「京王線刺傷事件」の版間の差分
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事件についての通報を受け、管轄する[[東京消防庁]]は20時01分に本件を覚知。上述の放火によって発生した火災は、20時49分に鎮圧。21時40分までに[[消火|鎮火]]を確認した。[[化学機動中隊]]などの特殊部隊を含め45隊が出場し、活動を展開した。<ref name="soumu/> 総務省消防庁では、同日、国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部を設置(第2次応急体制)して情報収集を開始した。 |
事件についての通報を受け、管轄する[[東京消防庁]]は20時01分に本件を覚知。上述の放火によって発生した火災は、20時49分に鎮圧。21時40分までに[[消火|鎮火]]を確認した。[[化学機動中隊]]などの特殊部隊を含め45隊が出場し、活動を展開した。<ref name="soumu" /> 総務省消防庁では、同日、国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部を設置(第2次応急体制)して情報収集を開始した。 |
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=== 列車運行への影響 === |
=== 列車運行への影響 === |
2021年11月29日 (月) 00:04時点における版
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京王線放火刺傷事件 | |
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列車が緊急停車した国領駅のホーム(2012年撮影) | |
場所 |
日本 東京都調布市 京王線の特急列車内 |
標的 | 乗客 |
日付 |
2021年(令和3年)10月31日 20時頃 |
概要 | 京王線の特急新宿行き電車内で発生した事件 |
原因 | 犯人の死刑志願による無差別刺傷 |
攻撃手段 | 刃物を持った男が乗客を刺した上、ライター用のオイルを撒いて放火 |
攻撃側人数 | 1人 |
武器 | 刃物、ライター用のオイル |
負傷者 | 18人 |
損害 | シートの一部が焼ける |
犯人 | 自称24歳の男 |
容疑 | 殺人未遂罪 |
動機 | 仕事で失敗し、死刑になりたかった |
対処 | 列車は国領駅に緊急停車し、乗客が避難 |
影響 | 京王線が運転見合わせ |
管轄 | 警視庁 |
京王線放火刺傷事件(けいおうせんほうかししょうじけん)は、2021年(令和3年)10月31日に東京都調布市を走行中の京王電鉄京王線特急列車車内で発生した殺人未遂事件。
概要
2021年10月31日20時頃、東京都調布市を走行中の京王線上り特急列車内(京王8000系8705F)で、乗客の24歳の男が刃物で他の乗客を切りつけた上、液体を撒いて放火し18人が重軽傷を負った。男は殺人未遂容疑で警視庁に現行犯逮捕された[1][2]。
事件状況
事件が発生した10両編成の京王線新宿行特急電車の3号車に、男は調布駅から乗車した[3]。19時54分に電車が調布駅を発車した直後、男は3号車に乗車していた72歳の乗客の男性の目に殺虫剤を噴きかけ、右胸をバッグに隠し持っていた刃渡り約30センチの刃物で刺した[4][5]。
電車が布田駅を通過した後の19時56分頃、乗客によって車内非常通報装置を通じて通報が行われた。しかし、車掌が通話機能を通じて乗客に応答を求めるも聞き取れず、状況を把握することができなかった[4][6][7]。男はその後、車両前方の5号車へ移動し、所持していた複数の2リットルペットボトル容器に入れられたライター用のオイルを撒いてライターで着火し、さらに殺虫剤スプレーにも引火させた[3][8][9]。この火災によって車内で火災を感知する装置が作動し、座席が燃えた[4]。電車は国領駅で緊急停車したが車両のドアとホームドアが開かなかったため、乗客が窓を開けホームドアを乗り越えて避難する事態となった[4][6][7]。なお、後の国交省などとの緊急会議の中で、本事件で車掌がドアを開放しなかったことについて京王電鉄の担当者は、「窓から避難中の乗客がホームドアに足を掛けるなどしており、開けるのが危険な状況だった」と説明した。また、自社の規定に照らして「やむを得ない判断だった」との見解を示した。[10]
