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「環 (天体)」の版間の差分

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[[File:PIA07712 - F ring animation videoquality 6 framerate 5.ogv|thumb|upright=1.5|衛星[[プロメテウス (衛星)|プロメテウス]](右)と[[パンドラ (衛星)|パンドラ]]は、それぞれ[[土星]]の[[土星の環#F環|F環]]のすぐ内側と外側を公転しているが、プロメテウスのみが[[羊飼い衛星]]として機能していると考えられている。]]
[[Image:Anelli_di_Saturno_a_colori_naturali.jpg|thumb|300px|2004年に[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ探査機]]が撮影した[[土星の環]]]]
'''環'''(わ)とは、[[天体]]を周回する[[宇宙塵|塵]]や[[ムーンレット|小衛星]]などの固体物質で構成されている、巨大惑星の周囲の衛星系の一般的な構成要素である。
'''環'''(わ、{{lang-en-short|planetary ring}})は、[[惑星]]の周囲を[[公転]]する塵やその他の小さな粒子が平らな円盤状の領域に分布しているリング状の構造である。最も壮大で有名な惑星の環は[[土星の環]]であるが、[[太陽系]]に4つ存在する巨大ガス惑星、すなわち[[木星]]・[[土星]]・[[天王星]]・[[海王星]]は全て環を持っている。


[[太陽系]]で最も有名な惑星の環は[[土星]]の周囲に存在する環であるが、他の3つの巨大惑星([[木星]]、[[天王星]]、[[海王星]])にも環が存在する。最近の証拠は、[[小惑星]]、[[衛星]]、[[褐色矮星]]、さらには惑星間空間を含む、他の種類の天体の周囲にも環が存在する可能性があることを示唆している。
また[[小惑星]]のうち[[カリクロー (小惑星)|カリクロー]]にも環があることが、カリクローによる恒星の[[掩蔽]]の観測より確認されている。宇宙探査機[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]]の撮影結果から、土星の第5衛星[[レア (衛星)|レア]]にも環がある可能性があるとみられていたが、撮影結果の精査の結果、結局環はなかったとされている。


== 概説 ==
== 惑星の環 ==
[[File:Saturn in natural colors (captured by the Hubble Space Telescope).jpg|thumb|upright=1.5|土星の周囲に存在する環は、氷と塵の塊で構成されている。土星の上の小さな黒い点は、土星の衛星[[エンケラドゥス (衛星)|エンケラドゥス]]の影である。]]
惑星の環の起源は正確には分かっていないが、一般に環は不安定で、数千万年から数億年の間には散逸するものと考えられている。従って、現在見られる環は比較的新しい起源を持つはずであり、おそらくは[[衛星]]が大衝突を受けたり、あるいは惑星の[[ロッシュ限界]]の内側に入った衛星が[[重力]]によって破壊された破片からできていると見られている。
環が形成される理由として3つの方法が考えられている。それらは惑星の[[ロッシュ限界]]内にあり、合体して衛星を形成できなかった[[原始惑星系円盤]]の物質から形成される方法、他の衛星によって破壊された衛星の破片から形成される方法、そして大きな衝突、または惑星のロッシュ限界内を通過したときに[[潮汐力]]の[[応力]]によって破壊された衛星の破片から形成される方法である。ほとんどの環は不安定で、数千万年から数億年かけて消失すると考えられていたが、土星の輪はかなり古く、太陽系の初期にさかのぼる可能性があるようである<ref>{{cite web|date=December 12, 2007|title=Saturn's Rings May Be Old Timers|publisher=NASA (News Release 2007-149)|url=http://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/media/cassini20071212.html|access-date=2008-04-11|url-status=live|archive-url=https://web.archive.org/web/20080415131747/http://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/media/cassini20071212.html|archive-date=April 15, 2008}}</ref>。


より暗い惑星環は、惑星の周囲を[[公転]]する衛星との隕石の衝突の結果として、または土星のE環の場合は、[[氷の火山|氷火山]]物質の噴出物として形成される可能性がある<ref name=Spahn>{{cite journal | last1 = Spahn | first1 = F. | title = Cassini Dust Measurements at Enceladus and Implications for the Origin of the E Ring | journal = Science | volume = 311 | issue = 5766 | pages = 1416–8 | doi = 10.1126/science.1121375 | pmid = 16527969 | bibcode = 2006Sci...311.1416S | display-authors = 1 | last2 = Schmidt | first2 = J | last3 = Albers | first3 = N | last4 = Hörning | first4 = M | last5 = Makuch | first5 = M | last6 = Seiss | first6 = M | last7 = Kempf | first7 = S | last8 = Srama | first8 = R | last9 = Dikarev | first9 = V | year = 2006 | url = http://www.igpp.ucla.edu/public/mkivelso/refs/PUBLICATIONS/1121375Spahn.pdf | url-status = live | archive-url = https://web.archive.org/web/20170809130224/http://www.igpp.ucla.edu/public/mkivelso/refs/PUBLICATIONS/1121375Spahn.pdf | archive-date = 2017-08-09 | citeseerx = 10.1.1.466.6748 | s2cid = 33554377 }}</ref><ref name="Porco Helfenstein et al. 2006">{{cite journal| doi = 10.1126/science.1123013| last1 = Porco| first1 = C. C.| author-link1 = Carolyn Porco| last2 = Helfenstein| first2 = P.| last3 = Thomas| first3 = P. C.| last4 = Ingersoll| first4 = A. P.| last5 = Wisdom| first5 = J.| last6 = West| first6 = R.| last7 = Neukum| first7 = G.| last8 = Denk| first8 = T.| last9 = Wagner| first9 = R.| date = 10 March 2006| title = Cassini Observes the Active South Pole of Enceladus| journal = Science| volume = 311| issue = 5766| pages = 1393–1401| pmid = 16527964| bibcode = 2006Sci...311.1393P | s2cid = 6976648| url = https://authors.library.caltech.edu/36593/7/PorcoCC.SOM.pdf}}</ref>。
環の粒子の組成は様々で、[[ケイ酸塩]]かもしくは氷を含む塵であると考えられる。また、もっと大きな岩石や巨石が存在する可能性もある。


