タヌキマメ属
タヌキマメ属 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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アフリカタヌキマメ
(2023年10月 沖縄県石垣市) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Crotalaria L. | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
タヌキマメ属 |
タヌキマメ属(Crotalaria)はマメ科マメ亜科の多年生または一年生の草本あるいは低木[1]。
特徴
[編集]葉は1–7小葉を掌状につけ、小托葉を欠くこともある。花は黄色または帯紫色で、頂生または葉に対生する総状花序につき、まれに単生する。花の竜骨弁は先端がくちばし状。豆果は楕円形で膨らみ、左右2片に割れる[1]。属名クロタラリアはギリシャ語で「ガラガラ箱」の意味で、豆果が成熟すると小さい種子が莢の中で離れ、振るとカラカラと音がすることに因む[2]。
分布と生育環境
[編集]世界の熱帯~亜熱帯、特にアフリカとマダガスカルに多い。アジアではインドに最も多く、東に行くほど種数が少なくなり、日本はタヌキマメ属の分布の末端にあたる[2]。
利用
[編集]多くの有用植物が含まれ、繊維作物、緑肥、薬用植物などとして用いられる[2]。
下位分類群
[編集]世界に約600種が知られる(POWO[3]では714種とする)。日本に4種が自然分布[1]。
- C. calycina ガクタヌキマメ[4]
西表島[1]、アジア、アフリカ、オーストラリア[5] - C. montana var. angustifolia ヤエヤマタヌキマメ[6]
石垣島、西表島、久米島[1]、台湾、中国、東南アジア、インド、オーストラリア[7] - C. sessiliflora タヌキマメ[8]
紫色花。最も北まで分布する種。宮城県~琉球列島[1]、朝鮮半島、台湾、中国、東南アジア、インド[9] - C. uncinella subsp. elliptica エダウチタヌキマメ[10]
伊是名島[1]、台湾南部、中国南部、ベトナム、タイ、マレーシア、インド[11]
帰化種と栽培品種
[編集]帰化植物としては、インド原産で葉が単葉で細長いサンヘンプ(別名クロタラリア、サンマ、コヤシタヌキマメ、栽培品種名:ネマコロリ、ネコブキラー) C. juncea[12][13]はネコブセンチュウ抵抗性を有するとされ[14]、古くから世界各地の熱帯~亜熱帯で繊維作物や緑肥として栽培され、現在では広く野生化している[2][15]。また、3出小葉のアフリカタヌキマメ C. trichotoma[16][17]も緑肥として利用され、奄美大島以南の南西諸島に帰化している[18][15][19][20]。この他にも葉幅が大きく丸葉のオオバタヌキマメ C. spectabilis[21](別名オオコガネタヌキマメ[22]、栽培品種名:ネマックス、ネマキング、ネマクリーン)などが、緑肥の他に被覆作物(土壌の物理性改善、土壌中の有害線虫密度を抑制、害虫の天敵を保持増殖する等)に利用される[14]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g (大橋 2021, p. 454)
- ^ a b c d (大橋 1997, p. 315–316)
- ^ “Crotalaria L. | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2024年11月2日閲覧。
- ^ “Crotalaria calycina”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2024年11月4日閲覧。
- ^ “Crotalaria calycina Schrank | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2024年11月2日閲覧。
- ^ “Crotalaria montana var. angustifolia”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2024年11月4日閲覧。
- ^ “Crotalaria montana Roxb. ex Roth | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2024年11月2日閲覧。
- ^ “Crotalaria sessiliflora”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2024年11月4日閲覧。
- ^ “Crotalaria sessiliflora L. | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2024年11月2日閲覧。
- ^ “Crotalaria uncinella”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2024年11月4日閲覧。
- ^ “Crotalaria uncinella subsp. elliptica (Roxb.) Polhill | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2024年11月2日閲覧。
- ^ “Crotalaria juncea”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2024年11月4日閲覧。
- ^ “Crotalaria juncea L. | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2024年11月2日閲覧。
- ^ a b “第8章 クロタラリア”. 緑肥利用マニュアル -土づくりと減肥を目指して-. 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 中日本農業研究センター. pp. 58–69. 2024年11月3日閲覧。
- ^ a b (植村ほか 2015, p. 401–402)
- ^ “Crotalaria trichotoma”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2024年11月4日閲覧。
- ^ “Crotalaria trichotoma Bojer | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2024年11月2日閲覧。
- ^ (池原 1979, p. 59)
- ^ (林 & 名嘉 2022, p. 71)
- ^ (鈴木ほか 2022, p. 240)
- ^ “Crotalaria spectabilis”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2024年11月4日閲覧。
- ^ (森 2020, p. 223)
参考文献
[編集]- 池原直樹「アフリカタヌキマメ」『沖縄植物野外活用図鑑 第3巻 帰化植物』新星図書出版、1979年。
- 大橋広好 著「タヌキマメ属」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 4巻、朝日新聞社、東京、1997年、315–316頁。ISBN 9784023800106。
- 植村修二ほか編著『増補改訂 日本帰化植物写真図鑑 第2巻 -Plant invader 500種-』全国農村教育協会、2015年、401–402頁。ISBN 9784881371855。
- 森昭彦『帰化&外来植物見分け方マニュアル950種』秀和システム、2020年、223頁。ISBN 9784798057927。
- 大橋広好 著「タヌキマメ属」、大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司 編『フィールド版改訂新版 日本の野生植物』 1巻、平凡社、2021年、454頁。ISBN 9784582535389。
- 林将之; 名嘉初美「クロタラリア、アフリカタヌキマメ」『沖縄の身近な植物図鑑』ボーダーインク、2022年。ISBN 9784899824350。
- 鈴木英治; 丸野勝敏; 田金秀一郎; 寺田竜太; 久保紘史郎; 平城達哉; 大西亘「アフリカタヌキマメ」「鹿児島県の維管束植物分布図集-全県版-」『鹿児島大学総合研究博物館研究報告』第17巻、鹿児島大学総合研究博物館、240頁、2022年。ISSN 2188-9074 。
外部リンク
[編集]- タヌキマメ、タヌキマメ属の主な種 三河の植物観察
【日本国内で市販される緑肥作物】
- クロタラリア 雪印種苗 品種 ネマコロリ(C. juncea)、ネマックス、ネマキング(C. spectabilis)
- 緑肥作物 春まき、夏まき品種 カネコ種苗 品種 クロタラリア(C. juncea)、ネマクリーン(C. spectabilis)
- ネコブキラー タキイ種苗 品種 ネコブキラー(C. juncea)