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Yuuurasakaoshi (会話 | 投稿記録) |
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|死 = {{死亡年月日と没馬齢|p=0|2004|3|5|2008|4|21}}<ref>{{Cite web|和書|title=アストンマーチャン死亡(24日)|url=https://p.keibabook.co.jp/news/detail/44621|website=競馬ブック|accessdate=2021-07-20}}</ref> |
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|助= 上田和也<ref>{{Cite news|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2016/05/19/kiji/K20160519012612130.html|title=【オークス】シンハライト“小さな画伯”と１冠獲りの夢描く|accessdate=2021-7-20|newspaper=スポーツニッポン|archivedate=2013-7-13|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160713130315/https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2016/05/19/kiji/K20160519012612130.html}}</ref> |
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|金 = 2億4899万7000円<ref name="優駿-2009-9-161">『優駿』2009年9月号 161頁</ref> |
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'''アストンマーチャン'''は、[[日本]]の[[競走馬]] |
'''アストンマーチャン'''（欧字名:{{lang|en|Aston Machan}}、[[2004年]][[3月5日]] - [[2008年]][[4月21日]]）は、[[日本]]の[[競走馬]]<ref name="jbis">{{Cite web|和書|title=アストンマーチャン|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000801522/|website=JBISサーチ|accessdate=2021-07-20}}</ref>。 |
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未勝利戦から3連勝、[[重賞]]2連勝で臨んだ[[阪神ジュベナイルフィリーズ]]では、後の[[顕彰馬]][[ウオッカ (競走馬)|ウオッカ]]にクビ差の2着。[[桜花賞]]では、後に{{GI}}級競走4勝を挙げる[[ダイワスカーレット]]を上回り、ウオッカに続いて2番人気に評価されていた。桜花賞敗退後は、短距離路線に転進した。 |
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[[スプリンターズステークス]]では、[[古馬]]相手に逃げ切ってJRA{{GI}}タイトルに到達。1992年[[ニシノフラワー]]以来、グレード制導入後史上2例目となる3歳牝馬のスプリンターズステークス優勝を果たした。 |
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流行の[[サンデーサイレンス]]を血統に持ち合わせていないことから、[[繁殖牝馬]]としても期待されていたが、競走馬として迎えた4歳春、原因不明のX[[大腸炎]]に冒され、[[急性心不全]]で早世した。 |
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=== デビューまで === |
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ラスリングカプスは、[[アメリカ]]で生産されたのち日本に渡った[[ウッドマン]]産駒で、競走馬として1997年までに15戦3勝の成績を残し、[[繁殖牝馬]]となった<ref>{{Cite web|和書|title=ラスリングカプス(USA)|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000275434/|website=JBISサーチ|accessdate=2021-07-20}}</ref>。2003年には引退直後の新種牡馬[[アドマイヤコジーン]]が配合<ref>{{Cite web|和書|title=繁殖牝馬情報：牝系情報｜ラスリングカプス(USA)|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000275434/broodmare/info/|website=JBISサーチ|accessdate=2021-07-20}}</ref>。2004年3月5日、[[北海道]][[千歳市]]の[[社台ファーム]]にて[[鹿毛]]の[[牝馬]]（後のアストンマーチャン）が誕生する。直後に、1歳上の兄の管理が内定していた[[栗東トレーニングセンター]]所属の[[調教師]]の[[石坂正]]が対面、産まれた仔への評価は高かったが、すぐにその場で管理を申し出るほどの手応えではなかった<ref name=":0">『優駿』2009年9月号 155頁</ref>。 |
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アドマイヤコジーンの初年度産駒ゆえに、特徴をつかみにくく買い手がつかない危険もあったが、[[女性医師]]の[[戸佐眞弓]]の所有が決定、戸佐にとって'''自身2頭目の所有馬'''であった<ref>『優駿』2007年11月号 35頁</ref>。巡り巡って石坂が管理することが決定した<ref name=":0" />。牧場では「優等生」であったという<ref name=":1">{{Cite web|和書|title=2006年09月03日 小倉2歳S G3 重賞ウイナーレポート|url=https://uma-furusato.com/winner_info/36929.html|website=競走馬のふるさと案内所|accessdate=2021-07-20}}</ref>。特にアクシデントなく成長していった<ref name=":1" />。 |