環の粒子の組成は様々で、[[ケイ酸塩]]かもしくは氷を含む塵であると考えられる。また、もっと大きな岩石や巨石が存在する可能性もあり、2007年には、土星の環の中で[[径|直径]]数百メートルの8つのムーンレット(小衛星)からの潮汐効果が検出された。環の粒子の最大サイズは、それを構成する材料の強度、密度、およびその高度での潮汐力によって決まる。潮汐力は、環の半径内の平均密度、または惑星の質量を環の半径の3乗で割った値に比例する。また、環の[[公転周期]]の2乗に反比例する。
環には'''[[羊飼い衛星]]''' (shepherd moon) と呼ばれる小さな衛星が環の外縁や空隙の中に存在する場合がある。羊飼い衛星の重力は環の縁をくっきりと保つ役割を果たす。羊飼い衛星の軌道に近づく物質は環の本体に弾き返されるか、あるいは系から放り出されたり、衛星自身に降着したりする。


環には'''[[羊飼い衛星]]'''(shepherd moon)と呼ばれる小さな衛星が環の外縁や空隙の中に存在する場合がある。羊飼い衛星の重力は環の縁をくっきりと保つ役割を果たす。羊飼い衛星の軌道に近づく物質は環の本体に弾き返されるか、あるいは系から放り出されたり、衛星自身に降着したりする。
[[ファイル:Neptune ring arcs.jpg|thumb|300px|海王星の環のうち、アダムズ環にある明るい部分がアークと呼ばれるもの。左からフラテルニテ、エガリテ、リベルテと呼ばれる。内側はルヴェリエ環]]
木星の衛星のうち最も内側にある[[メティス (衛星)|メティス]]や[[アドラステア (衛星)|アドラステア]]といった小さな衛星は、[[木星の環]]やロッシュ限界の内側を公転している。木星の環は、木星の[[潮汐力]]によってこれらの衛星から放出された物質から構成されている可能性がある。またこれらの物質放出は環の物質がこれらの衛星の表面に衝突することでさらに促進されているとも考えられる。ロッシュ限界の内側にある衛星には[[自己重力]]よりも強い潮汐力が働くため、衛星本体は衛星の構成物質の力学的な強度のみで一体に保たれている。従って衛星表面に弱く積もっているだけの物質は簡単に引き剥がされて環の一部となる。


また、[[火星]]の衛星である[[フォボス (衛星)|フォボス]]は、約5000万年後に破壊され、環を形成すると予測されている。その低軌道は、火星の[[自転周期]]よりも短い公転周期を持ち、[[潮汐加速|潮汐減速]]により崩壊するとされる。
[[土星の環]]のうち、B環には[[土星の環#スポーク|スポーク]]と呼ばれる放射状の暗い部分が観測されている。これは環を構成する粒子と土星の[[磁場]]の相互作用によって発生したという説があるが、はっきりとは判っていない。


=== 木星 ===
[[海王星の環]]は非常に変わっていて、最初の地球からの観測では切れ切れの円弧(「リング・アーク」または単に「アーク」)からできていると見られていたが、[[ボイジャー2号]]が撮影した画像によって、所々に明るいこぶを持つ完全な環であることが明らかになった。これについては、羊飼い衛星である[[ガラテア (衛星)|ガラテア]]や、未発見の別の羊飼い衛星からの重力の影響によってこのこぶ(リング・アーク)が作られていると考えられている。
{{main|木星の環}}
木星の環は、1979年に[[ボイジャー1号]]によって最初に観測されたときに3番目に発見され<ref name=":0">{{Cite journal|last1=Smith|first1=Bradford A.|last2=Soderblom|first2=Laurence A.|last3=Johnson|first3=Torrence V.|last4=Ingersoll|first4=Andrew P.|last5=Collins|first5=Stewart A.|last6=Shoemaker|first6=Eugene M.|last7=Hunt|first7=G. E.|last8=Masursky|first8=Harold|last9=Carr|first9=Michael H.|date=1979-06-01|title=The Jupiter System Through the Eyes of Voyager 1|journal=Science|language=en|volume=204|issue=4396|pages=951–972|doi=10.1126/science.204.4396.951|issn=0036-8075|pmid=17800430|bibcode=1979Sci...204..951S|s2cid=33147728}}</ref>、1990年代に[[ガリレオ (探査機)|ガリレオ]]のオービターによってより詳細に観測された<ref>{{Cite journal|last1=Ockert-Bell|first1=Maureen E.|last2=Burns|first2=Joseph A.|last3=Daubar|first3=Ingrid J.|last4=Thomas|first4=Peter C.|last5=Veverka|first5=Joseph|last6=Belton|first6=M. J. S.|last7=Klaasen|first7=Kenneth P.|date=1999-04-01|title=The Structure of Jupiter's Ring System as Revealed by the Galileo Imaging Experiment|journal=Icarus|volume=138|issue=2|pages=188–213|doi=10.1006/icar.1998.6072|bibcode=1999Icar..138..188O|doi-access=free}}</ref>。木星の環は「ハロ環」として知られる厚い[[トーラス]]、薄くて比較的明るい「主環」、2つの希薄な「ゴサマー環」の4つの主要な環からなり<ref>{{Cite journal|last=Esposito|first=Larry W.|date=2002-01-01|title=Planetary rings|journal=Reports on Progress in Physics|language=en|volume=65|issue=12|pages=1741–1783|doi=10.1088/0034-4885/65/12/201|issn=0034-4885|bibcode = 2002RPPh...65.1741E |s2cid=250909885 }}</ref>、これらは主に塵で構成されている<ref name=":0" /><ref>{{Cite journal|last1=Showalter|first1=Mark R.|last2=Burns|first2=Joseph A.|last3=Cuzzi|first3=Jeffrey N.|last4=Pollack|first4=James B.|date=1987-03-01|title=Jupiter's ring system: New results on structure and particle properties|journal=Icarus|volume=69|issue=3|pages=458–498|doi=10.1016/0019-1035(87)90018-2|bibcode=1987Icar...69..458S}}</ref>。


== 関連項目 ==
=== 土星 ===
[[Image:Anelli_di_Saturno_a_colori_naturali.jpg|thumb|300px|2004年に[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]]が撮影した土星の環]]
* [[木星の環]]
* [[土星の環]]
{{main|土星の環}}
土星の環は、太陽系の惑星の中で最も巨大な環であるため、かなり以前から存在が知られていた。[[ガリレオ・ガリレイ]]は1610年に最初に土星の環を観測したが、1655年に[[クリスティアーン・ホイヘンス]]が観測するまでそれらは土星の周囲の円盤として正確に記述されていなかった<ref>{{Cite web|url=http://www.solarviews.com/eng/saturnbg.htm|title=Historical Background of Saturn's Rings|website=www.solarviews.com|access-date=2016-06-15|url-status=live|archive-url=https://web.archive.org/web/20120510030028/http://solarviews.com/eng/saturnbg.htm|archive-date=2012-05-10}}</ref>。それらは大部分が[[水]]の[[氷]]と微量の[[岩石]]で構成されており、粒子のサイズは[[マイクロメートル]]単位のものから[[メートル]]単位のものまでさまざまである<ref>{{Cite web|url=http://www.ciclops.org/sci/common_questions.php#ring|title=Questions about Saturn's rings|last=Porco|first=Carolyn|author-link=Carolyn Porco|website=CICLOPS web site|access-date=2012-10-05|url-status=live|archive-url=https://web.archive.org/web/20121003073842/http://www.ciclops.org/sci/common_questions.php#ring|archive-date=2012-10-03}}</ref>。
* [[天王星の環]]

