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{{Other uses|生物学におけるタンパク質からなる化学構造体|その他の用法|受容体 (曖昧さ回避)}} |
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'''受容体'''(じゅようたい、receptor)とは、[[生物]]の体にあって、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、情報([[感覚]])として利用できるように変換する仕組みを持った構造のこと。'''レセプター'''または'''リセプター'''ともいう。下記のいずれにも受容体という言葉を用いる# 外界や体内からの刺激を受けとる'''[[細胞]]'''のこと。'''受容細胞'''(じゅようさいぼう)ともいう。受容細胞は、上記1の受容器の構成成分である。例えば、目の[[網膜]]にあって、光を受け取る細胞は、視細胞(桿状体、杆状体)であり、鼻の中にあって、におい分子を受け取る細胞は、嗅細胞(きゅうさいぼう)である。これらが受容体(受容細胞)に相当する。 |
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[[File:Receptor (Biochemistry).svg|thumb|膜'''受容体'''の一例。 {{ordered list | <!--Ligands, located outside the cell-->細胞外に位置するリガンド| リガンドは、タンパク質の活性部位の形状に基づいて特定の受容体タンパク質に結合する。| リガンドが受容体に結合すると、受容体はメッセンジャーを放出する。}} |
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# 外界や体内からの刺激を受けとる'''[[分子]]'''やその複合体のこと。[[シグナル伝達]]に関わる。多くの場合、上記2の受容細胞の[[細胞膜]]上や、[[細胞質]]、あるいは[[細胞核|核]]内にある[[タンパク質]]である。例えば、網膜の視細胞には、[[ロドプシン]]などの光受容体が含まれており、[[ホルモン]]の作用を受ける細胞には、ホルモンと結合するホルモン受容体が含まれている。 |
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[[生化学]]および[[薬理学]]において、'''受容体'''(じゅようたい、{{Lang-en-short|receptor}}、'''レセプター'''、'''リセプター''')は、生命システムに組み込まれる可能性のある[[シグナル伝達|シグナル(信号)]]を受信し伝達する、[[タンパク質]]からなる化学構造体である<ref name="hall">{{cite book |author1=Hall, JE |year=2016 |title= Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology |location= Philadelphia, PA |publisher= Elsevier Saunders |pages=930–937 |isbn=978-1-4557-7005-2}}</ref>。これらのシグナルは通常は化学伝達物質であり{{refn|group=nb|受容体[[ロドプシン]]の場合、入力は化学物質ではなく[[光子]]となる。}}、受容体に結合して、何らかの形の細胞/組織応答(例: 細胞の電気的活性の変化など)を引き起こす。受容体の働きは、シグナルの中継、増幅、統合の3つに大きく分類される<ref name="alberts">{{cite book|last1=Alberts|first1=Bruce|last2=Bray|first2=Dennis|last3=Hopkin|first3=Karen|last4=Johnson|first4=Alexander|last5=Lewis|first5=Julian|last6=Raff|first6=Martin|last7=Roberts|first7=Keith|last8=Walter|first8=Peter | name-list-style = vanc |title=Essential Cell Biology|date=2014|publisher=Garland Science|location=New York, NY, USA|isbn=978-0-8153-4454-4|page=534|edition=Fourth}}</ref>。シグナルを先方に中継し増幅することで、一つの[[リガンド]]の効果を増大させ統合することにより、シグナルを別の生化学的経路に組み込み、その経路もまた高度に専門化することを可能とする<ref name="alberts" />。 |
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生物の細胞は、{{要説明範囲|すべて|title=受容細胞との関係不明|date=2020-08}}、外界の変化を刺激として受け入れ、{{要説明範囲|反応をおこす|title=「反応」とは何か?|date=2020-08}}性質をもっており、この性質を細胞の刺激反応性と呼ぶ。この刺激反応性の現れ方には、単細胞から多細胞への進化、すなわち、体制の複雑化に伴って、さまざまな段階がみられる。 |
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受容体タンパク質は、その位置によって分類することができる。膜貫通型受容体(''transmembrane receptors'')には、[[リガンド依存性イオンチャネル|リガンド依存性イオンチャネル受容体]]([[イオンチャネル]]型受容体)、[[Gタンパク質共役受容体|Gタンパク質共役ホルモン受容体]](代謝型受容体)、酵素結合型{{仮リンク|ホルモン受容体|en|Hormone receptor|label=}}などがある<ref name="hall" />。細胞内受容体(''intracellular receptor'')とは、細胞内に存在する受容体のことで、細胞質受容体<!-- cytoplasmic receptors -->と[[核内受容体]]に分けられる<ref name="hall" />。受容体に結合する分子は[[リガンド]](''ligand'')と呼ばれ、たとえばタンパク質や[[ペプチド]](短いタンパク質)、または[[神経伝達物質]]、[[ホルモン]]、[[医薬品]]、[[毒素]]、[[カルシウムイオン]]、[[ウイルス]]や[[微生物]]の外部の一部などの別の[[小分子]]である。特定の受容体に結合する[[内因性 (生物学)|内因性]]の産生物質<!-- endogenously produced substance -->を内因性リガンド<!-- endogenous ligand -->と呼ぶ。たとえば、[[ニコチン性アセチルコリン受容体]]の内因性リガンドはアセチルコリンであり、この受容体は[[ニコチン]]によって活性化され<ref>{{cite journal |last1=Gotti |first1=Cecilia |last2=Marks |first2=Michael. J. |last3= Millar |first3=Neil S. |last4=Wonnacott |first4=Susan |title=Nicotinic acetylcholine receptors (version 2019.4) |journal= IUPHAR/BPS Guide to Pharmacology CITE |date=16 September 2019 |volume=2019 |issue=4 |doi= 10.2218/gtopdb/F76/2019.4 |url=https://www.guidetopharmacology.org/GRAC/FamilyIntroductionForward?familyId=76 |access-date=17 November 2020| doi-access=free }}</ref><ref name="MalenkaNicotine">{{cite book|vauthors=Malenka RC, Nestler EJ, Hyman SE|veditors=Sydor A, Brown RY|title=Molecular Neuropharmacology: A Foundation for Clinical Neuroscience|year=2009|publisher=McGraw-Hill Medical|location=New York|isbn=9780071481274|page=234|edition=2nd|chapter=Chapter 9: Autonomic Nervous System|quote=Nicotine ... is a natural alkaloid of the tobacco plant. Lobeline is a natural alkaloid of Indian tobacco. Both drugs are agonists of nicotinic cholinergic receptors ...}}</ref>、[[クラーレ]](毒物の一種)によって阻害されることもある<ref>{{cite web |title=Curare Drug Information, Professional |url=https://www.drugs.com/mmx/curare.html |website= Drugs.com |access-date=8 December 2020 |language=en}}</ref>。それぞれの種類の受容体は、シグナルに対応する固有の細胞{{Ill2|生化学的経路|en|Biological pathway}}<!-- cellular biochemical pathways -->に接続している。ほとんどの細胞では多数の受容体が見られるが、それぞれの受容体は特定の構造をもつリガンドとしか結合しない。これは、[[酵素#鍵と鍵穴説|錠前が特定の形状の鍵のみしか受け入れない]]ことに例えられる。リガンドが対応する受容体に結合すると、受容体に関連する生化学的経路を活性化あるいは阻害する。 |
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刺激を{{要説明範囲|受け入れる|title=ここでの「受け入れる」とは何をすることか?|date=2020-08}}細胞または器官を受容体(受容器)、{{要説明範囲|反応をおこす細胞|title=前文の「すべての細胞は反応を起こす」との関係不明|date=2020-08}}または器官を作動体(効果器)という。 |
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== 構造== |
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== 受容体タンパク質分子 == |
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[[File:Transmembrane receptor.svg|thumb|right|膜貫通型受容体: E=細胞外空間、P=細胞膜、I=細胞内空間]] |
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生化学では受容体とは、[[細胞膜]]、[[細胞質]]または[[細胞核|核]]内にあるタンパク質で、それに特異的な物質('''[[リガンド]]''')、すなわち[[神経伝達物質]]、ホルモン、[[細胞増殖因子]]その他の物質を結合し、細胞の反応を開始させるものを呼ぶ。つまり細胞外のシグナルを細胞内シグナルに変換する装置である。また様々な薬物や[[毒|毒物]]を結合してそのターゲットとなるものも多い。 |