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戸佐により、イギリス製の自動車ブランドである「[[アストンマーティン]]」に戸佐の学生時代の愛称「マーちゃん」を掛け合わせて「'''アストンマーチャン'''」という競走馬名が与えられた<ref name="デイリー-スプリンターズS" />。なお、馬名登録の際には「サーキット名」に「人名愛称」を組み合わせたもの<ref group="注釈">アストンマーティン自体の由来もサーキット名（{{仮リンク|アストンヒル|en|Aston Hill Mountain Bike Area}}）と共同創設者の人名（{{仮リンク|ライオネル・マーティン|en|Lionel Martin}}）を組み合わせたものである。</ref>と説明して、審査を通過した<ref>{{Cite web|和書|title=【ファンタジーS】2006年アストンマーチャンのハイスピードに隠れてしまった馬名の由来|url=https://www.tokyo-sports.co.jp/horse/jra/2376918/|date=2020-11-06|accessdate=2021-07-20|archiveurl=https://web.archive.org/web/20201202062241/https://www.tokyo-sports.co.jp/horse/jra/2376918/|archivedate=2020-12-2}}</ref>。 |
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[[2006年]][[7月22日]]、[[小倉競馬場]]の[[新馬戦]]（芝1200メートル）でデビュー。[[武豊]]が騎乗し2番人気で出走したが、1番人気のシャルマンレーヌにクビ差振り切られ2着に敗れた<ref>{{Cite news|title=【新馬戦】（小倉5Ｒ）シャルマンレーヌ接戦を制し新馬V|url=http://keiba.radionikkei.jp/keiba/entry-136743.html|date=2021-07-20|accessdate=2021-07-20|publisher=ラジオNIKKEI|archiveurl=https://web.archive.org/web/20210720003943/http://keiba.radionikkei.jp/keiba/entry-136743.html|archivedate=2021-7-20}}</ref>。武は外に[[斜行]]したことに敗因を求め<ref>『優駿』2009年9月号 155頁</ref>、石坂は斜行について、[[ターフビジョン]]に映る姿に驚いたと分析している<ref name="優駿-2009-9-156">『優駿』2009年9月号 156頁</ref>。同じく小倉、8月6日の未勝利戦（芝1200メートル）で[[和田竜二]]に乗り替わり、単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持されて出走。2番手から逃げ馬を半馬身かわして初勝利を挙げた<ref>{{Cite news|title=【未勝利】（小倉1R）アストンマーチャン 順当勝ち|url=http://keiba.radionikkei.jp/keiba/entry-136957.html|date=2021-07-20|accessdate=2021-07-20|archiveurl=https://web.archive.org/web/20210720004008/http://keiba.radionikkei.jp/keiba/entry-136957.html|archivedate=2021-7-20|publisher=ラジオNIKKEI}}</ref>。 |
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9月3日の[[小倉2歳ステークス]]（{{GIII}}）では、[[鮫島良太]]に乗り替わり単勝3番人気で出走。外枠から2番手に位置、最終コーナーで先頭に立ち、後方に2馬身半の差をつけて先頭で入線し、重賞初勝利を果たした<ref name="ネット競馬-小倉2歳S" />。デビュー2年目の鮫島、産駒デビュー初年度の[[アドマイヤコジーン]]にとっても初の重賞タイトルであった<ref name="ネット競馬-小倉2歳S">{{Cite news|title=小倉2歳S、アストンマーチャン快勝|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=15496|date=2006-9-3|accessdate=2021-07-20|work=netkeiba.com|archiveurl=https://web.archive.org/web/20210720012352/https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=15496|archivedate=2021-7-20}}</ref>。 |
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小倉3戦の疲労から、[[宮城県]][[山元町]]の[[山元トレーニングセンター]]で2か月の放牧となった<ref name=":1" /><ref>{{Cite news|title=【ファンタジーS】栗東レポート〜アストンマーチャン|url=http://keiba.radionikkei.jp/keiba/entry-138251.html|date=2006-11-1|accessdate=2021-07-20|archivedate=2021-7-20|archiveurl=https://web.archive.org/web/20210720015217/http://keiba.radionikkei.jp/keiba/entry-138251.html|publisher=ラジオNIKKEI}}</ref>。この間に石坂はアストンマーチャンの内面と外面が一変したことを認めている。11月5日の[[ファンタジーステークス]]（{{GIII}}）で復帰、武に再び乗り替わり3番人気で出走した。中団の位置から、第3コーナーから進出。最終コーナーを3番手で通過し、手応え十分のまま直線に入った<ref name="優駿-2009-9-156" />。残り200メートルで共に追い上げた[[イクスキューズ]]、逃げたアドマイヤプルートの3頭で並んだが、アストンマーチャンが差を広げて独走<ref name="優駿-2009-9-156" />。決勝線通過する頃には、2番手のイクスキューズに5馬身差をつけていた。