* [[海王星の環]]
=== 天王星 ===
* [[カリクロー (小惑星)|カリクロー (小惑星) の環]]
{{main|天王星の環}}
* [[キロン (小惑星)|キロン (小惑星) の環]]
天王星の環は、土星の広大で複雑なものと、木星と海王星のより単純なものの中間にある。1977年に[[ジェームズ・L・エリオット]]、Edward W. Dunham、Jessica Minkによって発見された<ref>{{Cite journal|last1=Elliot|first1=J. L.|last2=Dunham|first2=E.|last3=Mink|first3=D.|date=1977-05-26|title=The rings of Uranus|journal=Nature|language=en|volume=267|issue=5609|pages=328–330|doi=10.1038/267328a0|bibcode=1977Natur.267..328E|s2cid=4194104}}</ref>。それから2005年までの間に、[[ボイジャー2号]]<ref>{{Cite journal|last1=Smith|first1=B. A.|last2=Soderblom|first2=L. A.|last3=Beebe|first3=R.|last4=Bliss|first4=D.|last5=Boyce|first5=J. M.|last6=Brahic|first6=A.|last7=Briggs|first7=G. A.|last8=Brown|first8=R. H.|last9=Collins|first9=S. A.|date=1986-07-04|title=Voyager 2 in the Uranian System: Imaging Science Results|journal=Science|language=en|volume=233|issue=4759|pages=43–64|doi=10.1126/science.233.4759.43|issn=0036-8075|pmid=17812889|bibcode=1986Sci...233...43S|s2cid=5895824|url=https://zenodo.org/record/1230972}}</ref>と[[ハッブル宇宙望遠鏡]]<ref>{{Cite journal|last1=Showalter|first1=Mark R.|last2=Lissauer|first2=Jack J.|date=2006-02-17|title=The Second Ring-Moon System of Uranus: Discovery and Dynamics|journal=Science|language=en|volume=311|issue=5763|pages=973–977|doi=10.1126/science.1122882|issn=0036-8075|pmid=16373533|bibcode=2006Sci...311..973S|s2cid=13240973}}</ref>による観測で、合計13個の環が発見された。そのほとんどは不透明で、幅が数キロメートルしかない。それらは暗く、水の氷と放射線によって生成された有機化合物で構成されている可能性がある。塵が比較的少ないのは、天王星の拡張された[[外気圏]]-コロナからの空力抵抗によるものである。
* [[ハウメアの環|ハウメア (準惑星) の環]]

=== 海王星 ===
{{main|海王星の環}}
海王星の環は5つの主要な環で構成されており、最も密集した状態では、土星の環の低密度領域に匹敵する。しかし、それらは薄く塵が多いため、木星の環にはるかに似ている。環を構成する非常に暗い物質は、天王星の環のように、放射線によって生成された有機化合物である可能性がある<ref name=":1">{{Cite journal|last1=Smith|first1=B. A.|last2=Soderblom|first2=L. A.|last3=Banfield|first3=D.|last4=Barnet|first4=C|last5=Basilevsky|first5=A. T.|last6=Beebe|first6=R. F.|last7=Bollinger|first7=K.|last8=Boyce|first8=J. M.|last9=Brahic|first9=A.|date=1989-12-15|title=Voyager 2 at Neptune: Imaging Science Results|journal=Science|language=en|volume=246|issue=4936|pages=1422–1449|doi=10.1126/science.246.4936.1422|issn=0036-8075|pmid=17755997|bibcode=1989Sci...246.1422S|s2cid=45403579|url=https://zenodo.org/record/1230992}}</ref>。環の20%~70%は塵で、これは比較的高い割合である。環は、1989年にボイジャー2号によって決定的に発見されるまで、何十年も前から観測されていた。

== 準惑星・小惑星・衛星の環 ==
2008年の報告<ref>{{cite web |url=http://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/media/rhea20080306.html |title=NASA - Saturn's Moon Rhea Also May Have Rings |access-date=2010-09-16 |url-status=live |archive-url=https://web.archive.org/web/20121022041030/http://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/media/rhea20080306.html |archive-date=2012-10-22 }} NASA&nbsp;– Saturn's Moon Rhea Also May Have Rings</ref><ref name="Jones_2008">
{{cite journal
| last = Jones
| first = G. H.
|display-authors=etal
| title = The Dust Halo of Saturn's Largest Icy Moon, Rhea
| journal = Science
| volume = 319
| issue = 5868
| pages = 1380–1384
| date = 2008-03-07
| doi = 10.1126/science.1151524
| pmid = 18323452 |bibcode = 2008Sci...319.1380J | s2cid = 206509814
}}</ref><ref name="LakdawallaE">{{cite web|last= Lakdawalla|first= E.|title= A Ringed Moon of Saturn? ''Cassini'' Discovers Possible Rings at Rhea|work= The Planetary Society web site|publisher = [[Planetary Society]]|date= 2008-03-06|url= http://planetary.org/news/2008/0306_A_Ringed_Moon_of_Saturn_Cassini.html|access-date = 2008-03-09|url-status= live|archive-url= https://web.archive.org/web/20080626005236/http://planetary.org/news/2008/0306_A_Ringed_Moon_of_Saturn_Cassini.html|archive-date = 2008-06-26}}</ref>では、土星の衛星[[レア (衛星)|レア]]には土星の環とは別の薄い環が存在する可能性が示唆されており、環を持つことが知られている唯一の衛星である。しかし、2010年に発表されたその後の研究では、[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]]によるレアの観測で環の予測された特性と一致していないことが明らかになり、環の仮説につながった磁気効果の原因は他のメカニズムにあることが示唆された<ref>{{cite journal | first1 = Matthew S. | last1 = Tiscareno | first2 = Joseph A. | last2 = Burns | first3 = Jeffrey N. | last3 = Cuzzi | first4 = Matthew M. | last4 = Hedman | title = Cassini imaging search rules out rings around Rhea | date = 2010 | journal = Geophysical Research Letters | volume = 37 | issue = 14 | pages = L14205 | doi = 10.1029/2010GL043663 | bibcode = 2010GeoRL..3714205T |arxiv = 1008.1764 | s2cid = 59458559 }}</ref>。