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受容体の構造は非常に多様であり、とりわけ次の主要な分類がある。 |
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; タイプ1 イオンチャネル型受容体 ([[リガンド依存性イオンチャネル]]): これらの受容体は通常、アセチルコリン(ニコチン様)や[[Γ-アミノ酪酸|GABA]]などの高速神経伝達物質の標的であり、これらの受容体の活性化により、膜を横切るイオンの動きに変化が生じる。これらの受容体は、各サブユニットが、細胞外リガンド結合ドメインと4つの膜貫通[[αヘリックス]]を含む膜貫通ドメインからなる、ヘテロマー構造<!-- heteromeric structure -->を持つ。リガンド結合空洞<!-- ligand-binding cavities -->はサブユニット間の界面に位置している。 |
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; タイプ2 [[Gタンパク質共役受容体]] : これは受容体の中で最大のファミリーで、いろいろのホルモンや、ドーパミン、代謝型グルタミン酸などの緩徐性伝達物質<!-- slow transmitters -->の受容体を含んでいる。これらの受容体は、7つの膜貫通αヘリックスから構成されている。αヘリックスをつなぐループは、細胞外ドメインと細胞内ドメインを形成している。大きなペプチドリガンドの結合部位は、通常、細胞外ドメインに位置し、小さな非ペプチドリガンドの結合部位は、7つのαヘリックスと1つの細胞外ループの間に位置することが多い<ref name="pmid19912230">{{cite journal | vauthors = Congreve M, Marshall F | title = The impact of GPCR structures on pharmacology and structure-based drug design | journal = British Journal of Pharmacology | volume = 159 | issue = 5 | pages = 986–96 | date = March 2010 | pmid = 19912230 | pmc = 2839258 | doi = 10.1111/j.1476-5381.2009.00476.x }}</ref>。前述の受容体は、[[Gタンパク質|Gタンパク質]]を介して異なる細胞内効果器系<!-- intracellular effector systems -->と結合される<ref name="pmid=21873996">{{cite journal | vauthors = Qin K, Dong C, Wu G, Lambert NA | title = Inactive-state preassembly of G(q)-coupled receptors and G(q) heterotrimers | journal = Nature Chemical Biology | volume = 7 | issue = 10 | pages = 740–7 | date = August 2011 | pmid = 21873996 | pmc = 3177959 | doi = 10.1038/nchembio.642}}</ref>。Gタンパク質は、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)の3つのサブユニットからなるヘテロ三量体である。不活性状態では、3つのサブユニットが会合し、αサブユニットが[[グアノシン二リン酸]](GDP)に結合する<ref>{{Cite book| last=Zubay|first=Geoffrey|title=Biochemistry 4th Ed.|publisher=William C Brown Pub|year=1998|isbn=0697219003|location=Dubuque, IA|pages=684}}</ref>。Gタンパク質が活性化されると構造変化が起こり、GDPを[[グアノシン三リン酸]](GTP)に交換する。αサブユニットにGTPが結合すると、βサブユニットとγサブユニットが解離する<ref>{{Cite book|last1=Garrett|first1=Reginald|title=Biochemistry|last2=Grisham|first2=Charles|publisher=Cengage Learning|year=2012|isbn= 9781473733602|pages=1130}}</ref>。さらに、α、β、γの3つのサブユニットには、一次配列に基づく4つの主要なクラスがある。これらにはG<sub>s</sub>, G<sub>i</sub>, G<sub>q,</sub> G<sub>12</sub>が含まれる<ref>{{Cite journal| last1=Hamm|first1=Heidi E.|last2=Oldham|first2=William M.|date=2008|title=Heterotrimeric G Protein Activation by G-Protein-Coupled Receptors|url=|journal=Nature Reviews Molecular Cell Biology|publisher=Nature Publishing Group|volume=9|issue=1|pages=60–71|doi=10.1038/nrm2299|pmid=18043707|s2cid=24267759}}</ref>。 |
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; タイプ3 キナーゼ結合型受容体および関連受容体(「[[受容体型チロシンキナーゼ]]」および「{{仮リンク|酵素結合型受容体|en|Enzyme-linked receptor}}」も参照): これらはリガンド結合部位を含む細胞外ドメインと、酵素機能を持つ細胞内ドメインが、1つの膜貫通αヘリックスで連結して構成されることが多い。その一例は[[インスリン受容体]]である。 |
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; タイプ4 [[核内受容体]] : 核内受容体と呼ばれているが、実際には[[細胞質]]に存在し、リガンドと結合した後に[[細胞核|核内]]に移動する。それらは[[C末端]]のリガンド結合領域、コア[[DNA結合ドメイン]](DBD)、および''AF1(activation function 1)''領域を含む[[N末端]]ドメインで構成されている。コア領域には2本のジンクフィンガーを有し、この受容体に特異的なDNA配列を認識する役割を担う。N末端は、リガンドに依存しない方法で他の細胞内転写因子と相互作用し、これらの相互作用に応じて、受容体の結合/活性を変化させることができる。そのような受容体の例としてステロイド受容体や甲状腺ホルモン受容体がある<ref name="Rang HP, Dale MM, Ritter JM, Flower RJ, Henderson G 2012">{{cite book |vauthors=Rang HP, Dale MM, Ritter JM, Flower RJ, Henderson G | year=2012 | edition= 7th | title= Rang & Dale's Pharmacology |publisher= Elsevier Churchill Livingstone |isbn= 978-0-7020-3471-8}}</ref>。 |
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膜受容体は、[[溶媒]]、[[界面活性剤]]、および(または){{仮リンク|親和性精製|en|Affinity purification|label=}}を用いる複雑な抽出手順により、細胞膜から単離されることがある。 |
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受容体にはリガンドや機能に応じて様々なタイプがある: |
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* 多くのホルモンや神経伝達物質に対する受容体は[[膜貫通タンパク質]]で、細胞膜の[[脂質二重層]]に埋もれている。これらの受容体には、[[Gタンパク質]]と共役したものや、[[酵素]]あるいは[[イオンチャネル]]の活性を有するものなどがあり、リガンドによる活性化により細胞内[[シグナル伝達]]を開始する。 |
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* その他の重要な一群の受容体には[[ステロイドホルモン]]受容体などの細胞内タンパク質がある。これらの受容体リガンドによる活性化に反応して核内に入り遺伝子発現を調節する。 |
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* 以上挙げたような受容体に構造が似ているがその機能がまだ不明なタンパク質が多く見つかっている。これらは'''[[オーファン受容体]]'''(孤児受容体)と呼ばれている。これらに結合する薬物の中から[[医薬品]]の候補が見付かる可能性があるとして創薬の面からも注目されている。 |
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受容体の構造や作用の研究は、[[X線結晶構造解析]]、[[NMR]]、[[円偏光二色性]]、[[二面偏波式干渉法]]などの生物物理学的手法で行うことができる。受容体の[[作用機序]]を理解するために、受容体の動的挙動の[[コンピュータシミュレーション]]も行われている。 |
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=== 膜貫通受容体 === |
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== 結合と活性化 == |
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リガンド結合は[[平衡|平衡過程]]である。リガンドLと受容体Rについて、リガンドは受容体に結合し、[[質量作用の法則]]に従って次式のように解離する。化学種を囲む括弧は、その濃度を表す。 |
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=====[[Gタンパク質共役受容体|Gタンパク質共役型受容体(GPCR, G-protein-coupled receptor)]]===== |
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{{Main|Gタンパク質共役型受容体}} |
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[[Gタンパク質共役受容体]]は、三量体Gタンパク質を介して細胞内にシグナルを伝える。ポリペプチド鎖が膜を7回貫通するという構造的特徴を有しているので、7回膜貫通型(7TM)受容体とも呼ばれる。 |
