「根粒」の版間の差分
Family27390 (会話 | 投稿記録) タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集 改良版モバイル編集 |
修正、「人間との関わり」付加 タグ: 曖昧さ回避ページへのリンク |
||
(3人の利用者による、間の4版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
[[ファイル:Lotus pedunculatus11 ies.jpg|right|220px|thumb|ネビキミヤコグサの根粒]] |
|||
{{出典の明記|date=2018年10月3日 (水) 14:36 (UTC)}} |
|||
'''根粒'''('''根瘤'''、こんりゅう、{{Lang-en-short|root nodule}}, root tubercle)<ref name="生物学辞典5根粒">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=根粒|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=506}}</ref>とは、[[窒素固定]]([[窒素]]ガスを[[アンモニア]]に変換する)を行う[[根粒菌]]が植物の[[根]]に侵入・共生して形成されたコブ状の構造のことである(図)。根粒内において、根粒菌は植物に窒素栄養分を供給し、植物から[[有機物]]を受け取る[[相利共生]]関係が成立している。根粒菌の[[酸素呼吸]]と窒素固定に必要な微好気的([[酸素]]がわずかに存在する)な環境をつくるため、根粒内では[[酸素]]と結合する[[タンパク質]]([[レグヘモグロビン]])が多量に生成される。根粒は[[マメ科]]の植物に広く見られるが、[[ヤマモモ]]や[[ハンノキ]]は根粒菌ではなく[[放線菌]]の[[フランキア属]]と共生し、やや異なるタイプの根粒を形成する。 |
|||
[[ファイル:Astragalus sinicus genge konryu.jpg|right|220px|thumb|[[ゲンゲ]]の'''根粒''']] |
|||
{{-}} |
|||
'''根粒'''(こんりゅう)とは、[[細菌]]との[[共生]]によって[[植物]]の根に生じる瘤(コブ)のことである。「'''根瘤'''」とも表記される。 |
|||
== 構造 == |
|||
根粒は、[[マメ科]]植物の[[根]]に形成されるコブ状の構造であり(下図1a, b)、この内部に[[窒素固定]]能をもつ'''[[根粒菌]]'''(rhizobium, [[複数形|''pl''.]] rhizobia<ref>{{Cite web|author=|date=|url=https://www.merriam-webster.com/dictionary/replum|title=rhizobium|website=Merriam-Webster Dictionary|publisher=|accessdate=2022-12-30}}</ref>)が共生している<ref name="オーム2009">{{Cite book|author=|year=2009|chapter=|editor=塩井祐三、井上弘、近藤矩朗|title=ベーシックマスター 植物生理学|publisher=オーム社|isbn=978-4-274-20663-4|pages=231–235}}</ref><ref name="養賢堂2004" /><ref name="朝倉2001">{{Cite book|author=|year=2001|chapter=|editor=駒嶺穆(総編集)、山谷知行(編)|title=朝倉植物生理学講座2 代謝|publisher=朝倉書店|isbn=978-4-254-17656-8|pages=40–42}}</ref>(下図1c)。根粒中の根粒菌は、自由生活状態の根粒菌とは異なる性質(分裂停止、肥大化)を示すようになり、このような状態の根粒菌は'''バクテロイド'''(bacteroid)とよばれる<ref name="オーム2009" /><ref name="養賢堂2004" /><ref name="テイツ2017根粒" />(下図1d)。バクテロイドは根粒を構成する植物細胞中に存在し、膜('''ペリバクテロイド膜''' peribacteroid membrane, PBM)で包まれている<ref name="オーム2009" /><ref name="養賢堂2004" /><ref name="朝倉2001" /><ref name="テイツ2017根粒" />。バクテロイドがペリバクテロイド膜に包まれたものは'''シンビオソーム'''(symbiosome)ともよばれる<ref name="朝倉2001" /><ref name="テイツ2017根粒" />。根粒中では、根粒菌を含む細胞と全く含まない細胞が混在していることもある<ref name="オーム2009" />。 |
|||
例外的に、[[ツノクサネム属]](セズパニア、{{Snamei||Sesbania}})などでは、[[根粒菌]]が[[茎]]に共生して茎粒を形成する<ref name="オーム2009" /><ref name="養賢堂2004" />。 |
|||
[[マメ科]]植物では、[[窒素]]が不足がちな[[土壌]]において[[根粒菌]]が[[空気]]中の窒素固定を行って植物へ供給し、植物は[[光合成]]による産物を根粒菌へ供給する関係が成り立っている。 |
|||
{{multiple image |
|||
[[ソテツ]]では[[シアノバクテリア]]の[[アナベナ]]が根粒に入っている。 |
|||
| total_width = 800 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Medicago italica root nodules 2.JPG |
|||
| caption1 = '''1a'''. ウマゴヤシ属の根粒 |
|||
| image2 = Vicia sepium10 ies.jpg |
|||
| caption2 = '''1b'''. イブキノエンドウの根粒 |
|||
| image3 = Root tubercle legume L.jpg |
|||
| caption3 = '''1c'''. 根粒切片の光学顕微鏡像: A = 感染細胞, B = 維管束, C = 皮層, D = 厚壁組織, E = 表皮、スケールバー = 0.525 mm |
|||
| image4 = Root-nodule01.jpg |
|||
| caption4 = '''1d'''. [[ダイズ]]根粒切片の透過型電子顕微鏡像: 根粒菌(濃色部)はバクテロイドとなり、ペリバクテロイド膜に包まれている。 |
|||
}} |
|||
[[マメ科]]の根粒中には特異な酸素結合[[タンパク質]]である'''レグヘモグロビン'''(leghemoglobin, Lb)が大量に存在し、根粒中の全タンパク質量の30%に達することもある<ref name="オーム2009" />。レグヘモグロビンが存在するため、根粒中で活発な[[窒素固定]]が行われている部分は赤色を呈する<ref name="養賢堂2004">{{Cite book|author=浅沼修一|year=2004|chapter=根粒菌|editor=山崎耕宇, 久保祐雄, 西尾敏彦, 石原邦|title=新編 農学大事典|publisher=養賢堂|isbn=978-4-8425-0354-7|pages=378–381}}</ref>(上図1a, 下図1g)。レグヘモグロビンの存在によって、窒素固定と[[酸素呼吸]]が共に可能である微好気環境が根粒内に形成される([[#機能|下記参照]])。 |
|||