一部の天文学者は、[[冥王星]]が環を持っている可能性があると理論付けていた<ref name="Steffl 2006">
{{cite journal| first1=Andrew J. |last1=Steffl| first2=S. Alan |last2=Stern| title = First Constraints on Rings in the Pluto System| journal = The Astronomical Journal| volume = 133| pages = 1485–1489| doi = 10.1086/511770| date = 2007| issue = 4| arxiv = astro-ph/0608036| bibcode = 2007AJ....133.1485S|s2cid=18360476}}</ref>。しかし、この可能性は、存在していればそのような環を検出したであろう[[ニュー・ホライズンズ]]によって除外されている。

=== カリクロー ===
{{multiple image |align=right |direction=vertical |width= |image1=Chariklo with rings eso1410b.jpg |caption1=<div align="center">カリクローと周囲の環の想像図</div> |width1=230 |image2=Chiron in Celestia.jpg |caption2=<div align="center">キロンと周囲の環の想像図</div> |width2=230 |image3=Haumea rotation with ring.gif |caption3=<div align="center">ハウメアと周囲の環の想像図</div> |width3=230 |image4=Artist impression of Quaoar and its ring ESA24681885.jpeg |caption4=<div align="center">クワオアーと周囲の環の想像図</div> |width4=230 |footer= }}
[[ケンタウルス族 (小惑星)|ケンタウルス族]]に分類されている'''[[カリクロー (小惑星)|カリクロー]]'''は、環を持つことが発見された最初の[[小惑星]]であった。2つの環が存在し、これらはおそらく衝突が原因と思われる。天文学者が2013年6月3日に南アメリカの7つの観測所から恒星[[UCAC4 248-108672]]の前を通過するカリクローを観測したときに環が発見された。観測中、食の直前と直後の恒星の明るさに2つのくぼみを発見した。このイベントは複数の場所で観測されたため、明るさの低下は実際には環によるものであるという結論が満場一致で有力な仮説である。観測により、幅{{convert|19|km|mi}}の環である可能性が高いことが明らかになった。さらに、天文学者は、破片で形成された環の中に衛星が存在している可能性があると考えている。天文学者が推測するように、この環が衝突によって形成されたものである場合、これは衛星がより小さな天体の衝突によって形成されたという考えの可能性が高まる。カリクローの環は正式に命名されていないが、発見者は、[[ブラジル]]の北端と南端近くを流れる2つの川にちなんで、OiapoqueとChuíというあだ名を付けた<ref>{{cite news|date=March 2014|title=Surprise! Asteroid Hosts A Two-Ring Circus Above Its Surface|work=Universe Today|url=http://www.universetoday.com/110720/surprise-asteroid-hosts-a-two-ring-circus-above-its-surface/#ixzz2xRlOAolr|url-status=live|archive-url=https://web.archive.org/web/20140330160108/http://www.universetoday.com/110720/surprise-asteroid-hosts-a-two-ring-circus-above-its-surface/#ixzz2xRlOAolr|archive-date=2014-03-30}}</ref>。

=== キロン ===
ケンタウルス族に分類されている'''[[キロン (小惑星)|キロン]]'''が2つの環を持っている可能性を指摘されている<ref name="Lakdawalla2015">{{cite web | last=Lakdawalla | first=E. | author-link=Emily Lakdawalla | title=A second ringed centaur? Centaurs with rings could be common | publisher=[[Planetary Society]] | date=2015-01-27 | url=http://www.planetary.org/blogs/emily-lakdawalla/2015/01271038-a-second-ringed-centaur.html | access-date=2015-01-31 | url-status=live | archive-url=https://web.archive.org/web/20150131231024/http://www.planetary.org/blogs/emily-lakdawalla/2015/01271038-a-second-ringed-centaur.html | archive-date=2015-01-31 }}</ref><ref name = "Ortiz2015">{{cite journal
| last1 = Ortiz | first1 = J.L. | last2 = Duffard | first2 = R.
| last3 = Pinilla-Alonso | first3 = N. | last4 = Alvarez-Candal | first4 = A.
| last5 = Santos-Sanz | first5 = P. | last6 = Morales | first6 = N.
| last7 = Fernández-Valenzuela | first7 = E. | last8 = Licandro | first8 = J.
| last9 = Campo Bagatin | first9 = A. | last10 = Thirouin | first10 = A.
| title = Possible ring material around centaur (2060) Chiron
| journal = Astronomy & Astrophysics | volume = 576 | pages = A18 | arxiv = 1501.05911 |bibcode = 2015yCat..35760018O |doi = 10.1051/0004-6361/201424461 | year = 2015 | s2cid = 38950384 }}</ref>が、2023年2月現在、まだ確定はしていない<ref>{{Cite news|url=https://astronomy.com/news/2023/02/jwst-spies-chariklo-rings|title=James Webb Space Telescope spies rings around centaur Chariklo|agency=[[アストロノミー]]|date=2023-02-09|accessdate=2023-02-20}}</ref>。キロンの[[彗星]]のような活動に関連するジェットの結果として最初に解釈された恒星掩蔽データに基づいて、もし環を持つならば半径324(± 10)kmであると予測されている。異なる視野角でのそれらの変化する外観は、時間の経過に伴うキロンの明るさの長期的な変化を説明することができる<ref name = "Ortiz2015"/>。

環は、ケンタウルス族の小惑星が巨大な惑星との接近遭遇(ロッシュ限界の0.4~0.8倍以内)で潮汐が乱されると、周囲に形成される可能性がある(定義上、ケンタウルス族はその軌道が1つまたは複数の巨大惑星の軌道と交差する小惑星である)。巨大惑星に3~6 km/sの初期[[相対速度]]で接近する分化天体の場合、初期自転周期が8時間、ケンタウルス族の質量の0.1%~10%の環の形成が予測される。未分化天体からの環の形成はあまりない。環は、母天体の氷のマントルからの物質で大部分または完全に構成される。形成後、環は横方向に広がり、ケンタウルス族のロッシュ限界を超えて広がった部分から衛星が形成される。分裂した氷のマントルから衛星が直接形成される可能性もある。この形成メカニズムは、ケンタウルス族のおよそ10%が巨大惑星との潜在的な環の形成につながる接近を経験することを予測している<ref name="Hyodo2016">{{cite journal|last1= Hyodo|first1=R.|last2= Charnoz|first2=S.|last3= Genda|first3=H.|last4= Ohtsuki|first4=K.|title=Formation of Centaurs' Rings Through Their Partial Tidal Disruption During Planetary Encounters|journal= [[The Astrophysical Journal]]|volume= 828|issue= 1|date= 2016-08-29|pages= L8|doi= 10.3847/2041-8205/828/1/L8 |arxiv= 1608.03509|bibcode = 2016ApJ...828L...8H |s2cid=119247768}}</ref>。