走破タイムの1分20秒3は、ファンタジーステークスレコードを0.9秒更新、JRA2歳レコードを0.5秒更新したものであり、重賞連勝となった<ref name="優駿-2009-9-156" />。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=VvFKg3bweII 2006年 阪神ジュベナイルフィリーズ<br />レース映像 jraofficial(JRA公式YouTubeチャンネル)による動画]}}続いて、12月3日の[[阪神ジュベナイルフィリーズ]]（{{GI}}）に進み、単勝1.6倍の1番人気に支持された。続く2番人気のルミナスハーバーが8.9倍であったことから、多くがアストンマーチャンを推す状況であった<ref name="東スポ-阪神JF">{{Cite news|title=【思い出の{{GI}}レース＝2006（平成18）年「阪神JF」】“生まれた年が悪かった”最強牝馬世代の激戦|url=https://www.tokyo-sports.co.jp/horse/jra/1645374/|date=2019-12-03|accessdate=2021-07-20|publisher=東京スポーツ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20210123050530/https://www.tokyo-sports.co.jp/horse/jra/1645374/|archivedate=2021-1-23}}</ref>。スタートから馬場の内側3番手に位置し、直線で先頭に立った<ref name="優駿-2009-9-157">『優駿』2009年9月号 157頁</ref>。残り200メートルで後方におよそ3馬身離す独走態勢であったが、外から追い上げる4番人気[[ウオッカ (競走馬)|ウオッカ]]が迫り来て、決勝線を2頭並んで通過した<ref name="優駿-2009-9-157" />。しかし、ウオッカのクビ差先着が認められ、2着に敗れた<ref name="東スポ-阪神JF" />。レース後放牧に出された<ref name="優駿-2009-9-157" />。 |
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年末の[[JRA賞]]選考では、[[JRA賞最優秀2歳牝馬]]部門で289票中16票を集めていたが<ref name="ラジオNIKKEI-JRA賞">{{Cite news|title=2006年度JRA賞 記者投票の集計結果|url=http://www.radionikkei.jp/keiba/entry-139342.html|accessdate=2021-07-20|publisher=ラジオNIKKEI|archiveurl=https://web.archive.org/web/20210112024016/http://www.radionikkei.jp/keiba/entry-139342.html|archivedate=2021-1-12|date=2007-1-9}}</ref>、ウオッカが271票を獲得し、JRA賞最優秀2歳牝馬を受賞している<ref name="ラジオNIKKEI-JRA賞" />。 |
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=== 3-4歳（2007-08年） === |
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== 馬名の由来 == |
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[[ファイル:Aston Machan in Ohkasho DSCN3626 20070408.JPG|サムネイル|216x216ピクセル|桜花賞の本馬場入場]] |
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[[イギリス]]の高級車・[[アストンマーティン]]と[[馬主]]である[[女医]]の戸佐眞弓（とさ まゆみ）の愛称をもじったもので、アストンマーティンのように速く走ることを願って名付けられたとされる<ref>{{Cite web|date=2007|url=http://www.daily.co.jp/horse/schedule2007/070930g1.shtml|title=07プレイバック スプリンターズステークス|work=競馬・レース|publisher=[[デイリースポーツ]]|language=日本語|accessdate=2012-03-24}}</ref>が、[[日本中央競馬会|JRA]]の公式[[ホームページ]]では「サーキット名+人名愛称」とある。 |
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3歳となった[[2007年]][[3月11日]]、[[桜花賞]]の[[トライアル競走]]である[[フィリーズレビュー]]（{{JpnII}}）で始動、ウオッカなど有力なライバルが[[チューリップ賞]]（{{GIII}}）に進んだこともあり、単勝オッズ1.1倍の1番人気に推された<ref name="優駿-2009-9-158">『優駿』2009年9月号 158頁</ref>。3,4番手から直線で抜け出し、後方に2馬身半差をつけて勝利。続く桜花賞（{{JpnI}}）では、ウオッカに次ぐ2番人気で出走。コーナーリングで2番手に浮上したが、伸びることなく、ウオッカと3番人気[[ダイワスカーレット]]の争いに1秒遅れた7着に敗れた。武は「全身に力を入れていた分、いつものフォームで走れてなかった<ref name="優駿-2009-9-158" />」とし、担当調教助手の上田和也は、直前の食欲と、体調面に敗因を求めている<ref name="優駿-2009-9-158" />。その後、石坂は適性が短距離にあると断定し、秋の[[スプリンターズステークス]]に目標を据え、[[NHKマイルカップ]]、[[優駿牝馬|優駿牝馬（オークス）]]は回避、社台ファームへ放牧に出た<ref name="優駿-2009-9-158" /><ref>{{Cite web|和書|title=2007年09月30日 スプリンターズS GI「重賞ウイナーレポート」|url=https://uma-furusato.com/winner_info/36894.html|website=競走馬のふるさと案内所|accessdate=2021-07-20}}</ref>。 |