[[マメ科]]の根粒には、大きく分けて2つの型が知られている。'''有限型根粒'''(determinate root nodule)には分裂組織はなく、[[根粒菌]]に感染した細胞が分裂して肥大生長する<ref name="養賢堂2004" /><ref name="朝倉2001" /><ref name="Pawlowski1996">{{Cite journal|last=Pawlowski|author=|first=K|last2=Bisseling|first2=T|year=1996|title=Rhizobial and actinorhizal symbioses: What are the shared features?|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC161323/|journal=The Plant Cell|volume=8|issue=10|pages=1899–1913}}</ref>(下図1e)。形成される根粒はふつう球形であり、[[ダイズ]]や[[インゲンマメ]]、[[ラッカセイ]]などに見られる<ref name="養賢堂2004" /><ref name="朝倉2001" /><ref name="テイツ2017根粒" />。一方、'''無限型根粒'''(indeterminate root nodule)は先端側に分裂組織をもち、形成された細胞が根粒菌に感染して成熟していくため、先端側から基部側へ異なる成熟段階の層がならんでいる<ref name="養賢堂2004" /><ref name="朝倉2001" /><ref name="Pawlowski1996" />(下図1f, g)。根粒は基本的に円筒状であり、[[シロツメクサ]]や[[エンドウ]]、[[ウマゴヤシ属]]などに見られる<ref name="養賢堂2004" /><ref name="朝倉2001" /><ref name="テイツ2017根粒" />。いずれの場合も、根粒菌を含む部分が[[維管束]]で囲まれている<ref name="養賢堂2004" /><ref name="朝倉2001" /><ref name="Pawlowski1996" />(上図1c, 下図1e, f)。 |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 800 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Determinate Nodule Zones Diagram.svg |
|||
| caption1 = '''1e'''. 有限型根粒の模式図: NC = 根粒皮層、NE = 根粒内皮、NF = 共生域、NP = 根粒柔組織、S = 崩壊域、VB = 維管束 |
|||
| image2 = Indeterminate Nodule Zones Diagram.svg |
|||
| caption2 = '''1f'''. 無限型根粒の模式図: I = 分裂域、II = 侵入域、III = 共生域、IV = 崩壊域、NC = 根粒皮層、NE = 根粒内皮、NP = 根粒柔組織、VB = 維管束 |
|||
| image3 = Indeterminate Nodule Zonation.JPG |
|||
| caption3 = '''1g'''. 無限型根粒の例([[ウマゴヤシ属]]) |
|||
| image4 = Root Nodule Morphologies.svg |
|||
| caption4 = '''1h'''. さまざまな根粒. 有限型根粒: A. [[ダイズ属]]、[[ササゲ属]]、[[デイゴ属]]; B. [[クサネム属]]、[[ラッカセイ属]]、[[ツルサイカチ属]]. 無限型根粒: C. [[ネムノキ属]]、[[ソラマメ属]]; D. [[ギンネム属]]、[[ウマゴヤシ属]]; E. [[アカシア属]]、[[タヌキマメ属]]; F. {{Snamei||Albizia moluccana}}; G. {{Snamei||Swartzia trinitensis}}; H. [[シナフジ]](1, 2, 4年後); I. [[ルピナス属]]、{{Snamei||Listia}} |
|||
}} |
|||
== 形成 == |
|||
[[マメ科]]植物における根粒形成は、[[根粒菌]]と植物の間の情報交換によって制御されている。根粒形成に働く植物の[[遺伝子]]はノドュリン遺伝子(nodulin gene)、根粒菌の遺伝子はノドュレーション遺伝子(nodulation gene; ''nod''遺伝子)とよばれる<ref name="テイツ2017根粒">{{cite book|author=L. テイツ, E. ザイガー, I.M. モーラー & A. マーフィー (編)|year=2017|chapter=生物的窒素固定|editor=|title=植物生理学・発生学 原著第6版|publisher=講談社|isbn=978-4061538962|pages=358–365}}</ref>。根粒菌は、特定の植物が分泌する[[フラボノイド]]や[[ベタレイン]]に誘引され[[根毛]]に付着、'''[[Nod因子]]'''('''根粒形成因子'''、Nod facter)を生成する<ref name="養賢堂2004" /><ref name="テイツ2017根粒" />。Nod因子は根粒菌の[[種 (分類学)|種]]によってそれぞれ少しずつ異なるリポキチンオリゴ糖であり、植物に根粒形成のための変化を引き起こす<ref name="養賢堂2004" />。Nod因子に反応した根毛の先端が屈曲(カーリング)して根粒菌を包み込み、根毛の[[細胞壁]]の一部が分解され、[[細胞膜]]が陥入して形成された'''感染糸'''(infection thread)を通って根粒菌が根毛細胞内に侵入する<ref name="養賢堂2004" /><ref name="テイツ2017根粒" />。根毛ではなく、傷や表皮の隙間から感染糸を介さずに根粒菌が侵入する例もある<ref name="養賢堂2004" />。根毛細胞の内側に放出された根粒菌は、さらに内側の細胞に形成された感染糸を通って内側に侵入していく<ref name="テイツ2017根粒" />。植物の皮層内部の一部([[原生木部]]の反対側)で細胞が脱分化、分裂を開始し'''根粒原器'''(nodule primodium)が形成され、感染糸がここに達する<ref name="養賢堂2004" /><ref name="テイツ2017根粒" />。[[中心柱]]から伸長した[[維管束]]が、感染細胞組織を取り囲むようになる<ref name="養賢堂2004" />。 |
|||
植物が枯死したり、古くなった根粒では組織が崩壊し、[[根粒菌]]は土壌に放出される<ref name="養賢堂2004" />。根粒菌は、土壌中で自由生活を行うことができる<ref name="養賢堂2004" />。 |
|||
== 機能 == |
|||
[[ファイル:Symbiosis in Root Nodules.png|thumb|right|300px|'''2'''. マメ科植物と根粒菌との共生における物質交換]] |
|||
[[窒素]]は[[核酸]]や[[タンパク質]]の構成成分であり、すべての生物にとって必須の[[元素]]である。窒素は窒素分子(N<sub>2</sub>)の形で空気中に大量に存在(容量比で78%)するが、これを直接利用できる生物は[[原核生物]]の一部に限られている。[[根粒菌]]は窒素分子を固定し、植物が利用可能な[[アンモニア]]を供給する。窒素固定には大量のエネルギー([[ATP]])が必要であり、これを代謝する[[酵素]]である'''[[ニトロゲナーゼ]]'''(nitrogenase)は[[酸素]]に触れると失活する<ref name="オーム2009" />。根粒菌は[[酸素呼吸]]によってATPを得ているため酸素が必要であるが、ニトロゲナーゼを保護するためには酸素を遮断する必要がある。そのため、マメ科の根粒では'''レグヘモグロビン'''によって好適な酸素濃度が維持されている。レグヘモグロビンは酸素親和性が極めて高いが、根粒菌の[[細胞膜]]上に存在する[[シトクロムオキシダーゼ]]はさらに親和性が高く、低酸素濃度での酸素呼吸を可能にしている<ref name="オーム2009" />。この少量の酸素は根粒菌の細胞膜で消費されるため、ニトロゲナーゼが働く細胞内部は嫌気的状態に保たれる<ref name="オーム2009" />。また植物からは[[リンゴ酸]]など[[有機酸]]が供給され、根粒菌はこれを[[クエン酸回路]]に組み入れて還元剤([[NADH]])を生成、酸素呼吸とともにジニトロゲナーゼ還元酵素の還元に用いられる<ref name="オーム2009" />。 |
|||
[[根粒菌]]によって固定された窒素は[[アンモニア]]の形で植物細胞に放出される。アンモニアは、[[グルタミンシンテターゼ]]と[[グルタミン酸シンターゼ (NADH)|NADH依存性グルタミン酸シンターゼ]]によって[[アミド]]に変換される<ref name="オーム2009" />。さらに[[エンドウ]]や[[ウマゴヤシ]]ではアミド基をもつ[[グルタミン]]や[[アスパラギン]]の形で(アミド輸送型)、[[ダイズ]]や[[ササゲ]]ではウレイド基をもつ[[アラントイン]]や[[アラントイン酸]]の形で(ウレイド輸送型)地上部に輸送される<ref name="オーム2009" />。 |
|||
根粒における[[窒素固定]]は、地球上の[[窒素循環]]において極めて重要な要素である<ref name="APweb" />。ただし根粒の形成・窒素固定量は安定したものではなく、土壌中の窒素量や水分量、ストレスなどによって大きく変動する<ref name="APweb" />。 |
|||
== 宿主と共生菌 == |
|||