=== ハウメア ===
{{main|ハウメアの環}}
2017年1月21日に観測された星食によって、[[準惑星]]で[[共鳴外縁天体]]である'''[[ハウメア (準惑星)|ハウメア]]'''の周囲の環が発見された<ref name="Sickafoose2017">{{cite journal|last1= Sickafoose|first1=A. A.|title= Astronomy: Ring detected around a dwarf planet|journal= Nature|volume= 550|issue= 7675|year= 2017|pages= 197–198|doi= 10.1038/550197a|pmid=29022595|bibcode= 2017Natur.550..197S|doi-access= free}}</ref><ref name="Ortiz2017">{{cite journal|display-authors= 3|last1= Ortiz|first1=J. L.|last2= Santos-Sanz|first2=P.|last3= Sicardy|first3= B.|last4= Benedetti-Rossi|first4= G.|last5= Bérard|first5= D.|last6= Morales|first6= N.|last7= Duffard|first7= R.|last8= Braga-Ribas|first8=F.|last9= Hopp|first9=U.|last10= Ries|first10=C.|last11= Nascimbeni|first11=V.|last12= Marzari|first12=F.|last13= Granata|first13=V.|last14= Pál|first14=A.|last15= Kiss|first15=C.|last16= Pribulla|first16=T.|last17=Komžík|first17=R.|last18= Hornoch|first18=K.|last19=Pravec|first19=P.|last20= Bacci|first20=P.|last21= Maestripieri|first21= M.|last22= Nerli|first22=L.|last23=Mazzei|first23=L.|last24= Bachini|first24=M.|last25=Martinelli|first25= F.|last26=Succi|first26= G.|last27=Ciabattari|first27=F.|last28= Mikuz|first28=H.|last29=Carbognani|first29= A.|last30=Gaehrken|first30=B.|last31= Mottola|first31=S.|last32= Hellmich|first32=S.|last33=Rommel|first33=F. L.|last34=Fernández-Valenzuela|first34=E.|last35= Bagatin|first35=A. Campo|last36=Cikota|first36= S.|last37=Cikota|first37=A.|last38=Lecacheux|first38=J.|last39=Vieira-Martins|first39=R.|last40=Camargo|first40=J. I. B.|last41=Assafin|first41=M.|last42= Colas|first42=F.|last43=Behrend|first43= R.|last44=Desmars|first44=J.|last45=Meza|first45=E.|last46=Alvarez-Candal|first46=A.|last47=Beisker|first47=W.|last48= Gomes-Junior|first48=A. R.|last49= Morgado|first49=B. E.|last50=Roques|first50=F.|last51= Vachier|first51=F.|last52=Berthier|first52= J.|last53=Mueller|first53=T. G.|last54=Madiedo|first54=J. M.|last55=Unsalan|first55=O.|last56= Sonbas|first56=E.|last57=Karaman|first57= N.|last58=Erece|first58=O.|last59=Koseoglu|first59=D. T.|last60=Ozisik|first60=T.|last61= Kalkan|first61=S.|last62= Guney|first62=Y.|last63=Niaei|first63=M. S.|last64=Satir|first64=O.|last65= Yesilyaprak|first65=C.|last66= Puskullu|first66=C.|last67=Kabas|first67= A.|last68=Demircan|first68= O.|last69=Alikakos|first69=J.|last70= Charmandaris|first70=V.|last71=Leto|first71=G.|last72=Ohlert|first72=J.|last73=Christille|first73=J. M.|last74=Szakáts|first74=R.|last75=Farkas|first75=A. Takácsné|last76=Varga-Verebélyi|first76=E.|last77= Marton|first77=G.|last78=Marciniak|first78= A.|last79=Bartczak|first79=P.|last80=Santana-Ros|first80=T.|last81=Butkiewicz-Bąk|first81=M.|last82=Dudziński|first82=G.|last83=Alí-Lagoa|first83=V.|last84= Gazeas|first84=K.|last85= Tzouganatos|first85=L.|last86=Paschalis|first86=N.|last87=Tsamis|first87=V.|last88=Sánchez-Lavega|first88=A.|last89=Pérez-Hoyos|first89=S.|last90= Hueso|first90=R.|last91=Guirado|first91=J. C.|last92=Peris|first92=V.|last93=Iglesias-Marzoa|first93=R.|title=The size, shape, density and ring of the dwarf planet Haumea from a stellar occultation|journal= Nature|volume= 550|issue= 7675|year= 2017|pages= 219–223|doi= 10.1038/nature24051|pmid= 29022593|arxiv= 2006.03113|bibcode=2017Natur.550..219O|hdl= 10045/70230|s2cid= 205260767|url=http://hdl.handle.net/10045/70230}}</ref>。環の半径は約2287 km、幅は約70 km、不透明度は0.5である<ref name="Ortiz2017" />。環の面は、ハウメアの赤道と、外側の衛星[[ヒイアカ (衛星)|ヒイアカ]]<ref name="Ortiz2017" />(約25657 kmの[[軌道長半径]]を持つ)の軌道と一致する。環はハウメアの自転と3:1の共鳴に近く、半径2285 ± 8 kmに位置している<ref name="Ortiz2017" />。これはハウメアのロッシュ限界内にあり、ハウメアが球体である場合、ロッシュ限界の半径は約4400 kmになる(非球体であると、限界がさらに押し出される)<ref name="Ortiz2017" />。

