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* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年) |
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* [[ホメロス]]『[[イリアス]](上・下)』[[松平千秋]]訳、岩波文庫(1992年) |
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* [[カール・ケレーニイ]]『ギリシアの神話 英雄の時代』[[植田兼義]]訳、[[中公文庫]](1985年) |
* [[カール・ケレーニイ]]『ギリシアの神話 英雄の時代』[[植田兼義]]訳、[[中公文庫]](1985年) |
2021年11月15日 (月) 10:37時点における版
モリオネ(古希: Μολίονε, Molione)、あるいはモリオニダイ(古希: Μολιονίδαι, Molionidai)は、ギリシア神話の人物で、エーリス地方の英雄である。
アクトールの妻モリーオネーと海神ポセイドーンの2人の子供エウリュトスとクテアトスを指す。モリオネは双生児か、あるいは1つの身体に2つの頭を持つ結合双生児で、一説に銀の卵から生まれたといわれる[1]。モリオネ、モリオニダイは母モリーオネーにちなんだ呼び名で、アクトールにちなんでアクトリオーネー、アクトリダイとも呼ばれる。
彼らはデクサメノスの双子の娘たちと結婚し、エウリュトスはテーライポネーとの間にタルピオスを、クテアトスはテーロニーケーとの間にアムピマコスをもうけた。タルピオスはヘレネーの求婚者の1人で、後にアムピマコスとともにトロイア戦争に参加した[2]。
神話
少年時代から青年時代
エーリスがピュロス王ネーレウスと戦争したとき、モリオネは少年だったにもかかわらず戦車に乗って参加した。しかしネーレウスの子ネストールに討たれそうになり、ポセイドーンが2人を霧で包んで救い出した[3]。彼らは成長すると優れた戦士となり、アクトールの領地を継いでエーリスの支配者の1人となった。このことから、後にギリシア人の間で特別に優れた体力を持つ男に対して「この男に向かってはモリオネもかたなし」という諺も生まれたほどである[4]。エーリス王アウゲイアースは家畜小屋の清掃の報酬でヘーラクレースと対立し追い払った後に、報復に備えてモリオネたちやアマリュンケウスと同盟を結んだ[5]。アマリュンケウスの葬礼競技ではモリオネは戦車競走の種目で優勝し、ネストースが勝利を独占するのを阻止した[6]。またカリュドーンの猪狩りに参加したともいわれる[7]。
ヘーラクレースとの戦争
後にヘーラクレースがエーリスに攻めてきたとき、モリオネは軍を率いて戦い、ヘーラクレースの軍を苦しめた。やがてヘーラクレースは病にかかったので休戦したが、それを知ったモリオネは攻撃に転じ、多くの敵を殺した。ヘーラクレースは一時軍を退き、アルゴスに帰ったが、モリオネがイストミア競技祭に派遣されたことを知るとクレオナイで待ち伏せし、モリオネを射殺した[8]。最初彼らを殺した者は分からなかったが、母モリーオネーが自ら調べ、ヘーラクレースの仕業であると突き止めた[9]。
脚注
参考文献
- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- パウサニアス『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
- ホメロス『イリアス(上・下)』松平千秋訳、岩波文庫(1992年)
- カール・ケレーニイ『ギリシアの神話 英雄の時代』植田兼義訳、中公文庫(1985年)
- ロバート・グレーヴス『ギリシア神話(下)』高杉一郎訳、(1973年)
- ヴォルフガング・シャーデヴァルト 『星のギリシア神話』河原忠彦訳、白水社(1963年)