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* ムスカリン性[[アセチルコリン受容体]]:[[神経伝達物質]][[アセチルコリン]]の受容体の一種で、[[キノコ]]由来の[[毒|毒物]]ムスカリンを結合する特徴がある。 |
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* [[アデノシン受容体]]:神経伝達物質[[アデノシン]]の受容体。[[カフェイン]]も結合する。 |
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* [[アドレナリン受容体]]:[[アドレナリン]]やその他の構造が類似したホルモン、薬物を結合する。 |
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* GABA受容体(B型) |
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* [[アンギオテンシン受容体]]:[[アンギオテンシン]]の受容体 |
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* [[カンナビノイド受容体]]:[[大麻]]成分およびアナンダミド等の内在性リガンドを結合する。 |
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* [[コレシストキニン受容体]]:[[コレシストキニン]]の受容体 |
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* [[ドーパミン受容体]]:[[ドーパミン]]の受容体 |
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* [[グルカゴン受容体]]:[[グルカゴン]]の受容体 |
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* [[ヒスタミン受容体]]:[[ヒスタミン]]の受容体 |
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* [[嗅覚受容体]]:嗅覚細胞にある、におい物質の受容体。([[2004年]]度[[ノーベル生理学・医学賞]]対象) |
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* [[オピオイド受容体]]:[[アヘン]]成分および内在性ペプチド性リガンド(エンケファリン、エンドルフィン等)を結合する。 |
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* [[ロドプシン]]:網膜にある光受容体。 |
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* [[セクレチン受容体]]:[[セクレチン]]の受容体 |
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* [[セロトニン受容体]]:[[セロトニン]]の(5-ヒドロキシトリプタミンまたは5-HT)受容体(3型を除く) |
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* [[ソマトスタチン受容体]]:[[ソマトスタチン]]の受容体 |
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* [[ガストリン受容体]]:[[ガストリン]]の受容体 |
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* [[P2Y受容体]]:[[アデノシン三リン酸|ATP]]など[[プリン塩基|プリン]][[ヌクレオチド]]の受容体 |
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など、多数ある。 |
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教科書には単量体としてのみ機能しているかのように記載されているが、二量体以上の高次複合体としての機能も多数報告されており、詳細については未解明である。 |
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:<math chem=""> |
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===== チロシンキナーゼ受容体 ===== |
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{[\ce{L}] + [\ce{R}] \ce{<=>[{K_d}]} [\text{LR}]} |
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* 受容体の細胞内部の[[チロシン]]残基をリン酸化してシグナルを伝達する。 |
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</math> |
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** [[インスリン受容体]] |
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** 細胞増殖因子の受容体 |
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* [[サイトカイン]]の受容体:別のチロシンキナーゼによってリン酸化される。 |
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分子が受容体にどれだけよく適合するかを示す一つの指標は結合親和性で、これは[[解離定数]] ''K''<sub>''d''</sub> に反比例の関係がある。良好な適合性は、高い親和性と低い ''K''<sub>''d''</sub> に対応する。最終的な生物学的反応(例: [[セカンドメッセンジャー]]カスケード、あるいは[[筋収縮]])は、相当数の受容体が活性化された後にのみ達成される。 |
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===== グアニル酸シクラーゼ受容体 ===== |
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[[グアノシン三リン酸|GTP]]からサイクリックGMPを合成する酵素活性をもつ。 |
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* GC-A、GC-B:心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)やその他のナトリウム利尿ペプチドの受容体。 |
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* GC-C:グアニリン受容体 |
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親和性(''affinity'')とは、リガンドがその受容体に結合する傾向の尺度である。効力(''efficacy'')とは、結合したリガンドがその受容体を活性化するかどうかの尺度である。 |
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==== イオンチャネル型受容体 ==== |
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リガンド刺激により[[イオン]]を透過する。どのイオンを透過させるかは[[イオンチャネル]]の特性によって異なり、特定のイオンのみを透過するチャネルもあれば、いくつかのイオンを透過させるチャネルもある。 |
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* ニコチン性アセチルコリン受容体:アセチルコリン受容体の一種で、[[ニコチン]]を結合する特徴がある。[[ナトリウム]]イオンを透過する。 |
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* グリシン受容体:神経伝達物質としての[[グリシン]]、薬物ストリキニンを結合する。[[塩化物イオン]](塩素イオン)を透過する。 |
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* [[γ-アミノ酪酸|GABA]]受容体(A型、C型):塩化物イオン(Cl<sup>-</sup>)を透過する。その結果、[[膜電位]]が下がり、[[過分極]]となり、[[活動電位]]が出にくくなる。 |
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* [[グルタミン酸受容体]]:神経伝達物質としての[[グルタミン酸]]を結合する。結合する薬物により[[NMDA受容体]]、[[AMPA受容体]]、[[カイニン酸]]受容体に分けられる。いずれもナトリウムイオン、[[カリウム]]イオン、[[カルシウム]]イオンなどの陽イオンを透過させるが、透過させるイオンの種類は受容体サブタイプによって異なる場合もある。 |
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* セロトニン受容体3型 |
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* [[イノシトールトリスリン酸受容体|イノシトールトリスリン酸(IP3)受容体]]、および[[リアノジン]]受容体:いずれも細胞膜でなく小胞体膜にあり、リガンドに反応して小胞体内のカルシウムを細胞質に放出する。前者は細胞内在性のIP3に反応する。後者は[[アルカロイド]]の[[リアノジン]]に反応することから命名されたが内因性リガンドはcADPR(サイクリックADPリボース)であるとされている。 |
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* [[P2X受容体]]:[[アデノシン三リン酸|ATP]]など[[プリン塩基|プリン]][[ヌクレオチド]]の受容体 |
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* このほか、受容体とは呼ばないが細胞の[[膜電位]]に反応して作動する[[電位依存性イオンチャネル]]がある。 |
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=== アゴニスト対アンタゴニスト === |
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=== 細胞内(核内)受容体 === |
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[[File:Efficacy spectrum.png|right|thumb|320px|受容体リガンドの効力スペクトル。]] |
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==== 核内受容体スーパーファミリー ==== |
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受容体に結合するすべてのリガンドが、その受容体を活性化するわけではない。次のようなリガンドのクラスが存在する。 |
