「AIM連合」の版間の差分
編集の要約なし |
m Bot作業依頼: Apple関連記事の改名に伴うリンク修正依頼 (Apple|Apple Computer) - log |
||
1行目: | 1行目: | ||
{{Power Architecture}} |
{{Power Architecture}} |
||
'''AIM連合'''({{lang-en-short|AIM alliance}}、AIM同盟とも訳される)とは、1991年10月に[[ |
'''AIM連合'''({{lang-en-short|AIM alliance}}、AIM同盟とも訳される)とは、1991年10月に[[Apple|Apple Computer]]、[[IBM]]、[[モトローラ]]の3社間で結ばれた企業提携で、[[PowerPC]][[コンピュータ・アーキテクチャ|アーキテクチャ]]による、[[コンピュータ]]の新しい標準を作ることを目的とした。名称は3社の頭文字('''A'''pple-'''I'''BM -'''M'''otrola)からである。 |
||
PowerPC連合と呼ばれることもあるが、新しい[[オペレーティングシステム]]や[[マルチメディア]]記述言語の開発も含んでいた。 |
PowerPC連合と呼ばれることもあるが、新しい[[オペレーティングシステム]]や[[マルチメディア]]記述言語の開発も含んでいた。 |
2021年5月20日 (木) 10:40時点における版
Power アーキテクチャ |
---|
AIM連合(英: AIM alliance、AIM同盟とも訳される)とは、1991年10月にApple Computer、IBM、モトローラの3社間で結ばれた企業提携で、PowerPCアーキテクチャによる、コンピュータの新しい標準を作ることを目的とした。名称は3社の頭文字(Apple-IBM -Motrola)からである。
PowerPC連合と呼ばれることもあるが、新しいオペレーティングシステムやマルチメディア記述言語の開発も含んでいた。
概要
AIM連合の目標は、新しいコンピュータ設計と次世代のオペレーティングシステムにより、支配的なウィンテルのコンピューティングプラットフォームに挑戦することであった。それは、マイクロプロセッサの設計としてインテルのx86が採用しているCISCプロセッサには将来が無く、他方RISCには未来があり、今後の数年が大きな機会のある期間となる、との考えでPowerPC構想が開始された。
当初のCPUはIBMのPOWER1のシングルチップバージョンであるPowerPC 601であった。IBMとモトローラはPowerPCシリーズをこの新しいプラットフォーム用に設計・製造した。PowerPCベースのコンピュータアーキテクチャはPRePと呼ばれ、後にCHRPとなった。PRePとCHRPは、PowerPCやPCIを採用し、RS/6000でも採用された。
アップルとIBMは提携の一環として、タリジェント(Taligent)とカライダ (Kaleida) と呼ばれる2つの新しい合弁会社を設立した。タリジェントは、PowerPCプラットフォーム上で稼働する、コードネーム「ピンク」(Pink、後にTaligentOS)と呼ばれる次世代のオペレーティングシステムを開発するため、アップルのソフトウェアエンジニアの中核チームから形成された。カライダの目的は、オブジェクト指向でクロスプラットフォームのマルチメディア用スクリプト言語 (Script X) の開発で、それは開発者に、プラットフォームのPowerPC用の全く新しい種類のアプリケーションを作る事を可能にするものとされた。
IBMはPRePのハードウェアとして、1995年にAIXとWindows NT 3.5.1をサポートしたThinkPad Power Seriesを発売し[1][2]、1996年にはRS/6000 Notebook 860を発売した[3]。
