'c)
クモハ223
- #2000
(Mc)
サハ223
- #2000
(T)
サハ223
- #2000
(T)
モハ223
- #2000
(M)
サハ223
- #2000
(T)
クハ222
- #2000
(T'c)
 
クモハ223
- #2000
(Mc)
サハ223
- #2000
(T)
モハ223
- #2100
(M1)
クハ222
- #2000
(T'c)
 
6000番台 クモハ223
- #7000
(Mc3)
サハ223
- #6000
(T)
モハ222
- #7000
(M'3)
クハ222
- #6000
(T'c)
 
  • 網干総合車両所宮原支所所属車
 
← 大阪
福知山 →
6000番台 クモハ223
- #6000
(Mc)
サハ223
- #6000
(T)
モハ223
- #6100
(M1)
クハ222
- #6000
(T'c)
  • 福知山電車区所属車
 
← 京都・篠山口・東舞鶴
城崎温泉・綾部(舞鶴線) →
5500番台 クモハ223
- #5500
(Mc)
クハ222
- #5500
(T'c)
  • 岡山電車区所属車
 
← 岡山
高松 →
5000番台 クモハ223
- #5000
(Mc)
クハ222
- #5000
(T'c)
  • 吹田総合車両所所属車
 
← 米原
下関 →
U@tech クモヤ223
-9001
(Mzc)
サヤ213
-1
(Tz)
クヤ212
-1
(T'zc)

鉄道総研R291形電車

鉄道総研R291形電車
R291形試験車クヤR291-1
(2006年10月14日 鉄道総合技術研究所)
基本情報
運用者 鉄道総合技術研究所
製造所 近畿車輛
製造年 2005年
製造数 2両
主要諸元
編成 両運転台付単行車 → 2両
電気方式 直流 1,500 V
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 1.5 km/h/s → 2.5 km/h/s
車両定員 非営業車両
自重 33.0 t → 30.8 t(クモヤR290)
29.2 (クヤR291)
全長 19,670 mm
全幅 2,950 mm
全高 3,640 mm
車体 ステンレス
(前頭部のみ普通鋼
台車 短腕軸梁式
主電動機出力 120 kW → 95 kW(クモヤR290)
95 kW → 非搭載 (クヤR291)
歯車比 1:7.07
出力 95 kW×4 = 380 kW
編成出力 460 kW → 690 kW
制御方式 PWMIGBT-VVVFインバータ
1C2M×2群
制動装置 電力回生併用電気指令式空気ブレーキ
備考 車籍なし
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鉄道総合技術研究所(鉄道総研)向けに、R291形試験車が223系2000番台の車体をベースに近畿車輛にて2両製造され、2005年に納入された。塗装は窓周りが茶・窓下が青紫の帯となっている。のちに、開発中の燃料電池システムと組み合わせて、燃料電池試験車のクヤR291-1に改造された。改造後は単独でも運転可能だが、動力車であるクモヤR290-1との2両編成が基本である。ただし車籍がないので本線走行はできない。

クヤR291-1は、35 MPa高圧水素タンクを床下に搭載するが、燃料電池システムとインバータは客室の一部を占める形で搭載されており、あくまで鉄道車両用燃料電池システム開発のための試作車である。セルスタックはアメリカ・NUVERA社製18.75 kWの固体高分子形燃料電池(PEFC)を8基[注 29]、電動機は95 kWを2基搭載する。実用規模での鉄道車両用燃料電池システムの開発は2007年 - 2008年を予定しており、二次電池も今後搭載される予定である。

2019年には機器を小型・高性能化し、起動加速度を高めた新型装置に換装された。床下艤装になったため客室のラジエーターは撤去され、座席が設置された。電力変換装置はクモヤR290-1に集約されたほか、クヤR291-1は電装を解除されたため単独運転ができなくなった[82]