なお、一時の報道では塩酸のような液体が撒かれたとの情報が出たが[11][12]、警視庁は「そうした事実は確認していない」と答えている[13][14]。
警視庁は殺人未遂容疑の現行犯で男を逮捕し、調布警察署に捜査本部を設置した[15]。男は警察の調べに対し「小田急線の刺傷事件を参考にした。小田急線の事件ではサラダ油で火が着かなかったので、ライターオイルを使った」などと供述した[15]。2021年11月22日、警視庁は女性ら複数の乗客にオイルをまいた上、火をつけたとして殺人未遂と現住建造物等放火容疑で男を再逮捕した[16]。
消防機関の対応
事件についての通報を受け、管轄する東京消防庁は20時01分に本件を覚知。上述の放火によって発生した火災は、20時49分に鎮圧。21時40分までに鎮火を確認した。化学機動中隊などの特殊部隊を含め45隊が出場し、活動を展開した。[1] 総務省消防庁では、同日、国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部を設置(第2次応急体制)して情報収集を開始した。
列車運行への影響
事件発生直後から、井の頭線を除く京王線・相模原線の全線で運行停止に陥った。その後、運転見合わせ区間は本線の飛田給駅~つつじヶ丘駅間・相模原線の調布駅~若葉台駅間に縮小されたが、約5時間に渡って一部区間で不通状態が続いた。全線での運転再開は、翌11月1日の1時18分となった。[17]なお、1日は早朝の初電から全線で通常通りの運行となった。[18]
模倣した事件
2021年11月8日、京王線での事件を模倣した放火未遂事件が九州新幹線で発生した[19][20]。11月8日午前9時前、熊本駅と新八代駅の間を走行中の九州新幹線下り「さくら401号」3号車の車内で、乗客の69歳の男が液体(オイル)を床に撒き、紙にライターで着火し床に置いたが、火は燃え広がらずすぐに消えた。車内で非常ベルが鳴らされたため列車はただちに緊急停車し、火災発生を知らせるアナウンスが行われた後に新八代駅まで移動し、男は放火未遂容疑で現行犯逮捕された[19][20][21]。この事件による負傷者はなかった[19]。男は熊本県警察の調べに対し「京王線のニュースを見て真似しようと思った」と供述した[19][20]。
事件の余波・対策
国土交通省は2日に、JR各社や大手私鉄の安全統括管理者との緊急会議をオンラインで開催し、再発防止対策を話し合った。会議は、冒頭を除き非公開開催となったが、「車内で複数の非常通報装置が作動した場合は、通話なしでも最寄り駅などで停車する」「列車のドアとホームドアの位置にずれがあっても、緊急時はドアを開けて乗客の避難誘導をする」ことなどの原則が示された。[22][10]
警備強化と手荷物検査の是非
本事件を受けて京王電鉄は、有料の座席指定列車として運行されている「京王ライナー」で警備要員として社員1人を配置して、巡回に当たることとした。また、小田急電鉄や新交通システムのゆりかもめ・JR東日本などでは防刃手袋や盾の車内配備を急ぐこととし、社員や警備会社の警備員による警戒強化に取り組むことが明らかにされた。[23]
脚注
- ^ a b “東京都調布市において発生した京王線の車両火災による被害及び消防機関等の対応状況 (第2報)”. 総務省消防庁. 2021年11月3日閲覧。
- ^ 「「仕事や友人関係うまくいかず」 ハロウィンに合わせ大量殺人計画か 京王線刺傷」『=産経新聞』産業経済新聞社、2021年11月1日。2021年11月1日閲覧。
- ^ a b “京王線“車内切りつけ” 容疑者の行動明らかに 電車の安全は…”. NHKニュース (2021年11月1日). 2021年11月1日閲覧。