=== クワオアー ===
{{main|クワオアーの環}}
2023年、準惑星候補の[[エッジワース・カイパーベルト天体]]である'''[[クワオアー]]'''が大きく離れた環を持つことが発見された<ref name="Devlin">{{cite news |last1=Devlin |first1=Hannah |title=Ring discovered around dwarf planet Quaoar confounds theories |url=https://www.theguardian.com/science/2023/feb/08/ring-discovered-around-dwarf-planet-quaoar-confounds-theories |access-date=8 February 2023 |work=[[The Guardian]] |date=8 February 2023 |archive-date=8 February 2023 |archive-url=https://web.archive.org/web/20230208163722/https://www.theguardian.com/science/2023/feb/08/ring-discovered-around-dwarf-planet-quaoar-confounds-theories |url-status=live }}</ref><ref>{{cite journal |last1=Morgado |first1=B. E. |display-authors=etal |title=A dense ring of the trans-Neptunian object Quaoar outside its Roche limit |journal=Nature |date=2023 |volume=614 |pages=239–243 |doi=10.1038/s41586-022-05629-6}}</ref>。環はクワオアーの半径の7倍以上の距離にあり、これは以前から知られていたクワオアーにおける理論上のロッシュ限界の最大値の2倍以上である<ref name="Devlin" />。

== 太陽系外惑星の環 ==
[[ファイル:J1407b seen from its exomoon.png|サムネイル|衛星から見たJ1407bの想像図|250px]]
太陽系のすべての巨大惑星には環があるため、環を持つ[[太陽系外惑星]]の存在は一般的であると予測されている。土星の環で優勢な物質である氷の粒子は、[[雪線 (天文学)|雪線]]を超えた惑星の周囲にしか存在できないが、雪線内では、岩石物質で構成される環は長期的に安定することができる<ref>
{{cite journal|author=Hilke E. Schlichting, Philip Chang|journal=[[Astrophysical Journal]]|volume=734|issue=2|pages=117|title=Warm Saturns: On the Nature of Rings around Extrasolar Planets that Reside Inside the Ice Line|arxiv=1104.3863 |year=2011|bibcode = 2011ApJ...734..117S |doi = 10.1088/0004-637X/734/2/117 |s2cid=42698264}}</ref>。このような環は、[[太陽系外惑星の発見方法#トランジット法|トランジット法]]で観測された惑星で、その不透明度が十分であれば、中心星の光をさらに減らすことで検出できる。2020年現在、太陽系外惑星の環の候補がこの方法で[[HIP 41378 f]]付近に1つ見つかっている<ref>{{cite journal |last1=Akinsanmi |first1=B. |display-authors=etal |title=Can planetary rings explain the extremely low density of HIP 41378 f? |journal=[[Astronomy & Astrophysics]] |date=March 2020 |volume=635 |page=L8 |doi=10.1051/0004-6361/202037618 |arxiv=2002.11422 |bibcode=2020A&A...635L...8A |s2cid=211506047 }}</ref>。

2008年に検出されたとき、[[フォーマルハウトb]]は大きく、縁の定義が不明確であることが判明した。これは、[[星周円盤]]から引き付けられた塵の雲、または環の可能性によるものであると仮定されたが<ref>{{Cite journal|arxiv=0811.1994 |journal=Science |volume=322 |issue=5906 |pages=1345–8 |last1=Kalas |first1=Paul |title=Optical Images of an Exosolar Planet 25 Light-Years from Earth |last2=Graham |first2=James R |last3=Chiang |first3=Eugene |last4=Fitzgerald |first4=Michael P |last5=Clampin |first5=Mark |last6=Kite |first6=Edwin S |last7=Stapelfeldt |first7=Karl |last8=Marois |first8=Christian |last9=Krist |first9=John |year=2008 |doi=10.1126/science.1166609 |pmid=19008414 |bibcode=2008Sci...322.1345K |s2cid=10054103 }}</ref>、2020年にフォーマルハウトb自体が惑星ではなく、小惑星の衝突による拡大する破片の雲である可能性が非常に高いと判断された<ref name="PNAS-20200420">{{cite journal |last1=Gáspár |first1=András |last2=Rieke |first2=George H. |title=New HST data and modeling reveal a massive planetesimal collision around Fomalhaut |date=April 20, 2020 |journal=[[PNAS]] |volume=117 |issue=18 |pages=9712–9722 |doi=10.1073/pnas.1912506117 |pmid=32312810 |pmc=7211925 |arxiv=2004.08736 |bibcode=2020PNAS..117.9712G |s2cid=215827666 |doi-access=free }}</ref>。同様に、[[プロキシマ・ケンタウリc]]は、7[[地球質量]]の低い質量に対して予想よりもはるかに明るいことが観測されており、約5[[木星半径]]の大きさを持つ環に起因する可能性がある<ref name="Gratton2020">{{cite journal | last1= Gratton | first1= R. | display-authors = etal | title= Searching for the near-infrared counterpart of Proxima c using multi-epoch high-contrast SPHERE data at VLT | journal= [[Astronomy & Astrophysics]] | date= June 2020 | volume= 638 | page= A120 | doi= 10.1051/0004-6361/202037594 | bibcode= 2020A&A...638A.120G | arxiv= 2004.06685| s2cid = 215754278}}</ref>。

2007年に56日間にわたって観測された恒星[[1SWASP J140747.93-394542.6]]の一連の掩蔽は、[[1SWASP J140747.93-394542.6 b]](J1407b)と名付けられた(直接観測されていない)[[亜恒星天体]]の環のトランジットとして解釈された<ref>{{cite journal|author=Matthew A. Kenworthy, Eric E. Mamajek|title=Modeling giant extrasolar ring systems in eclipse and the case of J1407b: sculpting by exomoons?|journal=The Astrophysical Journal|volume=800|issue=2|pages=126|arxiv=1501.05652 |year=2015|bibcode = 2015ApJ...800..126K |doi = 10.1088/0004-637X/800/2/126 |s2cid=56118870}}</ref>。この環の半径は約9000万 km(土星の環の約200倍)とされている。プレスリリースでは、「スーパーサターン」という用語が使用された<ref>{{cite news|author=Rachel Feltman|newspaper=The Washington Post|title=This planet's rings make Saturn look puny|url=https://www.washingtonpost.com/news/speaking-of-science/wp/2015/01/26/this-planets-rings-make-saturn-look-puny/|date=2015-01-26|access-date=2015-01-27|url-status=live|archive-url=https://web.archive.org/web/20150127132726/http://www.washingtonpost.com/news/speaking-of-science/wp/2015/01/26/this-planets-rings-make-saturn-look-puny/|archive-date=2015-01-27}}</ref>。しかし、この恒星系の年齢はわずか約1600万年であり、この構造が実際にあるとすれば、進化した惑星系の安定した環ではなく、[[周惑星円盤]]である可能性が高いことを示唆している。環は、0.4[[天文単位]]の半径距離で0.0267天文単位の幅の隙間を持つことが観測された。シミュレーションによると、この隙間は、外部の衛星の共鳴効果よりも環の中に存在する衛星の結果である可能性が高いことが示唆されている<ref name="Sutton2019">{{cite journal|last1= Sutton|first1=P. J.|title= Mean motion resonances with nearby moons: an unlikely origin for the gaps observed in the ring around the exoplanet J1407b|journal= Monthly Notices of the Royal Astronomical Society|volume= 486|issue= 2|year= 2019|pages= 1681–1689|doi= 10.1093/mnras/stz563|arxiv=1902.09285|s2cid=119546405}}</ref>。

== 4つの惑星の環の比較 ==
[[File:Main Ring Galeleo forward PIA00538.jpg|thumb|400px|left|ガリレオ探査機による木星の主環]]
{{wide image|Saturn's rings dark side mosaic.jpg|1100px|[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]]による土星の環}}
[[File:FDS 26852.19 Rings of Uranus.png|thumb|left|250px|[[ボイジャー2号]]による天王星の環]]
[[File:PIA02202 Neptune's full rings.jpg|thumb|320px|ボイジャー2号による海王星の環]]
{{clear}}
== 脚注 ==
{{reflist|4}}


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{Commonscat|Wikimedia Commons|Planetary rings}}
* [http://planetarynames.wr.usgs.gov/append8.html USGS/IAU Ring and Ring Gap Nomenclature]
* [http://planetarynames.wr.usgs.gov/append8.html USGS/IAU Ring and Ring Gap Nomenclature]
* [http://www.bridgingthegaps.ie/2017/04/planetary_ring_systems_with_dr_mark_showalter/ Everything a Curious Mind Should Know About Planetary Ring Systems with Dr Mark Showalter], [http://www.bridgingthegaps.ie/ Bridging the Gaps: A Portal for Curious Minds]
* [http://creatacad.org/?id=24&lng=eng Physical Chemistry of Evolution of Planetary Systems]
* Gladyshev G. P. ''Thermodynamics and Macrokinetics of Natural Hierarchical Processes'', p. 217. Nauka, Moscow, 1988 (in Russian).


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[[Category:衛星]]
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2024年8月25日 (日) 04:13時点における最新版

衛星プロメテウス(右)とパンドラは、それぞれ土星F環のすぐ内側と外側を公転しているが、プロメテウスのみが羊飼い衛星として機能していると考えられている。

(わ)とは、天体を周回する小衛星などの固体物質で構成されている、巨大惑星の周囲の衛星系の一般的な構成要素である。

太陽系で最も有名な惑星の環は土星の周囲に存在する環であるが、他の3つの巨大惑星(木星天王星海王星)にも環が存在する。最近の証拠は、小惑星衛星褐色矮星、さらには惑星間空間を含む、他の種類の天体の周囲にも環が存在する可能性があることを示唆している。

惑星の環

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土星の周囲に存在する環は、氷と塵の塊で構成されている。土星の上の小さな黒い点は、土星の衛星エンケラドゥスの影である。

環が形成される理由として3つの方法が考えられている。それらは惑星のロッシュ限界内にあり、合体して衛星を形成できなかった原始惑星系円盤の物質から形成される方法、他の衛星によって破壊された衛星の破片から形成される方法、そして大きな衝突、または惑星のロッシュ限界内を通過したときに潮汐力応力によって破壊された衛星の破片から形成される方法である。ほとんどの環は不安定で、数千万年から数億年かけて消失すると考えられていたが、土星の輪はかなり古く、太陽系の初期にさかのぼる可能性があるようである[1]

より暗い惑星環は、惑星の周囲を公転する衛星との隕石の衝突の結果として、または土星のE環の場合は、氷火山物質の噴出物として形成される可能性がある[2][3]

環の粒子の組成は様々で、ケイ酸塩かもしくは氷を含む塵であると考えられる。また、もっと大きな岩石や巨石が存在する可能性もあり、2007年には、土星の環の中で直径数百メートルの8つのムーンレット(小衛星)からの潮汐効果が検出された。環の粒子の最大サイズは、それを構成する材料の強度、密度、およびその高度での潮汐力によって決まる。潮汐力は、環の半径内の平均密度、または惑星の質量を環の半径の3乗で割った値に比例する。また、環の公転周期の2乗に反比例する。

環には羊飼い衛星(shepherd moon)と呼ばれる小さな衛星が環の外縁や空隙の中に存在する場合がある。羊飼い衛星の重力は環の縁をくっきりと保つ役割を果たす。羊飼い衛星の軌道に近づく物質は環の本体に弾き返されるか、あるいは系から放り出されたり、衛星自身に降着したりする。

また、火星の衛星であるフォボスは、約5000万年後に破壊され、環を形成すると予測されている。その低軌道は、火星の自転周期よりも短い公転周期を持ち、潮汐減速により崩壊するとされる。

木星

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木星の環は、1979年にボイジャー1号によって最初に観測されたときに3番目に発見され[4]、1990年代にガリレオのオービターによってより詳細に観測された[5]。木星の環は「ハロ環」として知られる厚いトーラス、薄くて比較的明るい「主環」、2つの希薄な「ゴサマー環」の4つの主要な環からなり[6]、これらは主に塵で構成されている[4][7]

土星

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2004年にカッシーニが撮影した土星の環

土星の環は、太陽系の惑星の中で最も巨大な環であるため、かなり以前から存在が知られていた。ガリレオ・ガリレイは1610年に最初に土星の環を観測したが、1655年にクリスティアーン・ホイヘンスが観測するまでそれらは土星の周囲の円盤として正確に記述されていなかった[8]。それらは大部分がと微量の岩石で構成されており、粒子のサイズはマイクロメートル単位のものからメートル単位のものまでさまざまである[9]

天王星

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天王星の環は、土星の広大で複雑なものと、木星と海王星のより単純なものの中間にある。1977年にジェームズ・L・エリオット、Edward W. Dunham、Jessica Minkによって発見された[10]。それから2005年までの間に、ボイジャー2号[11]ハッブル宇宙望遠鏡[12]による観測で、合計13個の環が発見された。そのほとんどは不透明で、幅が数キロメートルしかない。それらは暗く、水の氷と放射線によって生成された有機化合物で構成されている可能性がある。塵が比較的少ないのは、天王星の拡張された外気圏-コロナからの空力抵抗によるものである。

海王星

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海王星の環は5つの主要な環で構成されており、最も密集した状態では、土星の環の低密度領域に匹敵する。しかし、それらは薄く塵が多いため、木星の環にはるかに似ている。環を構成する非常に暗い物質は、天王星の環のように、放射線によって生成された有機化合物である可能性がある[13]。環の20%~70%は塵で、これは比較的高い割合である。環は、1989年にボイジャー2号によって決定的に発見されるまで、何十年も前から観測されていた。