しかし、PRePやCHRPの普及というモトローラやIBMの努力は失敗し、その上で稼働するオペレーティングシステムの供給というアップル・IBM・タリジェントの試みも失敗した。そしてアップルとIBMはリファレンスデザインでパラレルポートが必須か必須では無いか合意できなかった[要出典]。新しいプラットフォームでは最終的には、いくつかのUNIXに加え、Windows NTやOS/2などのオペレーティングシステムがサポートされる予定だったが、ユーザーにはインテルベースのプラットフォームではなくPRePシステムを使用する理由は少なかった。BeOSを稼働させるために設計されたBeBoxは、いくつかのPRePハードウェアを使用したが、標準との互換性は完全では無かった。またインターネット技術の急速な台頭により、クロスプラットフォームのマルチメディアを含んだ記述言語はHTMLなどが普及した。カライダは1995年に解消された。タリジェントは1998年に解消しIBMに吸収された。
AIM連合による成果のうち、PowerPC計画は一定の成果をあげる。アップルは1994年に、PowerPCチップをMacintoshに搭載したPower Macintoshラインを開始した。後の2004年にモトローラはPowerPCを含む半導体部門を分社化しフリースケール・セミコンダクタを設立した。
アップルの脱退と連合の終焉
2005年頃にアップルはPowerPCの開発の方向性と性能に失望した(IBMとフリースケールはサーバと組み込み向けプロセッサに重点を置き、高性能なポータブルコンピュータに適したチップがなくなった)ため、2006年までにはほぼ全てのMacintoshは、インテルのx86プロセッサに移行しAIM連合は終焉に至った。
その後
連合解体後の各陣営の様相を記す。
アップルはサーバXserve(2009年モデルまで)やハイエンドのMac Proのラインナップは残しつつも、Macintoshについてはコンシューマ市場重視の方針をとり、さらにiPodからiPhone、iPadといったポストPCの分野を拡充した。Macintoshについては2016年現在もインテルプロセッサの使用が続いているが、iPhone等ではARMを採用しており、元々StrongARMを設計していた開発陣の技術(旧en:P.A. Semi)と買収した高速なARMチップを設計していた開発陣の技術(旧en:Intrinsity)により自社用プロセッサApple A9が設計されている。
IBMはハイエンドのサーバと組み込み市場に特化し、ローエンドのサーバ事業とPC事業はレノボへ売却された[4][5]。
モトローラはアップルと初のiTunes搭載携帯電話端末Motorola ROKR E1を共同開発するもアップルがiPhoneを販売したことで同盟は決裂し、携帯事業会社のモトローラ・モビリティは2011年にGoogleに買収されたのち、2014年に大部分の特許を除いた事業がレノボへ売却されている[6]。
IBMとモトローラについては、Power.orgにおいてIBMとフリースケール・セミコンダクタの協業が2015年現在継続している。
アップルとIBMは、2014年にモバイル分野での企業導入に関して提携し、2015年にはIBMへのMacintosh採用と共にIBMが企業へのMacintosh導入を支援すると発表している[7]。
POWERプロセッサは、IBMのハイエンドでの使用の他、組み込み市場で成功している。また、コンシューマゲーム専用機(据置型ゲームコンソール)でも200x年代中期(いわゆる第7世代とも)に多く採用され、発売順に、Xbox 360(2005年発売)・PlayStation 3(Cell Broadband Engine、2006年発売)・Wii(2006年発売)と、一時はマイクロソフト・ソニー・任天堂の3陣営の機種全てでPowerPCが使われていた(しかし、その次の世代にも続いたのはWii Uだけであった)。
脚注
- ^ 変り種ThinkPad列伝 [第2回 - ThinkPad Power Series 850('95年6月発表) ~PowerPCを搭載した異色のThinkPad]
- ^ IBM ThinkPad Power Series 820 and 850
- ^ 7249-860 IBM RS/6000 Notebook 860 Model 860
- ^ “IBMのPCサーバー事業、売却先がLenovoで良かった理由”. HUFFPOST. (2014年1月26日)
- ^ レノボ、IBM PC 部門の買収から10周年を迎える
- ^ “レノボ、グーグル傘下のモトローラ・モビリティ買収を完了--29.1億ドルで”. CNET Japan. (2014年10月31日)
- ^ IBM#.E7.95.A5.E6.AD.B4