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{{Main|核内受容体}} |
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* [[ステロイドホルモン]]受容体:細胞質または核内にあり、リガンドが結合すると特定の[[遺伝子]]の[[デオキシリボ核酸|DNA]]配列に結合してその遺伝子を活性化する。[[内分泌攪乱物質]]の結合ターゲットとしても考えられている。 |
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** 性ホルモン([[アンドロゲン]]、[[エストロゲン]]、[[プロゲステロン]])受容体 |
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** [[ビタミンD]]受容体 |
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** [[グルココルチコイド受容体|糖質コルチコイド受容体]] |
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** [[鉱質コルチコイド]]受容体 |
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** [[甲状腺ホルモン]]受容体 |
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** レチノイド受容体:[[ビタミンA]]関連化合物を結合する。 |
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** [[PPAR|ペルオキシソーム増殖剤受容体]] (PPAR) |
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** 昆虫の脱皮ホルモン([[エクダイソン]])受容体 |
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* '''(完全)[[アゴニスト]]'''<!-- (Full) agonists -->(作用薬または作動薬)は、受容体を活性化し、強い生物学的反応をもたらすことができる。ある受容体に対して最大の{{Ill2|固有活性|en|Intrinsic activity|label=効力}}を持つ天然の{{仮リンク|内因性|en|Endogenous|label=}}リガンドは、定義上、完全アゴニスト(100%の効力)である。 |
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==== その他の細胞内受容体 ==== |
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* '''部分アゴニスト'''{{Enlink|Partial agonist|英語版}}は、最大限に結合しても最大の効力で受容体を活性化しないので、完全アゴニストと比べて部分反応を起こす(効力は0~100%の間)。 |
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* ダイオキシン受容体([[芳香族炭化水素受容体]]、AhR):[[ダイオキシン]]のほか、多くの[[芳香族化合物]]を結合する。他の細胞内受容体とは構造が大きく異なる。 |
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* '''[[アンタゴニスト]]'''(拮抗薬)は、受容体に結合するが、それを活性化しない。その結果、受容体が遮断され、アゴニストや逆アゴニスト(次項)の結合が阻害される。受容体アンタゴニストには、アゴニストと受容体を奪い合う競合型(可逆型)と、受容体と[[共有結合]](または極めて高い親和性の非共有結合)を形成して完全に遮断する不可逆型がある。プロトンポンプ阻害薬[[オメプラゾール]]は、不可逆型アンタゴニストの一例である。不可逆型アンタゴニストの効力は、新しい受容体の合成によってのみ回復できる。 |
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* '''[[逆アゴニスト]]'''(逆作動薬)は、受容体の構成的活性(後述)を阻害することにより、受容体の活性を低下させる(負の効力)。 |
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* [[アロステリック効果|'''アロステリックモジュレーター''']](アロステリック調節因子): これらは、受容体のアゴニスト結合部位に結合するのではなく、特定のアロステリック結合部位に結合し、それを通じてアゴニストの作用を変化させる。たとえば、[[ベンゾジアゼピン]](BZD)は[[GABAA受容体|GABA<sub>A</sub>受容体]]のBZD部位に結合し、内因性GABAの作用を増強する。 |
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受容体のアゴニズムとアンタゴニズムという概念は、あくまでも受容体とリガンドの間の相互作用に言及するものであり、それらの生物学的効果を言及するものではない。 |
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=== 構成的活性 === |
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なお、細胞上で[[ウイルス]]などの病原体が結合する分子も受容体と呼ぶが、これはタンパク質とは限らず[[脂質]]、[[多糖]]の場合もある。 |
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リガンドと結合が存在しなくても生物学的反応を起こすことができる受容体は、「構成的活性」(''constitutive activity'')を示すと言われている<ref name="Milligan_2003">{{cite journal | vauthors = Milligan G | title = Constitutive activity and inverse agonists of G protein-coupled receptors: a current perspective | journal = Molecular Pharmacology | volume = 64 | issue = 6 | pages = 1271–6 | date = December 2003 | pmid = 14645655 | doi = 10.1124/mol.64.6.1271 | s2cid = 2454589 | url = https://semanticscholar.org/paper/f9b1c96352bd52d0985d81fb2914b46f6c0ac359 }}</ref>。受容体の構成的活性は、[[逆アゴニスト]]によって阻害されることがある。抗肥満薬の[[リモナバント]]と{{仮リンク|タラナバント|en|Taranabant|label=}}は、{{仮リンク|カンナビノイド受容体1型|en|Cannabinoid receptor type 1|label=カンナビノイドCB1受容体}}の[[逆アゴニスト]]であり、有意な体重減少をもたらしたにもかかわらず、カンナビノイド受容体の構成的活性の阻害に関連すると考えられるうつ病や不安症が好発するために、両方とも中止された。 |
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[[GABAA受容体|GABA<sub>A</sub>受容体]]は構成的活性を持ち、アゴニストの非存在下で、ある程度の基底電流<!-- basal current -->を伝導する。このため、[[β-カルボリン]]は逆アゴニストとして作用し、電流を基底レベル以下に減らすことができる。 |
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==外部リンク== |
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*{{脳科学辞典|核内受容体}} |
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[[思春期早発症]](黄体形成ホルモン受容体の変異による)や[[甲状腺機能亢進症]](甲状腺刺激ホルモン受容体の変異による)など、[[遺伝性疾患]]の背景には、構成的活性の増加をもたらす受容体の[[遺伝的変異|変異]]がある。 |
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*{{脳科学辞典|グリシン受容体|nolink=yes}} |
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*{{脳科学辞典|GABA受容体|nolink=yes}} |
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== 薬物-受容体相互作用の理論 == |
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=== 占拠 === |
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薬理学における{{Ill2|受容体理論|en|Receptor theory}}の初期形成では、薬物の効果は占拠された受容体の数に正比例するとされていた<ref>{{cite journal |last1=Rang |first1=HP |title=The receptor concept: pharmacology's big idea |journal=British Journal of Pharmacology |date=January 2006 |volume=147 Suppl 1 |pages=S9-16 |doi=10.1038/sj.bjp.0706457 |pmid=16402126 |pmc=1760743}}</ref>。そのうえ、薬物の効果は薬物-受容体複合体が解離すると消失するというものであった。 |
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Ariëns{{Enlink|Everhardus Jacobus Ariëns|英語版}} と Stephenson は、受容体に結合したリガンドの作用を説明するために、「親和性」と「効力」という用語を導入した<ref name="pmid13229418">{{cite journal | vauthors = Ariens EJ | title = Affinity and intrinsic activity in the theory of competitive inhibition. I. Problems and theory | journal = Archives Internationales de Pharmacodynamie et de Therapie | volume = 99 | issue = 1 | pages = 32–49 | date = September 1954 | pmid = 13229418 }}</ref><ref name="pmid13383117">{{cite journal | vauthors = Stephenson RP | title = A modification of receptor theory | journal = British Journal of Pharmacology and Chemotherapy | volume = 11 | issue = 4 | pages = 379–93 | date = December 1956 | pmid = 13383117 | pmc = 1510558 | doi = 10.1111/j.1476-5381.1956.tb00006.x }}</ref>。 |