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スプリンターズステークスの前哨戦として、8月12日の[[北九州記念]]（{{JpnIII}}）を選択。古馬との初顔合わせとなったが、単勝1.8倍の1番人気に支持された。[[岩田康誠]]の騎乗により好位に取り付いたが、直線で伸びず6着に敗れた<ref name="優駿-2009-9-159">『優駿』2009年9月号 159頁</ref>。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=Qt3CNX_f_9c 2007年 スプリンターズステークス<br />レース映像 jraofficial(JRA公式YouTubeチャンネル)による動画]}}続いて、[[9月30日]]のスプリンターズステークス（{{GI}}）に出走。石坂は、出走に際して1日1本の[[坂路]]調教を2本に増やして身体面の強化に努め、当日の馬体重は前走から10キログラム増加させることに成功した<ref name="優駿-2009-9-159" />。武が春の[[高松宮記念 (競馬)|高松宮記念]]優勝馬[[スズカフェニックス]]に騎乗するため、石坂は鞍上にベテランの[[中舘英二]]を起用、スズカフェニックスが2番人気、アストンマーチャンは3番人気であった<ref name="優駿-2009-9-160">『優駿』2009年9月号 160頁</ref>。 |
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[[2006年]]7月、鞍上に[[武豊]]を迎え[[小倉競馬場]]でデビュー。[[新馬|新馬戦]]こそクビ差及ばず2着に敗れるも、[[和田竜二]]に乗り替わった2戦目の未勝利戦で単勝1.3倍の人気に応えて順当に勝ち上がった。続く[[小倉2歳ステークス]]ではフェニックス賞を制したシルバーストーンに人気が集まり、アストンマーチャンは3番人気であった。レースは序盤の3[[ハロン (単位)|ハロン]]の通過タイムが32秒5というハイペースで展開する中、2番手を追走。4コーナーで先頭に立つと、そのまま2馬身半差を付けると言う力強い競馬で[[重賞]]初制覇を果たした。更に、鞍上の[[鮫島良太]]にとってもこれが[[重賞]]初勝利であった。この後は[[ファンタジーステークス]]に出走。鞍上が再び武に乗り替わったものの有力馬が揃ったことや距離延長も不安視され、3番人気に留まった。道中では好位につけ直線半ばから一気に抜け出し、イクスキューズに5馬身差を付け勝利を飾った。レース中に左後脚を落鉄したにもかかわらず、勝ち時計は1分20秒3。2歳レコードでの重賞連覇だった{{efn|このレコードは2020年の同レースで[[メイケイエール]]に破られるまで保持していた。}}。そして迎えたGI競走の[[阪神ジュベナイルフィリーズ]]では圧倒的1番人気に推され最後の直線では早めに先頭に立ち押し切りを図るものの、ゴール直前で[[ウオッカ]]に交わされ2着に敗れた。 |
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雨中の不良馬場にスピードを十分に発揮できないと考えた石坂は、中舘に「この馬場だから内も外も関係ない。駄目でもいいから内を回ってこい<ref name="デイリー-スプリンターズS">{{Cite news|title=スプリンターズステークスG1/’07競馬G1プレイバック|url=https://www.daily.co.jp/horse/schedule2007/070930g1.shtml|date=2007-09-30|accessdate=2021-07-20|newspaper=デイリースポーツ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160403105917/https://www.daily.co.jp/horse/schedule2007/070930g1.shtml|archivedate=2016-4-3}}</ref>」と指示した。その通りに、好スタートを切る[[ローエングリン (競走馬)|ローエングリン]]を上回り、馬場の内側先頭に立ち、後方に3馬身離す逃げを展開した<ref name="優駿-2009-9-160" />。後方が迫り来ないまま、独走状態で直線に進入。アストンマーチャン自身は加速することはなかったが、中舘の左[[ムチ]]に応えて粘り、追い上げる後方勢を4分の3馬身離して決勝線を通過した<ref name="優駿-2009-9-160" />。入線後、中舘は右手でガッツポーズを見せた<ref name="優駿-2009-9-160" />。アストンマーチャンは{{GI}}初勝利、重賞4勝目<ref name="デイリー-スプリンターズS" />。GI昇格後では、1992年ニシノフラワー以来、史上2例目となる3歳牝馬の優勝を果たした<ref>『優駿』2007年11月号 57頁</ref>。また中舘は[[ヒシアマゾン]]で制した1994年の[[エリザベス女王杯]]以来の{{GI}}勝利、石坂は[[ダイタクヤマト]]<ref group="注釈">担当調教助手の上田和也は、ダイタクヤマトも担当していた。</ref>で制した2000年以来のスプリンターズステークス勝利であった<ref name="デイリー-スプリンターズS" />。 |
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=== 3歳 === |
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[[2007年]]の初戦は桜花賞[[トライアル競走|トライアル]]の[[フィリーズレビュー]]。1400mでのレコード勝ちの実績もあり、単勝1.1倍の圧倒的1番人気に推される。道中は若干掛かり気味で追走するも直線では後続をちぎり、重賞3勝目を挙げた。しかしウオッカとの再戦となった[[桜花賞]]では[[パドック]]・返し馬で激しくイレ込む様子が見られ、レースでもスタート直後から引っ掛かり最後の直線で粘りきれず、ダイワスカーレットの7着に敗れた。 |
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[[10月27日]]の[[スワンステークス]]（{{GII}}）では、最後は失速して14着。[[香港スプリント]]（{{G1}}）に予備登録を行っていたが<ref>{{Cite news|url=http://keiba.radionikkei.jp/keiba/entry-142821.html|title=【香港スプリント】（G1）〜アストンマーチャン、サンアディユなど11頭登録|accessdate=2021-7-20|publisher=ラジオNIKKEI|archiveurl=https://web.archive.org/web/20210113194632/http://keiba.radionikkei.jp/keiba/entry-142821.html|archivedate=2021-1-13|date=2007-10-15}}</ref>、[[10月23日]]に[[馬インフルエンザ]]の影響で検疫期間が1ヶ月かかることから回避し、放牧に出された<ref name="優駿-2009-9-161" />。4歳となった2008年、2月10日の[[シルクロードステークス]]（{{GIII}}）で復帰。武に再び乗り替わり、1番人気に推されたが10着に敗退<ref name="優駿-2009-9-161" />。続いて[[高松宮記念 (競馬)|高松宮記念]]（{{GI}}）を目指していた。 |