脚注

注釈

  1. ^ 2000番台と6000番台の編成に組み込まれた電動車の一部に3000番台・7000番台の番号が付けられた車両があるが、これは設置されている主電動機数の相違から便宜上区分されたもので、グループ上は3000番台は2000番台に、7000番台は6000番台に含まれる。
  2. ^ 1000番台以前の後部標識灯は前面のステップに取り付けられ、2000番台以降は前照灯と標識灯が一体化されている。
  3. ^ これは2018年以降、無線機器の変更などに伴い順次撤去が進んでいる。
  4. ^ 2500番台では窓周りと戸袋にグレーのフィルムを貼り付けている。
  5. ^ a b ただし、全て3000番台を番台変更しているので変更後は7000番台のみ。
  6. ^ 第3軸のみ主電動機を省略。
  7. ^ 2201番以降の車両は、CPを搭載して2000番台化(100を引く)した際に2100番台(2140番以降)の車両と重複しないように2300番台(2301~)にされた。その後2193 - 2200・2301- は6000番台化され、6193 - 6200・6301 - に変更されている。なお、原番2200番は2100番台であり、2099 - 2200 - 2201 と続くのではなく、2199 - 2200 - 2301 (この3両は全て2100番台で、2000番台化となると、2099 - 2100 - 2201 ) と続いている。因みに、6301の原番は2000番台の2201であり、原番2201からCPなしと221系性能で、番号が+100と+4000で加えられている。
  8. ^ a b c 主回路用インバータ(VVVF制御装置)と補助電源用インバータ (SIV) を一体化したもの。
  9. ^ その後、2006年ごろに当時JR西日本の社長であった山崎正夫より再び指定席車両を連結する構想が発表されたが、これは普通車の指定席での構想でありグリーン車の設計名目での発表ではない。13年後の2019年には新快速に有料座席車両「Aシート」が設定され、本系列のV3・4編成のクハ222が改造されたが、こちらは座席定員制であり指定席はない。ただし、2020年12月1日より2021年2月28日まで、試験的に12席分が指定席として設定されることとなった。
  10. ^ 川崎重工業製はあるが、近畿車輛製はない。
  11. ^ ただし、モハ222形には空気圧縮機準備工事がなされている。
  12. ^ それ以前の車両でもガラス交換時に同様のものに変更された車両も存在する
  13. ^ これにより火災時の発煙が抑制されることになる。なお、321系と本系列ではつり革取り付け位置が異なるため、同系列では蛍光灯カバーと一体化されていたつり革支持棒が別取り付けに変更されている。
  14. ^ 結果的に同時期に製造された2000番台4次車との類似点が多く223系では少数派の仕様となっている。
  15. ^ 既存5両編成からサハ223形1両を編入する事が前提。
  16. ^ 既存3両編成に増結する事が前提。
  17. ^ のちに製造された2000番台5次車も同じものになっている。
  18. ^ 同じ岡山電車区所属車両でも、山陽本線上郡以東のATS-P(拠点P)設置区間に入線するために、113系全編成と、115系のうち2両編成であるG編成を除く全編成にATS-Pが設置されている。
  19. ^ この場合、221系は常時貫通構造ではないため、中間の先頭車両部分は通り抜けができない。
  20. ^ 営業用車ではJR九州のキハ47形機関換装改造車の中に、1000番台車の改造車が原車号+8000の加算改番により9000番台となっている例がある。
  21. ^ JR西日本傘下のジェイアール西日本テクノスとアメリカ・シスコシステムズ社が共同開発を行い、シスコシステムズが開発した無線装置内蔵モバイルルータの車載試験などを実施している。
  22. ^ なお、関西の地下鉄を除く鉄道事業者で、側窓のカーテンを省略した車両は2017年現在まで本系列のみである。
  23. ^ ただし、将来の設置を考慮して窓上部のロールカーテン巻き取り機構取り付けスペースと窓柱のカーテンレールは製造時より用意されていたが、カーテンレールに関してはベージュ色の樹脂製目隠し板によって隠されていた。
  24. ^ 2018年3月17日改正を以って引退。103系は廃車、205系は全車奈良支所へ転属となった。
  25. ^ 1000・2500番台の改造内容も相違がある。1000番台は車内照明が蛍光灯のままで窓側の肘掛けや補助シートの背もたれが残っている。2500番台は0番台との混成編成から優先的に施工される関係もあり、前照灯換装がなされず排障器の機器保護カバーも未装着である。さらに、2021年にリニューアルが施行された0番台のHE406編成では、扉横座席の更新、客室内素材の改修が行われなかったほか、車内照明が蛍光灯のままで出場している。
  26. ^ ただし、2010年3月以降も回送列車としてJR難波駅へ乗り入れる運用が残っている。
  27. ^ クモハ223-2076(V46編成から)+クハ223-5003(P3編成)
  28. ^ クモハ223-2083(J9編成から)+サハ223-2130(J3編成 → P1編成)+クハ222-5001(P1編成)
  29. ^ システム内部で30 kW使用するので外部出力は120 kW。

出典

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  8. ^ a b 『鉄道ファン』1994年5月号、交友社、1994年、p.24
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  34. ^ JR西日本平成20年5月定例社長会見
  35. ^ 元は同形状だったが、本番台は新造後に前面のスカート部が強化され、5000形はスカート強化改造が行われていないため原形をとどめている。
  36. ^ a b c d ジェー・アール・アール『JR電車編成表』'10夏号 交通新聞社 2010年 p.177 ISBN 9784330143101
  37. ^ 鳥越トンネルを通過する場合、パンタグラフ折り畳み高さは3900 mm以下に抑える必要がある。
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参考文献

専門記事
  • 永田光昭(JR西日本鉄道本部車両部車両課)「223系近郊形直流電車」『鉄道ファン』1994年5月号、交友社、pp.22 - 26。
  • 大槻寧健(JR西日本車両部)「223系1000番台近郊形直流電車の概要」『鉄道ジャーナル』1994年11月号、鉄道ジャーナル社、pp.30 - 33。
  • 大森正樹(JR西日本車両部在来線新製改良)「223系2000・2500番台」『鉄道ファン』1999年7月号、交友社、pp.106 - 113。
特集
  • 「RAILWAY TOPICS JR西日本223系「新快速」の活躍と今後の動向」『鉄道ジャーナル』第350号、鉄道ジャーナル社、1995年12月、105頁。 
  • 『鉄道ファン』交友社
    • 2008年10月号「223系5500番台」
  • 『鉄道ダイヤ情報』交通新聞社
    • 2004年11月号「223系〜史上最速の高性能近郊型電車〜」 pp.10 - 43

関連項目

外部リンク