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* [[解離定数|親和性]](''affinity''): 薬物が受容体と結合して薬物-受容体複合体を形成する能力。 |
|||
* 効力{{Enlink|Intrinsic activity|英語版}}(''efficacy''): 薬物-受容体複合体が反応を開始する能力。固有活性(''intrinsic activity'')とも。 |
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=== 速度=== |
|||
一般に受け入れられた占拠理論(''occupation theory'')とは対照的に、速度理論(''rate theory'')では、受容体の活性化は単位時間あたりにおける薬物と受容体との遭遇の総数に正比例すると提案する。薬理活性は、占拠された受容体の数'''ではなく'''、解離と会合の速度に正比例する<ref name="isbn0-12-643732-7">{{cite book | author = Silverman RB | title = The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action | edition = 2nd | publisher = Elsevier Academic Press | location = Amsterdam | year = 2004 | isbn = 0-12-643732-7 | chapter = 3.2.C Theories for Drug—Receptor Interactions | chapter-url = https://archive.org/details/organicchemistry00silv_0 | url-access = registration | url = https://archive.org/details/organicchemistry00silv_0 }}</ref>。 |
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* アゴニスト: 速い結合と速い解離を持つ薬物。 |
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* 部分アゴニスト: 中間的会合と中間的解離を持つ薬物。 |
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* アンタゴニスト: 結合が速く解離が遅い薬物。 |
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=== 誘導適合 === |
|||
{{Main|誘導適合}} |
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薬物が受容体に近づくと、受容体はその結合部位の[[コンホメーション変化|コンホメーションを変化]]させて、薬物-受容体複合体を形成する。 |
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=== スペア受容体 === |
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ある種の受容体系(たとえば、平滑筋の神経筋接合部におけるアセチルコリン)では、アゴニストは、非常に低いレベルの受容体占拠率(1%未満)で最大の反応を引き出すことができる。このように、その系には予備の受容体、または受容体予備軍が存在する。このような配置により、神経伝達物質の生産と放出の経済性が生み出される<ref name="Rang HP, Dale MM, Ritter JM, Flower RJ, Henderson G 2012" />。 |
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== 受容体調節 == |
|||
細胞は、異なる分子に対する感受性を変化させるために、特定の[[ホルモン]]や[[神経伝達物質]]に対する受容体の数を増やす([[アップレギュレーション]])または減らす([[ダウンレギュレーション]])ことができる。これは局所的に作用する[[フィードバック]]機構である。 |
|||
* アゴニストの結合が、受容体を活性化しないような、受容体のコンホメーション変化。これはイオンチャネル受容体で見られる。 |
|||
* 受容体[[エフェクター分子]]の[[四次構造|解放]]は、Gタンパク質共役受容体で見られる。 |
|||
* 受容体の[[エンドサイトーシス|隔離]](内在化)<ref>{{cite journal |vauthors=Boulay G, Chrétien L, Richard DE, Guillemette G |date= November 1994 |title= Short-term desensitization of the angiotensin II receptor of bovinde adrenal glomerulosa cells corresponds to a shift from a high to low affinity state |journal= Endocrinology |volume=135 |issue=5 |pages= 2130–6|doi=10.1210/en.135.5.2130|pmid= 7956936 }}</ref>。たとえば、ホルモン受容体の場合。 |
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== 事例とリガンド == |
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受容体のリガンドは、その受容体と同様に多様である。[[Gタンパク質共役受容体]](GPCR、7TM)は特に広大なファミリーであり、少なくとも810個のメンバーが存在する。また、少なくとも10数種類の内因性リガンドに対する[[リガンド依存性イオンチャネル]](LGIC)も存在し、さまざまなサブユニットによってさらに多くの受容体も構成可能である。リガンドと受容体の一般的な例としては、次のものが挙げられる<ref name="boron">{{cite book | vauthors = Boulpaep EL, Boron WF |year=2005 |title= Medical Physiology: A Cellular and Molecular Approach |location= St. Louis, Mo |publisher= Elsevier Saunders |page=90 |isbn=1-4160-2328-3}}</ref>。 |
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=== イオンチャネルおよびGタンパク質共役受容体 === |
|||
{{Main|リガンド依存性イオンチャネル<!--Ligand-gated ion channel-->|Gタンパク質共役受容体<!--G protein-coupled receptor-->}} |
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イオンチャネル内蔵型(LGIC)および代謝型(具体的にはGPCR)の受容体の例を以下の表に示す。主な神経伝達物質はグルタミン酸およびGABAであり、その他の神経伝達物質は{{仮リンク|神経調節|en|Neuromodulation|label=神経調節性}}である。このリストは決して網羅的なものではない。 |
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{| class="wikitable" |
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|- |
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! rowspan="2"|内因性リガンド |
|||
!colspan="3"|[[リガンド依存性イオンチャネル|リガンド依存性イオンチャネル (LGIC)]] |
|||
!colspan="3"|[[Gタンパク質共役受容体|Gタンパク質共役受容体 (GPCR)]] |
|||
|- |
|||
!受容体 |
|||
!{{仮リンク|イオン電流|en|Electric current|label=}}{{refn|group=nb|異なるLGICは、異なる[[イオン]]の電流を伝導する。これは、[[カリウムチャネル#選択フィルター|K+チャネルの選択フィルター]]と同様に、選択フィルターを用いて実現される。}} |
|||
!外因性リガンド |
|||
!受容体 |
|||
![[Gタンパク質]] |
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!外因性リガンド |
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|- |
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|[[グルタミン酸]] |
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|{{仮リンク|イオンチャネル型グルタミン酸受容体|en|Ionotropic glutamate receptor|label=}} (iGluR): [[NMDA型グルタミン酸受容体|NMDA]], [[AMPA型グルタミン酸受容体|AMPA]], {{仮リンク|カイニン酸受容体|en|Kainate receptor|label=}} |
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|Na<sup>+</sup>, K<sup>+</sup>, Ca<sup>2+</sup> <ref name="boron" /> |
|||
|[[ケタミン]] |
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|[[グルタミン酸受容体]]: {{仮リンク|代謝型グルタミン酸受容体|en|Metabotropic glutamate receptor|label=mGluRs}} |
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|Gq or Gi/o |
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| - |
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|- |
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|[[Γ-アミノ酪酸|GABA]] |
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|[[GABAA受容体|GABA<sub>A</sub>受容体]] |