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その後、[[NHKマイルカップ]]・[[優駿牝馬|優駿牝馬（オークス）]]は回避し春シーズンは休養。[[サマーシリーズ|サマースプリントシリーズ]]の第3戦・[[北九州記念]]で復帰し騎手も[[岩田康誠]]に乗り替わった。しかし先行馬には厳しい展開となり、圧倒的1番人気であったが見せ場なく6着に敗れた。その後、[[中舘英二]]を鞍上に迎えた[[第41回スプリンターズステークス]]では大雨降り頻る不良馬場の中、スタートから果敢に逃げるとそのまま逃げ粘り古馬を抑え初めての[[競馬の競走格付け|GI]]制覇を飾り、[[10月3日]]に発表された重賞・オープン特別競走レーティングでは112の評価を得た。その後は[[10月27日]]の[[スワンステークス]]に出走、前走同様果敢に逃げたが距離延長が響いたのか、最後は失速して14着に敗れた。なお[[香港スプリント]]に予備登録を行っていたが、[[10月23日]]に[[馬インフルエンザ]]の影響で検疫期間が当初1ヶ月かかることが想定されたことで回避することが発表された。スワンステークス後は放牧に出され、[[12月21日]]に帰厩した。 |
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=== 死亡 === |
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高松宮記念をおよそ1か月後に控えた3月3日、体調を崩したことから、高松宮記念を回避することが発表。それから、原因不明の[[大腸炎]]であるX大腸炎を発症し、栗東トレーニングセンター競走馬診療所に入院した<ref name="日刊-病死">{{Cite news|title=マーチャン病死、X大腸炎2カ月治療も… |url=https://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20080425-352170.html|date=2008-04-25|accessdate=2021-07-20|newspaper=日刊スポーツ|archivedate=2010-10-05|archiveurl=https://web.archive.org/web/20101005101555/https://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20080425-352170.html}}</ref>。しかし、4月21日、[[急性心不全]]により死亡<ref>{{Cite news|url=http://keiba.radionikkei.jp/keiba/news/entry-148655.html|title=アストンマーチャンが死亡|publisher=ラジオNIKKEI|accessdate=2008年4月24日}}</ref>。石坂が最期を見届けた<ref name="日刊-病死" />。石坂は「スプリンターズステークスは勝ったがその後の管理が悪く、ストレスが原因で病気になってしまった」と悔やんでいる<ref>{{Cite journal|和書|journal=優駿|issue=2012年12月号|pages=19}}</ref>。 |
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復帰戦は[[シルクロードステークス]]。桜花賞以来に武が騎乗してのレースとなったが、直線半ばで失速し10着。その後秋春スプリントGI制覇を目指して高松宮記念に向けての調整を続けていたが[[3月3日]]の朝に突然体調を崩したことにより、高松宮記念を回避。その後X大腸炎を発症して栗東トレーニングセンター診療所に入院。加療の甲斐なく[[4月21日]]、急性心不全のため死亡した<ref>{{Cite web |url=http://keiba.radionikkei.jp/keiba/news/entry-148655.html |title= |
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アストンマーチャンが死亡 |author= |publisher=ラジオNIKKEI |accessdate=2008年4月24日 }}</ref>。 |
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== 競走成績 == |
== 競走成績 == |
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以下の内容は、JBISサーチ<ref name="jbisrcd">{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000801522/record/ |title= アストンマーチャン 競走成績| |
以下の内容は、JBISサーチ<ref name="jbisrcd">{{Cite web|和書|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000801522/record/ |title= アストンマーチャン 競走成績|website=JBISサーチ |publisher=公益社団法人日本軽種馬協会|accessdate=2020-11-10}}</ref>および[[netkeiba.com]]<ref name="netrcd">{{Cite web|和書|url= https://db.netkeiba.com/horse/result/2004103323/ |title= アストンマーチャンの競走成績|website=netkeiba.com|publisher=Net Dreamers Co., Ltd.|accessdate=2020-11-10}}</ref>に基づく。 |