準惑星・小惑星・衛星の環

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2008年の報告[14][15][16]では、土星の衛星レアには土星の環とは別の薄い環が存在する可能性が示唆されており、環を持つことが知られている唯一の衛星である。しかし、2010年に発表されたその後の研究では、カッシーニによるレアの観測で環の予測された特性と一致していないことが明らかになり、環の仮説につながった磁気効果の原因は他のメカニズムにあることが示唆された[17]

一部の天文学者は、冥王星が環を持っている可能性があると理論付けていた[18]。しかし、この可能性は、存在していればそのような環を検出したであろうニュー・ホライズンズによって除外されている。

カリクロー

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カリクローと周囲の環の想像図
キロンと周囲の環の想像図
ハウメアと周囲の環の想像図
クワオアーと周囲の環の想像図

ケンタウルス族に分類されているカリクローは、環を持つことが発見された最初の小惑星であった。2つの環が存在し、これらはおそらく衝突が原因と思われる。天文学者が2013年6月3日に南アメリカの7つの観測所から恒星UCAC4 248-108672の前を通過するカリクローを観測したときに環が発見された。観測中、食の直前と直後の恒星の明るさに2つのくぼみを発見した。このイベントは複数の場所で観測されたため、明るさの低下は実際には環によるものであるという結論が満場一致で有力な仮説である。観測により、幅19キロメートル (12 mi)の環である可能性が高いことが明らかになった。さらに、天文学者は、破片で形成された環の中に衛星が存在している可能性があると考えている。天文学者が推測するように、この環が衝突によって形成されたものである場合、これは衛星がより小さな天体の衝突によって形成されたという考えの可能性が高まる。カリクローの環は正式に命名されていないが、発見者は、ブラジルの北端と南端近くを流れる2つの川にちなんで、OiapoqueとChuíというあだ名を付けた[19]

キロン

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ケンタウルス族に分類されているキロンが2つの環を持っている可能性を指摘されている[20][21]が、2023年2月現在、まだ確定はしていない[22]。キロンの彗星のような活動に関連するジェットの結果として最初に解釈された恒星掩蔽データに基づいて、もし環を持つならば半径324(± 10)kmであると予測されている。異なる視野角でのそれらの変化する外観は、時間の経過に伴うキロンの明るさの長期的な変化を説明することができる[21]

環は、ケンタウルス族の小惑星が巨大な惑星との接近遭遇(ロッシュ限界の0.4~0.8倍以内)で潮汐が乱されると、周囲に形成される可能性がある(定義上、ケンタウルス族はその軌道が1つまたは複数の巨大惑星の軌道と交差する小惑星である)。巨大惑星に3~6 km/sの初期相対速度で接近する分化天体の場合、初期自転周期が8時間、ケンタウルス族の質量の0.1%~10%の環の形成が予測される。未分化天体からの環の形成はあまりない。環は、母天体の氷のマントルからの物質で大部分または完全に構成される。形成後、環は横方向に広がり、ケンタウルス族のロッシュ限界を超えて広がった部分から衛星が形成される。分裂した氷のマントルから衛星が直接形成される可能性もある。この形成メカニズムは、ケンタウルス族のおよそ10%が巨大惑星との潜在的な環の形成につながる接近を経験することを予測している[23]

ハウメア

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2017年1月21日に観測された星食によって、準惑星共鳴外縁天体であるハウメアの周囲の環が発見された[24][25]。環の半径は約2287 km、幅は約70 km、不透明度は0.5である[25]。環の面は、ハウメアの赤道と、外側の衛星ヒイアカ[25](約25657 kmの軌道長半径を持つ)の軌道と一致する。環はハウメアの自転と3:1の共鳴に近く、半径2285 ± 8 kmに位置している[25]。これはハウメアのロッシュ限界内にあり、ハウメアが球体である場合、ロッシュ限界の半径は約4400 kmになる(非球体であると、限界がさらに押し出される)[25]

クワオアー

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2023年、準惑星候補のエッジワース・カイパーベルト天体であるクワオアーが大きく離れた環を持つことが発見された[26][27]。環はクワオアーの半径の7倍以上の距離にあり、これは以前から知られていたクワオアーにおける理論上のロッシュ限界の最大値の2倍以上である[26]

太陽系外惑星の環

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衛星から見たJ1407bの想像図

太陽系のすべての巨大惑星には環があるため、環を持つ太陽系外惑星の存在は一般的であると予測されている。土星の環で優勢な物質である氷の粒子は、雪線を超えた惑星の周囲にしか存在できないが、雪線内では、岩石物質で構成される環は長期的に安定することができる[28]。このような環は、トランジット法で観測された惑星で、その不透明度が十分であれば、中心星の光をさらに減らすことで検出できる。2020年現在、太陽系外惑星の環の候補がこの方法でHIP 41378 f付近に1つ見つかっている[29]

2008年に検出されたとき、フォーマルハウトbは大きく、縁の定義が不明確であることが判明した。これは、星周円盤から引き付けられた塵の雲、または環の可能性によるものであると仮定されたが[30]、2020年にフォーマルハウトb自体が惑星ではなく、小惑星の衝突による拡大する破片の雲である可能性が非常に高いと判断された[31]。同様に、プロキシマ・ケンタウリcは、7地球質量の低い質量に対して予想よりもはるかに明るいことが観測されており、約5木星半径の大きさを持つ環に起因する可能性がある[32]

2007年に56日間にわたって観測された恒星1SWASP J140747.93-394542.6の一連の掩蔽は、1SWASP J140747.93-394542.6 b(J1407b)と名付けられた(直接観測されていない)亜恒星天体の環のトランジットとして解釈された[33]。この環の半径は約9000万 km(土星の環の約200倍)とされている。プレスリリースでは、「スーパーサターン」という用語が使用された[34]。しかし、この恒星系の年齢はわずか約1600万年であり、この構造が実際にあるとすれば、進化した惑星系の安定した環ではなく、周惑星円盤である可能性が高いことを示唆している。環は、0.4天文単位の半径距離で0.0267天文単位の幅の隙間を持つことが観測された。シミュレーションによると、この隙間は、外部の衛星の共鳴効果よりも環の中に存在する衛星の結果である可能性が高いことが示唆されている[35]

4つの惑星の環の比較

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ガリレオ探査機による木星の主環
カッシーニによる土星の環
ボイジャー2号による天王星の環
ボイジャー2号による海王星の環

脚注

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外部リンク

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