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({{仮リンク|GABAA-rho受容体|en|GABAA-rho|label=GABA<sub>A</sub>-rho}}を含む) |
|||
|Cl<sup>−</sup> > HCO<sup>−</sup><sub>3</sub> <ref name="boron" /> |
|||
|[[ベンゾジアゼピン]] |
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|{{仮リンク|GABAB受容体|en|GABAB receptor|label=GABA<sub>B</sub>受容体}} |
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|Gi/o |
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|[[バクロフェン]] |
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|- |
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|[[アセチルコリン]] |
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|[[ニコチン性アセチルコリン受容体]] (nAChR) |
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|Na<sup>+</sup>, K<sup>+</sup>, Ca<sup>2+</sup><ref name="boron" /> |
|||
|[[ニコチン]] |
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|[[ムスカリン性アセチルコリン受容体]] (mAChR) |
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|[[Gqタンパク質αサブユニット|Gq]] or Gi |
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|[[ムスカリン]] |
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|- |
|||
|[[グリシン]] |
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|{{仮リンク|グリシン受容体|en|Glycine receptor|label=}}(GlyR) |
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|Cl<sup>−</sup> > HCO<sup>−</sup><sub>3</sub> <ref name="boron" /> |
|||
|[[ストリキニーネ]] |
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| - |
|||
| - |
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| - |
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|- |
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|[[セロトニン]] |
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|[[セロトニン受容体|5-HT<sub>3</sub>受容体]] |
|||
|Na<sup>+</sup>, K<sup>+</sup> <ref name="boron" /> |
|||
|[[セレウリド]] |
|||
|[[セロトニン受容体|5-HT1-2 or 4-7]] |
|||
|Gs, Gi/o or Gq |
|||
| - |
|||
|- |
|||
|[[アデノシン三リン酸|ATP]] |
|||
|[[P2X受容体]] |
|||
|Ca<sup>2+</sup>, Na<sup>+</sup>, Mg<sup>2+</sup> <ref name="boron" /> |
|||
|BzATP{{citation needed|date=April 2019}} |
|||
|[[P2Y受容体]] |
|||
|Gs, Gi/o or Gq |
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| - |
|||
|- |
|||
|[[ドーパミン]] |
|||
|No ion channels{{Citation needed|date=April 2019}} |
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| - |
|||
| - |
|||
|[[ドーパミン受容体]] |
|||
| Gs or Gi/o |
|||
| - |
|||
|} |
|||
=== 酵素結合型受容体 === |
|||
{{Main|{{ill2|酵素結合型受容体|en|Enzyme-linked receptor}}}} |
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酵素結合型受容体<!-- enzyme linked receptor -->には、[[受容体型チロシンキナーゼ]](RTK)、骨形成タンパク質のようなセリン/スレオニン特異的タンパク質キナーゼ、心房性ナトリウム利尿因子受容体のようなグアニル酸シクラーゼがある。RTKのうち、20のクラスが特定されており、58種類のRTKがメンバーとなっている。次にいくつかの例を示す。 |
|||
{| class="wikitable" |
|||
|- |
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!RTKクラス/ |
|||
受容体ファミリー |
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!メンバー |
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!内因性リガンド |
|||
!外因性リガンド |
|||
|- |
|||
| I ||[[上皮成長因子受容体]] (EGFR) |
|||
|[[上皮成長因子]] (EGF) |
|||
|[[ゲフィチニブ]] |
|||
|- |
|||
| II ||[[インスリン受容体]] |
|||
|[[インスリン]] |
|||
|{{仮リンク|ケトクロミン|en|Chaetochromin|label=}} |
|||
|- |
|||
| IV ||[[血管内皮細胞増殖因子受容体]] ([[:en:VEGF receptor|VEGFR]]) |
|||
|[[血管内皮細胞増殖因子]] (VEGF) |
|||
|[[レンバチニブ]] |
|||
|} |
|||
=== 細胞質受容体 === |
|||
{{Main|{{ill2|細胞質受容体|en|Intracellular receptor}}}} |
|||
受容体は、その機構や細胞内の位置に基づいて分類することができる。細胞内LGICの4つの例を以下に示す。 |
|||
{| class="wikitable" |
|||
|- |
|||
! 受容体 |
|||
! リガンド |
|||
! イオン電流<!-- ion current --> |
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|- |
|||
| {{仮リンク|環状ヌクレオチド感受性チャネル|en|Cyclic nucleotide-gated ion channel|label=}} |
|||
| [[:en:Cyclic guanosine monophosphate|cGMP]] ([[:en:Visual system|vision]]), [[:en:Cyclic adenosine monophosphate|cAMP]] and [[:en:Cyclic guanosine triphosphate|cGTP]] ([[:en:Olfaction#Main olfactory system|olfaction]]) |
|||
[[環状グアノシン一リン酸]](cGMP) ([[視覚|視覚系]]), [[環状アデノシン一リン酸]](aAMP), [[グアノシン三リン酸]](cGTP) ([[嗅覚|嗅覚系]]) |
|||
| Na<sup>+</sup>, K<sup>+</sup> <ref name=boron/> |
|||
|- |
|||
| [[イノシトールトリスリン酸受容体]] (IP<sub>3</sub> 受容体) |
|||
| [[イノシトールトリスリン酸]] (IP<sub>3</sub>) |
|||
| Ca<sup>2+</sup> <ref name=boron/> |
|||
|- |
|||
| 細胞内[[アデノシン三リン酸|ATP]]受容体 |
|||
| [[アデノシン三リン酸|ATP]] (閉チャネル<!-- closes channel -->)<ref name="boron" /> |
|||
| K<sup>+</sup> <ref name=boron/> |
|||
|- |
|||
| [[リアノジン受容体]] |
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| Ca<sup>2+</sup> || Ca<sup>2+</sup> <ref name=boron/> |
|||
|} |
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== 遺伝性疾患における役割 == |
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=== 遺伝性疾患において === |
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多くの[[遺伝子疾患|遺伝性疾患]]では、受容体遺伝子の遺伝的欠陥が関与している。受容体が機能していないのか、ホルモンの産生が低下しているのか、判断するのが困難なことが多い。そのため、[[ホルモン]]のレベルが低下しているように見えるが、実際に受容体がホルモンに十分に反応していない[[内分泌疾患]]の「偽性-低下症」群<!-- "pseudo-hypo-" group -->を引き起こす。 |
|||
=== 免疫系内において === |
|||
{{Main article|{{ill2|免疫受容体|en|Immune receptor}}}} |
|||
[[免疫系]]における主な受容体は、[[パターン認識受容体]](PRR)、[[トール様受容体]](TLR)、{{仮リンク|キラー活性化受容体|en|Killer activation receptor|label=キラー活性化}}および[[ナチュラルキラー細胞#抑制性受容体|キラー阻害受容体]](KARおよびKIR)、{{仮リンク|補体受容体|en|Complement receptor|label=}}、[[Fc受容体]]、[[B細胞受容体]]および[[T細胞受容体]]である<ref name="isbn0-7817-9543-5">{{cite book |vauthors=Waltenbaugh C, Doan T, Melvold R, Viselli S | title = Immunology |url=https://archive.org/details/lippincottsillus00doan |url-access=limited | publisher = Wolters Kluwer Health/Lippincott Williams & Wilkins | location = Philadelphia | year = 2008 | page = [https://archive.org/details/lippincottsillus00doan/page/n354 20] | isbn = 978-0-7817-9543-2 }}</ref>。 |