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! 競走日 !! nowrap| 競馬場 !! 競走名 !! 格 !! 距離（馬場） !! 頭<br />数 !! 枠<br />番 !! 馬<br />番 !! オッズ<br />（人気） !! 着順 !! タイム<br />（上り3F） !! 着差 !! 騎手 !! 斤量<br />[kg] !! 1着馬（2着馬）!!馬体重<br />[kg] |
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* タイム欄の{{color| |
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== 血統表 == |
== 血統表 == |
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=== 出典 === |
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== 参考文献 == |
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* 『[[優駿]]』（[[日本中央競馬会]]） |
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** 2007年11月号 |
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*** 岡本光男（日刊スポーツ・関西）「【クローズアップ】アストンマーチャン 『心技体』が一つになって掴んだ勝利」 |
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*** [[河村清明]]「【サラブレッド・ヒロイン列伝】アストンマーチャン 愛らしきスプリンター"べっぴんさん"」 |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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2024年11月16日 (土) 04:29時点における最新版
 | この記事は「新馬齢表記」で統一されています。 |
| アストンマーチャン | |||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
 | |||||||||||||||
| 現役期間 | 2006年 - 2008年[1] | ||||||||||||||
| 欧字表記 | Aston Machan[1] | ||||||||||||||
| 品種 | サラブレッド[1] | ||||||||||||||
| 性別 | 牝[1] | ||||||||||||||
| 毛色 | 鹿毛[1] | ||||||||||||||
| 生誕 | 2004年3月5日[1] | ||||||||||||||
| 死没 | 2008年4月21日（4歳没）[2] | ||||||||||||||
| 父 | アドマイヤコジーン[1] | ||||||||||||||
| 母 | ラスリングカプス[1] | ||||||||||||||
| 母の父 | Woodman[1] | ||||||||||||||
| 生国 |
 日本（北海道千歳市）[1] | ||||||||||||||
| 生産者 | 社台ファーム[1] | ||||||||||||||
| 馬主 | 戸佐眞弓[1] | ||||||||||||||
| 調教師 | 石坂正[1]（栗東） | ||||||||||||||
| 調教助手 | 上田和也[3] | ||||||||||||||
| 競走成績 | |||||||||||||||
| 生涯成績 | 11戦5勝[1] | ||||||||||||||
| 獲得賞金 | 2億4899万7000円[4] | ||||||||||||||
| |||||||||||||||
アストンマーチャン（欧字名:Aston Machan、2004年3月5日 - 2008年4月21日）は、日本の競走馬[1]。
未勝利戦から3連勝、重賞2連勝で臨んだ阪神ジュベナイルフィリーズでは、後の顕彰馬ウオッカにクビ差の2着。桜花賞では、後にGI級競走4勝を挙げるダイワスカーレットを上回り、ウオッカに続いて2番人気に評価されていた。桜花賞敗退後は、短距離路線に転進した。
スプリンターズステークスでは、古馬相手に逃げ切ってJRAGIタイトルに到達。1992年ニシノフラワー以来、グレード制導入後史上2例目となる3歳牝馬のスプリンターズステークス優勝を果たした。
流行のサンデーサイレンスを血統に持ち合わせていないことから、繁殖牝馬としても期待されていたが、競走馬として迎えた4歳春、原因不明のX大腸炎に冒され、急性心不全で早世した。
その他の勝ち鞍に、2007年のフィリーズレビュー（JpnII）、2006年のファンタジーステークス（GIII）、小倉2歳ステークス（GIII）。
生涯
[編集]デビューまで
[編集]ラスリングカプスは、アメリカで生産されたのち日本に渡ったウッドマン産駒で、競走馬として1997年までに15戦3勝の成績を残し、繁殖牝馬となった[5]。2003年には引退直後の新種牡馬アドマイヤコジーンが配合[6]。2004年3月5日、北海道千歳市の社台ファームにて鹿毛の牝馬（後のアストンマーチャン）が誕生する。直後に、1歳上の兄の管理が内定していた栗東トレーニングセンター所属の調教師の石坂正が対面、産まれた仔への評価は高かったが、すぐにその場で管理を申し出るほどの手応えではなかった[7]。
アドマイヤコジーンの初年度産駒ゆえに、特徴をつかみにくく買い手がつかない危険もあったが、女性医師の戸佐眞弓の所有が決定、戸佐にとって自身2頭目の所有馬であった[8]。巡り巡って石坂が管理することが決定した[7]。牧場では「優等生」であったという[9]。特にアクシデントなく成長していった[9]。
戸佐により、イギリス製の自動車ブランドである「アストンマーティン」に戸佐の学生時代の愛称「マーちゃん」を掛け合わせて「アストンマーチャン」という競走馬名が与えられた[10]。なお、馬名登録の際には「サーキット名」に「人名愛称」を組み合わせたもの[注釈 1]と説明して、審査を通過した[11]。
2歳（2006年）
[編集]2006年7月22日、小倉競馬場の新馬戦（芝1200メートル）でデビュー。武豊が騎乗し2番人気で出走したが、1番人気のシャルマンレーヌにクビ差振り切られ2着に敗れた[12]。武は外に斜行したことに敗因を求め[13]、石坂は斜行について、ターフビジョンに映る姿に驚いたと分析している[14]。同じく小倉、8月6日の未勝利戦（芝1200メートル）で和田竜二に乗り替わり、単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持されて出走。2番手から逃げ馬を半馬身かわして初勝利を挙げた[15]。
9月3日の小倉2歳ステークス（GIII）では、鮫島良太に乗り替わり単勝3番人気で出走。外枠から2番手に位置、最終コーナーで先頭に立ち、後方に2馬身半の差をつけて先頭で入線し、重賞初勝利を果たした[16]。デビュー2年目の鮫島、産駒デビュー初年度のアドマイヤコジーンにとっても初の重賞タイトルであった[16]。
小倉3戦の疲労から、宮城県山元町の山元トレーニングセンターで2か月の放牧となった[9][17]。この間に石坂はアストンマーチャンの内面と外面が一変したことを認めている。11月5日のファンタジーステークス（GIII）で復帰、武に再び乗り替わり3番人気で出走した。中団の位置から、第3コーナーから進出。最終コーナーを3番手で通過し、手応え十分のまま直線に入った[14]。残り200メートルで共に追い上げたイクスキューズ、逃げたアドマイヤプルートの3頭で並んだが、アストンマーチャンが差を広げて独走[14]。決勝線通過する頃には、2番手のイクスキューズに5馬身差をつけていた。走破タイムの1分20秒3は、ファンタジーステークスレコードを0.9秒更新、JRA2歳レコードを0.5秒更新したものであり、重賞連勝となった[14]。
| 映像外部リンク | |
|---|---|
 2006年 阪神ジュベナイルフィリーズレース映像 jraofficial(JRA公式YouTubeチャンネル)による動画 |
続いて、12月3日の阪神ジュベナイルフィリーズ（GI）に進み、単勝1.6倍の1番人気に支持された。続く2番人気のルミナスハーバーが8.9倍であったことから、多くがアストンマーチャンを推す状況であった[18]。スタートから馬場の内側3番手に位置し、直線で先頭に立った[19]。残り200メートルで後方におよそ3馬身離す独走態勢であったが、外から追い上げる4番人気ウオッカが迫り来て、決勝線を2頭並んで通過した[19]。しかし、ウオッカのクビ差先着が認められ、2着に敗れた[18]。レース後放牧に出された[19]。
年末のJRA賞選考では、JRA賞最優秀2歳牝馬部門で289票中16票を集めていたが[20]、ウオッカが271票を獲得し、JRA賞最優秀2歳牝馬を受賞している[20]。
3-4歳（2007-08年）
[編集]
3歳となった2007年3月11日、桜花賞のトライアル競走であるフィリーズレビュー（JpnII）で始動、ウオッカなど有力なライバルがチューリップ賞（GIII）に進んだこともあり、単勝オッズ1.1倍の1番人気に推された[21]。3,4番手から直線で抜け出し、後方に2馬身半差をつけて勝利。続く桜花賞（JpnI）では、ウオッカに次ぐ2番人気で出走。コーナーリングで2番手に浮上したが、伸びることなく、ウオッカと3番人気ダイワスカーレットの争いに1秒遅れた7着に敗れた。武は「全身に力を入れていた分、いつものフォームで走れてなかった[21]」とし、担当調教助手の上田和也は、直前の食欲と、体調面に敗因を求めている[21]。その後、石坂は適性が短距離にあると断定し、秋のスプリンターズステークスに目標を据え、NHKマイルカップ、優駿牝馬（オークス）は回避、社台ファームへ放牧に出た[21][22]。
スプリンターズステークスの前哨戦として、8月12日の北九州記念（JpnIII）を選択。古馬との初顔合わせとなったが、単勝1.8倍の1番人気に支持された。岩田康誠の騎乗により好位に取り付いたが、直線で伸びず6着に敗れた[23]。
| 映像外部リンク | |
|---|---|
|
2007年 スプリンターズステークス レース映像 jraofficial(JRA公式YouTubeチャンネル)による動画 |
続いて、9月30日のスプリンターズステークス（GI）に出走。石坂は、出走に際して1日1本の坂路調教を2本に増やして身体面の強化に努め、当日の馬体重は前走から10キログラム増加させることに成功した[23]。武が春の高松宮記念優勝馬スズカフェニックスに騎乗するため、石坂は鞍上にベテランの中舘英二を起用、スズカフェニックスが2番人気、アストンマーチャンは3番人気であった[24]。
雨中の不良馬場にスピードを十分に発揮できないと考えた石坂は、中舘に「この馬場だから内も外も関係ない。駄目でもいいから内を回ってこい[10]」と指示した。その通りに、好スタートを切るローエングリンを上回り、馬場の内側先頭に立ち、後方に3馬身離す逃げを展開した[24]。後方が迫り来ないまま、独走状態で直線に進入。アストンマーチャン自身は加速することはなかったが、中舘の左ムチに応えて粘り、追い上げる後方勢を4分の3馬身離して決勝線を通過した[24]。入線後、中舘は右手でガッツポーズを見せた[24]。アストンマーチャンはGI初勝利、重賞4勝目[10]。GI昇格後では、1992年ニシノフラワー以来、史上2例目となる3歳牝馬の優勝を果たした[25]。また中舘はヒシアマゾンで制した1994年のエリザベス女王杯以来のGI勝利、石坂はダイタクヤマト[注釈 2]で制した2000年以来のスプリンターズステークス勝利であった[10]。
10月27日のスワンステークス（GII）では、最後は失速して14着。香港スプリント（G1）に予備登録を行っていたが[26]、10月23日に馬インフルエンザの影響で検疫期間が1ヶ月かかることから回避し、放牧に出された[4]。4歳となった2008年、2月10日のシルクロードステークス（GIII）で復帰。武に再び乗り替わり、1番人気に推されたが10着に敗退[4]。続いて高松宮記念（GI）を目指していた。
死亡
[編集]高松宮記念をおよそ1か月後に控えた3月3日、体調を崩したことから、高松宮記念を回避することが発表。それから、原因不明の大腸炎であるX大腸炎を発症し、栗東トレーニングセンター競走馬診療所に入院した[27]。しかし、4月21日、急性心不全により死亡[28]。石坂が最期を見届けた[27]。石坂は「スプリンターズステークスは勝ったがその後の管理が悪く、ストレスが原因で病気になってしまった」と悔やんでいる[29]。
競走成績
[編集]以下の内容は、JBISサーチ[30]およびnetkeiba.com[31]に基づく。
| 競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離（馬場） | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ （人気） |
着順 | タイム （上り3F） |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬（2着馬） | 馬体重 [kg] |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2006.7.22 | 小倉 | 2歳新馬 | 芝1200m（良） | 13 | 3 | 3 | 2.6（2人） | 2着 | 1:08.2（34.3） | 0.0 | 武豊 | 54 | シャルマンレーヌ | 462 | |