[[マメ科]]植物の多くは、[[根粒菌]]と共生して根粒を形成する。ただしマメ科の中には、根粒形成能を欠く系統も存在する(特に初期分岐群)<ref name="APweb">{{Cite web|author=Stevens, P. F.|date=|url=http://www.mobot.org/MOBOT/research/APweb/orders/fabalesweb.htm#Fabales|title=FABALES|website=Angiosperm Phylogeny Website|publisher=|accessdate=2022-12-29}}</ref><ref name="Liu2020" />。また[[熱帯雨林]]では、マメ科植物の44%が窒素固定を行わない例が報告されている<ref name="APweb" />。 |
|||
[[根粒菌]]は、[[プロテオバクテリア門]]の[[アルファプロテオバクテリア綱]]と[[ベータプロテオバクテリア綱]]に属する系統的にはひとまとまりではないさまざまな属が知られている<ref name="APweb" />(下表1)。これら2つの[[綱 (分類学)|綱]]の根粒菌は、α-根粒菌(α-rhizobia)、β-根粒菌(β-rhizobia)とよばれることがある<ref name="APweb" /><ref>{{Cite web|author=|date=|url=https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201902243810963127|title=第3種:β-プロテオバクテリアにおける機能的ジベレリン生合成オペロン|website=J-GLOBAL|publisher=|accessdate=2022-12-30}}</ref>。根粒形成に関わる遺伝子群の[[遺伝子の水平伝播|水平伝播]]によって、系統的に遠縁な細菌が根粒菌となったと考えられている<ref name="APweb" />。 |
|||
{| class="wikitable" style="margin:0 auto" |
|||
|'''表1.''' 根粒菌の分類<ref name="Rajkumari2022">{{Cite journal|author=Rajkumari, J., Katiyar, P., Dheeman, S., Pandey, P. & Maheshwari, D. K.|year=2022|title=The changing paradigm of rhizobial taxonomy and its systematic growth upto postgenomic technologies|journal=World Journal of Microbiology and Biotechnology|volume=38|issue=11|pages=1-23|doi=10.1007/s11274-022-03370-w}}</ref> |
|||
*[[アルファプロテオバクテリア綱]]、[[リゾビウム目]] |
|||
**リゾビウム科 … [[リゾビウム属]] {{Snamei||Rhizobium}}、{{Snamei||Neorhizobium}}、{{Snamei||Pararhizobium}}、{{Snamei||Ensifer}}、[[シノリゾビウム属]] {{Snamei||Sinorhizobium}}、{{Snamei||Shinella}}、{{Snamei||Endobacterium}}、{{Snamei||Gellertiella}}、{{Snamei||Ciceribacter}}、{{Snamei||Pseudorhizobium}}、{{Snamei||Peteryoungia}} |
|||
**フィロバクテリウム科 … {{Snamei||Hoeflea}}、{{Snamei||Aminobacter}}、[[フィロバクテリウム属]] {{Snamei||Phyllobacterium}} |
|||
**メチロバクテリウム科 … {{Snamei||Methylobacterium}}、{{Snamei||Microvirga}} |
|||
**ブルセラ科 … {{Snamei||Ochrobactrum}} |
|||
**ヒフォミクロビウム科 … [[アゾリゾビウム属]] {{Snamei||Azorhizobium}}、{{Snamei||Devosia}} |
|||
**ブラディリゾビウム科 … [[ブラディリゾビウム属]] {{Snamei||Bradyrhizobium}} |
|||
*[[ベータプロテオバクテリア綱]]、[[バークホルデリア目]] |
|||
**バークホルデリア科 … [[バークホルデリア属]] {{Snamei||Burkholderia}}、{{Snamei||Paraburkholderia}}、{{Snamei||Cupriavidus}}、{{Snamei||Trinickia}} |
|||
|} |
|||
宿主植物と[[根粒菌]]の種特異性は一般的には極めて高いが、複数種の根粒菌と共生する植物種もある<ref name="APweb" />。特異性が低い植物種は、特異性が高いものにくらべて新たな環境に侵入しやすいとされる<ref name="APweb" />。 |
|||
宿主植物と共生細菌の関係は必ずしも単縦な[[相利共生]]とは限らない。[[窒素固定]]を行わない[[細菌]]が根粒を形成することもある<ref name="APweb" />。植物は感染する細菌を積極的に選別することはできないが、非効率的な共生菌に対する制裁や、より良い共生菌に投資を増やすなどの感染後制御を行う例が知られている<ref name="APweb" />。また根粒菌の共生は、[[菌根]]共生や[[内生菌]]など他の共生微生物とも関わっている<ref name="APweb" />。 |
|||
== マメ科以外の根粒 == |
|||
[[マメ科]]以外にもいくつかの植物は、[[窒素固定]]能をもつ[[微生物]]と共生している。[[グミ (植物)|グミ]]や[[ヤマモモ]]、[[ハンノキ]]は[[放線菌]]の[[フランキア属]]({{Snamei||Frankia}})と共生してマメ科のものとはやや異なる根粒を形成する(下図3a, b)。このような根粒はふつう分裂組織をもつ無限型であり、マメ科の根粒とは異なり根粒の中心に[[維管束]]が存在し、その周囲に放線菌を含む細胞が分布する<ref name="Pawlowski1996" /><ref name="山中2008" /><ref name="林2015" /><ref name="Liu2020">{{Cite journal|author=Liu, S., Ratet, P. & Magne, K.|year=2020|title=Nodule diversity, evolution, organogenesis and identity|journal=Advances in Botanical Research|volume=94|issue=|pages=119-148|doi=10.1016/bs.abr.2019.09.009}}</ref>。フランキア属は窒素固定の場としてベシクル(vesicle)とよばれる膨潤構造を形成し(下図3c)、この部分が[[ホパノイド]]脂質の多層膜で覆われて酸素透過を防いでいる<ref name="九町2013" />。ただし[[モクマオウ科]]では宿主による[[ヘモグロビン]]生成や[[細胞壁]]の[[リグニン]]化によって酸素防御しており、ベシクル形成は起こらない<ref name="九町2013" />。放線菌が共生者となる根粒は'''放線菌根'''(actinorrhiza, actinorhiza)ともよばれ、またこのような植物は'''アクチノリザル植物'''(放線菌根性植物、actinorrhizal plants, actinorhizal plants)とよばれる<ref name="九町2013" /><ref name="林2015" />。アクチノリザル植物には、下表2に示したものが知られる。 |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 600 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = An Alder (Alnus glutinosa) with root nodules, Chapeltoun, North Ayrshire.jpg |
|||
| caption1 = '''3a'''. [[ヨーロッパハンノキ]]の放線菌根 |
|||
| image2 = 190914 wortelknolletjes op els Frankia alni.jpg |
|||
| caption2 = '''3b'''. ヨーロッパハンノキの放線菌根 |
|||
| image3 = Hypha and vesicle of Franikia.jpg |
|||
| caption3 = '''3c'''. [[フランキア属]]の菌糸とベシクル |
|||
}} |
|||
{| class="wikitable" style="margin:0 auto" |
|||
|'''表2.''' アクチノリザル植物の一覧<ref name="山中2008">{{Cite journal|author=山中高史 & 岡部宏秋|year=2008|title=わが国に生育する放線菌根性植物とフランキア菌|journal=森林総合研究所研究報告|volume=7|issue=1|pages=67–80|nacsis=AN10164318}}</ref><ref name="九町2013">{{Cite journal|author=九町健一|year=2013|title=共生窒素固定放線菌フランキア|journal=生物工学会誌|volume=91|issue=1|pages=24-27|crid=1520853833627219328}}</ref><ref name="Liu2020" /><br />各属のカッコ内は共生フランキアの系統(A = Alnus株; C = Casuarina株; E = Elaeagnus株; R = Rosaceous株; nd = 未調査)<ref name="九町2013" /> |
|||
*[[バラ目]] {{Sname||Rosales}} |
|||
**[[バラ科]] {{Sname||Rosaceae}}(チョウノスケソウ亜科 {{Sname||Dryadoideae}}) |
|||
***{{Snamei||Cercocarpus}}(R)、{{Snamei||Chamaebatia}}(R)、{{Snamei||Purshia}}(R)、[[チョウノスケソウ属]] {{Snamei||Dryas}}(R)(下図4a) |
|||
**[[クロウメモドキ科]] {{Sname||Rhamnaceae}} |
|||
***{{Snamei||Ceanothus}}(R)、{{Snamei||Colletia}}(E)、{{Snamei||Discaria}}(E)、{{Snamei||Kentrothamnus}}(E)、{{Snamei||Retanilla}}(E)、{{Snamei||Trevoa}}(E) |
|||
**[[グミ科]] {{Sname||Elaeagnaceae}} |
|||
***{{Snamei||Hippophae}}(E)、{{Snamei||Shepherdia}}(E)、[[グミ属]] {{Snamei||Elaeagnus}}(E)(下図4b) |
|||
*[[ブナ目]] {{Sname||Fagales}} |
|||
**[[ヤマモモ科]] {{Sname||Myricaceae}} |
|||
***{{Snamei||Comptonia}}(A, E)、{{Snamei||Morella}}(A, E)、[[ヤマモモ属]] {{Snamei||Myrica}}(A)(下図4c) |
|||
**[[モクマオウ科]] {{Sname||Casuarinaceae}} |
|||
***{{Snamei||Allocasuarina}}(C)、{{Snamei||Ceuthostoma}}(nd)、{{Snamei||Gymnostoma}}(E)、[[モクマオウ属]] {{Snamei||Casuarina}}(C)(下図4d) |
|||
**[[カバノキ科]] {{Sname||Betulaceae}} |
|||
***[[ハンノキ属]] {{Snamei||Alnus}}(A)(下図4e) |
|||
*[[ウリ目]] {{Sname||Cucurbitales}} |
|||
**[[ドクウツギ科]] {{Sname||Coriariaceae}} |
|||
***[[ドクウツギ属]] {{Snamei||Coriaria}}(R)(下図4f) |
|||
**ナギナタソウ科(ダティスカ科){{Sname||Datiscaceae}} |
|||
***ナギナタソウ属 {{Snamei||Datisca}}(R) |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 900 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Alpenblühen.jpg |
|||
| caption1 = '''4a'''. [[チョウノスケソウ]] |
|||
| image2 = 秋胡頹子 Elaeagnus umbellata -瀋陽植物園 Shenyang Botanical Garden, China- (9213320467).jpg |
|||
| caption2 = '''4b'''. [[アキグミ]] |
|||
| image3 = Myrica rubra - Urban Greening Botanical Garden - Kiba Park - Koto, Tokyo, Japan - DSC05290.jpg |
|||
| caption3 = '''4c'''. [[ヤマモモ]] |
|||
| image4 = Casuarina equesitifolia tree.jpg |
|||
| caption4 = '''4d'''. [[トキワギョリュウ]] |
|||
| image5 = Alnus japonica 01.jpg |
|||
| caption5 = '''4e'''. [[ハンノキ]] |
|||
| image6 = Coriaria japonica.jpg |
|||
| caption6 = '''4f'''. [[ドクウツギ]] |
|||
}} |
|||
|} |
|||
上記のようにアクチノリザル植物は[[バラ目]]、[[ブナ目]]、[[ウリ目]]に知られるが、これら3目は[[マメ目]]と近縁であり、合わせて'''窒素固定クレード'''(nitrogen fixing clade)とよばれる単系統群を形成している<ref name="APweb" /><ref name="林2015">{{Cite journal|author=林誠|year=2015|title=植物の窒素固定:植物と窒素固定細菌との共生の進化|journal=領域融合レビュー|volume=4|issue=|pages=e010|doi=10.7875/leading.author.4.e010|url=http://leading.lifesciencedb.jp/4-e010}}</ref>。アクチノリザル植物における根粒形成の機構や[[タンパク質]]はマメ科の根粒形成のものとほぼ共通しており、この共通のシステムは窒素固定クレードの共通祖先で獲得されたとも考えられるている。ただし窒素固定クレードの中で実際に窒素固定細菌と共生しているものはごく一部であり(特にバラ目、ブナ目、ウリ目)、系統的にも離れたものに散見される<ref name="林2015" />。そのため、窒素固定クレードの共通祖先において窒素固定細菌との共生の起因となるシステムが獲得され(プレディスポジョション predisposition とよばれる)、その後に窒素固定クレード内のさまざまな系統において実際の共生の獲得・欠失が独立に何度も起こったとも考えられている<ref name="APweb" /><ref name="林2015" /><ref name="伊藤2018">{{cite book|author=伊藤元己 & 井鷺裕司|year=2018|chapter=被子植物の窒素固定は一つの進化から始まった|editor=|title=新しい植物分類体系|publisher=文一総合出版|isbn=978-4829965306|pages=128–129}}</ref>。またバラ目[[アサ科]]の {{Snamei||Trema andersonii}}(= ''Parasponia andersonii'')はマメ科以外では唯一[[根粒菌]]と共生して根粒を形成することが知られており、放線菌から根粒菌への共生者転換が起こったと考えられている<ref name="APweb" /><ref name="養賢堂2004" /><ref name="Camp2012">{{Cite journal|author=Op den Camp, R. H., Polone, E., Fedorova, E., Roelofsen, W., Squartini, A., Op den Camp, H. J., ... & Geurts, R.|year=2012|title=Nonlegume ''Parasponia andersonii'' deploys a broad rhizobium host range strategy resulting in largely variable symbiotic effectiveness|journal=Molecular Plant-Microbe Interactions|volume=25|issue=7|pages=954-963|doi=10.1094/MPMI-11-11-0304}}</ref>。 |
|||
根粒形成に関わる[[遺伝子]]の多くは[[菌根]]([[アーバスキュラー菌根]])に関わる遺伝子と共通することが知られており、根粒形成は進化的に先行するアーバスキュラー菌根形成の機構を利用して生じたと考えられている<ref name="林2015" />。 |
|||
このほかにも {{Snamei||Arctostaphylos}}([[ツツジ科]])、{{Snamei||Zygophyllum}}([[ハマビシ科]])、[[コーヒーノキ]]([[アカネ科]])、[[イヌマキ]]([[マキ科]])、[[コウヤマキ]]([[コウヤマキ科]])などからも根粒に類似した構造が報告されているが、窒素固定細菌の共生や窒素固定能が確実に示された例はない<ref name="植村1965">{{Cite journal|author=植村誠次|year=1965|title=マメ科以外の根粒植物について|journal=化学と生物|volume=3|issue=9|pages=471-476|doi=10.1271/kagakutoseibutsu1962.3.471}}</ref><ref>{{Cite journal|author=潮雅之|year=2017|title=マキ科・ナンヨウスギ科の根の形態・菌根菌・窒素固定活性|journal=日本生態学会誌|volume=67|issue=3|pages=339-345|doi=10.18960/seitai.67.3_339}}</ref>。 |
|||
[[ファイル:Cycas_Circinalis_-_Coralloid_Roots500.jpg|thumb|right|200px|'''5'''. ナンヨウソテツのサンゴ状根]] |
|||
[[シアノバクテリア]](藍藻)は光合成能をもつが、同時に[[窒素固定]]能をもつものも多く、このようなシアノバクテリアが陸上植物と共生している例がいくつか知られている。シアノバクテリアが共生している陸上植物として、[[ウスバゼニゴケ科]]<ref name="Adams2008">{{cite journal|author=Adams, D. G. & Duggan, P. S.|year=2008|title=Cyanobacteria-bryophyte symbioses|journal=J. Exp. Bot.|volume=59|pages=1047-1058|doi=10.1093/jxb/ern005}}</ref>([[苔類]])、[[ツノゴケ類]]<ref name="Adams2008" />、[[アカウキクサ属]]<ref name="Peters1991">{{cite journal|author=Peters, G.A.|year=1991|title=''Azolla'' and other plant-cyanobacteria symbioses - aspects of form and function|journal=Plant Soil|volume=137|pages=25-36|doi=10.1007/BF02187428}}</ref><ref name="Papaefthimiou2008">{{cite journal|author=Papaefthimiou, D., Van Hove, C., Lejeune, A., Rasmussen, U. & Wilmotte, A.|year=2008|title=Diversity and host specificity of genus ''Azolla'' cyanobionts|journal=J. Phycol.|volume=44|pages=60-70|doi=10.1111/j.1529-8817.2007.00448.x}}</ref>([[薄嚢シダ類]])、[[ソテツ類]]<ref name="Costa2003">{{cite book|author=Costa, J.-L. & Lindblad, P.|year=2003|chapter=Cyanobacteria in symbiosis with cycads|editor=Rai, A.N., Bergman, B. & Rasmussen, U.|title=Cyanobacteria in Symbiosis|publisher=Kluwer Academic Publishers, Dordrecht|isbn=1-4020-0777-9|pages=195-205}}</ref>([[裸子植物]])、[[グンネラ]]<ref name="Bergman2002">{{cite book|author=Bergman, B.|year=2002|chapter=The ''Nostoc''-''Gunnera'' symbiosis|editor=Rai, A.N., Bergman, B. & Rasmussen, U.|title=Cyanobacteria in Symbiosis|publisher=Kluwer Academic Publishers|isbn=1-4020-0777-9|pages=207-232}}</ref><ref name="Bergman2008">{{cite journal|author=Bergman, B. & Osborne, B.|year=2002|title=The ''Gunnera''-''Nostoc'' symbiosis|journal=Biol. Environ. Proc. R Ir Acad.|volume=102B|pages=35-39|url=https://www.jstor.org/stable/20500139}}</ref>([[被子植物]])などがある。この中でソテツ類は[[根#サンゴ状根|サンゴ状根]](coralloid root)とよばれる特殊化した[[根]]にシアノバクテリアの[[ネンジュモ属]]が共生しており<ref name="Gifford2002サンゴ状根">{{cite book|author=アーネスト・ギフォード & エイドリアンス・フォスター (著) 長谷部光泰, 鈴木武 & 植田邦彦 (監訳)|year=2002|chapter=背地性根|editor=|title=維管束植物の形態と進化|publisher=文一総合出版|isbn=978-4829921609|page=370}}</ref><ref name="Kato1997ソテツ">{{cite book|author=[[加藤雅啓]] (編)|year=1997|chapter=3-3 ソテツ綱|title=バイオディバーシティ・シリーズ (2) 植物の多様性と系統|publisher=裳華房|pages=218–219|isbn=978-4-7853-5825-9}}</ref>(図5)、この根は根粒の1型として扱われたことがある<ref name="植村1965" />。 |
|||
[[サトウキビ]]([[イネ科]])や[[サツマイモ]]([[ヒルガオ科]])などの植物の[[茎]]や[[葉]]の細胞間隙に、[[窒素固定]]能をもつ[[細菌]]が[[内生菌]]として生育していることがある<ref name="養賢堂2004" />。 |
|||
{{-}} |
|||
== 人間との関わり == |
|||
[[マメ科]]植物は根粒によって窒素固定を行うため、自らに必要な窒素栄養分を作り出すともに、土壌に窒素栄養分を供給することも可能である。その機構は不明だったものの、マメ科作物を栽培することで耕作地の地力を回復することは古くから中国で行われていた<ref name="李2020">{{Cite journal|author=李海訓|year=2020|title=スマート農業の歴史的・技術論的位置づけ: 日本と中国を事例に|journal=東京経大学会誌. 経済学|volume=305|issue=|pages=231-255|crid=1520009408233955584}}</ref>。また18世紀イングランドで普及した[[ノーフォーク農法]]では、マメ科の[[クローバー]]を輪作に組み込むことによって地力低下を防いでいた<ref name="李2020" /><ref name="間藤2015">{{cite journal|author=間藤徹|year=2015|title=有機農業 2.0|journal=日本農薬学会誌|volume=40|pages=31-34|doi=10.1584/jpestics.W14-39}}</ref>。その後1888年、[[マルティヌス・ベイエリンク]]によって根粒に共生する[[根粒菌]]が窒素固定を行うことが発見された<ref name="Rajkumari2022" /><ref>{{Cite journal|author=横山正|year=|title=ジーンバンク MAFF 根粒菌株の再分類からみた温故知新|journal=|volume=|page=|format=https://www.gene.affrc.go.jp/pdf/misc/event-NIAS_WS_20130128_abs03.pdf}}</ref>。現代の農業では窒素栄養分の供給は主に化学肥料に依存しているが、湖沼の富栄養化など環境問題を引き起こしており、根粒をもつマメ科植物を利用した環境負荷の少ない農業が注目されている<ref name="今泉">{{Cite web|author=今泉(安楽)温子|date=|url=https://dsoil.jp/cool-earth/column/detail/---id-49.html|title=「根粒共生」の実像と可能性~化学肥料からの脱却と温暖化ガス削減に向けた研究アプローチ|website=Cool Earth 情報局|publisher=dSOILプロジェクト|accessdate=2022-11-28}}</ref>。 |
|||
== 脚注 == |
== 脚注 == |
||
{{脚注ヘルプ}} |
{{脚注ヘルプ}} |
||
=== 出典 === |
|||
{{Reflist}} |
{{Reflist}} |
||
== 関連項目 == |
|||
{{Plant-stub}} |
|||
* [[根粒菌]]、[[ノッド因子]] |
|||
{{DEFAULTSORT:こんりゆう}} |
|||
* [[窒素固定菌]]、[[根圏細菌]] |
|||
* [[菌根]] |
|||
==外部リンク== |
|||
[[Category:植物]] |
|||
{{Commonscat|Root nodule}} |
|||
* {{Cite web|author=今泉(安楽)温子|date=|url=https://dsoil.jp/cool-earth/column/detail/---id-49.html|title=「根粒共生」の実像と可能性~化学肥料からの脱却と温暖化ガス削減に向けた研究アプローチ|website=Cool Earth 情報局|publisher=dSOILプロジェクト|accessdate=2022-11-28}} |
|||
* {{Cite web|author=|date=2019-11-22|url=https://www.nibb.ac.jp/press/2019/11/22.html|title=マメ科植物の根粒と側根の発達は共通した遺伝子が制御することを発見|website=|publisher=基礎生物学研究所|accessdate=2022-12-30}} |
|||
* {{Cite web|author=林誠|date=2004|url=https://www.brh.co.jp/publication/journal/044/research_21|title=共生のしくみ -植物と土壌微生物の遺伝子ネットワーク|website=季刊「生命誌」|publisher=JT生命誌研究館|accessdate=2022-11-28}} |
|||
* {{Cite journal|author=林誠|year=2015|title=植物の窒素固定:植物と窒素固定細菌との共生の進化|journal=領域融合レビュー|volume=4|issue=|pages=e010|doi=10.7875/leading.author.4.e010|url=http://leading.lifesciencedb.jp/4-e010}} |
|||
{{DEFAULTSORT:こんりゆう}} |
|||
[[Category:根]] |
[[Category:根]] |
||
[[da:Knoldbakterie]] |
2023年1月29日 (日) 09:14時点における版
根粒(根瘤、こんりゅう、英: root nodule, root tubercle)[1]とは、窒素固定(窒素ガスをアンモニアに変換する)を行う根粒菌が植物の根に侵入・共生して形成されたコブ状の構造のことである(図)。根粒内において、根粒菌は植物に窒素栄養分を供給し、植物から有機物を受け取る相利共生関係が成立している。根粒菌の酸素呼吸と窒素固定に必要な微好気的(酸素がわずかに存在する)な環境をつくるため、根粒内では酸素と結合するタンパク質(レグヘモグロビン)が多量に生成される。根粒はマメ科の植物に広く見られるが、ヤマモモやハンノキは根粒菌ではなく放線菌のフランキア属と共生し、やや異なるタイプの根粒を形成する。
構造
根粒は、マメ科植物の根に形成されるコブ状の構造であり(下図1a, b)、この内部に窒素固定能をもつ根粒菌(rhizobium, pl. rhizobia[2])が共生している[3][4][5](下図1c)。根粒中の根粒菌は、自由生活状態の根粒菌とは異なる性質(分裂停止、肥大化)を示すようになり、このような状態の根粒菌はバクテロイド(bacteroid)とよばれる[3][4][6](下図1d)。バクテロイドは根粒を構成する植物細胞中に存在し、膜(ペリバクテロイド膜 peribacteroid membrane, PBM)で包まれている[3][4][5][6]。バクテロイドがペリバクテロイド膜に包まれたものはシンビオソーム(symbiosome)ともよばれる[5][6]。根粒中では、根粒菌を含む細胞と全く含まない細胞が混在していることもある[3]。
例外的に、ツノクサネム属(セズパニア、Sesbania)などでは、根粒菌が茎に共生して茎粒を形成する[3][4]。
マメ科の根粒中には特異な酸素結合タンパク質であるレグヘモグロビン(leghemoglobin, Lb)が大量に存在し、根粒中の全タンパク質量の30%に達することもある[3]。レグヘモグロビンが存在するため、根粒中で活発な窒素固定が行われている部分は赤色を呈する[4](上図1a, 下図1g)。レグヘモグロビンの存在によって、窒素固定と酸素呼吸が共に可能である微好気環境が根粒内に形成される(下記参照)。
マメ科の根粒には、大きく分けて2つの型が知られている。有限型根粒(determinate root nodule)には分裂組織はなく、根粒菌に感染した細胞が分裂して肥大生長する[4][5][7](下図1e)。形成される根粒はふつう球形であり、ダイズやインゲンマメ、ラッカセイなどに見られる[4][5][6]。一方、無限型根粒(indeterminate root nodule)は先端側に分裂組織をもち、形成された細胞が根粒菌に感染して成熟していくため、先端側から基部側へ異なる成熟段階の層がならんでいる[4][5][7](下図1f, g)。根粒は基本的に円筒状であり、シロツメクサやエンドウ、ウマゴヤシ属などに見られる[4][5][6]。いずれの場合も、根粒菌を含む部分が維管束で囲まれている[4][5][7](上図1c, 下図1e, f)。
形成
マメ科植物における根粒形成は、根粒菌と植物の間の情報交換によって制御されている。根粒形成に働く植物の遺伝子はノドュリン遺伝子(nodulin gene)、根粒菌の遺伝子はノドュレーション遺伝子(nodulation gene; nod遺伝子)とよばれる[6]。根粒菌は、特定の植物が分泌するフラボノイドやベタレインに誘引され根毛に付着、Nod因子(根粒形成因子、Nod facter)を生成する[4][6]。Nod因子は根粒菌の種によってそれぞれ少しずつ異なるリポキチンオリゴ糖であり、植物に根粒形成のための変化を引き起こす[4]。Nod因子に反応した根毛の先端が屈曲(カーリング)して根粒菌を包み込み、根毛の細胞壁の一部が分解され、細胞膜が陥入して形成された感染糸(infection thread)を通って根粒菌が根毛細胞内に侵入する[4][6]。根毛ではなく、傷や表皮の隙間から感染糸を介さずに根粒菌が侵入する例もある[4]。根毛細胞の内側に放出された根粒菌は、さらに内側の細胞に形成された感染糸を通って内側に侵入していく[6]。植物の皮層内部の一部(原生木部の反対側)で細胞が脱分化、分裂を開始し根粒原器(nodule primodium)が形成され、感染糸がここに達する[4][6]。中心柱から伸長した維管束が、感染細胞組織を取り囲むようになる[4]。
植物が枯死したり、古くなった根粒では組織が崩壊し、根粒菌は土壌に放出される[4]。根粒菌は、土壌中で自由生活を行うことができる[4]。
機能
窒素は核酸やタンパク質の構成成分であり、すべての生物にとって必須の元素である。窒素は窒素分子(N2)の形で空気中に大量に存在(容量比で78%)するが、これを直接利用できる生物は原核生物の一部に限られている。根粒菌は窒素分子を固定し、植物が利用可能なアンモニアを供給する。窒素固定には大量のエネルギー(ATP)が必要であり、これを代謝する酵素であるニトロゲナーゼ(nitrogenase)は酸素に触れると失活する[3]。根粒菌は酸素呼吸によってATPを得ているため酸素が必要であるが、ニトロゲナーゼを保護するためには酸素を遮断する必要がある。そのため、マメ科の根粒ではレグヘモグロビンによって好適な酸素濃度が維持されている。レグヘモグロビンは酸素親和性が極めて高いが、根粒菌の細胞膜上に存在するシトクロムオキシダーゼはさらに親和性が高く、低酸素濃度での酸素呼吸を可能にしている[3]。この少量の酸素は根粒菌の細胞膜で消費されるため、ニトロゲナーゼが働く細胞内部は嫌気的状態に保たれる[3]。また植物からはリンゴ酸など有機酸が供給され、根粒菌はこれをクエン酸回路に組み入れて還元剤(NADH)を生成、酸素呼吸とともにジニトロゲナーゼ還元酵素の還元に用いられる[3]。
根粒菌によって固定された窒素はアンモニアの形で植物細胞に放出される。アンモニアは、グルタミンシンテターゼとNADH依存性グルタミン酸シンターゼによってアミドに変換される[3]。さらにエンドウやウマゴヤシではアミド基をもつグルタミンやアスパラギンの形で(アミド輸送型)、ダイズやササゲではウレイド基をもつアラントインやアラントイン酸の形で(ウレイド輸送型)地上部に輸送される[3]。
根粒における窒素固定は、地球上の窒素循環において極めて重要な要素である[8]。ただし根粒の形成・窒素固定量は安定したものではなく、土壌中の窒素量や水分量、ストレスなどによって大きく変動する[8]。
宿主と共生菌
マメ科植物の多くは、根粒菌と共生して根粒を形成する。ただしマメ科の中には、根粒形成能を欠く系統も存在する(特に初期分岐群)[8][9]。また熱帯雨林では、マメ科植物の44%が窒素固定を行わない例が報告されている[8]。
根粒菌は、プロテオバクテリア門のアルファプロテオバクテリア綱とベータプロテオバクテリア綱に属する系統的にはひとまとまりではないさまざまな属が知られている[8](下表1)。これら2つの綱の根粒菌は、α-根粒菌(α-rhizobia)、β-根粒菌(β-rhizobia)とよばれることがある[8][10]。根粒形成に関わる遺伝子群の水平伝播によって、系統的に遠縁な細菌が根粒菌となったと考えられている[8]。
表1. 根粒菌の分類[11]
|
宿主植物と根粒菌の種特異性は一般的には極めて高いが、複数種の根粒菌と共生する植物種もある[8]。特異性が低い植物種は、特異性が高いものにくらべて新たな環境に侵入しやすいとされる[8]。
宿主植物と共生細菌の関係は必ずしも単縦な相利共生とは限らない。窒素固定を行わない細菌が根粒を形成することもある[8]。植物は感染する細菌を積極的に選別することはできないが、非効率的な共生菌に対する制裁や、より良い共生菌に投資を増やすなどの感染後制御を行う例が知られている[8]。また根粒菌の共生は、菌根共生や内生菌など他の共生微生物とも関わっている[8]。
マメ科以外の根粒
マメ科以外にもいくつかの植物は、窒素固定能をもつ微生物と共生している。グミやヤマモモ、ハンノキは放線菌のフランキア属(Frankia)と共生してマメ科のものとはやや異なる根粒を形成する(下図3a, b)。このような根粒はふつう分裂組織をもつ無限型であり、マメ科の根粒とは異なり根粒の中心に維管束が存在し、その周囲に放線菌を含む細胞が分布する[7][12][13][9]。フランキア属は窒素固定の場としてベシクル(vesicle)とよばれる膨潤構造を形成し(下図3c)、この部分がホパノイド脂質の多層膜で覆われて酸素透過を防いでいる[14]。ただしモクマオウ科では宿主によるヘモグロビン生成や細胞壁のリグニン化によって酸素防御しており、ベシクル形成は起こらない[14]。放線菌が共生者となる根粒は放線菌根(actinorrhiza, actinorhiza)ともよばれ、またこのような植物はアクチノリザル植物(放線菌根性植物、actinorrhizal plants, actinorhizal plants)とよばれる[14][13]。アクチノリザル植物には、下表2に示したものが知られる。
表2. アクチノリザル植物の一覧[12][14][9] 各属のカッコ内は共生フランキアの系統(A = Alnus株; C = Casuarina株; E = Elaeagnus株; R = Rosaceous株; nd = 未調査)[14]
|
上記のようにアクチノリザル植物はバラ目、ブナ目、ウリ目に知られるが、これら3目はマメ目と近縁であり、合わせて窒素固定クレード(nitrogen fixing clade)とよばれる単系統群を形成している[8][13]。アクチノリザル植物における根粒形成の機構やタンパク質はマメ科の根粒形成のものとほぼ共通しており、この共通のシステムは窒素固定クレードの共通祖先で獲得されたとも考えられるている。ただし窒素固定クレードの中で実際に窒素固定細菌と共生しているものはごく一部であり(特にバラ目、ブナ目、ウリ目)、系統的にも離れたものに散見される[13]。そのため、窒素固定クレードの共通祖先において窒素固定細菌との共生の起因となるシステムが獲得され(プレディスポジョション predisposition とよばれる)、その後に窒素固定クレード内のさまざまな系統において実際の共生の獲得・欠失が独立に何度も起こったとも考えられている[8][13][15]。またバラ目アサ科の Trema andersonii(= Parasponia andersonii)はマメ科以外では唯一根粒菌と共生して根粒を形成することが知られており、放線菌から根粒菌への共生者転換が起こったと考えられている[8][4][16]。
根粒形成に関わる遺伝子の多くは菌根(アーバスキュラー菌根)に関わる遺伝子と共通することが知られており、根粒形成は進化的に先行するアーバスキュラー菌根形成の機構を利用して生じたと考えられている[13]。
このほかにも Arctostaphylos(ツツジ科)、Zygophyllum(ハマビシ科)、コーヒーノキ(アカネ科)、イヌマキ(マキ科)、コウヤマキ(コウヤマキ科)などからも根粒に類似した構造が報告されているが、窒素固定細菌の共生や窒素固定能が確実に示された例はない[17][18]。
シアノバクテリア(藍藻)は光合成能をもつが、同時に窒素固定能をもつものも多く、このようなシアノバクテリアが陸上植物と共生している例がいくつか知られている。シアノバクテリアが共生している陸上植物として、ウスバゼニゴケ科[19](苔類)、ツノゴケ類[19]、アカウキクサ属[20][21](薄嚢シダ類)、ソテツ類[22](裸子植物)、グンネラ[23][24](被子植物)などがある。この中でソテツ類はサンゴ状根(coralloid root)とよばれる特殊化した根にシアノバクテリアのネンジュモ属が共生しており[25][26](図5)、この根は根粒の1型として扱われたことがある[17]。
サトウキビ(イネ科)やサツマイモ(ヒルガオ科)などの植物の茎や葉の細胞間隙に、窒素固定能をもつ細菌が内生菌として生育していることがある[4]。
人間との関わり
マメ科植物は根粒によって窒素固定を行うため、自らに必要な窒素栄養分を作り出すともに、土壌に窒素栄養分を供給することも可能である。その機構は不明だったものの、マメ科作物を栽培することで耕作地の地力を回復することは古くから中国で行われていた[27]。また18世紀イングランドで普及したノーフォーク農法では、マメ科のクローバーを輪作に組み込むことによって地力低下を防いでいた[27][28]。その後1888年、マルティヌス・ベイエリンクによって根粒に共生する根粒菌が窒素固定を行うことが発見された[11][29]。現代の農業では窒素栄養分の供給は主に化学肥料に依存しているが、湖沼の富栄養化など環境問題を引き起こしており、根粒をもつマメ科植物を利用した環境負荷の少ない農業が注目されている[30]。
脚注
出典
- ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “根粒”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 506. ISBN 978-4000803144
- ^ “rhizobium”. Merriam-Webster Dictionary. 2022年12月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 塩井祐三、井上弘、近藤矩朗, ed (2009). ベーシックマスター 植物生理学. オーム社. pp. 231–235. ISBN 978-4-274-20663-4
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 浅沼修一 (2004). “根粒菌”. In 山崎耕宇, 久保祐雄, 西尾敏彦, 石原邦. 新編 農学大事典. 養賢堂. pp. 378–381. ISBN 978-4-8425-0354-7
- ^ a b c d e f g h 駒嶺穆(総編集)、山谷知行(編), ed (2001). 朝倉植物生理学講座2 代謝. 朝倉書店. pp. 40–42. ISBN 978-4-254-17656-8
- ^ a b c d e f g h i j L. テイツ, E. ザイガー, I.M. モーラー & A. マーフィー (編) (2017). “生物的窒素固定”. 植物生理学・発生学 原著第6版. 講談社. pp. 358–365. ISBN 978-4061538962
- ^ a b c d Pawlowski, K; Bisseling, T (1996). “Rhizobial and actinorhizal symbioses: What are the shared features?”. The Plant Cell 8 (10): 1899–1913 .
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o Stevens, P. F.. “FABALES”. Angiosperm Phylogeny Website. 2022年12月29日閲覧。
- ^ a b c Liu, S., Ratet, P. & Magne, K. (2020). “Nodule diversity, evolution, organogenesis and identity”. Advances in Botanical Research 94: 119-148. doi:10.1016/bs.abr.2019.09.009.
- ^ “第3種:β-プロテオバクテリアにおける機能的ジベレリン生合成オペロン”. J-GLOBAL. 2022年12月30日閲覧。
- ^ a b Rajkumari, J., Katiyar, P., Dheeman, S., Pandey, P. & Maheshwari, D. K. (2022). “The changing paradigm of rhizobial taxonomy and its systematic growth upto postgenomic technologies”. World Journal of Microbiology and Biotechnology 38 (11): 1-23. doi:10.1007/s11274-022-03370-w.
- ^ a b 山中高史 & 岡部宏秋 (2008). “わが国に生育する放線菌根性植物とフランキア菌”. 森林総合研究所研究報告 7 (1): 67–80.
- ^ a b c d e f 林誠 (2015). “植物の窒素固定:植物と窒素固定細菌との共生の進化”. 領域融合レビュー 4: e010. doi:10.7875/leading.author.4.e010 .
- ^ a b c d e 九町健一 (2013). “共生窒素固定放線菌フランキア”. 生物工学会誌 91 (1): 24-27. CRID 1520853833627219328.
- ^ 伊藤元己 & 井鷺裕司 (2018). “被子植物の窒素固定は一つの進化から始まった”. 新しい植物分類体系. 文一総合出版. pp. 128–129. ISBN 978-4829965306
- ^ Op den Camp, R. H., Polone, E., Fedorova, E., Roelofsen, W., Squartini, A., Op den Camp, H. J., ... & Geurts, R. (2012). “Nonlegume Parasponia andersonii deploys a broad rhizobium host range strategy resulting in largely variable symbiotic effectiveness”. Molecular Plant-Microbe Interactions 25 (7): 954-963. doi:10.1094/MPMI-11-11-0304.
- ^ a b 植村誠次 (1965). “マメ科以外の根粒植物について”. 化学と生物 3 (9): 471-476. doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.3.471.
- ^ 潮雅之 (2017). “マキ科・ナンヨウスギ科の根の形態・菌根菌・窒素固定活性”. 日本生態学会誌 67 (3): 339-345. doi:10.18960/seitai.67.3_339.
- ^ a b Adams, D. G. & Duggan, P. S. (2008). “Cyanobacteria-bryophyte symbioses”. J. Exp. Bot. 59: 1047-1058. doi:10.1093/jxb/ern005.
- ^ Peters, G.A. (1991). “Azolla and other plant-cyanobacteria symbioses - aspects of form and function”. Plant Soil 137: 25-36. doi:10.1007/BF02187428.
- ^ Papaefthimiou, D., Van Hove, C., Lejeune, A., Rasmussen, U. & Wilmotte, A. (2008). “Diversity and host specificity of genus Azolla cyanobionts”. J. Phycol. 44: 60-70. doi:10.1111/j.1529-8817.2007.00448.x.
- ^ Costa, J.-L. & Lindblad, P. (2003). “Cyanobacteria in symbiosis with cycads”. In Rai, A.N., Bergman, B. & Rasmussen, U.. Cyanobacteria in Symbiosis. Kluwer Academic Publishers, Dordrecht. pp. 195-205. ISBN 1-4020-0777-9
- ^ Bergman, B. (2002). “The Nostoc-Gunnera symbiosis”. In Rai, A.N., Bergman, B. & Rasmussen, U.. Cyanobacteria in Symbiosis. Kluwer Academic Publishers. pp. 207-232. ISBN 1-4020-0777-9
- ^ Bergman, B. & Osborne, B. (2002). “The Gunnera-Nostoc symbiosis”. Biol. Environ. Proc. R Ir Acad. 102B: 35-39 .
- ^ アーネスト・ギフォード & エイドリアンス・フォスター (著) 長谷部光泰, 鈴木武 & 植田邦彦 (監訳) (2002). “背地性根”. 維管束植物の形態と進化. 文一総合出版. p. 370. ISBN 978-4829921609
- ^ 加藤雅啓 (編) (1997). “3-3 ソテツ綱”. バイオディバーシティ・シリーズ (2) 植物の多様性と系統. 裳華房. pp. 218–219. ISBN 978-4-7853-5825-9
- ^ a b 李海訓 (2020). “スマート農業の歴史的・技術論的位置づけ: 日本と中国を事例に”. 東京経大学会誌. 経済学 305: 231-255. CRID 1520009408233955584.
- ^ 間藤徹 (2015). “有機農業 2.0”. 日本農薬学会誌 40: 31-34. doi:10.1584/jpestics.W14-39.
- ^ 横山正 (https://www.gene.affrc.go.jp/pdf/misc/event-NIAS_WS_20130128_abs03.pdf).+ジーンバンク MAFF 根粒菌株の再分類からみた温故知新.
- ^ 今泉(安楽)温子. “「根粒共生」の実像と可能性~化学肥料からの脱却と温暖化ガス削減に向けた研究アプローチ”. Cool Earth 情報局. dSOILプロジェクト. 2022年11月28日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 今泉(安楽)温子. “「根粒共生」の実像と可能性~化学肥料からの脱却と温暖化ガス削減に向けた研究アプローチ”. Cool Earth 情報局. dSOILプロジェクト. 2022年11月28日閲覧。
- “マメ科植物の根粒と側根の発達は共通した遺伝子が制御することを発見”. 基礎生物学研究所 (2019年11月22日). 2022年12月30日閲覧。
- 林誠 (2004年). “共生のしくみ -植物と土壌微生物の遺伝子ネットワーク”. 季刊「生命誌」. JT生命誌研究館. 2022年11月28日閲覧。
- 林誠 (2015). “植物の窒素固定:植物と窒素固定細菌との共生の進化”. 領域融合レビュー 4: e010. doi:10.7875/leading.author.4.e010 .