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== 注釈 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
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{{reflist|group=nb}} |
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== 参考文献 == |
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{{Reflist|colwidth=35em}} |
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== 関連項目 == |
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* {{仮リンク|結合親和性データベース|en|Ki Database|label=}} |
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* [[リガンド依存性イオンチャネル]] |
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* {{仮リンク|神経精神薬理学|en|Neuropsychopharmacology|label=}} |
|||
* リガンド受容体阻害のための[[シルト回帰]] |
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* [[シグナル伝達]] |
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* {{仮リンク|幹細胞マーカー|en|Stem cell marker|label=}} |
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* {{Ill2|MeSHコードの一覧 (D12.776)|en|List of MeSH codes (D12.776)}} |
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* {{仮リンク|受容体説|en|Receptor theory|label=}} |
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== 外部リンク == |
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* {{脳科学辞典|核内受容体}} |
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* {{脳科学辞典|グリシン受容体|nolink=yes}} |
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* {{脳科学辞典|GABA受容体|nolink=yes}} |
|||
* [http://www.guidetopharmacology.org/ IUPHAR GPCRデータベースとイオンチャネル概要] {{En icon}} |
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* {{MeshName|Cell+surface+receptors}} |
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<!-- |
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{{Cell_signaling}} |
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{{Cell surface receptors}} |
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{{Immune receptors}} |
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{{Transcription factors|g2}} |
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{{genarch}} |
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--> |
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{{DEFAULTSORT:しゆようたい}} |
{{DEFAULTSORT:しゆようたい}} |
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[[Category:分子生物学]] |
[[Category:分子生物学]] |
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[[Category:細胞生物学]] |
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[[Category:細胞シグナリング]] |
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[[Category:生化学]] |
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[[Category:生理学]] |
[[Category:生理学]] |
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[[Category:感覚]] |
2022年10月12日 (水) 20:39時点における版
生化学および薬理学において、受容体(じゅようたい、英: receptor、レセプター、リセプター)は、生命システムに組み込まれる可能性のあるシグナル(信号)を受信し伝達する、タンパク質からなる化学構造体である[1]。これらのシグナルは通常は化学伝達物質であり[nb 1]、受容体に結合して、何らかの形の細胞/組織応答(例: 細胞の電気的活性の変化など)を引き起こす。受容体の働きは、シグナルの中継、増幅、統合の3つに大きく分類される[2]。シグナルを先方に中継し増幅することで、一つのリガンドの効果を増大させ統合することにより、シグナルを別の生化学的経路に組み込み、その経路もまた高度に専門化することを可能とする[2]。
受容体タンパク質は、その位置によって分類することができる。膜貫通型受容体(transmembrane receptors)には、リガンド依存性イオンチャネル受容体(イオンチャネル型受容体)、Gタンパク質共役ホルモン受容体(代謝型受容体)、酵素結合型ホルモン受容体などがある[1]。細胞内受容体(intracellular receptor)とは、細胞内に存在する受容体のことで、細胞質受容体と核内受容体に分けられる[1]。受容体に結合する分子はリガンド(ligand)と呼ばれ、たとえばタンパク質やペプチド(短いタンパク質)、または神経伝達物質、ホルモン、医薬品、毒素、カルシウムイオン、ウイルスや微生物の外部の一部などの別の小分子である。特定の受容体に結合する内因性の産生物質を内因性リガンドと呼ぶ。たとえば、ニコチン性アセチルコリン受容体の内因性リガンドはアセチルコリンであり、この受容体はニコチンによって活性化され[3][4]、クラーレ(毒物の一種)によって阻害されることもある[5]。それぞれの種類の受容体は、シグナルに対応する固有の細胞生化学的経路に接続している。ほとんどの細胞では多数の受容体が見られるが、それぞれの受容体は特定の構造をもつリガンドとしか結合しない。これは、錠前が特定の形状の鍵のみしか受け入れないことに例えられる。リガンドが対応する受容体に結合すると、受容体に関連する生化学的経路を活性化あるいは阻害する。
構造
受容体の構造は非常に多様であり、とりわけ次の主要な分類がある。
- タイプ1 イオンチャネル型受容体 (リガンド依存性イオンチャネル)
- これらの受容体は通常、アセチルコリン(ニコチン様)やGABAなどの高速神経伝達物質の標的であり、これらの受容体の活性化により、膜を横切るイオンの動きに変化が生じる。これらの受容体は、各サブユニットが、細胞外リガンド結合ドメインと4つの膜貫通αヘリックスを含む膜貫通ドメインからなる、ヘテロマー構造を持つ。リガンド結合空洞はサブユニット間の界面に位置している。
- タイプ2 Gタンパク質共役受容体
- これは受容体の中で最大のファミリーで、いろいろのホルモンや、ドーパミン、代謝型グルタミン酸などの緩徐性伝達物質の受容体を含んでいる。これらの受容体は、7つの膜貫通αヘリックスから構成されている。αヘリックスをつなぐループは、細胞外ドメインと細胞内ドメインを形成している。大きなペプチドリガンドの結合部位は、通常、細胞外ドメインに位置し、小さな非ペプチドリガンドの結合部位は、7つのαヘリックスと1つの細胞外ループの間に位置することが多い[6]。前述の受容体は、Gタンパク質を介して異なる細胞内効果器系と結合される[7]。Gタンパク質は、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)の3つのサブユニットからなるヘテロ三量体である。不活性状態では、3つのサブユニットが会合し、αサブユニットがグアノシン二リン酸(GDP)に結合する[8]。Gタンパク質が活性化されると構造変化が起こり、GDPをグアノシン三リン酸(GTP)に交換する。αサブユニットにGTPが結合すると、βサブユニットとγサブユニットが解離する[9]。さらに、α、β、γの3つのサブユニットには、一次配列に基づく4つの主要なクラスがある。これらにはGs, Gi, Gq, G12が含まれる[10]。
- タイプ3 キナーゼ結合型受容体および関連受容体(「受容体型チロシンキナーゼ」および「酵素結合型受容体」も参照)
- これらはリガンド結合部位を含む細胞外ドメインと、酵素機能を持つ細胞内ドメインが、1つの膜貫通αヘリックスで連結して構成されることが多い。その一例はインスリン受容体である。
- タイプ4 核内受容体
- 核内受容体と呼ばれているが、実際には細胞質に存在し、リガンドと結合した後に核内に移動する。それらはC末端のリガンド結合領域、コアDNA結合ドメイン(DBD)、およびAF1(activation function 1)領域を含むN末端ドメインで構成されている。コア領域には2本のジンクフィンガーを有し、この受容体に特異的なDNA配列を認識する役割を担う。N末端は、リガンドに依存しない方法で他の細胞内転写因子と相互作用し、これらの相互作用に応じて、受容体の結合/活性を変化させることができる。そのような受容体の例としてステロイド受容体や甲状腺ホルモン受容体がある[11]。