| 8.6 | 小倉 | 2歳未勝利 | 芝1200m（良） | 13 | 1 | 1 | 1.3（1人） | 1着 | 1:08.9（35.3） | -0.1 | 和田竜二 | 54 | （アントラン） | 468 | |
| 9.3 | 小倉 | 小倉2歳S | GIII | 芝1200m（良） | 14 | 7 | 12 | 5.0（3人） | 1着 | 1:08.4（35.9） | -0.4 | 鮫島良太 | 54 | （ニシノマオ） | 466 |
| 11.5 | 京都 | ファンタジーS | GIII | 芝1400m（良） | 14 | 7 | 12 | 4.8（3人） | 1着 | R1:20.3（33.6） | -0.8 | 武豊 | 54 | （イクスキューズ） | 460 |
| 12.3 | 阪神 | 阪神JF | GI | 芝1600m（良） | 18 | 5 | 9 | 1.6（1人） | 2着 | 1:33.1（34.5） | 0.0 | 武豊 | 54 | ウオッカ | 460 |
| 2007.3.11 | 阪神 | フィリーズレビュー | JpnII | 芝1400m（良） | 16 | 6 | 12 | 1.1（1人） | 1着 | 1:21.8（35.0） | -0.4 | 武豊 | 54 | （アマノチェリーラン） | 466 |
| 4.8 | 阪神 | 桜花賞 | JpnI | 芝1600m（良） | 18 | 7 | 15 | 5.2（2人） | 7着 | 1:34.9（34.9） | 1.2 | 武豊 | 55 | ダイワスカーレット | 468 |
| 8.12 | 小倉 | 北九州記念 | JpnIII | 芝1200m（良） | 16 | 4 | 7 | 1.8（1人） | 6着 | 1:08.1（35.7） | 0.4 | 岩田康誠 | 53 | キョウワロアリング | 476 |
| 9.30 | 中山 | スプリンターズS | GI | 芝1200m（不） | 16 | 4 | 7 | 5.6（3人） | 1着 | 1:09.4（36.3） | -0.1 | 中舘英二 | 53 | （サンアディユ） | 486 |
| 10.27 | 京都 | スワンS | GII | 芝1400m（稍） | 18 | 3 | 6 | 3.6（1人） | 14着 | 1:22.3（37.1） | 1.6 | 中舘英二 | 55 | スーパーホーネット | 482 |
| 2008.2.10 | 京都 | シルクロードS | GIII | 芝1200m（稍） | 16 | 6 | 12 | 2.5（1人） | 10着 | 1:10.0（36.3） | 0.9 | 武豊 | 56 | ファイングレイン | 484 |
- タイム欄のRはレコード勝ちを示す
血統表
[編集]| アストンマーチャンの血統 | （血統表の出典）[§ 1] | |||
| 父系 | カロ系 |
[§ 2] | ||
父 アドマイヤコジーン 1996 芦毛 |
父の父 Cozzene1980 芦毛 |
Caro | *フォルティノ | |
| Chambord | ||||
| Ride the Trails | Prince John | |||
| Wildwook | ||||
父の母 アドマイヤマカディ1991 栗毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer | ||
| Lady Victoria | ||||
| *ミセスマカディー | *トライバルチーフ | |||
| Hanina | ||||
母 ラスリングカプス 1993 黒鹿毛 |
Woodman 1983 栗毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native | |
| Gold Digger | ||||
| *プレイメイト | Buckpasser | |||
| Intriguing | ||||
母の母 *フィールディFieldy 1983 鹿毛 |
Northfields | Northern Dancer | ||
| Little Hut | ||||
| Gramy | Tapioca | |||
| Gracile | ||||
| 母系(F-No.) | (FN:2-n) | [§ 3] | ||
| 5代内の近親交配 | Northern Dancer 4×4 | [§ 4] | ||
| 出典 | ||||
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ アストンマーティン自体の由来もサーキット名（アストンヒル）と共同創設者の人名（ライオネル・マーティン）を組み合わせたものである。
- ^ 担当調教助手の上田和也は、ダイタクヤマトも担当していた。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “アストンマーチャン”. JBISサーチ. 2021年7月20日閲覧。
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- ^ “【ファンタジーS】2006年アストンマーチャンのハイスピードに隠れてしまった馬名の由来” (2020年11月6日). 2020年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月20日閲覧。
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- ^ a b “血統情報：5代血統表｜アストンマーチャン”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年11月10日閲覧。
- ^ a b “アストンマーチャン (Aston Machan)の血統表”. netkeiba.com. 2023年4月9日閲覧。
参考文献
[編集]- 『優駿』（日本中央競馬会）
- 2007年11月号
- 岡本光男（日刊スポーツ・関西）「【クローズアップ】アストンマーチャン 『心技体』が一つになって掴んだ勝利」
- 河村清明「【サラブレッド・ヒロイン列伝】アストンマーチャン 愛らしきスプリンター"べっぴんさん"」
- 2007年11月号
外部リンク
[編集]- 競走馬成績と情報 netkeiba、スポーツナビ、JBISサーチ、Racing Post
- アストンマーチャン - 競走馬のふるさと案内所
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