- ^ a b c d “京王線 乗客切りつけ車内に火 17人けが 1人重体 24歳の男 逮捕”. NHKニュース (2021年11月1日). 2021年11月1日閲覧。
- ^ “京王線特急に乗車後すぐに男性襲う…刃物持った容疑者は終始無言で移動、乗客はパニックに”. 読売新聞オンライン (2021年11月1日). 2021年11月1日閲覧。
- ^ a b “京王線刺傷 乗務員ら判断でドア開けず 2メートル手前停車、転落防止”. 東京新聞 (2021年11月1日). 2021年11月1日閲覧。
- ^ a b “ドアが開かず…当時の状況は? 京王線刺傷”. 日テレNEWS24 (2021年11月1日). 2021年11月1日閲覧。
- ^ “京王線刺傷放火、容疑者「ライター用オイル使った」…「小田急の事件を参考に特急電車狙い」”. 読売新聞オンライン (2021年11月1日). 2021年11月1日閲覧。
- ^ “京王線特急に乗車後すぐに男性襲う…刃物持った容疑者は終始無言で移動、乗客はパニックに”. TBS NEWS (2021年11月1日). 2021年11月1日閲覧。
- ^ a b “京王線刺傷事件で「窓からの脱出」が起きるまで。ドアを“開けられなかった”京王電鉄の判断”. ハフィントン・ポスト日本版 (2021年11月2日). 2021年11月13日閲覧。
- ^ 最上和喜「京王線車内に刃物持った男 6人負傷か、火災も 塩酸?まかれた情報」『毎日新聞』毎日新聞社、2021年10月31日。2021年11月2日閲覧。
- ^ 「京王線 火災発生の可能性 けが人複数の情報」『産経新聞』産経新聞社、2021年10月31日。2021年11月2日閲覧。
- ^ 「塩酸散布の情報は未確認と警視庁」『神奈川新聞』神奈川新聞社(共同通信社)、横浜、2021年10月31日。2021年11月2日閲覧。
- ^ “塩酸散布の情報は未確認と警視庁”. 共同通信. 共同通信社 (2021年10月31日). 2021年11月2日閲覧。
- ^ a b 「京王線刃物男「小田急事件参考にした」17人搬送」『産経新聞』産業経済新聞社、2021年11月1日。2021年11月2日閲覧。
- ^ “京王線刺傷、放火による殺人未遂容疑でも再逮捕へ”. 読売新聞 (2021年11月22日). 2021年11月23日閲覧。
- ^ “刃物男で運転見合わせの京王線が上下線で運転再開”. 日刊スポーツ (2021年11月1日). 2021年11月13日閲覧。
- ^ “京王線、早朝から全線で通常運転 前夜に男が刃物で乗客刺す事件”. 朝日新聞. 2021年11月13日閲覧。
- ^ a b c d “九州新幹線 車内で放火未遂か 男逮捕「京王線事件をまね」供述”. NHK NEWS WEB. 日本放送協会 (2021年11月8日). 2021年11月11日閲覧。
- ^ a b c 「京王線事件「まねしようと思った」 九州新幹線、放火未遂容疑の男」『産経新聞』産業経済新聞社、2021年11月8日。2021年11月11日閲覧。
- ^ 「九州新幹線放火未遂 「いつも通勤で使うのに」 乗客ら「京王線の事件」脳裏に 「容疑者はおとなしいおじさん」」『南日本新聞』南日本新聞社、2021年11月8日。2021年11月11日閲覧。
- ^ “鉄道各社と対策協議 京王線事件受け―国交省”. 時事通信. 2021年11月13日閲覧。
- ^ “鉄道各社、対策急ぐ 手荷物検査「非現実的」の声―京王線刺傷”. 時事通信. 2021年11月13日閲覧。
関連項目
- 小田急線刺傷事件 - 本事件の参考とされた事件。
- 2018年東海道新幹線車内殺傷事件
- 東海道新幹線火災事件 - 2015年の事件。焼身自殺で列車火災が起き、巻き添えとなった被害者が出た。
- 新宿西口バス放火事件 - 1980年の事件。京王帝都電鉄(現・京王電鉄バス)の車両が被害に遭った。
- 近鉄奈良線電車爆破事件(1972年)
- 横須賀線電車爆破事件(1968年)
- 土浦連続殺傷事件 - 2008年の事件で、本件と同じく死刑になりたい犯人が起こした事件。