膜受容体は、溶媒、界面活性剤、および(または)親和性精製を用いる複雑な抽出手順により、細胞膜から単離されることがある。
受容体の構造や作用の研究は、X線結晶構造解析、NMR、円偏光二色性、二面偏波式干渉法などの生物物理学的手法で行うことができる。受容体の作用機序を理解するために、受容体の動的挙動のコンピュータシミュレーションも行われている。
結合と活性化
リガンド結合は平衡過程である。リガンドLと受容体Rについて、リガンドは受容体に結合し、質量作用の法則に従って次式のように解離する。化学種を囲む括弧は、その濃度を表す。
分子が受容体にどれだけよく適合するかを示す一つの指標は結合親和性で、これは解離定数 Kd に反比例の関係がある。良好な適合性は、高い親和性と低い Kd に対応する。最終的な生物学的反応(例: セカンドメッセンジャーカスケード、あるいは筋収縮)は、相当数の受容体が活性化された後にのみ達成される。
親和性(affinity)とは、リガンドがその受容体に結合する傾向の尺度である。効力(efficacy)とは、結合したリガンドがその受容体を活性化するかどうかの尺度である。
アゴニスト対アンタゴニスト
受容体に結合するすべてのリガンドが、その受容体を活性化するわけではない。次のようなリガンドのクラスが存在する。
- (完全)アゴニスト(作用薬または作動薬)は、受容体を活性化し、強い生物学的反応をもたらすことができる。ある受容体に対して最大の効力を持つ天然の内因性リガンドは、定義上、完全アゴニスト(100%の効力)である。
- 部分アゴニスト (英語版) は、最大限に結合しても最大の効力で受容体を活性化しないので、完全アゴニストと比べて部分反応を起こす(効力は0~100%の間)。
- アンタゴニスト(拮抗薬)は、受容体に結合するが、それを活性化しない。その結果、受容体が遮断され、アゴニストや逆アゴニスト(次項)の結合が阻害される。受容体アンタゴニストには、アゴニストと受容体を奪い合う競合型(可逆型)と、受容体と共有結合(または極めて高い親和性の非共有結合)を形成して完全に遮断する不可逆型がある。プロトンポンプ阻害薬オメプラゾールは、不可逆型アンタゴニストの一例である。不可逆型アンタゴニストの効力は、新しい受容体の合成によってのみ回復できる。
- 逆アゴニスト(逆作動薬)は、受容体の構成的活性(後述)を阻害することにより、受容体の活性を低下させる(負の効力)。
- アロステリックモジュレーター(アロステリック調節因子): これらは、受容体のアゴニスト結合部位に結合するのではなく、特定のアロステリック結合部位に結合し、それを通じてアゴニストの作用を変化させる。たとえば、ベンゾジアゼピン(BZD)はGABAA受容体のBZD部位に結合し、内因性GABAの作用を増強する。
受容体のアゴニズムとアンタゴニズムという概念は、あくまでも受容体とリガンドの間の相互作用に言及するものであり、それらの生物学的効果を言及するものではない。
構成的活性
リガンドと結合が存在しなくても生物学的反応を起こすことができる受容体は、「構成的活性」(constitutive activity)を示すと言われている[12]。受容体の構成的活性は、逆アゴニストによって阻害されることがある。抗肥満薬のリモナバントとタラナバントは、カンナビノイドCB1受容体の逆アゴニストであり、有意な体重減少をもたらしたにもかかわらず、カンナビノイド受容体の構成的活性の阻害に関連すると考えられるうつ病や不安症が好発するために、両方とも中止された。
GABAA受容体は構成的活性を持ち、アゴニストの非存在下で、ある程度の基底電流を伝導する。このため、β-カルボリンは逆アゴニストとして作用し、電流を基底レベル以下に減らすことができる。
思春期早発症(黄体形成ホルモン受容体の変異による)や甲状腺機能亢進症(甲状腺刺激ホルモン受容体の変異による)など、遺伝性疾患の背景には、構成的活性の増加をもたらす受容体の変異がある。
薬物-受容体相互作用の理論
占拠
薬理学における受容体理論の初期形成では、薬物の効果は占拠された受容体の数に正比例するとされていた[13]。そのうえ、薬物の効果は薬物-受容体複合体が解離すると消失するというものであった。
Ariëns (英語版) と Stephenson は、受容体に結合したリガンドの作用を説明するために、「親和性」と「効力」という用語を導入した[14][15]。
- 親和性(affinity): 薬物が受容体と結合して薬物-受容体複合体を形成する能力。
- 効力 (英語版) (efficacy): 薬物-受容体複合体が反応を開始する能力。固有活性(intrinsic activity)とも。
速度
一般に受け入れられた占拠理論(occupation theory)とは対照的に、速度理論(rate theory)では、受容体の活性化は単位時間あたりにおける薬物と受容体との遭遇の総数に正比例すると提案する。薬理活性は、占拠された受容体の数ではなく、解離と会合の速度に正比例する[16]。
- アゴニスト: 速い結合と速い解離を持つ薬物。
- 部分アゴニスト: 中間的会合と中間的解離を持つ薬物。
- アンタゴニスト: 結合が速く解離が遅い薬物。
誘導適合
薬物が受容体に近づくと、受容体はその結合部位のコンホメーションを変化させて、薬物-受容体複合体を形成する。
スペア受容体
ある種の受容体系(たとえば、平滑筋の神経筋接合部におけるアセチルコリン)では、アゴニストは、非常に低いレベルの受容体占拠率(1%未満)で最大の反応を引き出すことができる。このように、その系には予備の受容体、または受容体予備軍が存在する。このような配置により、神経伝達物質の生産と放出の経済性が生み出される[11]。
受容体調節
細胞は、異なる分子に対する感受性を変化させるために、特定のホルモンや神経伝達物質に対する受容体の数を増やす(アップレギュレーション)または減らす(ダウンレギュレーション)ことができる。これは局所的に作用するフィードバック機構である。
- アゴニストの結合が、受容体を活性化しないような、受容体のコンホメーション変化。これはイオンチャネル受容体で見られる。
- 受容体エフェクター分子の解放は、Gタンパク質共役受容体で見られる。
- 受容体の隔離(内在化)[17]。たとえば、ホルモン受容体の場合。
事例とリガンド
受容体のリガンドは、その受容体と同様に多様である。Gタンパク質共役受容体(GPCR、7TM)は特に広大なファミリーであり、少なくとも810個のメンバーが存在する。また、少なくとも10数種類の内因性リガンドに対するリガンド依存性イオンチャネル(LGIC)も存在し、さまざまなサブユニットによってさらに多くの受容体も構成可能である。リガンドと受容体の一般的な例としては、次のものが挙げられる[18]。
イオンチャネルおよびGタンパク質共役受容体
イオンチャネル内蔵型(LGIC)および代謝型(具体的にはGPCR)の受容体の例を以下の表に示す。主な神経伝達物質はグルタミン酸およびGABAであり、その他の神経伝達物質は神経調節性である。このリストは決して網羅的なものではない。
内因性リガンド | リガンド依存性イオンチャネル (LGIC) | Gタンパク質共役受容体 (GPCR) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
受容体 | イオン電流[nb 2] | 外因性リガンド | 受容体 | Gタンパク質 | 外因性リガンド | |
グルタミン酸 | イオンチャネル型グルタミン酸受容体 (iGluR): NMDA, AMPA, カイニン酸受容体 | Na+, K+, Ca2+ [18] | ケタミン | グルタミン酸受容体: mGluRs | Gq or Gi/o | - |
GABA | GABAA受容体
(GABAA-rhoを含む) |
Cl− > HCO−3 [18] | ベンゾジアゼピン | GABAB受容体 | Gi/o | バクロフェン |
アセチルコリン | ニコチン性アセチルコリン受容体 (nAChR) | Na+, K+, Ca2+[18] | ニコチン | ムスカリン性アセチルコリン受容体 (mAChR) | Gq or Gi | ムスカリン |
グリシン | グリシン受容体(GlyR) | Cl− > HCO−3 [18] | ストリキニーネ | - | - | - |
セロトニン | 5-HT3受容体 | Na+, K+ [18] | セレウリド | 5-HT1-2 or 4-7 | Gs, Gi/o or Gq | - |
ATP | P2X受容体 | Ca2+, Na+, Mg2+ [18] | BzATP[要出典] | P2Y受容体 | Gs, Gi/o or Gq | - |
ドーパミン | No ion channels[要出典] | - | - | ドーパミン受容体 | Gs or Gi/o | - |
酵素結合型受容体
酵素結合型受容体には、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)、骨形成タンパク質のようなセリン/スレオニン特異的タンパク質キナーゼ、心房性ナトリウム利尿因子受容体のようなグアニル酸シクラーゼがある。RTKのうち、20のクラスが特定されており、58種類のRTKがメンバーとなっている。次にいくつかの例を示す。
RTKクラス/
受容体ファミリー |
メンバー | 内因性リガンド | 外因性リガンド |
---|---|---|---|
I | 上皮成長因子受容体 (EGFR) | 上皮成長因子 (EGF) | ゲフィチニブ |
II | インスリン受容体 | インスリン | ケトクロミン |
IV | 血管内皮細胞増殖因子受容体 (VEGFR) | 血管内皮細胞増殖因子 (VEGF) | レンバチニブ |
細胞質受容体
受容体は、その機構や細胞内の位置に基づいて分類することができる。細胞内LGICの4つの例を以下に示す。
受容体 | リガンド | イオン電流 |
---|---|---|
環状ヌクレオチド感受性チャネル | cGMP (vision), cAMP and cGTP (olfaction)
環状グアノシン一リン酸(cGMP) (視覚系), 環状アデノシン一リン酸(aAMP), グアノシン三リン酸(cGTP) (嗅覚系) |
Na+, K+ [18] |
イノシトールトリスリン酸受容体 (IP3 受容体) | イノシトールトリスリン酸 (IP3) | Ca2+ [18] |
細胞内ATP受容体 | ATP (閉チャネル)[18] | K+ [18] |
リアノジン受容体 | Ca2+ | Ca2+ [18] |
遺伝性疾患における役割
遺伝性疾患において
多くの遺伝性疾患では、受容体遺伝子の遺伝的欠陥が関与している。受容体が機能していないのか、ホルモンの産生が低下しているのか、判断するのが困難なことが多い。そのため、ホルモンのレベルが低下しているように見えるが、実際に受容体がホルモンに十分に反応していない内分泌疾患の「偽性-低下症」群を引き起こす。
免疫系内において
免疫系における主な受容体は、パターン認識受容体(PRR)、トール様受容体(TLR)、キラー活性化およびキラー阻害受容体(KARおよびKIR)、補体受容体、Fc受容体、B細胞受容体およびT細胞受容体である[19]。
注釈
参考文献
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関連項目
- 結合親和性データベース
- リガンド依存性イオンチャネル
- 神経精神薬理学
- リガンド受容体阻害のためのシルト回帰
- シグナル伝達
- 幹細胞マーカー
- MeSHコードの一覧 (D12.776)
- 受容体説
外部リンク
- 核内受容体 - 脳科学辞典
- グリシン受容体 - 脳科学辞典
- GABA受容体 - 脳科学辞典
- IUPHAR GPCRデータベースとイオンチャネル概要
- Cell surface receptors - MeSH・アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス